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※高校数学Ⅲの「定積分」について,このサイトには次の教材があります.
この頁へGoogleやYAHOO ! などの検索から直接来てしまったので「前提となっている内容が分からない」という場合や「この頁は分かったがもっと応用問題を見たい」という場合は,他の頁を見てください.  が現在地です.
定積分の基本
定積分の置換積分
同(2)
定積分の部分積分
無理関数の定積分
三角関数の定積分
三角関数(絶対値付き)の定積分
limΣと定積分(区分求積法)
同(2)入試問題
閉曲線で囲まれた図形の面積
同(2)媒介変数
同(3)
定積分の漸化式-現在地
体積,表面積
曲線の長さ
定積分で定義される関数
応用問題

== 定積分の漸化式 ==
※ 不定積分の漸化式の項を先に読むこと
○1

 π20www sinnx dx=In (n0) とおくとき,

In= .n−1nnnnIn−2 (n2)

が成り立つ.


I0=π20www dx=[nx= .π2n

I1=π20wwwsin x dx=[ncos x= 1

だから,上記の漸化式を用いると
ア) nが偶数のとき

In= .(n−1)(n−3)(n−5)···3·1n(n−2)(n−4)···4·2nnnnnnnnnnnnnnnnn · .π2n

イ) nが奇数のとき

In= .(n−1)(n−3)(n−5)···4·2n(n−2)(n−4)···3·1nnnnnnnnnnnnnnnnn

(参考)
wxMaxima(インストール方法使用例)を使って,これらの結果を確かめると次のようになる.

0π2sin2xdx を求めるには
入力:integrate(sin(x)^2, x, 0, %pi/2); (Shift+Enter)

結果:π4

0π2sin3xdx を求めるには
入力:integrate(sin(x)^3, x, 0, %pi/2); (Shift+Enter)

結果:23

0π2sin4xdx を求めるには
入力:integrate(sin(x)^4, x, 0, %pi/2); (Shift+Enter)

結果:3π16

0π2sin5xdx を求めるには
入力:integrate(sin(x)^5, x, 0, %pi/2); (Shift+Enter)

結果:815
……

0π2sin10xdx を求めるには
入力:integrate(sin(x)^10, x, 0, %pi/2); (Shift+Enter)

結果:63π512
(証明)
 不定積分の漸化式の項において

 wnsinnx dx=In (n= 2, 3, 4, ···)とおくと

In= − .sinn−1x_cosxnnnnnnnnnnn+.n−1nnnnIn−2

となっているが,これを用いて区間0x.π2nの定積分を考えると,
sin0=0 , cos.π2n=0
になるので,

π20www sinnx dx= [n.sinn−1x_cosxnnnnnnnnnnn+.n−1nnnnπ20www sinn−2x dx

=(−.sinn−1.π2ncos.π2nnnnnnnnnnnnn)−(−.sinn−10cos0nnnnnnnnnn)+.n−1nnnnπ20wwwsinn−2x dx

=0 +.n−1nnnnπ20www sinn−2x dx= .n−1nnnnπ20www sinn−2x dx


すなわち,In= .n−1nnnnIn−2

が成り立つ.

○2

 π20www cosnx dx=In (n0) とおくとき,

In= .n−1nnnnIn−2 (n2)

が成り立つ.


I0=π20www dx=[nx= .π2n

I1=π20wwwcos x dx=[nsin x= 1

だから,上記の漸化式を用いると
ア) nが偶数のとき

In= .(n−1)(n−3)(n−5)···3·1n(n−2)(n−4)···4·2nnnnnnnnnnnnnnnnn · .π2n

イ) nが奇数のとき

In= .(n−1)(n−3)(n−5)···4·2n(n−2)(n−4)···3·1nnnnnnnnnnnnnnnnn

(参考)
wxMaxima を使って,これらの結果を確かめると次のようになる.

0π2cos2xdx を求めるには
入力:integrate(cos(x)^2, x, 0, %pi/2); (Shift+Enter)

結果:π4

0π2cos3xdx を求めるには
入力:integrate(cos(x)^3, x, 0, %pi/2); (Shift+Enter)

結果:23

0π2cos4xdx を求めるには
入力:integrate(cos(x)^4, x, 0, %pi/2); (Shift+Enter)

結果:3π16

0π2cos5xdx を求めるには
入力:integrate(cos(x)^5, x, 0, %pi/2); (Shift+Enter)

結果:815
……

0π2cos10xdx を求めるには
入力:integrate(cos(x)^10, x, 0, %pi/2); (Shift+Enter)

結果:63π512
(証明)
 不定積分の漸化式の項において

 wncosnx dx=In (n= 2, 3, 4, ···)とおくと

In= .cosn−1x_sinxnnnnnnnnnnn+.n−1nnnnIn−2

となっているが,これを用いて区間0x.π2nの定積分を考えると,
sin0=0 , cos.π2n=0
になるので,

π20www cosnx dx= [n.cosn−1x_sinxnnnnnnnnnnn+.n−1nnnnπ20www cosn−2x dx

=( .cosn−1.π2nsin.π2nnnnnnnnnnnn)−( .cosn−10sin0nnnnnnnnnnn)+.n−1nnnnπ20www cosn−2x dx

=0 +.n−1nnnnπ20www cosn−2x dx= .n−1nnnnπ20www cosn−2x dx


すなわち,In= .n−1nnnnIn−2

が成り立つ.

○3

 π40www tannx dx=In (n0) とおくとき,

In= .1n−1nnn−In−2 (n2)

が成り立つ.

(順に次のように求められる)

I0=π40www dx=[nx= .π4n

I1=π40wwwtan x dx=[nlog|cos x|= .12nlog2

I2=1−I0=1− .π4n
I3= .12n.12nlog2

(参考)
wxMaxima を使って,これらの結果を確かめると次のようになる.

0π2tan2xdx を求めるには
入力:integrate(tan(x)^2, x, 0, %pi/2); (Shift+Enter)

結果:1π4

0π2tan3xdx を求めるには
入力:integrate(tan(x)^3, x, 0, %pi/2); (Shift+Enter)

結果:12log22

0π2tan4xdx を求めるには
入力:integrate(tan(x)^4, x, 0, %pi/2); (Shift+Enter)

結果:π423

0π2tan5xdx を求めるには
入力:integrate(tan(x)^5, x, 0, %pi/2); (Shift+Enter)

結果:log2214
……

0π2tan10xdx を求めるには
入力:integrate(tan(x)^10, x, 0, %pi/2); (Shift+Enter)

結果:263315π4
(証明)
 不定積分の漸化式の項において

 wntannx dx=In (n= 0, 1, 2, ···)とおくと

In= .tann−1xn−1nnnnnn−In−2 (n= 2, 3, 4, ···)

となっているが,これを用いて区間0x.π4nの定積分を考えると,
tan0=0 , tan.π4n=1
になるので,

π40www tannx dx= [n.tann−1xn−1nnnnnnπ40www tann−2x dx

= .1n−1nnn−In−2



○4

 e1www (log x)n dx=In (n0) とおくとき,

In= e−nIn−1 (n1)


が成り立つ.

(順に次のように求められる)

I0=e1www dx=[nx= e−1

I1=e−I0=e−(e−1)=1

I2=e−2I1=e−2
I3=e−3I2=e−3(e−2)=−2e+6

(参考)
wxMaxima を使って,これらの結果を確かめると次のようになる.

1e(logx)2dx を求めるには
入力:integrate(log(x)^2, x, 1, %e); (Shift+Enter)

結果:%e2
(wxMaxima上では自然対数の底を %e という記号で表す)

1e(logx)3dx を求めるには
入力:integrate(log(x)^3, x, 1, %e); (Shift+Enter)

結果:62%e

1e(logx)4dx を求めるには
入力:integrate(log(x)^4, x, 1, %e); (Shift+Enter)

結果:9%e24

1e(logx)5dx を求めるには
入力:integrate(log(x)^5, x, 1, %e); (Shift+Enter)

結果:12044%e
……

1e(logx)10dx を求めるには
入力:integrate(log(x)^10, x, 1, %e); (Shift+Enter)

結果:1334961%e3628800
(証明)
 不定積分の漸化式の項において

wn (log x)ndx=In (n=0,1,2, ···)とおくと

In= x(log x)n−nIn−1 (n= 1, 2, 3, ···)
となっているが,これを用いて区間1xeの定積分を考えると,
1(log1)=0 , e log e=e
になるので,

e1www (log x)n dx= [nx(log x)n−ne1www (log x)n−1 dx

= e−nIn−1

○5

 10www xm(1−x)n dx=In (n0) とおくとき,

In= .nm+n+1nnnnnnnIn−1 (n1)

が成り立つ.

(順に次のように求められる)

I0=10wwwxm dx=[n .1m+1nnnnxm+1 = .1m+1nnnn

I1= .1m+2nnnnI0=.1(m+2)(m+1)nnnnnnnnnn

In= .nm+n+1nnnnnnIn−1= .n(n−1)(n−2)···1(m+n+1)(m+n)(m+n−1)···(m+1)nnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnn

= .m!_n!(m+n+1)!nnnnnnnn


(参考)
wxMaxima では,m,nが文字のままでは計算できないので,m,nに具体的な数値を使って計算する.
○例えば,

01x3(1x)4dx を求めるには
入力:integrate(x^3*(1-x)^4, x, 0, 1); (Shift+Enter)

結果:1280
○漸化式ではなく,次の表で示したような定積分の値そのものが出力される.(茶色で示したものが上記の結果)
mの値 nの値01234
0 1 12 13 14 15
1 12 16 112 120 130
2 13 112 130 160 1105
3 14 120 160 1140 1280
4 15 130 1105 1280 1630
(証明)

 In=10www xm(1−x)n dxと見る
f=(1−x)n f’=n(1−x)n−1(−1)
g=.1m+1nnnnxm+1 g’=xm
部分積分法の公式

wnfg’ dx=fg−wnf’g dx
を適用すると
10www xm(1−x)n dx

=[n (1−x)n.1m+1nnnxm+1 +10www n(1−x)n−1.1m+1nnnxm+1 dx

= .nm+1nnnn10www (1−x)n−1xm+1 dx

= .nm+1nnnn10www (1−x)n−1{ xm−xm(1−x) } dx

= .nm+1nnnn10www{ (1−x)n−1xm−(1−x)nxm } dx

In= .nm+1nnnn(In−1−In )
(m+1)In= n(In−1−In )
(m+n+1)In= nIn−1

In= .nm+n+1nnnnnnnIn−1

(他の例)
(6)
Im,n=ab(xa)m(bx)ndx(m,n=1,2,3,...)
とおくと
Im,n=mn+1Im1,n+1・・・(6.1)
Im,n=nm+1Im+1,n1・・・(6.2)
(解説)
(6.1)←
次のようにf(x), g(x)をおいて,部分積分

bawwwf(x)g’(x) dx=[nf(x)g(x)bawwwf’(x)g(x) dx
を行う
f(x)=(xa)m f(x)=m(xa)m1
g(x)=(bx)n+1n+1 g(x)=(bx)n
Im,n=ab(xa)m(bx)ndx
=[(xa)m(bx)n+1n+1]ab+abmn+1(xa)m1(bx)n+1dx
=mn+1Im1,n+1
(6.2)←
次のようにf(x), g(x)をおいて,部分積分

bawwwf(x)g’(x) dx=[nf(x)g(x)bawwwf’(x)g(x) dx
を行う
f(x)=(xa)m+1m+1 f(x)=(xa)m
g(x)=(bx)n g(x)=n(bx)n1
Im,n=ab(xa)m(bx)ndx
=[(xa)m+1(bx)nm+1]ab+abnm+1(xa)m+1(bx)n1dx
=nm+1Im+1,n1
 実際に使う場合には,(6.1)(6.2)の左辺を右辺に変形できるのは,m, n=1, 2, 3, ...のときですが,そのときの右辺には,m, n=0 の場合が登場します.
 結局,m=0 または n=0 が登場するまでは変形できるが,m=0 または n=0 が登場したら,もう漸化式は使えないということです.
m n01234567
0






I0,7
1





I1,6
2




I2,5
3



I3,4

4


I4,3


5

I5,2



6
I6,1




7I7,0





 例えば,上の表の
I4,3=ab(xa)4(bx)3dx
は,(6.1)の漸化式を適用して,「mを1減,nを1増」させる変形を行うと,赤色で示した値をたどって,I0,7に至る.
このI0,7は,漸化式を使った変形をそれ以上行えないが,積分の値を直接計算できる.
I0,7=ab(xa)0(bx)7dx=ab(bx)7dx
=[(bx)88]ab=(ba)88
I4,3=44I3,4
I3,4=35I2,5
I2,5=26I1,6
I1,6=17I0,7
I0,7=(ba)88
I4,3=44×35×26×17×(ba)88=4!3!8!(ba)8
(6.2)の漸化式を適用して,「mを1増,nを1減」させる変形を行うと,青色で示した値をたどって,I7,0に至る.
このI7,0も,積分の値を直接計算できる.
I7,0=ab(xa)7(bx)0dx=ab(xa)7dx
=[(xa)88]ab=(ba)88
I4,3=35I5,2
I5,2=26I6,1
I6,1=17I7,0
I7,0=(ba)88
I4,3=35×26×17×(ba)88=4!3!8!(ba)8
※一般に,上記の形で定義された
Im,n=ab(xa)m(bx)ndx(m,n=1,2,3,...)
は,次の式にまとめられます.
Im,n=m!n!(m+n+1)!(ba)m+n+1

《広義積分》
(#1) 定積分の下端や上端の値が有限で,端の点で関数の値が(正負の)無限になる場合

 例えば,y=1xは,次の定積分の下端において無限大になるが,右辺の極限値が定まる場合には,その極限値をもって定積分の値とする.
011xdx=lima+0a11xdx=2
(#2) 定積分の下端または上端が有限でない場合

例えば,次の定積分の上端は無限大であるが,右辺の極限値が定まる場合には,その極限値をもって定積分の値とする.
0exdx=limb0bexdx=limb[ex]0b
=limb(eb+1)=1
(7)
Im,n=01xm(logx)ndx(m>1)
とおくと
Im,n=nm+1Im,n1
(解説)
 この積分は,上記の広義積分の解説において,(#1)の場合になっています.(x+0のとき,logx
次のようにf(x), g(x)をおいて,部分積分

bawwwf(x)g’(x) dx=[nf(x)g(x)bawwwf’(x)g(x) dx
を行う
f(x)=(logx)n f(x)=n(logx)n11x
g(x)=xm+1m+1 g(x)=xm
Im,n=01xm(logx)ndx
=[xm+1(logx)nm+1]0101nm+1xm(logx)n1dx
limx+0xαlogx(α>0)
とおくと
=limx+0logxxα
これは,∞/∞の場合のロピタルの定理により
=limx+01αxα=limx+0xαα=0
ゆえに
limx+0xαlogx=0・・・(*1)
m,n>0のときt=xmnlogxとおくと
x+0,t+0,tn+0
だから
limx+0xm(logx)n=0・・・(*2)

ところで,
[xm+1(logx)nm+1]01
=0limx+0xm+1(logx)nm+1=0
Im,n=nm+1Im,n1

(8)
In=0xnexdx(n=1,2,3,...)
とおくとIn=nIn1
(解説)
 この積分は,上記の広義積分の解説において,(#2)の場合になっています.
次のようにf(x), g(x)をおいて,部分積分

bawwwf(x)g’(x) dx=[nf(x)g(x)bawwwf’(x)g(x) dx
を行う
f(x)=xn f(x)=nxn1
g(x)=ex g(x)=ex
In=0xnexdx=[xnex]0+n0xn1exdx
limxxnex
は,∞/∞の場合のロピタルの定理により
=limxnxn1ex
この変形を繰り返すと
=limxn!ex=0・・・(*3)
ところで
[xnex]0=limxxnex0
上記の(*3)により,第1項は0になるから
[xnex]0=0
In=nIn1
この変形を繰り返すと
In=n!
《よく登場する極限》
○1 指数関数exは,どんなn次式に対してもxの極限において,の争いで勝てる
limxxnex=0
○2 対数関数logxは,どんなn次式に対してもxの極限において,の争いで負ける
limxlogxxn=0
○3 対数関数logxx+0の極限にある穴は,x1枚に対して0×()の争いで負ける
limx+0(x×logx)=0
logxが束になってかかっても,負ける
limx+0{x×(logx)n}=0
もちろん,xが束になっている場合は,当然負ける
limx+0{xm×(logx)n}=0
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