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== 放物線 ==

■1  放物線の方程式の標準形
※ 放物線の方程式は,中学校と高校数学Iで2次関数のグラフとして習う.
    中学校3年 : y=ax2
    高校数学I : y=ax2+bx+c
※ 高校数学Iで習う放物線のグラフ

 以下においては,さらに詳しく焦点との関係などを扱い,主に軸が x 軸に平行な形のものを学ぶ.
 方程式
y2=4px …(1)

で表わされる曲線は,図1のような放物線になる.
図1
○ (1)を放物線の方程式の標準形という.
○ この曲線は「定点 F(p , 0) と定直線 x=−p からの距離が等しい点の軌跡」となっている.(解説は次の項目↓)
○ 点 F(p , 0) を放物線の焦点といい,直線 x=−p準線という.
○ 点 O(0 , 0) を放物線の頂点という.
○ (1)の放物線は x 軸に関して対称となっている. この対称軸を放物線のという.すなわち,軸の方程式は
y=0

 (1)において x , y の役割を入れ換えたもの
x2=4py
は,図2のような放物線になる.
図2
 このとき,焦点は y 軸上にあり,焦点の座標は
F(0 , p)
また,準線の方程式は y=−p ,軸の方程式は x=0頂点の座標は O(0 , 0) になる.
【要点1】横向きの場合
放物線y2=4px
焦点の座標はF(p,0)
準線の方程式はx=p
である.
 このとき,動点P(x,y)と焦点との距離
PF=(xp)2+y2
動点から準線に引いた垂線の長さ
PH=|x+p|
について
PF=PHが成り立つ
すなわち
(xp)2+y2=|x+p|
y2=4px
が成り立つ
【要点2】縦向きの場合
放物線x2=4py
焦点の座標はF(0,p)
準線の方程式はy=p
である.
 このとき,動点P(x,y)と焦点との距離
PF=x2+(yp)2
動点から準線に引いた垂線の長さ
PH=|y+p|
について
PF=PHが成り立つ
すなわち
x2+(yp)2=|y+p|
x2=4py
が成り立つ
《基本事項のチェック》

y2=8x は,図3のような形の放物線で,
図3
y2=4·2·x と変形すると,p=2 となるから,
焦点の座標は F(2 , 0)
準線の方程式は x=−2
頂点の座標は (0 , 0)
放物線上の任意の1点を P とするとき,FP = HP となる.
 問題 
 次の各方程式で表わされる放物線の概形を描き,焦点の座標,準線の方程式を求めよ.
(1)
y2=12x
焦点 ( , )
準線の方程式 x=
(2)
 y=x2
焦点 (.nn)

準線の方程式 y=−.nn
(3)
 y2=−4x
焦点 ()

準線の方程式 x=


採点する やり直す 解説
  


■2  焦点の働きと軌跡

 「定点と定直線からの距離が等しい動点の軌跡」は放物線になる.以下にこれを示す
 定点 F(p , 0) と定直線 x=−p からの距離が等しい点 P(x , y) の軌跡の方程式は,次のように求めることができる.
FP=HP
←→ .(x−p)2+y2√nnnnnnnnni=|x+p|
両辺とも正だから,辺々2乗する
←→ (x−p)2+y2=(x+p)2
←→ x2−2px+p2+y2=x2+2px+p2
←→ y2=4px
図4
《要約》
焦点 F(p , 0),準線 x=−p からの距離が等しい点 P(x , y) の軌跡の方程式は
y2=4px
○ FP は,2点間の距離の公式 .(x2−x1)2+(y2−y1)2√nnnnnnnnnnnnnni で計算する.
  FP=.(x−p)2+y2√nnnnnnnni

○ 点と直線の距離は,直線にひいた垂線の長さで定義されるので,HPx 座標の差(の絶対値)で求める.
  HP=|x+p|




※ (1)において x , y 座標を入替えると,
x2=4py

これは次のような放物線を表わす.
《要約》
焦点 F(0 , p),準線 y=−p からの距離が等しい点 P(x , y) の軌跡の方程式は
x2=4py
■3  定規とコンパスで放物線を描くには
 焦点 F(2 , 0) を中心に半径 1, 2, 3, 4, ...の同心円を描いておく.また,準線 x=−2 からの距離が,1, 2, 3, 4, ....の平行線 x= -1, 0, 1, 2, 3 ...を描いておく.
O(0 , 0)FP=HP=2 となるから,この点に印を付ける.
同心円と平行線でできる格子模様の対角線にそって点をたどり,
FP=HP=3
FP=HP=4
FP=HP=5
・・・
に印を付け,これらをなめらかに結んでいくと放物線
y2=4·2·x
ができる.
図5
■4  自然界にある放物線

○ [図6]
 グランドからボールを斜めに投げ上げたときに,ボールが描く軌道は放物線になる.(「物」を「放」したときにできる「線」)(正確には,空気の抵抗で少しずれるが,真空中では放物線になる.)

○ [図7]
 放物面鏡(放物線を軸の回りに回転させてできるもの)に太陽光線のような平行光線が当たると,反射光は焦点に集まる.・・・物があれば焦げる.
 
 問題 
(1)
 焦点 (3 , 0),準線 x=−3からの距離が等しい点の軌跡の方程式を求めよ.
y2=x

(2)
 焦点 (0 ,−2),準線 y=2からの距離が等しい点の軌跡の方程式を求めよ.
x2=y


採点する やり直す 解説

■5  原点と異なる点に頂点がある放物線
(y−t)2=4p(x−s) …(2)

 は,放物線
y2=4px …(1)

x 軸の正の向きに sy 軸の正の向きに t だけ平行移動した放物線になる.
○ 頂点の座標は (s , t)
○ 焦点の座標 は (p+s , t)
○ 準線の方程式は x=−p+s

 【解説】
  (1)の放物線上の点を (X , Y ) とおくと,
Y2=4pX …(A)

x=X+s …(B)
y=Y+t …(C) が成り立つ.
 (B)(C)より,X=x−s , Y=y−t を(A)に代入すると,
 (y−t)2=4p(x−s) …(2) となる.
《初歩的な注意》
x 軸の正の向きpy 軸の正の向きq だけ平行移動しているときに,
(y - t)2=4p(x - s)

になるので,見かけの符号と逆になる点に注意.
(y+t)2=4p(x+s)

ならば,x 軸の負の向きsy 軸の負の向きt だけ平行移動したものとなる.
 これは,x=X+s , y=Y+t ←→ X=x−s , Y=y−t の関係による.
(Yy - t)2=4p(Xx - s)

のように移動前後の座標を重ねてみると,移動前の座標 X , Y についての関係式が浮かび上がる.このとき,移動前の座標は X=x−s , Y=y−t のように引き算で表わされている.
例題
y2−8x−4y−20=0 の概形を描き,頂点の座標,焦点の座標,準線の方程式を求めよ.

答案
次のように変形する.
y2−4y+4=8x+24
(y−2)2=8(x+3)


y2=8xx 方向に −3 , y 方向に 2 だけ平行移動したものだから
  頂点は (−3 , 2)
  焦点は (−1 , 2)
  準線の方程式は x=−5

 問題 
(1)
 放物線 y2=−12xx 軸方向に 3y 軸方向に 4 だけ平行移動してできる曲線の方程式,頂点の座標,焦点の座標,準線の方程式を求めよ.
 方程式 (y−)2=−12(x−)
 頂点の座標 ( , )
 焦点の座標 ( , )
 準線の方程式 x=

(2)
 放物線 x2+4x−16y+20=0 の概形を描き,頂点の座標,焦点の座標,準線の方程式を求めよ.

頂点の座標 ( , )
焦点の座標 ( , )
準線の方程式 y=

採点する やり直す 解説

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■[個別の頁からの質問に対する回答][放物線について/18.7.16]
コメント失礼しますm(__)m 放物線の標準形のところで、要点1要点2ともに、焦点が頂点になっています。ので、頂点を焦点に訂正お願いしますm(__)m
=>[作者]:連絡ありがとう.訂正しました.
■[個別の頁からの質問に対する回答][放物線について/18.7.08]
X^2=4yの焦点の求め方が分かりません。
=>[作者]:連絡ありがとう.教材を書いた当時は,前から読むと公式そのものだから省略できると考えたようで,確かに直接的には書いてないようです.何らかのまとめ的なものを加筆します.
ご質問の点については
(1) 公式に当てはめる場合:

で縦横が逆だから
焦点の座標は

(2) (1)の内容を確かめるには,焦点の座標を,準線の方程式を,動点の座標をとすると,

だから


が成り立つ.
■[個別の頁からの質問に対する回答][放物線について/17.10.3]
いつも参考にさせていただいております。ありがとうございます。放物線の方程式、2の焦点の働きと軌跡の説明のグラフ上のHの座標が(-p,0)になっていますが正しくはH(-p,y)ではないでしょうか?恐れ入りますが確認をお願いします。
=>[作者]:連絡ありがとう.訂正しました.
■[個別の頁からの質問に対する回答][放物線の方程式について/16.12.21]
面白かったです。
=>[作者]:連絡ありがとう.
■[個別の頁からの質問に対する回答][放物線の方程式について/16.10.14]
とても良いです。
=>[作者]:連絡ありがとう.

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