《解説》 ■ ここでは,絶対値記号の処理について,応用範囲の広い2つの方法を紹介します.1つは,場合分けによって絶対値記号をはずす方法,もう1つはグラフを利用する方法です. ■1 場合分けによって絶対値記号をはずす方法 [定義] 数直線上で,xが表わす点と原点との間の距離を|x|で表わします. (正の数xについては,絶対値記号は「ただで取れます」.負の数は符号を変えます.)
《要点》
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[?] 0は大きい方に含めなければならないか
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《重要》
中身全体が+,0になるか−になるかで分類します. |
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例(3) 次の絶対値記号を場合分けしてはずしなさい.
|3−x|
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例(4) 次の絶対値記号を場合分けしてはずしなさい.
2|x−2|+1
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例(6) 次の絶対値記号を場合分けしてはずしなさい.
|x|+|x−2|
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例(7) 次の絶対値記号を場合分けしてはずしなさい.
||x|−1|
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《解説つづき》 例(8) 次の方程式を解きなさい. |2−x|=5
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例(9) 次の不等式を解きなさい.
|2x−4|<10
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■2 グラフを利用する方法
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■2 関数f(x)=||x-4|-5|に対し答えよ. (1) y=f(x)のグラフをかけ. (2) t>0に対して,区間−t≦x≦2tにおける関数f(x)の最大値をg(t)とする.このとき関数g(t)を求め,そのグラフをかけ. 「2000年鳴門教育大入試問題」の引用
==>・・・(答) ア 右図のようになるのは,2t<4すなわち0<t<2のとき,最大値は g(t)=f(2t)=
この区間ではy=x+1のグラフだからf(2t)=2t+1
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イ
右図のようになるのは, 2t≧4すなわち2≦t<6のとき,最大値は g(t)=f(4)=
f(4)=5
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ウ
t≧6かつf(2t)<f(-t)のときは右の図のようになる. f(2t)<f(-t)←→2t-9<-(-t)-1←→t<8 つまり6≦t<8のとき,最大値は g(t)=f(-t)=
左端のグラフはy=−x−1のグラフだからf(−t)=t−1
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エ
右図のようになるのは8≦tのときで,このとき 最大値は g(t)=f(2t)=
右端のグラフはy=x−9のグラフだからf(2t)=2t−9
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■3・・・(2次関数,2次不等式を習っていたらこの問題もしましょう) 関数 f(x)=|x2−3x|−xを考える. (1) 実数の定数kに対して,y=f(x)のグラフと直線y=kとの共有点の個数を調べよ. (2) 方程式 f(x)=2|x−1|の解は4個ある.それらの解x1,x2,x3,x4(x1<x2<x3<x4)を求めよ. (1999年度近畿大学入試問題の引用)
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答案
(1) y=f(x)のグラフは右図(赤線)のようになる.
ア) k<−3のとき0個 イ) k=−3のとき1個 ウ) −3< k<0のとき2個 エ) k=0のとき3個 オ) 0<k<1のとき4個 カ) k=1のとき3個 キ) 1<kのとき2個 |
(2) 右の図により
(x2−3x)−x=2(−x+1) −(x2−3x)−x=2(x−1) −(x2−3x)−x=2(−x+1) (x2−3x)−x=2(−x+1) −(x2−3x)−x=2(x−1) −(x2−3x)−x=2(−x+1) ウ)1<x<3のとき, (x2−3x)−x=2(−x+1) −(x2−3x)−x=2(x−1) −(x2−3x)−x=2(−x+1) エ)3<xのとき, (x2−3x)−x=2(−x+1) −(x2−3x)−x=2(x−1) −(x2−3x)−x=2(−x+1) |
■4・・・(次の問題の答案をまとめるのは大変.しかし,実際は穴埋め問題なので「まとめ」なくてもよい) aは実数とする. 関数Fa(x)=|x−2|+|x−a|+|x−6| の区間[a−2,a+2]における最小値をm(a),最大値をM(a)として,区間I(a)=[m(a),M(a)]を考える. 次の問いに答えなさい. (1) I(5)=[,]である. (2) aは正数でm(a)=14を満たすという. このときa=,M(a)=である。 (2000年度東北薬大入試問題の引用)
(1) a=5のとき,3≦x≦7(図の茶色の区間)において,赤と緑で示したヒモの長さの和は, ア) 3≦x≦6のとき一定(4)だから青で示したヒモが最小のとき(x=5)最小値4となる. m(5)= (x=5のとき) M(5)= (x=7のとき) (2) a≦8ではm(a)が14にならない. a>8のとき ア) a−2≦x<aでは赤+青が一定(a−2)だから,緑が最短のx=a−2で最小値 (a−2)+(a−2−6)=2a−10をとる. このとき,M(12)はx=14で実現されるので,M(12)=・・・(答)
(1) m(5)=4, M(5)=8
(2) a=12, M(12)=22 |
《解説(つづき)》 ■ 1次関数の絶対値は,符号が正になっても負になっても1次関数です.したがって,それらの和・差・定数倍は1次関数で,折れ線になります.このことに注意すれば,煩雑な場合分けをせずに節目(と両端の延長)を結んでいけばグラフを作ることができます. ■例10 次の関数の最小値を求めなさい. y=4|x|−3|x−1|+2|x−2|−|x−3| (答案)
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■[個別の頁からの質問に対する回答][絶対値について/17.5.27]
《問題》
(5) 次の方程式をきなさい
イ)は
2(x−1)−2x=6
と書いてありますが、
本当は
-2(x−1)−2x=6
ではないでしょうか。
■[個別の頁からの質問に対する回答][絶対値について/17.5.25]
=>[作者]:連絡ありがとう.まず初めに|1−x|は|x−1|に等しいです.だから,イ)の場合,2|1−x|−2x=6を2|x−1|−2x=6と考えて絶対値をはずすと,左側の答案のように,2(x−1)−2x=6になります. 同じ問題をイ)の場合に,2|1−x|−2x=6の絶対値をそのままはずせば,−2(1−x)−2x=6になりますが,これら2つは同じものです. 2つの表記を書いてしまったので,混乱したかも 間違えたときに答えを表示するようにしてほしいです。
なぜか、ここは答えが出ないので少し使いにくいです。
■[個別の頁からの質問に対する回答][絶対値について/17.1.1]
=>[作者]:連絡ありがとう.教材を作ったときは「ここまでお膳立てしてある場合に,答えが必要な生徒がいるとは思わなかった」というのが本音です.しかし,今考えてみるとWeb教材では,読者は中学生から老人まで,海外在住で日本語の教科書が入手できない人まで幅広いので,確認のために解答が必要な場合もあるようですので,そのうち解答を付けます.(付けました) 問題4、2000年度東北薬大の問題ですが、ヒモの長さで表されても分かりません。
=>[作者]:連絡ありがとう.その説明方法では分かりませんという形で前提を覆してしまう場合は,自分で他の方法を考えるしかなくなります.前提を覆してはいけません.(絶対値は符号のない数なのでひもの長さで考えることができるのです) |