○1
sinnx dx=In (n≧0) とおくとき, In= In−2 (n≧2) が成り立つ. I0= dx=x= I1=sin x dx=−cos x= 1 だから,上記の漸化式を用いると ア) nが偶数のとき In= · イ) nが奇数のとき In=
(参考)
wxMaxima(インストール方法,使用例)を使って,これらの結果を確かめると次のようになる. ○ を求めるには
入力:integrate(sin(x)^2, x, 0, %pi/2); (Shift+Enter)
結果: ○ を求めるには
入力:integrate(sin(x)^3, x, 0, %pi/2); (Shift+Enter)
結果: ○ を求めるには
入力:integrate(sin(x)^4, x, 0, %pi/2); (Shift+Enter)
結果: ○ を求めるには
入力:integrate(sin(x)^5, x, 0, %pi/2); (Shift+Enter)
……結果: ○ を求めるには
入力:integrate(sin(x)^10, x, 0, %pi/2); (Shift+Enter)
結果: |
(証明) 不定積分の漸化式の項において sinnx dx=In (n= 2, 3, 4, ···)とおくと In= − +In−2 となっているが,これを用いて区間0≦x≦の定積分を考えると,
sin0=0 , cos=0
になるので,sinnx dx= − + sinn−2x dx =(−)−(−)+sinn−2x dx =0 + sinn−2x dx= sinn−2x dx すなわち,In= In−2 が成り立つ. |
○2
cosnx dx=In (n≧0) とおくとき, In= In−2 (n≧2) が成り立つ. I0= dx=x= I1=cos x dx=sin x= 1 だから,上記の漸化式を用いると ア) nが偶数のとき In= · イ) nが奇数のとき In=
(参考)
wxMaxima を使って,これらの結果を確かめると次のようになる. ○ を求めるには
入力:integrate(cos(x)^2, x, 0, %pi/2); (Shift+Enter)
結果: ○ を求めるには
入力:integrate(cos(x)^3, x, 0, %pi/2); (Shift+Enter)
結果: ○ を求めるには
入力:integrate(cos(x)^4, x, 0, %pi/2); (Shift+Enter)
結果: ○ を求めるには
入力:integrate(cos(x)^5, x, 0, %pi/2); (Shift+Enter)
……結果: ○ を求めるには
入力:integrate(cos(x)^10, x, 0, %pi/2); (Shift+Enter)
結果: |
(証明) 不定積分の漸化式の項において cosnx dx=In (n= 2, 3, 4, ···)とおくと In= +In−2 となっているが,これを用いて区間0≦x≦の定積分を考えると,
sin0=0 , cos=0
になるので,cosnx dx= + cosn−2x dx =( )−( )+ cosn−2x dx =0 + cosn−2x dx= cosn−2x dx すなわち,In= In−2 が成り立つ. |
○3
tannx dx=In (n≧0) とおくとき, In= −In−2 (n≧2) が成り立つ. (順に次のように求められる) I0= dx=x= I1=tan x dx=−log|cos x|= log2
I2=1−I0=1−
I3= −log2
(参考)
wxMaxima を使って,これらの結果を確かめると次のようになる. ○ を求めるには
入力:integrate(tan(x)^2, x, 0, %pi/2); (Shift+Enter)
結果: ○ を求めるには
入力:integrate(tan(x)^3, x, 0, %pi/2); (Shift+Enter)
結果: ○ を求めるには
入力:integrate(tan(x)^4, x, 0, %pi/2); (Shift+Enter)
結果: ○ を求めるには
入力:integrate(tan(x)^5, x, 0, %pi/2); (Shift+Enter)
……結果: ○ を求めるには
入力:integrate(tan(x)^10, x, 0, %pi/2); (Shift+Enter)
結果: |
(証明) 不定積分の漸化式の項において tannx dx=In (n= 0, 1, 2, ···)とおくと In= −In−2 (n= 2, 3, 4, ···) となっているが,これを用いて区間0≦x≦の定積分を考えると,
tan0=0 , tan=1
になるので,tannx dx= − tann−2x dx = −In−2 |
○4
(log x)n dx=In (n≧0) とおくとき, In= e−nIn−1 (n≧1) が成り立つ. (順に次のように求められる) I0= dx=x= e−1 I1=e−I0=e−(e−1)=1
I2=e−2I1=e−2
I3=e−3I2=e−3(e−2)=−2e+6
(参考)
wxMaxima を使って,これらの結果を確かめると次のようになる. ○ を求めるには
入力:integrate(log(x)^2, x, 1, %e); (Shift+Enter)
結果: (wxMaxima上では自然対数の底を %e という記号で表す) ○ を求めるには
入力:integrate(log(x)^3, x, 1, %e); (Shift+Enter)
結果: ○ を求めるには
入力:integrate(log(x)^4, x, 1, %e); (Shift+Enter)
結果: ○ を求めるには
入力:integrate(log(x)^5, x, 1, %e); (Shift+Enter)
……結果: ○ を求めるには
入力:integrate(log(x)^10, x, 1, %e); (Shift+Enter)
結果: |
(証明) 不定積分の漸化式の項において (log x)ndx=In (n=0,1,2, ···)とおくと In= x(log x)n−nIn−1 (n= 1, 2, 3, ···) となっているが,これを用いて区間1≦x≦eの定積分を考えると,
1(log1)=0 , e log e=e
になるので,(log x)n dx= x(log x)n−n (log x)n−1 dx = e−nIn−1 |
○5
xm(1−x)n dx=In (n≧0) とおくとき, In= In−1 (n≧1) が成り立つ. (順に次のように求められる) I0=xm dx= xm+1 = I1= I0= In= In−1= =
(参考)
wxMaxima では,m,nが文字のままでは計算できないので,m,nに具体的な数値を使って計算する. ○例えば, を求めるには
入力:integrate(x^3*(1-x)^4, x, 0, 1); (Shift+Enter)
○漸化式ではなく,次の表で示したような定積分の値そのものが出力される.(茶色で示したものが上記の結果)結果:
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(証明) In= xm(1−x)n dxと見る
fg’ dx=fg−f’g dx
xm(1−x)n dx
(m+1)In= n(In−1−In )= (1−x)nxm+1 + n(1−x)n−1xm+1 dx = (1−x)n−1xm+1 dx = (1−x)n−1{ xm−xm(1−x) } dx = { (1−x)n−1xm−(1−x)nxm } dx In= (In−1−In ) (m+n+1)In= nIn−1 In= In−1 |
(他の例)
(6)
(解説)とおくと ・・・(6.1) ・・・(6.2) (6.1)← 次のようにf(x), g(x)をおいて,部分積分 f(x)g’(x) dx=f(x)g(x)−f’(x)g(x) dx (6.2)← 次のようにf(x), g(x)をおいて,部分積分 f(x)g’(x) dx=f(x)g(x)−f’(x)g(x) dx 実際に使う場合には,(6.1)(6.2)の左辺を右辺に変形できるのは,m, n=1, 2, 3, ...のときですが,そのときの右辺には,m, n=0 の場合が登場します. 結局,m=0 または n=0 が登場するまでは変形できるが,m=0 または n=0 が登場したら,もう漸化式は使えないということです.
は,(6.1)の漸化式を適用して,「mを1減,nを1増」させる変形を行うと,赤色で示した値をたどって,に至る.
このは,漸化式を使った変形をそれ以上行えないが,積分の値を直接計算できる.
(6.2)の漸化式を適用して,「mを1増,nを1減」させる変形を行うと,青色で示した値をたどって,に至る.
このも,積分の値を直接計算できる.
※一般に,上記の形で定義されたは,次の式にまとめられます. |
《広義積分》
(#1) 定積分の下端や上端の値が有限で,端の点で関数の値が(正負の)無限になる場合
例えば,は,次の定積分の下端において無限大になるが,右辺の極限値が定まる場合には,その極限値をもって定積分の値とする.
(#2) 定積分の下端または上端が有限でない場合
例えば,次の定積分の上端は無限大であるが,右辺の極限値が定まる場合には,その極限値をもって定積分の値とする.
(7)
(解説)とおくと この積分は,上記の広義積分の解説において,(#1)の場合になっています.(のとき,) 次のようにf(x), g(x)をおいて,部分積分 f(x)g’(x) dx=f(x)g(x)−f’(x)g(x) dx とおくと これは,∞/∞の場合のロピタルの定理により ゆえに ・・・(*1) のときとおくと だから ・・・(*2) ところで, |
(8)
(解説)とおくと この積分は,上記の広義積分の解説において,(#2)の場合になっています. 次のようにf(x), g(x)をおいて,部分積分 f(x)g’(x) dx=f(x)g(x)−f’(x)g(x) dx は,∞/∞の場合のロピタルの定理により この変形を繰り返すと ・・・(*3) 上記の(*3)により,第1項は0になるから この変形を繰り返すと
《よく登場する極限》
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○1 指数関数は,どんなn次式に対してもの極限において,の争いで勝てる ○2 対数関数は,どんなn次式に対してもの極限において,の争いで負ける ○3 対数関数のの極限にある穴は,1枚に対しての争いで負ける が束になってかかっても,負ける もちろん,が束になっている場合は,当然負ける |
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