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高校数学Ⅰ・A「数と式」について,このサイトには次の教材があります.
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単項式と多項式
指数法則
展開公式1
展開公式2
置き換えによる展開
展開の順序
展開公式の応用問題
対称式の値
2次式の因数分解
いろいろな因数分解
1文字について整理
たすき掛け因数分解
同(1文字)
同(1文字)2
たすき掛け因数分解(2文字)
同(2文字)2
3次以上の因数分解
因数分解の応用問題
因数分解の入試問題
実数と根号(公式と例)
根号計算
同2
分母の有理化
無理数の独立
式の値(無理数の対称式)
xn+1/xnの値
センター問題 平方根の計算
根号計算の入試問題
二重根号
文字式を含む根号計算
絶対値
絶対値2つの外し方
絶対値の入試問題
センター共通 数と式(2013~)

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== 対称式の変形 ==
〇このページでは,対称式の値を求める練習をします.内容的には,学校の定期テストや実力テストのレベルです.
【基本1】
(1.1)(a+b)2=a2+b2+2ab
(1.2)(a+b+c)2=a2+b2+c2+2(ab+bc+ca)
(解説)
(1.1)→この関係式を使えば,
P=a+b, Q=a2+b2, R=ab
のうち2つの値が分かれば残り1つの値を求めることができます.
【例1.1】
a+b=3, a2+b2=5のときabの値を求めてください.
(解答)
(a+b)2=a2+b2+2abに代入すると
a, bそれぞれの値を求めてくださいと述べているわけではない.
指定された積abの値だけ求めるとよい.
32=5+2ab
2ab=4
ab=2…(答)
(解説)
(1.2)←
この式は,(1.1)を繰り返し適用して求めることができます.
{(a+b)+c}2=(a+b)2+2(a+b)c+c2
=a2+2ab+b2+2ac+2bc+c2
=a2+b2+c2+2ab+2bc+2ca
(1.2)→この関係式を使えば,
P=a+b+c, Q=a2+b2+c2, R=ab+bc+ca
のうち2つの値が分かれば残り1つの値を求めることができます.
【例1.2】
a+b+c=4, ab+bc+ca=3のときa2+b2+c2の値を求めてください.
(解答)
(a+b+c)2=a2+b2+c2+2(ab+bc+ca)に代入すると
42=a2+b2+c2+6
a2+b2+c2=16−6=10…(答)

【問題1】 次の各問いに答えてください.
選択肢の中から正しいものを1つクリック.解答すれば解説が出ます.
(1)
a+b=4, ab=1のとき,a2+b2の値を求めてください.
(2)
a+b+c=3, a2+b2+c2=29のとき,ab+bc+caの値を求めてください.

【基本2】
a+b=P, ab=Qとおくと
(2.1)a2+b2=P2−2Q
(2.2)a3+b3=P3−3PQ
(2.3)a4+b4=P4−4P2Q+2Q2
(2.4)a5+b5=P5−5P3Q+5PQ2
(解説)
(2.1)は(1.1)と同じものです.
これらは,
対称式の値は,基本対称式で表せる
というよく使われる性質の例となっています.
(2.1)は覚えますが,他は必要になってからその場で作ればよいでしょう.
(2.2)←
a3+b3が登場する公式は,展開公式と因数分解公式があります.自分の得意な方からスタートして(2.2)を作ればよい.
(展開公式からスタートするとき)
(a+b)3=a3+3a2b+3ab2+b3
(a+b)3=a3+b3+3ab(a+b)
したがって
a3+b3=(a+b)3−3ab(a+b)=P3−3PQ
(因数分解公式からスタートするとき)
a3+b3=(a+b)(a2−ab+b2)
a3+b3=(a+b){(a+b)2−3ab}
したがって
a3+b3=P(P2−3Q)=P3−3PQ

(2.3)←
4次以上の展開公式や因数分解公式を覚えている人は,少ないと思います.2次や3次を手掛かりにして,求める形になるように少しずつ式の形を整えます.
(2次の展開公式からスタートするとき)
(a2+b2)2=a4+2a2b2+b4
左辺に(2.1)を使うと
{(a+b)22ab}2=a4+b4+2(ab)2
(P22Q)2=a4+b4+2Q2
したがって
a4+b4=(P22Q)22Q2
=P44P2Q+4Q22Q2
=P44P2Q+2Q2
(3次の展開公式からスタートするとき)
(a3+b3)(a+b)=a4+b4+a3b+ab3
aa+b4=(a3+b3)(a+b)(a3b+ab3)
=(a3+b3)(a+b)ab(a2+b2)
(2.1)(2.2)の結果を代入すると
a4+b4=(P33PQ)PQ(P22Q)
=P43P2QP2Q+2Q2
=P44P2Q+2Q2

(2.4)←
5次は2次と3次の組合せか4次と1次の組合せで作ることができます.
(2次と3次の組合せで作るとき)
(a3+b3)(a2+b2)=a5+b5+a3b2+a2b3
a5+b5=(a3+b3)(a2+b2)(a3b2+a2b3)
(2.2)(2.3)の結果を使うと
a5+b5=(P33PQ)(P22Q)a2b2(a+b)
=(P33PQ)(P22Q)PQ2
=P52P3Q3P3Q+6PQ2PQ2
=P55P3Q+5PQ2
(4次と1次の組合せで作るとき)
(a4+b4)(a+b)=a5+b5+a4b+ab4
a5+b5=(a4+b4)(a+b)ab(a3+b3)
(2.2)(2.3)の結果を使うと
a5+b5=(P44P2Q+2Q2)PQ(P33PQ)
=P54P3Q+2PQ2P3Q+3PQ2
=P55P3Q+5PQ2
※「数分でできる」ということだけを覚え,結果は覚えないと割り切る方が,ストレスをためない秘訣かな

【問題2】 次の各問いに答えてください.(選択肢の中から正しいものを1つクリック)
(1)
a+b=2, a2+b2=8のとき,a3+b3の値を求めてください.
(2)
a+b=1, ab=1のとき,a4+b4の値を求めてください.


【基本3】
3つの文字a, b, cの対称式は,基本対称式a+b+c, ab+bc+ca, abcで表せる.
(3.1)
a2+b2+c2=(a+b+c)22(ab+bc+ca)
(3.2)a3+b3+c3
a3+b3+c33abc =(a+b+c)(a2+b2+c2abbcca) を使って変形する
(3.3)a4+b4+c4
(a2+b2+c2)22(a2b2+b2c2+c2a2)を使って変形する
a2b2+b2c2+c2a2=(ab+bc+ca)22abc(a+b+c)
も求めておく
(解説)
(3.1)は(1.2)と同じものです.
(3.2)←
この公式は,大学入試では必須公式ですが,思い出せない場合でも数分で作れます.
とりあえず(a2+b2+c2)(a+b+c)を展開して,不要な部分を引くことを考えます.
(a2+b2+c2)(a+b+c)
=a3+b3+c3+a2(b+c)+b2(a+c)+c2(a+b)
=a3+b3+c3+a2b+a2c+b2a+b2c+c2a+c2b
=a3+b3+c3+a(ab+bc+ca)abc
+b(ab+bc+ca)abc
+c(ab+bc+ca)abc
=a3+b3+c3+(a+b+c)(ab+bc+ca)3abc
したがって
a3+b3+c3
=(a2+b2+c2)(a+b+c)
(a+b+c)(ab+bc+ca)+3abc
=(a+b+c)(a2+b2+c2abbcca)+3abc

(やや難しい)
【問題3】 次の各問いに答えてください.(選択肢の中から正しいものを1つクリック)
(1)
x+y+z=3,1x+1y+1z=13のとき,
x3+y3+z3の値を求めよ.
(同志社大2000年入試問題)
9 12 18 27
(2)
a+b+c=0, a2+b2+c2=2のとき,a4+b4+c4の値を求めてください.

【基本4】
正の整数nに対して,xn+1xnの値は,x+1xの多項式で表せる.
(解説)
x×1x=1 なのでxn+1xnは和 x+1xが与えられていれば,積が与えられていなくても式の値が求められることになります.
【例】
x2+1x2=(x+1x)22
x3+1x3=(x2+1x2)(x+1x)(x+1x)
={(x+1x)22}(x+1x)(x+1x)
x4+1x4=(x3+1x3)(x+1x)(x2+1x2)
=
 一般に,正の整数n以下のすべての自然数について,
Pn(x)=xn+1xnP1(x)=x+1x の多項式で表されるならば, Pn+1(x)=xn+1+1xn+1P1(x)=x+1xの多項式で表される.(数学的帰納法で示せます.)
Pn+1(x)=xn+1+1xn+1
=(xn+1xn)(x+1x)(xn1+1xn1)
=PnP1Pn1
ここで,Pn,P1,Pn1 は各々P1(x) の多項式だから,それらの積の差はP1(x)の多項式だと言える.

【問題4】 次の各問いに答えてください.(選択肢の中から正しいものを1つクリック)
(1)
x+1x=4のとき, x2+1x2の値を求めてください.
(2)
x+1x=6 のとき, x4+1x4 の値を求めてください.

(3)
x23x+1=0 の1つの解をαとするとき,α3+1α3の値を求めてください.
(4)
x1x=1 のとき,x31x3の値を求めてください.
2 4 6 8

【2022年共通テスト問題.数学ⅠA】第1問(引用)
[1]
 実数a, b, c
a+b+c=1・・・①
および
a2+b2+c2=13・・・②
を満たしているとする。
(1) (a+b+c)2を展開した式において,①と②を用いると
ab+bc+ca=アイ
であることがわかる。よって
(a−b)2+(b−c)2+(c−a)2=ウエ
である。
(2) ab=25の場合に,(a−b)(b−c)(c−a)の値を求めてみよう。
b−c=x, c−a=yとおくと
x+y=オカ5
である。また,(1)の計算から
x2+y2=キク
が成り立つ。
 これらより
(a−b)(b−c)(c−a)=5
である。

(1)≪解説を見る≫

(2)≪解説を見る≫

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