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== 極方程式2 ==
【極方程式とは】
 極座標(r, θ)を使って,曲線のグラフを
r=f(θ)
θ=g(r)
F(r, θ)=0
などの形で表したものを極方程式といいます.

【例1】
アルキメデスの渦巻線(アルキメデスの螺旋)
r=aθa>0, θ≧0
(次のグラフは,a=1の場合,すなわちr=θのグラフです.)

(曲線の特徴)
 この曲線は,θ≧0となるθの値に対して無限に成長していきます.特に,一周すると(θ=+2π)以前の周回のときとは異なる点を通りますので,θ=0, θ=2π, θ=4π, ...はそれぞれ異なる点となり,渦巻きのように成長します.
(手書きで概形[だいたいの形]を描く方法)
(1) 主な点の(r, θ)座標を計算して,点を描きます.
θ=0のときr=0
θ=.π2nのときr=.π2n
θ=πのときr=π
θ=.2nnのときr=.2nn
θ=2πのときr=2π
(2) なるべく滑らかに点を結びます.(θ=.π6n, .π4n, .π3nなどと細かく分ければ,さらに滑らかに描けます.)
(Excelを使って,コンピュータでこのグラフを描く方法)

※ コンピュータでグラフを描くときの考え方のポイント
○ コンピュータの画面上では,無限に細かく点や線が描けるのではなく,それぞれの画面の解像度に応じて描ける点の数は決まっています.(横1600×縦900など)
 したがって,画面上に数学的に厳密に正確な曲線を描くことは,もともとできません.画面に描けるのは,点や折れ線です.
 そこで,例えば,θ=0からθ=3π=9.43...までの部分を描くとき,θの値として0.1ずつ増やして「折れ線をつなげば」十分正確な「曲線」が描けます.0から9.5までを0.1ずつ増やしていくには,96行のデータを用意すればよいことになります.(表題分が+1行あります)
○ Excelで用意されているグラフツールは(x, y)座標向けですので,極座標(r, θ)で求めた点を直交座標(x, y)に計算し直します.
○ *** ここがポイント ***
 数学的に厳密に正確な曲線の代わりに「折れ線」で代用するといっても,グラフツールのメニューで「折れ線」を選ぶのではなく「散布図」を選ぶことが重要です.・・・「折れ線グラフ」は,データとしてy座標だけ(1次元)が与えられたときに(xの増分が1ずつに決まっているときに)グラフを描くものです.これに対して,x座標もy座標も(2次元に)指定して点を打つときは「散布図」を選びます.
 散布図は上の左側の例のように(x,y)座標に応じた点を表示するものですが,オプションとしてテータポイントを線でつなぐことが選べるようになっています.(どの点からどの点に線を引くのかは,元のデータで並び方によります.元のデータで1番目になる点から2番目の点へ,2番目の点から3番目の点へ,...と線が引かれます.)
 このときに,「点」を目立たないように,「線」だけを生かしたいとき「データポイントを平滑線でつないだマーカーなしの散布図」を選びます.

A B C D
1 θ r x y
2 0 0 0 0
3 0.1 0.1 0.100 0.010
4 0.2 0.2 0.196 0.040
5 0.3 0.3 0.287 0.089
... ... ... ... ...
(1) 図のように,θ, r, x, yというタイトル[表題]を付けます.(なくてもグラフは描けますが,自分自身が間違わないようにするために,表題がある方がよい)
(2) セルA2θの初期値0を書き込み,A2からA97まで選択・反転表示させて,「編集メニュー」の「フィル→連続データの作成→増分値0.1」とすると,θの欄が埋まります.
(3) この例ではr=θのグラフを描きたいので,セルB2=A2と書きこみます.
(4) 直交座標に直す公式はx=r cosθ, y=r sinθなので,セルC2=B2*cos(A2),セルD2=B2*sin(A2)と書き込み,セルB2D2の3列を選択・反転表示させて,コピーし,セルB3からセルB97に貼り付けると,相対参照によりすべてのデータが準備できます.
(5) *** ここがポイント ***
 タイトル[表題]を除く(x,y)座標C2D97までを選択・反転表示させ,グラフツールを使って「散布図」の「データポイントを平滑線でつないだマーカーなしの散布図」を選びます.

【例2】
カージオイド(心臓形)
r=a(1+cosθ)a>0
(次のグラフは,a=1の場合,すなわちr=1+cosθのグラフです.)

(曲線の特徴)
 cos(θ+2nπ)=cosθなので,1周すれば元に戻り,同じ曲線上をたどります.したがって,0≦θ<2πの値に対してグラフを描けば全部描けます.
 また,cos(−θ)=cosθだから(右に回っても左に回ってもrが等しくなるので)グラフは上下対称になります.(cos(π−θ)=cos(π+θ)だから上下対称だと考えてもよい.)
(手書きで概形[だいたいの形]を描く方法)
(1) 主な点の(r, θ)座標を計算して,点を描きます.
θ=0のときr=2
θ=.π6nのときr=1+..3√ni2nn=1.87...
θ=.π4nのときr=1+..2√ni2nn=1.70...
θ=.π3nのときr=1+.12n=1.5
θ=.π2nのときr=1
θ=.3nnのときr=1−.12n=0.5
θ=.4nnのときr=1−..2√ni2nn=0.29...
θ=.6nnのときr=1−..3√ni2nn=0.13...
θ=πのときr=0
(2) なるべく滑らかに点を結び,π≦θ<2πについては上下対称に描きます.

(Excelを使って,コンピュータでこのグラフを描く方法)

【例1】と同様の考え方で,極座標(r, θ)で求めた点を直交座標(x, y)に計算し直し,「データポイントを平滑線でつないだマーカーなしの散布図」を選べばグラフが描けます.
(1) 0≦θ<2π=6.28...まで(0.1ずつ増加させるときは64個)の値を準備すればよい.
(2) r=1+cosθだから,セルB2=1+cos(A2)と記入し,これをコピーしてB65まで(式を)貼り付けるとよい.
(3) x=r cosθ, y=r sinθとすることは【例1】と同じ.

【例3】
レムニスケイト(連珠形,双眼形)
r2=2a2cosa>0, cos2θ≧0
⇔ r=a.2cos√nnnnnnia>0, cos2θ≧0
(次のグラフは,a=1の場合,すなわちr=.2cos√nnnnnniのグラフです.)

(曲線の特徴)
 cos2(−θ)=cosなので,上下対称です.
 また,cos2(.π2n−θ)=cos(π−2θ)=−cos
    cos2(.π2n+θ)=cos(π+2θ)=−cos
だから,cos2(.π2n−θ)=cos2(.π2n+θ)になり,左右対称です.
 したがって,0≦θ≦.π2nの値に対してグラフを描いて,上下左右対称に折り返すと全部描けます.
 この範囲のうちで,0≦θ≦.π4nのときは,cos2θ≧0となり関数は定義されますが,.π4n<θ<.π2nのときは,cos2θ<0となり関数は定義されません.
(手書きで概形[だいたいの形]を描く方法)
(1) 主な点の(r, θ)座標を計算して,点を描きます.
θ=0のときr=.2cos0√nnnnni=.2√ni≒1.41
θ=.π6nのときr=.2cos.π3n√nnnnni=1
θ=.π4nのときr=.2cos.π2n√nnnnni=0
(2) なるべく滑らかに点を結び,上下左右対称に折り返します.

(Excelを使って,コンピュータでこのグラフを描く方法)

【例1】と同様の考え方で,極座標(r, θ)で求めた点を直交座標(x, y)に計算し直し,「データポイントを平滑線でつないだマーカーなしの散布図」を選べばグラフが描けます.
(1) cos2θ≧0のときだけ,r=.2cos√nnnnnniだから,セルB2=IF(cos(2*A2)>=0, SQRT(2*cos(2*A2)))と記入し,これをコピーして(式を)貼り付けるとよい.
(3) x=r cosθ, y=r sinθとすることは【例1】と同じ.

※高校生が以下の結果を「覚える」必要はないでしょう.なんとなくパラパラと見ておいて,「作り方がわかる」,「だいたいの規則性がわかる」というくらいのことでよいと思います.
【例4】 正葉線(正葉曲線,バラ曲線)…日本では木の葉に見え,西洋ではバラの花びらに見えるということらしい.
(以下については,a=1の場合について,グラフの概形のみ示します.)
(1)r=a cosθa>0…1枚の葉:円になります.

(2)r=a cos(3θ)a>0…3枚の葉になります.

(3)r=a cos(5θ)a>0…5枚の葉になります.
⇒ 一般に,r=a cos(nθ)a>0, n奇数は,n枚の葉になります.

(4)r=a cos(2θ)a>0…4枚の葉になります.(2枚ではありません)

(5)r=a cos(4θ)a>0…8枚の葉になります.(4枚ではありません.)

(6)r=a cos(6θ)a>0…12枚の葉になります.
⇒ 一般に,r=a cos(nθ)a>0, n偶数は,2n枚の葉になります.
(1)r=a sinθa>0…1枚の葉:円になります.
a sinθ=a cos(.π2n−θ)=a cos(θ−.π2n)だから,左のグラフを+.π2nだけ回転したものになります.

(2)r=a sin(3θ)a>0…3枚の葉になります.
a sin(3θ)=a cos(.π2n−3θ)=a cos(3θ−.π2n)=a cos(3(θ−.π6n))だから,左のグラフを+.π6nだけ回転したものになります.

(3)r=a sin(5θ)a>0…5枚の葉になります.
a sin(5θ)=a cos(.π2n−5θ)=a cos(5θ−.π2n)=a cos(5(θ−.π10nn))だから,左のグラフを+.π10nnだけ回転したものになります.
⇒ 一般に,r=a sin(nθ)a>0, n奇数は,n枚の葉になります.

(4)r=a sin(2θ)a>0…4枚の葉になります.
a sin(2θ)=a cos(.π2n−2θ)=a cos(2θ−.π2n)=a cos(2(θ−.π4n))だから,左のグラフを+.π4nだけ回転したものになります.

(5)r=a sin(4θ)a>0…8枚の葉になります.
a sin(4θ)=a cos(.π2n−4θ)=a cos(4θ−.π2n)=a cos(4(θ−.π8n))だから,左のグラフを+.π8nだけ回転したものになります.

(6)r=a sin(6θ)a>0…12枚の葉になります.
a sin(6θ)=a cos(.π2n−6θ)=a cos(6θ−.π2n)=a cos(6(θ−.π12nn))だから,左のグラフを+.π12nnだけ回転したものになります.
⇒ 一般に,r=a sin(nθ)a>0, n偶数は,2n枚の葉になります.

【問題】次の極方程式に対応するグラフを下から選んでください.
はじめに極方程式を選び,続いてグラフを選んでください.
間違ったときは,極方程式を選び直してください.
○間違った後にHELPで表示されるのは方程式に対する解説です.






r=θ(θ≧0)



[注]直前にPC版から入られた場合は,自動転送でスマホ版に来ていますので,ブラウザの[戻るキー]では戻れません(堂々巡りになる).下記のリンクを使ってメニューに戻ってください.
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