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高校数学Ⅰ・A「数と式」について,このサイトには次の教材があります.
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たすき掛け因数分解(2文字)
同(2文字)2
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因数分解の応用問題
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根号計算
同2
分母の有理化
無理数の独立
式の値(無理数の対称式)
xn+1/xnの値
センター問題 平方根の計算
根号計算の入試問題
二重根号
文字式を含む根号計算
絶対値
絶対値2つの外し方
絶対値の入試問題
センター共通 数と式(2013~)

== 絶対値の入試問題 ==

【例題1】
 |4x−3|≦−x+7を解くとaである.
(神奈川大2011年度)
(解説)
【要点1】
絶対値記号は,|  |の中身全体の正負に応じて場合分けして外すのが基本です.
すなわち
|a|=
a (a≧0のとき)
−a (a<0のとき)

※(初歩的な注意)
1) 絶対値記号に慣れていない高校生が,次のような間違い答案を書くことがあります.教える側から見れば「何もわかっていない!」「猛反省が必要」「不注意にもほどがある,はらわたが煮えくり返る」というビックリ答案ですので,心当たりのある人は気を付けてください.
|a|=
a (|a|≧0のとき) ×××
−a (|a|<0のとき) ×××

○そもそも絶対値記号|  |は,中身が負の数のときに符号を変えて正の数にするためのものです.(中身が0以上の数のときは,そのまま何も変えません.)
だから,|  |の付いている式は,つねに0以上になります.
|a|≧0のとき というのは当然のことで,場合分けの役に立っていません.
また,|  |の付いている式が負の数になることはありません.
|a|<のとき というのはあり得ない話をしており,場合分けの役に立っていません.
○勢い余って,以上のような間違い答案で恥をかかないように,絶対値記号をはずすための場合分けは,上の要点に述べたように「中身全体で場合分けする」ことが重要です.
2) |4x−3|の絶対値をはずすとき,
|4x−3|=
4x−3 (x≧0のとき
−(4x−3) (x<0のとき

と書いている間違い答案も多く見られます.

上に述べた要点1をもう一度よく見てください.
| |の中身全体の正負に応じて場合分けして外す
ので,要点1をこの問題に当てはめると,| |の中身全体とは4x−3のことなので
|4x−3|=
4x−3 (4x−3≧0のとき
−(4x−3) (4x−3<0のとき

のようになるはずです.ただし,この書き方では( )内がxの範囲を直接に表していないので,通常は次のようにxの範囲について解き直した形で書きます.
|4x−3|=
4x−3 (x34のとき)
−(4x−3) (x<34のとき)

ここまでで,絶対値記号をはずす準備ができたので,実際に問題を解いてみます.
|4x−3|≦−x+7
より
ア) x34のとき
4x−3≦−x+7
5x≦10
x≦2
したがって
34x2…(*1)

イ) x<34のとき
−(4x−3)≦−x+7
−4x+3≦−x+7
−3x≦4
x43
したがって
43x<34…(*2)

以上のア)イ)をまとめると
43x2…(*3)
(*1)について
x34のときx≦2

x34かつx≦2
の形にまとめます.

x34を無視して,x≦2だけになっている答案をよく見かけますが,そのようにしてしまうと,せっかくx34のように場合分けしたものが全く役に立っていないことになります.

(*2)も同様です.

【要点2】
(条件1)のとき(条件2)
と解けたら
「(条件1)かつ(条件2)」
の形にまとめる.

【要点3】
(*3)について
下着などによく使われているボタン(スナップボタンというのかもしれない)でつなぐと2つのものはつながる。
43x<34,34x2
ではなくて
43x2
と答えなければならない.
【問題1】
(1)
 不等式x2−x−5<|2x−1|を解け.
(東京電機大2016年度)
参考答案を見る
(2)
 不等式|x2−6|+x≧0を満たすxの範囲は(iii)である.
(北見工大2016年度)
参考答案を見る

【例題2】 絶対値記号が2つある場合
 |x+1|+|x−2|>5の解はx<x>である.
(東海大2011年度)
【要点2】
1直線上の2つの場合分けを組み合わせるには,3つの場合に分けるとよい
区切り目は(以上)(未満)の形がよく使われる.
ア)x<−1のとき
イ)−1x<2のとき
ウ)2xのとき
※数学Ⅰでは,場合分けは「もれなく」「重複なく」行うようにするので,2つの場合分けの両方に区切り目が重複しているような答案はよくない.
x−1−1x22xの分け方はダメ
※答案作成の都合上,区切り目が(よりも大)(以下)の形になるのはかまわない.
(答案)
x<−1のときは当然x<2になるから
|x+1|=−(x+1)
|x−2|=−(x−2)
ア)x<−1のとき
−(x+1)−(x−2)>5
−x−1−x+2>5
−2x>4
x<−2
(もとのx<−1も満たしている)
イ)−1≦x<2のとき
(x+1)−(x−2)>5
x+1−x+2>5
3>5
これが成立することはない
x>2のときは当然x>−1になるから
|x+1|=x+1
|x−2|=x−2
ウ)2≦xのとき
(x+1)+(x−2)>5
x+1+x−2>5
2x>6
x>3
(もとの2≦xも満たしている)
以上をまとめると
x<−2, 3<x…(答)

【問題2】
(1)
 式2|x−4|+|x+3|≦13を満たすxの解は
≦x≦である.
(東洋大2011年度)
参考答案を見る
(2)
(i) 関数y=|2x−1|+|x−2|のグラフをかけ.
(ii) |2x−1|+|x−2|=2を満たすxの値を求めよ.
(関西大2011年度)
参考答案を見る

【例題3】 絶対値記号が3つ以上ある場合
 関数y=|x|+|x+1|+|x+2|+|x+3|は最小値をとる.
(山梨大2016年度)
(答案)
ア) x<−3のとき
y=−(x)−(x+1)−(x+2)−(x+3)=−4x−6
は減少関数(y>6
イ) −3≦x<−2のとき
y=−(x)−(x+1)−(x+2)+(x+3)=−2x
は減少関数(y>4
ウ) −2≦x<−1のとき
y=−(x)−(x+1)+(x+2)+(x+3)=4
は定数値関数(y=4
エ) −1≦x<0のとき
y=−(x)+(x+1)+(x+2)+(x+3)=2x+6
は増加関数(y≧4
オ) 0≦xのとき
y=(x)+(x+1)+(x+2)+(x+3)=4x+6
は増加関数(y≧6
したがって,−2≦x≦−1のとき最小値4をとる…(答)
(別解1)
絶対値記号をはずしても符号が正になるか負になるかの相違のみなので,1次関数の絶対値を何個加えても結果は1次関数になる.
したがって,区切り目となる点を結んだ折れ線になる.
x<−3のとき
y=−(x)−(x+1)−(x+2)−(x+3)=−4x−6
は減少関数(y>6
x=−3のときy=3+2+1+0=6
x=−2のときy=2+1+0+1=4
x=−1のときy=1+0+1+2=4
x=0のときy=0+1+2+3=6
x≧0のとき
y=(x)+(x+1)+(x+2)+(x+3)=4x+6
は増加関数(y≧6
結局,−2≦x≦−1のとき最小値4をとる…(答)
(別解2)
|x|は原点からの距離を表す.|x+1|=|x−(−1)|−1からの距離を,|x+2|=|x−(−2)|−2からの距離を...表す.
ア) x<−3のとき,−3からの距離をLとすると
4L+3+2+1=6+4L
イ) −3≦x<−2のとき,−2からの距離をLとすると
1+2L+2+1=4+2L
ウ) −2≦x<−1のとき
1+2+1=4
エ) −1≦x<−0のとき,−1からの距離をLとすると
1+2+1+2L=4+2L
オ) 0≦xのとき,0からの距離をLとすると
1+2+3+4L=6+4L
以上により,ウ)のとき最小値4をとる
【問題3】
(1)
 折れ線L:y=4|x|5|x−2|+4|x−3|
x<0のとき,y=アイx+
0≦x<2のとき,y=x+
2≦x<3のとき,y=カキx+クケ
3≦xのとき,y=3x−2
と表される.Lと直線y=2x+kkは定数)の共有点が4個となるようなkの値の範囲は,<k<である.
(千葉工大2014年度)
参考答案を見る

*** この頁の要点(まとめ) ***
【要点1】
絶対値記号は,|  |の中身全体の正負に応じて場合分けして外すのが基本です.
すなわち
|a|=
a (a≧0のとき)
−a (a<0のとき)

【要点2】
1直線上の2つの場合分けを組み合わせるには,3つの場合に分けるとよい
【要点3】
x<a, a≦xのような場合はつながる.

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