PC用は別頁

=== 読者が配色を変更したい場合 ===
◎外側の色を変えるには,次の色をクリック
◎内側の色を変えるには,次の色をクリック
標準文字色を変えるには,次の色をクリック

== たすき掛け因数分解 ==

◇たすき掛け因数分解とは◇

 x2 の係数が1でない2次式を因数分解する一つの方法が,たすき掛け因数分解と呼ばれる方法である.
 次の例のように,x2 の係数が1でない2次式を因数分解するためには,4個の係数を一度に思いつかなければならないので大変であるが,もし次の形に書けるとすれば,
x+
×) x−
-----------------------------
  6x2−x−15
2次の係数:[ア]×[ウ]=6
定数項:  [イ]×[エ]=− 15 となるはずなので,
○「掛けて6,掛けて−15となる2組の数を持ってくれば,後は1次の係数が合えば答になる」
== の係数が(±)1かそれ以外かの違い ==
【たすき掛けの因数分解ではない例】





⇒ 2つの数字を当てれば答が出る
【たすき掛けの因数分解である例】

⇒ 2×2=4個の数字を同時に当てる必要がある

6x2−x−15=(x+)(x−)
※ 「たすき掛け因数分解」という用語は学習指導要領になく,教科書にもほとんど使われていないが,授業の中で,あるいは学習塾,予備校,参考書などでは使われる.「いわゆるたすき掛け」といったほうがよいかもしれない.
※ 最近では,駅伝のたすきをよく見かけるが,ここでいうたすきは,和服などで作業をしやすいように結ぶために使うもの.
背中で×印になるように結ぶ.
 ここで説明する因数分解は,斜め方向のかけ算に注目する因数分解のことなので「たすき掛け因数分解」といわれている.

○ 試しにいろいろやってみると
 <試し1>

===>この<試し1>では1次の係数が1になり,元の問題の因数分解にはなっていない.
<試し2>
===>この<試し2>では1次の係数が-1となり,元の問題と一致するので,これが答えになるが,
この式を答案にまとめるには,この式が何の省略であったかを忘れてはいけない.

6x2−x−15 =(2x+3)(3x−5) ・・・答

◇要約◇
(1) 2次の係数を2つに分ける(掛けて2次の係数になる組をさがす)
(2) 定数項を2つに分ける(掛けて定数項になる組をさがす)
(3) いろいろな組合せのうち,たすき掛けで1次の係数が合えば答にする

 ただし(0)問題の式が共通因数を持っているときは,これでくくって,共通因数は取り除いておく.

 また,(3)で上下の式を入替えても式の順序が変るだけだから,上下を入替える必要はない.

 また,係数の符号を全部換えても同じものになるから両方調べる必要はなく,x の係数が正のものを調べたらよい.
(−2x−3)(−3x+5)←→(2x+3)( 3x−5)

 2次の係数が負の数の場合,マイナスを出して,
 - 6x2+x+15 =−( 6x2−x−15 )=−(2x+3)(3x−5)
などと変形するのが楽.
x2 の係数が1でない2次式が,すべてたすき掛けで因数分解できるわけではない.
 ここで解説した方法は「整数係数1次式に因数分解できるものは,この方法でできる」ということで,2x2 +x+3
のような式はたすき掛けでは因数分解できない.
■たすき掛けの弱点■
  合うかどうかは運しだい.
  ただし,勘を養うと速い
(3x+3)(2x−5) などははじめから調べない.こんな場合は,元の問題が 3 でくくれるはず.
■たすき掛けの長所■
 解の公式では,計算が複雑になる場合でも,たすき掛けなら簡単にできる・・・整数係数の1次式の積になるもの,文字係数の一次式,根号を含む一次式の積になるものなど.
 例:次のような因数分解を解の公式で求めるのはとても大変で,たすき掛けなら簡単
  (2x+3y+1)(3x−5y−2)
  ((2a+3)x+(3a−1))((3a+2)x−(5a+1))


4x2−23x+15 を因数分解せよ.
(答案)
この式を答案にまとめるには,この式が何の省略であったかを忘れてはいけない.

(原式)=(4x−3)(x−5) ・・・答
・・・次のようにいろいろ試してみて,「合うものだけ」を答案にする.舞台裏まで見せる必要なし.初めから分かっていたかのように書けばよい.・・・失敗が山のようにできるのは覚悟の上

■問題1■ 次の式を因数分解せよ.
(1回だけ記録されます。問題は幾らでも出ます。)
 (答は ()()のように x の項を前に書くこと.先頭の符号を負にしないこと)

2x2+3x+4=()()


■問題2■ 次の式を因数分解せよ.
(1回だけ記録されます。問題は幾らでも出ます。)
 (答は ()()のように x の項を前に書くこと.先頭の符号を負にしないこと)

2x2+3x+4=()()


○ x,y の2次式で次のような形の式では,数字とy を含めたものを x の係数と考えるとよい.

4x2- 23xy+15y2= 4x2- 23yx+15y2
この式を答案にまとめるには,この式が何の省略であったかを忘れてはいけない.

(原式)=(4x−3y)(x−5y) ・・・答
※ この問題では,y がないときの答えに y を付けたものと同じになるが,「y も係数と見なす」という考え方は,後で登場する文字係数のときの因数分解に使う重要な考え方なので,早めに慣れておく方がよい.

■問題3■ 次の式を因数分解せよ.
(1回だけ記録されます。問題は幾らでも出ます。)
 (答は ()()のように x の項を前に書くこと.先頭の符号を負にしないこと)

2x2+3x+4=()()


※ 多くの生徒にとって,以下の内容は「難しい」と見えるようなので,あなただけが落ち込む必要はありません.
 「x について整理する」ことができれば全部分かります.これが分からないと,全然分かりません.

◇2文字のたすき掛け因数分解◇

(1) 次の例のように,2文字が含まれる式の因数分解では,多くの場合,1文字(例えば x )について整理して考える.

 2x2+7xy+3y2−x+2y−1=2x2+(7y−1)x+(3y2+2y−1)
(2) この後y も含めて係数を考え,「たすき掛け」因数分解をする.
  その際,x2の係数は2なので,2×1に分けられるが,定数項 (3y2+2y−1) を積に分けるためには,この部分を因数分解しておかなければならない.[大きな因数分解の準備として,定数項だけの小さな因数分解をする.*

2x2+(7y−1)x+(3y−1)(y+1)

ここからが全体の大きなたすき掛けとなる.

この式を答案にまとめるには,この式が何の省略であったかを忘れてはいけない.

ゆえに,2x2+7xy+3y2−x+2y−1=(2x+y+1)(x+3y−1)
[重要] x について整理する」とは,x だけを文字とし,他の文字 y などは数字と同じように係数と見なして式を降べきの順に整えることをいう.

 次の式でで示したものがx について整理」したときの係数

(i) 4x2- 23xy+15y2= 4x2- 23yx+15y2
(ii) 2x2+7xy+3y2−x+2y−1=2x2+(7y−1)x+(3y2+2y−1)
(iii) (2a+1)(a+1)x2+(-a2−a−1)x−a(a−1)

* 上の(iii)のように2次の係数も文字式の場合,「2次の係数」「定数項」の2箇所を,全体の大きなたすき掛けの準備としてあらかじめ因数分解しておくことになる.
 この場合,「1次の係数」は因数分解する必要はなく,展開式のままが使いやすい.上の(iii)はこうして準備できた結果の式.ここから,全体の大きなたすき掛けは簡単にできる.

ゆえに,(iii)式=((a+1)x−a)((2a+1)x+(a−1))
=(ax+x−a)(2ax+x+a−1)

■問題4■ 次の式を因数分解せよ.
(1回だけ記録されます。問題は幾らでも出ます。)
 (答は ()()のように x の項を前に書くこと.先頭の符号を負にしないこと)

2x2+3x+4
=()()


...(携帯版)メニューに戻る

...(PC版)メニューに戻る


■[個別の頁からの質問に対する回答][たすき掛け因数分解について/18.8.11]
たすき掛け因数分解1の問題4 2問/5問についての確認です。 解答は(3x-5y+1)(5x-4y+1)ですが、(-3x+5y-1)(-5x+4y-1)も正解ではないでしょうか?
=>[作者]:連絡ありがとう.問題,途中経過,解答はプログラムで生成していますので,第何問がどういう問題になるのかは,見ている人によって違います.さて,問題文に灰色で書いていますように,「x の項を前に書くこと.先頭の符号を負にしないこと」という条件を外してしまうと,同じ答案が何通りも書けることになります.(3x-5y+1)(5x-4y+1)と(-3x+5y-1)(-5x+4y-1)は同じものですが,採点の都合で(5y-3x-1)(4y-5x-1)や(-3x+5y-1)(-5x+4y-1)でなく,(3x-5y+1)(5x-4y+1)のように書いてくださいということです.[かっこ内の順序の入れ替え,符号の入れ替え,かっこの前後の入れ替えで144通りの書き方ができますが,x の項を前に書くこと.先頭の符号を負にしないことで2通りになります]
■[個別の頁からの質問に対する回答][たすき掛け因数分解について/18.4.4]
途中途中に問題があって有り難かったです。
=>[作者]:連絡ありがとう.はじめは問題を小出しにすると理解しやすいようですので,最近はそううスタイルにしています.
■[個別の頁からの質問に対する回答][たすき掛け因数分解について/18.3.27]
答えが、(2x+5y-4)(5x-9y+3)となっていたのですが、 (-5x+9y-3)(-2x-5y+4)と答えてしまいました。 展開してみたら、数字の順番が違うだけで、出てくる数字自体は同じだったのですが、これも間違いになるのでしょうか? もし、間違いなのだったらこのようなミスを防ぐにはどうすればよいですか?
=>[作者]:連絡ありがとう.はじめの要約に書いていますが,「式を入替えても式の順序が変るだけだから,上下を入替える必要はない.」「また,係数の符号を全部換えても同じものになるから両方調べる必要はなく,x の係数が正のものを調べたらよい.」
 (-5x+9y-3)(-2x-5y+4)は(2x+5y-4)(5x-9y+3)と順序と符号を入れ換えただけのものなので,数式としては等しいです.ただ,授業では符号を全部入れ換えたものは好ましいとは考えません.例えば,を因数分解しなさいと言う問題について,を正解としますが,,など変形すれば様々な式ができますが,これらは標準的な書き方だとは考えません.(定期テストなら考慮しますが,問題も解答もコンピュータ合成にしていますので,要約に示した以外の書き方は画面上では不正解としています)
■[個別の頁からの質問に対する回答][たすき掛け因数分解について/17.12.30]
とても分かりやすくて良かったです 式=((a+1)x−a)((2a+1)x+(a−1)) =(ax+x−a)(2ax+x+a−1) これとても参考になりました。 ありがとうございました。
=>[作者]:連絡ありがとう.
■[個別の頁からの質問に対する回答][たすき掛け因数分解について/17.10.28]
問題4の1回目の答えは(3x-2y-8)(6x+y-4)ではないのですか?
=>[作者]:連絡ありがとう.その頁では,プログラムによって問題,解説,解答を作っていますので,あなたが見ている問題と管理人や他の読者が見ている問題は違うものです.だから,問題4の1回目の問題という決まった問題はありません.あなたがもう1回その頁を見た場合にも全然違う問題になっているはずです.そんな訳で,質問や意見をいただくためには,問題のコピーとあなたが解答だと思う式を送っていただかないと,正しいとも間違っているとも言えないのです.
■[個別の頁からの質問に対する回答][たすき掛け因数分解について/17.7.23]
x2乗+22x乗+96のように 大きい数字の時のコツを教えてくれたら嬉しかったです!
=>[作者]:連絡ありがとう.たすき掛け因数分解の頁から質問しておられますが,その問題は中学3年生の問題です.すなわち
96=25×3=16×6
22=16+6
のように積が966で和が22となる2数を見つけると16, 6になるから
x2+22x+96=(x+16)(x+6)とします.
コツといっても,中学で習う通りで,積を先に考えます.
■[個別の頁からの質問に対する回答][たすき掛け因数分解について/17.5.14]
説明がとても見やすかったです。質問はここに書いてもいいのでしょうか?
=>[作者]:連絡ありがとう.質問はその欄に書いてもらうといいです.
■[個別の頁からの質問に対する回答][たすき掛け因数分解について/17.4.9]
2x²−4x−6因数分解
=>[作者]:連絡ありがとう.通常,この問題はたすき掛けの因数分解の問題とは考えない.すなわち,2でくくると中学校で習う問題になる.2x2−4x−6=2(x2−2x−3)
その後の変形と答はご自分で!
■[個別の頁からの質問に対する回答][たすき掛け因数分解について/17.4.19]
ありがとうございます!参考になりました!
=>[作者]:連絡ありがとう.
■[個別の頁からの質問に対する回答][たすき掛け因数分解について/17.3.6]
分かり易かったです。ですが、答えを詳しく出して頂けると幸いです。
=>[作者]:連絡ありがとう.HELPボタンを押すと詳しい途中経過がでますのでそれを読んでください.
■[個別の頁からの質問に対する回答][たすき掛け因数分解について/16.12.30]
わかりづらい
=>[作者]:連絡ありがとう.そういう感想もあり得るかも.相性がよくなかったということで・・・
■[個別の頁からの質問に対する回答][たすき掛け因数分解について/17.4.2]
ゆえに,2x2+7xy+3y2 - x+2y - 1=(2x+y+1)(x+3y - 1) これがよくわからないです
=>[作者]:連絡ありがとう.たすき掛けの因数分解について,答を聞いても答えの読み方が分からないといった感想が見られるので,解説中に鍵となることばを繰り返し入れることにしました.