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■ a>b>0 のとき,方程式
このとき,焦点は y 軸上にあり,焦点の座標は
+=1 …(1) で表わされる曲線は,図1のような楕円になる. ○ この曲線は「2定点 F( , 0) , F’(− , 0) からの距離の和が一定 2a である点の軌跡」となっている. ○ 2点 F( , 0) , F’(− , 0) を楕円の焦点という. ○ 点 A(a , 0) , A’(−a, 0) , B(0 , b) , B’(0, −b) を頂点という. ○ 線分 AA’ を長軸,線分 BB’ を短軸という.(※円で言えば半径ではなく直径に相等するものが,長軸・短軸なので,(1)の楕円の長軸の長さは 2a,短軸の長さは 2b となる.) ○ 長軸と短軸の交点を中心という.(1)の楕円の中心は原点 O( 0 , 0 ) にある. ■ b>a>0 のときは,図2のような楕円になる. F(0 , ) , F’(0 , − ) また,長軸は y軸上にあり,その長さは 2b ,短軸は x 軸上にあり,その長さは 2a となる. |
○ 以下の考え方において,三平方の定理(ピタゴラスの定理)を用いて「 a , b から c を求める」「 a , c から b を求める」計算がつねに登場し,この図が鍵となる.(図の意味は,■2で述べる.)
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《基本事項のチェック》 +=1 は,図3のような形の楕円で, 焦点の座標は F(4 , 0) , F’(−4 , 0), 長軸の長さは 10,短軸の長さは 6 頂点の座標は (5 , 0) , (−5 , 0) , (0 , 3) , (0 ,−3), 中心の座標は (0 , 0) である. 楕円上の任意の1点を P とするとき,FP+F’P=10 となる. |
※理論を理解するよりも,「公式のあてはめ」の方が具体的に取りかかりやすいので,ここでは先に「公式のあてはめ」を練習し,その後で理論の理解に進むことにします.
問題
+=1
と変形すると,a=2 , b=1 だから,= a>b だから(横長になり)焦点は x 軸上にあり,(± ,0 ) 長軸の長さは 2a=4,短軸の長さは 2b=2 |
■2 焦点の働きと軌跡 楕円は「2定点からの距離の和が一定の動点の軌跡」であるので,押しピンに糸を結んで板に固定し,糸がたるまないように気をつけながら鉛筆を動かすと楕円ができる. ◎簡単にできる.自分でやってみると意外に感動するかも.
補足:右図4は基本が分かるやり方であるが,鉛筆が長軸に来たら,糸が巻き付かないように鉛筆を持ち換える必要がある. 基本が分かったら,図4-2のように2焦点を結ぶ線分の長さを足して三角形にすると,糸が巻き付かずに鉛筆を滑らかに1周することができる.なぜこれでできるのか,やってみたら分かる. 手元に押しピンがないときは,セロハンテープで F , F’ を固定しても,感じはつかめる. FP+F’P=2a ←→ +=2a ←→ =2a− 両辺を2乗する → (x−c)2+y2=4a2−4a+(x+c)2+y2 ←→ - 4cx=4a2−4a ←→ a=a2+cx 両辺を2乗する → a2{ (x+c)2+y2}=a4+2a2cx+c2x2 ←→ a2x2+2a2cx+a2c2+a2y2=a4+2a2cx+c2x2 ←→ a2x2+a2c2+a2y2=a4+c2x2 ←→ (a2−c2)x2+a2y2=a4−a2c2 ←→ +=1 ここで,図のように直角三角形を描くと,糸の長さが 2a だから,直角三角形の斜辺は a. そこで,b2=a2−c2 とおくと,三平方の定理(ピタゴラスの定理)により,b は図の長さになる. |
上記の変形において,→の部分は同値関係が崩れている(必要条件だけとなっている)が,これは2乗したためで,変形前の右辺が正であると言えれば,十分条件も成り立つ. 図より,2a>F’P だから初めの→は←も成り立つ. 図より,|c| , |x|≦a だから,2つ目の→は←も成り立つ. 《要約》
F(c , 0) , F’(−c , 0)から距離の和が 2a である点 P(x , y) の軌跡の方程式は +=1 (ここに,b2=a2−c2 ) |
■3 円から楕円を作るには ア) 外側の大きな円 X2+Y2=a2 を縦(y)方向に 倍に縮小すると楕円になる. X2+Y2=a2 , y=Y , x=X → x2+(y)2=a2 → +=1 イ) 内側の小さな円 u2+v2=b2 を横(x)方向に 倍に拡大すると楕円になる. u2+v2=b2 , x=u , y=v → (x)2+y2=b2 → +=1 |
■4 自然界にある楕円 円柱や円錐を斜めに切ると楕円ができる.真横に切ったときは円になる.(円錐は,切り方によっては,「楕円」「放物線」「双曲線」になる.) 太陽系の惑星は,太陽を1つの焦点とする楕円軌道を描いている.(地球の場合, a : b の値は,実際にはもっと1に近い) もう一つの焦点には,何もない. 【面積速度一定の法則】(ケプラーの第2法則) 惑星が太陽のまわりを回るとき,太陽に近いところでは速く回り,太陽から遠いところではゆっくり回るので,一定時間(例えば1日とか1時間)に描く扇形(図の黄色の図形)の面積はつねに一定になる. 楕円の1つの焦点から出た光が楕円の周上で反射されたとき,もう一つの焦点に集まる.したがって,1つの焦点にろうそくなどの光源があれば,他方の焦点に置かれた物体は「焦げる」・・・焦げる点:焦点 (ただし,これは平面における楕円を長軸のまわりに回転した楕円体についての話である.) |
問題
(1)
+=1 ここでは上の《要約》の結果を利用する. c=2 , a=3 だから b2=a2−c2=5 +=1
(2)
2定点 (0 , 3) , ( 0 ,−3) からの距離の和が 10 となる点の軌跡の方程式を求めなさい. +=1 +=1 |
■5 原点と異なる点に中心がある楕円 +=1 …(2) は,楕円 +=1 …(1) を x 軸の正の向きに p,y 軸の正の向きに q だけ平行移動した楕円になる. ○ 長軸の長さは 2a,短軸の長さは 2b ○ 焦点の座標 は F(+p , q) , F’(−+p , q) 【解説】 (1)の楕円上の点を (X , Y ) とおくと, +=1 …(A) x=X+p …(B) y=Y+q …(C) が成り立つ. (B)(C)より,X=x−p , Y=y−q を(A)に代入すると, +=1 …(2) となる. |
x 軸の正の向きに p,y 軸の正の向きに q だけ平行移動しているときに, +=1 になるので,見かけの符号と逆になる点に注意. +=1 ならば,x 軸の負の向きに p,y 軸の負の向きに q だけ平行移動したものとなる. これは,x=X+p , y=Y+q ←→ X=x−p , Y=y−q の関係による. +=1 のように移動前後の座標を重ねてみると,移動前の座標 X , Y についての関係式が浮かび上がる.このとき,移動前の座標は X=x−p , Y=y−q のように引き算で表わされている. |
例題
x2+4y2−4x+8y+4=0 の概形を描き,長軸の長さ,短軸の長さ,焦点の座標を求めよ. 答案 x2−4x+4+4y2+8y+4=4 (x−2)2+4(y+1)2=4 +(y+1)2=1 と変形する. a=2 , b=1 → 2a=4 , 2b=2 p=2 , q=−1 元の焦点は ( , 0) , (− , 0) だから,これを x 方向に 2 , y 方向に −1 だけ平行移動して,(2+ ,−1) , ( 2− ,−1) 概形は |
問題
(1)
楕円 +=1 を x 軸方向に −4,y 軸方向に 3 だけ 平行移動してできる曲線の方程式,焦点の座標を求めよ. 4(x2+4x+4)+9(y2−2y+1)=36 4(x+2)2+9(y−1)2=36 +=1 と変形する. a=3 , b=2 → 2a=6 , 2b=4 , c= F(− , 0) , F ’( , 0) を x 軸方向に −2,y 軸方向に 1 だけ平行移動すると,(−2− , 1) , (−2+ , 1) 概形は - 3≦x≦3 ,−2≦y≦2 を平行移動して, - 5≦x≦1 ,−1≦y≦3 の長方形に入るように描く. |
■[個別の頁からの質問に対する回答][楕円の方程式について/17.7.8]
すでに大学を出て○○年なのですが、計算をする必要があって復習のために使わせてもらいました。
計算力が劣化しているのに愕然としました。
自分で計算しないと、わかっているかどうかわからないので、練習問題が役に立ちました。
=>[作者]:連絡ありがとう. |
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