現在地と前後の項目

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== 三角方程式 ==
【三角方程式とは】
sinθ=12cosθ=22のように角度が未知数になっている方程式を三角方程式という.
• 三角方程式は,次の例題のように単位円を利用して解くと分かりやすい.
【例題1】
 0θπのとき,sinθ=12を満たすθの値を求めてください.

サインはy
sinθ=yrだから,単位円(半径rが1の円)を描くと,sinθ=yになる
⇒「サインはy」と覚えておく
(解答)
 右図の単位円で,y座標が12となる角度は,θ=π6θ=5π6…(答)
#超初心者のビックリ答案#
 何十年も高校で教えていると,ビックリ答案に出会うことがある.馬鹿にしているのでなく,危険な落とし穴として注意しておこう!
sinθ=12からθ=12sinと答えた生徒がいた.
sinθsinθのかけ算ではないのだ!sinなどというものはないのだ.
#この問題はなぜ解けるのか#
 本当のことを言えば,この問題が解けるのは,
sinπ6=12sin5π6=12という答えを覚えているから解けるのです.もっとはっきり言えば,「筆算で解ける」のは,次の表に出てくるθ,yの組み合わせだけです.
θ0π6π4π3π22π33π45π6π
y012123213212120
 この表にない値,例えばsinθ=15,14,13,23,34,のどれも「筆算では」解けません.解けるのは,この表にあるsinθ=0,12,12,32,1の場合だけです.
 中学校で習う1次方程式の解き方3x=2x=23など違って,sinθ=a(0a1)を「数式変形で」解く方法はありません.sinθ=13のような問題は「教科書の巻末に付いている三角関数表を見て」解くのです.
θ19°20°21°
正弦0.32560.34200.3584
θ=約19°
 これに対して,定期試験や入学試験などで三角関数表が付いていない場合には,上に述べた表に出てくる問題しか出ないことになります(符号が逆のものは出ます).

【例題2】
 0θπのとき,cosθ=12を満たすθの値を求めてください.

コサインはx
cosθ=xrだから,単位円(半径rが1の円)を描くと,cosθ=xになる
⇒「コサインはx」と覚えておく
(解答)
 右図の単位円で,x座標が12となる角度は,θ=34π…(答)
【例題3】
 0θ<2πのとき,tanθ=1を満たすθの値を求めてください.

タンジェントはy/x
tanθ=yxだから,単位円(半径rが1の円)を描くと,tanθ=(縦)÷(横)の比率になる
⇒「タンジェントはy/xの比率」
(解答)
 右図の単位円で,(縦)÷(横)の比率が正で1となる角度は,θ=π4,54π…(答)

≪水色の表だけは確実に言えるようにしよう!≫
残りは矢印の方向に同じ値にして,符号を付ける
θ0π6π4π3π22π33π45π6π
sinθ012123213212120

θ7π65π44π33π25π37π411π6
sinθ121232−1321212


θ0π6π4π3π22π33π45π6π
cosθ13212120121232−1

θ7π65π44π33π25π37π411π6
cosθ3212120121232

θ0π6π4π3π22π33π45π6π
tanθ01313×3−1130

θ7π65π44π33π25π37π411π6
tanθ1313×3−113

【解説】
○ 次のような問題では,2θの問題に直して解く。
○ 次の問題では,に直して解く。
■ 問題
0≦θ<πのとき,次の方程式を解きなさい。(初めに問題を1つ選択し,続いて解答を1つクリックしなさい。正しければ消えます。)
問題 解答
ヒント
ヒント
ヒント
ヒント
ヒント





【三角方程式の一般解】
(A) sinθ=aの1つの解をαとするとき,
θ=α+2nπ…(1)
θ=(π−α)+2nπ…(2)
nは整数]
の形に書ける角度はすべて解になる.
 この形で一般解として覚えてもよいが,次のようにまとめる方法も使われる.
(1)はnが偶数のときはαを加えることを表しており,
(2)はθ=(2n+ 1)π−αと書けるから,nが奇数のときはからαを引くものと解釈することができる.
 そこで,これら2つの式を
θ=(1)n×α+nπnは整数]
とまとめることができる.
 上記の茶色で書いたまとめ方は,式が複雑で迷う可能性がある.自分が答案を書くときは,(1)(2)で安全・確実に書けばよい.
 上記の(A)の公式は,次の(B)の形に書くこともできる.
(B) sinθ=sinαのとき,
θ=α+2nπ…(1)
θ=(π−α)+2nπ…(2)
nは整数]
が成り立つ.
【例題4】
 sinθ=32を満たすθの値を求めてください.
(解答)
 sinπ3=32だから,α=π3は1つの解となる.
θ=π3+2nπ…(1)nは整数]
θ=23π+2nπ…(2)…(答)
【例題5】…たぶん,高校生の正答率は1割以下.難しい
 0θπのとき,sin(θπ4)=sin2θを満たすθの値を求めてください.
(解答)
nは整数として
(1) θπ4=2θ+2nπより
気長に,nの値の範囲を求めているだけだが,生徒には難しいらしい
0θ=π42nππ
π42nπ54π
142n54
18n58
これに該当する整数値nはない
(2) θπ4=2θ+(2n+1)πより
3θ=π4+(2n+1)π
0θ=π12+2n+13ππ
π122n+13π1112π
1122n+131112
142n+1114
542n74
58n78
これに該当する整数値はn=0
したがって,θ=π12+13π=512π…(答)

【例題6】…もう高校生2年生ではほとんど解けないかも
 0≦θ≦πのとき,sin(θπ4)=cos2θを満たすθの値を求めてください.
(解答)
sin(θπ4)=sin(π22θ)と変形する.
なぜ,そのような変形をするのか?それは,加法定理などの変形方法をまだ習っていない段階では,sinθ=cosαの形からでは解き方の手がかりがなく,sinθ=sinαの形からなら解き方が分かるから,sinにそろえたということ.
 特に,sin(π2θ)を使わなければならない訳ではなく,sin(π2+θ),sin(3π2θ),sin(3π2+θ)でもよいが,一番簡単なものを使ったということ
nは整数として
(1) θπ4=π22θ+2nπより
3θ=34π+2nπ
0θ=π4+23nππ
π423nπ34π
1423n34
38n98
これに該当する整数値はn=0, 1
n=0のとき,θ=π4
n=1のとき,θ=π4+23π=1112π
(2) θπ4=(π22θ)+(2n+1)πより
0θ=π4(2n+1)ππ
π4(2n+1)π34π
14(2n+1)34
142n+134
342n74
38n78
これに該当する整数値はない
(1)(2)から,θ=π4,1112π…(答)

【三角方程式の一般解】
(A) cosθ=aの1つの解をαとするとき,
θ=±α+2nπnは整数]
の形に書ける角度はすべて解になる.
 上記の(A)の公式は,次の(B)の形に書くこともできる.
(B) cosθ=cosαのとき,
θ=±α+2nπnは整数]
が成り立つ.

【例題7】
 cosθ=12を満たすθの値を求めてください.
(解答)
 cos23π=12だから,α=23πは1つの解となる.
θ=±23π+2nπnは整数]…(答)
【例題8】
 0θπのとき,cos(θ+π4)=cos2θを満たすθの値を求めてください.
(解答)
nは整数として
(1) θ+π4=2θ+2nπより
0θ=π42nππ
π42nπ34π
142n34
18n38
これに該当する整数値はn=0
n=0のとき,θ=π4
(2) θ+π4=2θ+2nπより
3θ=π4+2nπ
0θ=π12+23nππ
π1223nπ1312π
11223n1312
18n138
これに該当する整数値はn=1
したがって,π12+23π=712π
以上から,θ=π4,712π…(答)
【例題9】
 0≦θ≦πのとき,cos(3θπ4)=sinθを満たすθの値を求めてください.
(解答)
cos(3θπ4)=cos(π2θ)と変形する.
正弦にそろえてもできる
nは整数として
(1) 3θπ4=π2θ+2nπより
4θ=34π+2nπ
0θ=316π+n2ππ
316πn2π1316π
38n21316
38n138
これに該当する整数値はn=0, 1
n=0のとき,θ=316π
n=1のとき,θ=316π+π2=1116π
(2) 3θπ4=(π2θ)+2nπより
2θ=π4+2nπ
0θ=π8+nππ
π8nπ98π
18n98
これに該当する整数値はn=1
n=1のとき,θ=78π
(1)(2)から,θ=316π,1116π,78π…(答)

【三角方程式の一般解】
(A) tanθ=aの1つの解をαとするとき,
θ=α+nπnは整数]
の形に書ける角度はすべて解になる.
 上記の(A)の公式は,次の(B)の形に書くこともできる.
(B) tanθ=tanαのとき,
θ=α+nπnは整数]
が成り立つ.

【例題10】
 tanθ=13を満たすθの値を求めてください.
(解答)
 tan56π=13だから,α=56πは1つの解となる.
θ=56π+nπnは整数]…(答)
【例題11】
 0θπのとき,tan2θ=tan(θ+π6)を満たすθの値を求めてください.
(解答)
nは整数として
2θ=θ+π6+nπより
0θ=π6+nππ
π6nπ56π
16n56
これに該当する整数値はn=0
n=0のとき,θ=π6…(答)
【例題12】
 0≦θ≦πのとき,tan(θ+π6)=1tan2θを満たすθの値を求めてください.
(解答)
tan(θ+π6)=tan(π22θ)と変形する.
tanにそろえる方法はいろいろあるが,一番簡単なものを使ったということ
nは整数として
θ+π6=π22θ+nπより
3θ=π3+nπ
0θ=π9+n3ππ
π9n3π89π
19n389
13n83
これに該当する整数値はn=0, 1, 2
n=0のとき,θ=π9
n=1のとき,θ=4π9
n=2のとき,θ=7π9
θ=π9,49π,79π…(答)
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