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※高校数学Ⅲの「定積分」について,このサイトには次の教材があります.
この頁へGoogleやYAHOO ! などの検索から直接来てしまったので「前提となっている内容が分からない」という場合や「この頁は分かったがもっと応用問題を見たい」という場合は,他の頁を見てください.  が現在地です.
定積分の基本
定積分の置換積分
同(2)
定積分の部分積分
無理関数の定積分
三角関数の定積分
三角関数(絶対値付き)の定積分
limΣと定積分(区分求積法)
同(2)入試問題
閉曲線で囲まれた図形の面積
同(2)媒介変数
同(3)
定積分の漸化式
体積,表面積-現在地
曲線の長さ
定積分で定義される関数
応用問題

== 立体の体積 ==
(面積の復習)
 a≦x≦bの区間でx軸とy=f(x)とで囲まれる図形の面積が,縦の長さf(x)の積分で表された事情を振り返ってみます.
 aからxまでに描かれる図形の面積をS(x)とおくと
 xがわずかに⊿xだけ増加したとき,増える面積は黄色で示した長方形の面積,すなわち縦の長さf(x)と横の長さ⊿xの積にほぼ等しくなります.
⊿S(x)≒f(x)⊿x
したがって
ΔSΔx≒f(x)
 増分⊿xを限りなく0に近づけると,その極限は近似値ではなく正確f(x)に等しいと見なせます.
dSdx=f(x)
 元のものが直接には分からなくても,その微分が分かれば,積分によって面積S(x)が求まります.
S(x)=f(x)dx
 a≦x≦bの区間では
S=abf(x)dx
面積を求めたいとき
⇒ 面積の微分S(x)が縦の長さf(x)になるのでSは縦の長さの積分で求められる

(体積の計算)
 立体の体積を求めるには,体積の微分が断面積になることを利用します.
 すなわち,左端aから座標xまでの区間にある体積をxの関数としてV(x)で表し,xにおける断面積をS(x)とおきます.
 上で復習した面積の求め方と同様にして
⊿V(x)≒S(x)⊿x
ΔVΔx≒S(x)
dVdx=S(x)
V=abS(x)dx
が示されます.
体積を求めたいとき
⇒ 体積の微分V(x)が断面積S(x)になるのでVは断面積の積分で求められる

【体積を求める積分計算】
多項式形の積分で数学Ⅱの範囲で求められる体積の問題は,別のページにあります.
(1) 一般の立体の体積
x軸に垂直な平面で立体を切ったときの断面積がS(x)のとき,この立体の体積Vは
V=abS(x)dx
(2) 曲線y=f(x),2直線x=a,x=b(a<b)で囲まれた図形をx軸のまわりに回転させてできる回転体の体積
V=πab{f(x)}2dx
x軸に垂直な断面は円になり,その半径がf(x)であるから断面積はS(x)=π{f(x)}2になる.
f(x)は負の値も取り得るから正確にはf(x)というべきだが,2乗するので結果は同じになる.また,図のようにy=f(x)のグラフがx軸を横切っていても構わない.
(3) 2曲線y=f(x),y=g(x),2直線x=a,x=b(a<b)で囲まれた図形をx軸のまわりに回転させてできる回転体の体積(ただし,axbにおいて,f(x)g(x)0とする)
V=πab[{f(x)}2{g(x)}2]dx
ちくわのような中抜きの筒の体積を求めるには,外側の円の面積π{f(x)}2から内側の円の面積π{g(x)}2を引いたものが断面積だと考えるとよい.
間違っても,π{f(x)g(x)}2などとしてはいけない!
(4) 曲線x=g(y),2直線y=α,y=β(α<β)で囲まれた図形をy軸のまわりに回転させてできる回転体の体積
V=παβ{g(y)}2dy
(2)のx軸とy軸の立場を入れ換えたものになるから,y軸に垂直な断面の半径はx=g(y)になる
(5) 媒介変数表示x=f(t),y=g(t)で表される曲線で,a=f(α),b=f(β)のとき,axbで囲まれる図形をx軸のまわりに回転させてできる回転体の体積
V=πaby2dx=παβ{g(t)}2f(t)dt
dxdt=f(t)により,dx=f(t)dtを代入する

【例題1.1】
 右図のような半径がa,高さがhの直円柱を,斜めの平面で切ってできる「きゅうりのへた」のような立体(下半分)の体積を求めてください.
円柱の体積πa2hの半分だから,結果は12πa2hだろうと予想できるが,これを積分計算として組み立てる練習です
(解答)
底面の円の直径方向に座標軸xをとり,axaの範囲で断面を求めて積分する.
 底面の円に描いた黄色の直角三角形で,斜辺の長さは半径aに等しいから,l=a2x2
 次に高さyは,x=0のときy=h2で傾きがh2aの直線上にあるから,y=h2ax+h2
S(x)=2l×(h2ax+h2)=2(h2ax+h2)a2x2
V=2aa(h2ax+h2)a2x2dx
=haaa(x+a)a2x2dx
ここで
aaxa2x2dx
は奇関数の積分だから0
aaa2x2dx
は上半円の面積だからπa22
ゆえに
V=πa2h2
【例題1.2】
 1辺の長さがaの正四面体の体積を求めてください.
三平方の定理を使って,正四面体の高さを求め,底面積との比例計算で断面を求めます.
(解答)
底面の正三角形において頂点CからBDに引いた垂線の足をEとすると,直角三角形BCEの辺の長さは,BC=a,BE=a2であるから,三平方の定理により,EC=a2(a2)2=32a
 次に,頂点Aから底面の△BCDに引いた垂線の足をHとおくと,Hは△BCDの重心だから,EH:HC=1:2
HC=23EC=2332a=33a
 さらに,△AHCは直角三角形だから三平方の定理により,AH=h=a2(33a)2=23a
 右図のピンク色の図で,S=1232aa=34a2
 S:S(x)の面積比は相似比の2乗に比例するから
34a2:S(x)=h2:x2=23a2:x2
S(x)=3a2432a2x2=338x2
V=0h338x2dx=[338x33]0h=38h3
=382233a3=212a3

【例題2.1】
 曲線y=sinx(0xπ)x軸とで囲まれる図形をx軸のまわりに回転してできる立体の体積を求めてください.
(解答)
V=π0πsin2xdx=π0π1cos2x2dx
↑半角公式:sin2x=1cos2x2を使う
=π[x2sin2x4]0π=π22
【例題2.2】
 曲線x+y=1と座標軸とで囲まれる図形をx軸のまわりに回転してできる立体の体積を求めてください.
(解答)
y=1x
y=(1x)2
y2=(1x)4
V=π01y2dx
=π01(1x)4dx
(x+a)nのように多項式の展開を要するとき,x+a=tとおくと,展開しなくて済む
x01
t10
1x=tとおくと,dtdx=121x
V=π10t4(2x)dt=π10t4(2)(1t)dt
=2π01t4(1t)dt=2π01(t4t5)dt
=2π[t55t66]01dt=2π×130=π15

【例題3.1】
 0<a<bとするとき,円x2+(yb)2=a2x軸のまわりに1回転してできる立体の体積を求めてください.
(解答)
(yb)2=a2x2
yb=±a2x2
と変形したとき,右図の青色で示した回転体で外側に来る曲線の方程式は
y1=b+a2x2
 赤色で示した内側に来る曲線の方程式は
y2=ba2x2
V=πaa(y12y22)dx
=πaa{(b+a2x2)2(ba2x2)2}dx
=πaa4ba2x2dx=8πb0aa2x2dx
x=asinθとおく置換積分を行うと,
x0a
θ0π2

dxdθ=acosθ
V=8πb0π2a2a2sin2θacosθdθ
=8πb0π2a2cos2θdθ=8πa2b0π21+cos2θ2dθ
=8πa2b[θ2+sin2θ4]0π2=8πa2b×π4=2π2a2b
一般に回転体の体積は,(断面積)×(重心の通過距離)に等しいことが知られている(パップス・ギュルダンの定理)
この問題では,断面積S=πa2,重心の通過距離L=2πbで,V=SLとなっている.
【例題3.2】
 曲線y=logxx軸,y軸,y=1の直線で囲まれる図形がx軸のまわりに1回転してできる立体の体積を求めてください.
(解答)
半径が1で,横向きの高さがeの円柱から,y=logx(1xe)でできる図形を中抜きします.
V1=πe
V2=π1e(logx)2dx
次の部分積分を行う
f(x)=(logx)2f(x)=2logxx
g(x)=xg(x)=1

1ef(x)g(x)dx=[f(x)g(x)]1e1ef(x)g(x)dx
V2=π[x(logx)2]1eπ1e2logxxxdx
=πe2π1elogxdx
=πe2π[xlogxx]1e=πe2π
V1V2=2π

【例題4.1】
 曲線y=(x1)2と直線y=1とで囲まれる図形をy軸のまわりに1回転してできる立体の体積を求めてください.
(解答)
x1=±y
x=1±y
V=π01{(1+y)2(1y)2}dy
=π014ydy=4π×23[y32]01=8π3
例題3.1で紹介したパップス・ギュルダンの定理で確かめておくと,図形の面積が
S=02{1(x1)2}dx=43
重心(x=1上にある)の移動距離はL=2πだからV=SL=8π3に等しい
【例題4.2】
 曲線y=sinx,直線y=1y軸とで囲まれる図形をy軸のまわりに1回転してできる立体の体積を求めてください.
(解答)
V=π01x2dy
直接計算すると,逆三角関数sin1xの2乗の積分になるが,それは手ごわいので,置換積分で変数を取り換える
y01
x0π2
y=sinxのとき,dydx=cosx
V=π0π2x2cosxdx
次の部分積分を行う
f(x)=x2f(x)=2x
g(x)=sinxg(x)=cosx
V=π{[x2sinx]0π220π2xsinxdx}
=π{π2420π2xsinxdx}
=π342π0π2xsinxdx
さらに次の部分積分を行う
f(x)=xf(x)=1
g(x)=cosxg(x)=sinx
0π2xsinxdx=[xcosx]0π2+0π2cosxdx
=[sinx]0π2=1
従って
V=π342π

【例題5.1】
 サイクロイドx=tsint,y=1cost
0t2π)がx軸のまわりに1回転してできる立体の体積を求めてください.
難しい公式を覚えない.単純に
V=πaby2dxと書いてから,変数をtに変換して,置換積分する.
(解答)
V=π02πy2dx
において,次のように対応している.
x02π
t02π
y=1cost
dxdt=1cost
V=π02π(1cost)2(1cost)dt
=π02π(1cost)3dt
=π02π(13cost+3cos2tcos3t)dt
根性物語になってきた~
半角公式で次数を下げる
cos2t=cos2tsin2t=2cos2t1
cos2t=1+cos2t2
3倍角公式で次数を下げる
cos3t=4cos3t3cost
cos3t=3cost+cos3t4
=π02π(13cost+31+cos2t23cost+cos3t4)dt
=π[t3sint+3(t2+sin2t4(3sint4+sin3t12)]02π
=5π2
【例題5.2】
 アステロイドx=cos3t,y=sin3tによって囲まれる図形がx軸のまわりに1回転してできる立体の体積を求めてください.
難しい公式を覚えない.単純に
V=πaby2dxと書いてから,変数をtに変換して,置換積分する.
 x軸,y軸に関して対称な図形だから,第1象限の部分を回転して2倍する.
V=2×π01y2dx
x01
tπ20
y=sin3t
dxdt=3cos2t(sint)
V=2×ππ20sin6t3cos2t(sint)dt
=6π0π2sin7tcos2tdt
積分計算を作るところまでは,簡単にできますが,ここから先がスラスラと書けるような人は,相当な計算力があるはずです.
幾つか方法はありますが,以下では定積分の漸化式を利用する方法で求めてみます.
0π2sin7tcos2tdt=0π2sin7t(1sin2t)dt
=0π2sin7tdt0π2sin9tdt
ここで,In=0π2sinntdt,I1=0π2sintdt=1とおき,Inの漸化式を作って,順次次数を下げていく.
次の部分積分を行う.(n≧2)
f(t)=sinn1tf(t)=(n1)sinn2tcost
g(t)=costg(t)=sint
In=0π2sinn1tsintdt
=[sinn1tcost]0π2+0π2(n1)sinn2tcos2tdt
=(n1)0π2sinn2t(1sin2t)dt
=(n1){0π2sinn2tdt0π2sinntdt}
=(n1)In2(n1)In
nIn=(n1)In2
In=n1nIn2
これにより,順次次数を下げると
I7=67I5=6745I3=674523I1=674523=1635
I9=89I7=89674523=128315
結局
V=6π(I7I9)=6π(1635128315)=32π105

== 回転体の表面積 ==
最近の高校の教科書では,回転体の表面積の問題はほとんど扱われていません.
 曲線y=f(x)(axb)x軸のまわりに1回転してできる回転体の表面積(両端x=a,bの断面を含まない側面積)は
S=2πaby1+(y)2dx
(解説)
 求める側面積は,正確には右図のアースカラーで示した円錐台の微小な幅の側面積を継ぎ足したものであるが,
Δxが微小な幅であるとき,上の公式は次のことを表している.
 まず,横幅Δxに対して,直角三角形の縦幅はyΔxになるから,三平方の定理により斜辺の長さは
Δx2+(yΔx)2=1+(y)2Δx
 そこで,幅1+(y)2Δxのテープが半径yの円周2πyの長さだけあることになり
ΔS=2πy1+(y)2Δx
円錐台であるから,実際には円柱の側面よりは狭い部分と広い部分があるが,積分に使うのは1次近似で,中央で見れば差し引き帳消しになると解釈できる
S=2πaby1+(y)2dx

【例題6.1】
 半径rの球の表面積は4πr2に等しいことを示してください.
(解答)
 原点を中心とする半径rの円をx軸のまわりに1回転してできる回転体の表面積を求める.左右対称だから右半分を求めて2倍する.
 円の方程式はx2+y2=r2だから
 y=r2x2
 y=122xr2x2=xr2x2
 1+(y)2=1+x2r2x2=rr2x2
S=2×2π0rr2x2rr2x2dx
=4π0rrdx=4π[rx]0r=4πr2
【例題6.2】
 放物線y=x2(0x1)y軸のまわりに1回転してできる回転体の放物面の面積を求めてください.
(解答)
 y軸のまわりの回転だから,公式のx,yの立場を入れ換える.
S=2π01x1+(dxdy)2dy
ここで
x=y
dxdy=12y
1+(dxdy)2=1+14y=4y+12y
だから
S=2π01y4y+12ydy=π014y+1dy
=π[1423(4y+1)32]01=π6(551)

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