面積の定義
次の図において,y=x2,x軸,x=1の直線で囲まれた図形の面積を求めることを考えます.この図形は,長方形でもなく,三角形でもなく,円でもないので,小中学校で習った面積の求め方では求められません.むしろ,そのような面積が定義できるのか?と疑うことが,ここで扱うテーマを理解する早道です.
■ そもそも,1×1の正方形の面積が1です(下図).これより小さい図形は,0.1の長方形が何個入るかに応じて,次の桁を決めます.以下同様にして,0.01,0.001,...の正方形・長方形を入るだけ埋めて,求める図形がちょうど埋まるまで繰り返します. 素朴に考えれば,境界線がy=x2のような曲線では,正方形や長方形をどう並べても埋まりそうもありません. <S<となるはずです. ■ 長方形の横幅を小さくしていったとき(→0),もしとの面積が一致したら,その一致した値を面積Sの定義とすることは合理的です.
≪はさみうち論法≫
を用いると,下組と上組の極限が等しくなっとき,その等しい値を「面積」と定義します.
an<S<bnで ならば ■ 下組 = = = → (n→∞のとき) ■ 上組 = = = → (n→∞のとき) ■ 以上により,S=・・・これが,求める図形の面積です.
定積分と面積の関係
上の図形の面積は,定積分で表わされます.これらを比較すると, すなわち, 上組と下組は等しいので, も成立します. |
数列の和の極限を定積分に直す方法
■ 数列の和の極限を定積分に直すには,次のような図を考えます.
≪公式≫・・・次のように対応させて覚える
■この公式を使うには,「各部品」を正確に対応させることが大切です.(初めは,大変難しいものです.)
<要点>
1 まず,Δx(通常は1/n)を分離すること →これがdxになります. (Σ記号の初項から末項までの項数n個の等分となっている) 2 xkを決める → f(xk)を決める → f(x)を決める. 3 limΣ→∫ とします. 4 x0=a,xn=b とします. b−a=1でない場合は1の段階でΔxを調整します. |
(例1) 次の極限値を定積分に直し,その値を求めなさい.
(考え方)
【ポイント:Δxの役割】
(答案) == |
(例2) 次の極限値を定積分に直し,その値を求めなさい.
(考え方1)
【ポイント:区間の幅】
→ f(x)=πsinπx (区間の幅は1) = (考え方2)
→ f(x)=sinx (区間の幅はπ) = |
(例3) 次の極限値を定積分に直し,その値を求めなさい.
【ポイント:xk←→f(xk)←→f(x)】
(考え方1)
f(x)=(1+x)2 = = (考え方2)
f(x)=x2 = = |
(例4) 次の極限値を定積分に直し,その値を求めなさい.
(考え方)
【ポイント:皮1枚過剰→引いてから足す】
または が に等しいので, では,「皮1枚分」多いことになります.(次の図参照) → (答案)
|
(例5) 次の極限値を定積分に直し,その値を求めなさい.
(考え方)
【ポイント:皮1枚不足→足してから引く】
または が に等しいので,この問題では「皮1枚分不足」です. この場合,「不足分を埋めて,定積分を完成してから」「引きます」.(次の図参照)(埋めるのは,左端でもよい.) (答案) = |
(例6) 次の極限値を定積分に直し,その値を求めなさい.
【ポイント:3n等分→Δx=1/(3n)】
(考え方)
k=1〜3nなので,短冊の横幅としてΔx=1/(3n)を使うと,図形を想像しやすくなります. (答案) ※ (例1)でnに3nを代入したものと一致します. |
(例7) 次の極限値を定積分に直し,その値を求めなさい.
【ポイント:a→初項,b→末項】
(考え方)
k=n+1〜3n なので,項数は2nです. Δx=1/(2n),xk=k/(2n)とおくとき, a=xn=1/2,b=x3n=3/2 です. (答案) |
○この項目をはじめて学ぶ場合,次の問題は難しく感じるはずです.
○慣れるまでは,解説を順に読んで,もう一度やったときに自分で解けるようになればよいでしょう. ○解説を読めば,毎回同じことをしていることが分かり,流れが読めるようになります. において とおくと となるから (原式)= においては,Δx となるべき 1/n がないから,これを作る 分母をn2でくくると 1/n2 のままではn等分にならないので1/n×1/nに分ける とおくと となるから (原式)= において,Δx となるべき 1/n を後ろに回して見やすくする 真ん中の式の分数の形を整える とおくと となるから (原式)= Σ記号の中では,kが変数でnは定数だから Δx となるべき 1/n を後ろに回して見やすくする とおくと となるから (原式)= Δx となるべき 1/n を後ろに回して見やすくする とおくと となるから (原式)= Δx となるべき 1/n を後ろに回して見やすくする とおくと となるから (原式)= 1/n を作るために分母をnでくくる(根号内は n2で割る) とおくと となるから (原式)= |
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