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== y=sin(θ−αのグラフ ==

■基本の形
 y=sinθのグラフを描くには、右のような対応表(θの値とyの値を表にしたもの)を作り、求めた座標(θ , y)を結んでいく。
 このy=sinθのグラフは、以下の解説を通じて何度も登場する[基本の形]なので、しっかりとイメージに刻んでおくことが重要。
 特に、次の点は確実に言えなくてはならない。
(1)sin0°=0だからθ=0°のときy=0
(2)sin90°=1だからθ=90°のときy=1
(3)sin180°=0だからθ=180°のときy=0
(4)sin270°=−1だからθ=270°のときy=−1
(5)sin360°=0だからθ=360°のときy=0
◇対応表◇
θ 30° 45° 60° 90° 120° 135° 150°
y=sinθ 0 .12n .1.2√ninn ..3√ni2nn 1 ..3√ni2nn .1.2√ninn .12n

◇グラフ◇
y=sin(θ−αのグラフ【要点】
【 これが重要 】
○ y=sin(θ−α)のグラフは、y=sinθのグラフを
 左に(x軸の負の向きに)αだけ移動したものではなく、
 右に(x軸の正の向きに)αだけ移動したものになる。

○ y=sin(θ+α)のグラフは、y=sinθのグラフを
 右に(x軸の正の向きに)αだけ移動したものではなく、
 左に(x軸の負の向きに)αだけ移動したものになる。

θ30°なのになぜ右に動くのか
θ+30°なのになぜ左に動くのか

⇒ これさえ分かればよい

≪解説1≫
○ y=sin(θ30°)のグラフを描くために、
θ → θ30° → y=sin(θ30°)
の値を順に求めると、右の表のようになる。

 例えば、θ=30°のとき、θ30°=0°だから、
sin(θ−30°)=0となって、移動する前の0°のときの値になっている。
 同様に、θ=60°のとき、θ30°=30°だから、
sin(θ−30°)=.12nとなって、移動する前の30°のときの値になっている。
 同様に、θ=90°のとき、θ30°=60°だから、
sin(θ−30°)=..3√ni2nnとなって、移動する前の60°のときの値になっている。
y=sin(θ−30°のグラフ
y=sin(θ+30°のグラフ
y=sin(θ−30°)の対応表◇
θ 30° 60° 90° 120° 150°
θ−30° −30° 30° 60° 90° 120°
y=sin(θ−30°) .12n 0 .12n ..3√ni2nn 1 ..3√ni2nn

 θの値よりも、θ30°の値は30°だけ「遅れる」。
 これをグラフで表すと、右に30°だけ移動させたものになる。
○ y=sin(θ+30°)のグラフを描くために、
θ → θ+30° → y=sin(θ+30°)
の値を順に求めると、右の表のようになる。

 例えば、θ=0°のとき、θ+30°=30°だから、
sin(θ+30°)=.12nとなって、移動する前の30°のときの値になっている。
 同様に、θ=30°のとき、θ+30°=60°だから、
sin(θ+30°)=..3√ni2nnとなって、移動する前の60°のときの値になっている。
 同様に、θ=60°のとき、θ+30°=90°だから、
sin(θ+30°)=1となって、移動する前の90°のときの値になっている。
y=sin(θ+30°)の対応表◇
θ 30° 60° 90° 120° 150°
θ+30° 30° 60° 90° 120° 150° 180°
y=sin(θ+30°) .12n ..3√ni2nn 1 ..3√ni2nn .12n 0

 θの値よりも、θ+30°の値は30°だけ「進む」。
 これをグラフで表すと、左に30°だけ移動させたものになる。
≪解説2≫ …(やや難しいが、グラフの平行移動はすべてこれで説明できる)
【グラフの平行移動の公式】
 y=f(x)のグラフをx軸の正の向きにpy軸の正の向きにqだけ平行移動してできるグラフの方程式は
y=f(x−p)+q
(証明)
 右図1のように元のy=f(x)上の点を(X,Y)、新しいグラフ上の点の座標を(x,y)とおくとき、xyの関係式を求めるとよい。
 元の点(X,Y)y=f(x)のグラフ上にあるから
Y=f(X) …(1) : 元の関係式
を満たす。
 新しい点(x,y)は元の点(X,Y)x軸の正の向きにpy軸の正の向きにqだけ平行移動したものだから
x=X+p …(2) : 新旧x座標の関係
y=Y+q …(3) : 新旧y座標の関係
が成り立つ。
 (2)(3)では新座標が旧座標で表されているが、ここでは旧座標を消去して新座標の関係式を作りたいのだから、旧座標を新座標で表す式に直しておく。
X=x−p …(2’) : 旧新x座標の関係
Y=y−q …(3’) : 旧新y座標の関係
(2’)(3’)を(1)に代入して旧座標(X,Y)を消去すると
y−q=f(x−p) …(4)
通常、関係式はy=…の形で書くことが多いので、その習慣に従ってqを移項しておくと
y=f(x−p)+q …(5) : 新しい関係式
■証明終り■
図1

 左の証明において、x軸の正の向きにpy軸の正の向きにqだけ平行移動しているのに、 xだけx−pとなって、y+qとなっているのは「ズルイ」「不公平だ」と思う人は、よく見直してほしい。

 実際には、(5)式は(4)式と同じ式で、(4)を(5)に書き換えたのは「習慣に従った」だけなので、(4)が新しいグラフの方程式だといってもよい。
(4)ではxyも正の向きに平行移動するときに、いずれもx−py−qとなって引き算になることが分かる。
 なぜ、足し算ではなくて引き算になるのかのカラクリは、(2)(3)を(2’)(3’)に書きなおしたところにある。

 よく見ると次の関係式は、単に元の関係式が書いてあるだけだということが分かる。

Y y−q=f(X x−p)
 このように新しい関係式は、新座標からx軸の負の向きにpy軸の負の向きにqだけ戻った点が、元のグラフ上にあるということを表している。
 これは、平行移動の仕方から考えて「正しい・当然のこと」を表している。
例1
 直線y=xのグラフをx軸の正の向きに1y軸の正の向きに2だけ平行移動してできるグラフの方程式は
y=(x−1)+2y=x+1
 公式にはf(x)fがあったのに、この例題にはfがないじゃないか?fはどこに行ったのか?と突っ込みを入れたい人へ
 ⇒ f(x)は式に付けた名前で、具体的な問題ではy=2xy=3x2y=sin xのように具体的な形の関数を扱う。以下の例はすべて具体的な関数を扱っているので、f(x)という名前は登場しない。
例2
 放物線y=2x2のグラフをx軸の正の向きに3y軸の正の向きに4だけ平行移動してできるグラフの方程式は
y−4=2(x−3)2y=2(x−3)2+4

※ この内容は2次関数の頂点の座標を求めるときに登場する。
例3
 双曲線y=.2xnのグラフをx軸の正の向きに−3y軸の正の向きに4だけ平行移動してできるグラフの方程式は
y=.2x+3nnn+4

※ x軸の正の向きに−3だけ平行移動しているからx+3という式になる。y軸の正の向きに4だけ平行移動しているから、+4が付く。
例4
 y=sinθのグラフをθ軸の正の向きに30°y軸の正の向きに1だけ平行移動してできるグラフの方程式は
y=sin(θ−30°)+1
例5
 y=cosθのグラフをθ軸の正の向きに−60°だけ平行移動してできるグラフの方程式は
y=cos(θ+60°)
※ θ軸の正の向きに−60°だけ平行移動するからθの代わりにθ+60°を代入した式になる。この問題ではy軸方向には移動していないから、yは変えない。
例6
y=sin(2θ−60°)のグラフを描くときは、θの代わりに何が代入されているかを考えるために
y=sin2(θ−30°)
と変形する。
 このように変形すると、y=sin(2θ−60°)のグラフはy=sin2θのグラフをθの正の向きに30°だけ平行移動したものであることが分かる。
例7
y=cos(3θ+180°)
y=cos3(θ+60°)と変形できるから
y=cos3θのグラフをθの正の向きに−60°だけ平行移動したものである。

【例題1】
 y=sin(2θ+90°)のグラフはy=sin2θのグラフをどのように平行移動したものか.
(解答)
 y=sin2(θ+45°)と変形する.
θ軸の正の向きに−45°だけ平行移動したもの…(答)
(左に45°平行移動したもの)
+90°となっているからと言って90°と答えてはいけない.
※変形して+45°となるからと言って+45°と答えてはいけない.
【例題2】
 y=cos(3θ−90°)のグラフはy=cosのグラフをどのように平行移動したものか.
(解答)
 y=cos3(θ−30°)と変形する.
θ軸の正の向きに30°だけ平行移動したもの…(答)
(右に30°平行移動したもの)
−90°となっているからと言って−90°と答えてはいけない.
※変形して−30°となるからと言って−30°と答えてはいけない.
右上に続く↑
【例題3】
 y=tan(3θ+60°)−2のグラフはy=tanのグラフをどのように平行移動したものか.
(解答)
 y=cos3(θ+20°)−2と変形する.
θ軸の正の向きに−20°y軸の正の向きに−2平行移動したもの…(答)
(左に20°,下に2だけ平行移動したもの)
y軸方向の移動量はy=f(x−p)+qqをそのまま読めばよい.

yは何もズルくない!!
y−q=f(x−p)の形で考えると
θ軸方向にpy軸方向にqになりお互い様なのだ
 次の各問題に答えてください.(解答は下の選択肢から正しいものをクリック)
【問題1】
 y=sin(2θ+120°)のグラフはy=sinのグラフをどのように平行移動したものか.
【問題2】
 y=sin(3θ−120°)のグラフはy=sinのグラフをどのように平行移動したものか.
【問題3】

 y=cos(12θ+60)のグラフはy=cos12θのグラフをどのように平行移動したものか.
右上に続く↑
【問題4】

 y=cos(13θ60)のグラフはy=cos13θのグラフをどのように平行移動したものか.
【問題5】
 y=sin(3θ−90°)−1のグラフはy=sinのグラフをどのように平行移動したものか.
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