![]() ![]() *** 科目 *** 数Ⅰ・A数Ⅱ・B数Ⅲ高卒・大学初年度 *** 単元 *** 式と証明点と直線円軌跡と領域三角関数 指数関数対数関数微分不定積分定積分 高次方程式数列漸化式と数学的帰納法 平面ベクトル空間ベクトル確率分布 ※高校数学Ⅱの「高次方程式」について,このサイトには次の教材があります.
この頁へGoogleやYAHOO ! などの検索から直接来てしまったので「前提となっている内容が分からない」という場合や「この頁は分かったがもっと応用問題を見たい」という場合は,他の頁を見てください. が現在地です. ↓複素数の定義・計算 ↓同(2)-現在地 ↓同(3) ↓同(4) ↓複素数の対称式,値の代入 ↓複素数のいろいろな問題 ↓共役複素数 ↓2次方程式の解の公式 ↓同(2) ↓解と係数の関係 ↓判別式 ↓二直線を表す方程式 ↓剰余の定理 ↓同(2) ↓同(3) ↓試験問題(剰余の定理) ↓因数定理 ↓高次方程式 ↓3次方程式の解と係数の関係 ↓同(2) ↓1の虚数3乗根ω 実係数方程式,有理係数方程式 |
■虚数単位iの導入 根号を用いて2次方程式を解くには、x2=a ⇒ x=± ![]() これによりx2=−1を解くと、x=± ![]() ![]() 同様にして、x2=−2 ⇒ x=± ![]() x2=−3 ⇒ x=± ![]() となりますが、「負の数のルート」を表す記号を1つずつ作らなくても1つだけi= ![]()
【虚数単位iの定義】
さらに、x2−2x+5=0すなわち(x−1)2=−4のような2次方程式についてもx2=−1の1つの解 ![]() すなわち i= ![]() i2=−1 …(2) x−1=± ![]() x−1=±2i x=1±2i 一般に2次方程式を解くと、 (x−p)2=−q ⇒ x−p=± ![]() x=p± ![]() の形の数が登場します。(p , qは実数) そこでa+bi (a , bは実数)の形の数を考えれば、すべての2次方程式の解を表すことができます。このa+bi (a , bは実数)の形の数を複素数といい,aを実部、bを虚部といいいます。 |
■虚数単位i=![]()
(1) −
![]() (2) ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() (3) ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() (4) ![]() ![]() ![]() ![]() (5) ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() (6)
※ 負の数のルートについて,次のようなものは必ずしも等しいとはいえません.
○ 正しく変形するためには,「負の数のルートが登場したら,そのたびに虚数単位iで表すようにします.」
![]() ![]() ![]() (解説)
•
• だから, • だから, • だから,
•
• だから, • だから, • だから, ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() になります. |
【問題1】 次の式を計算してください.負の数のルートが登場するときは,虚数単位iを使って表してください. (下の選択肢から選んでください.)
負の数のルートを取り除いて代わりに正の数のルートと虚数単位iを付けます.
![]() ![]() ※負の数のルート ![]() ![]() ![]() ![]() |
負の数のルートを取り除いて代わりに正の数のルートと虚数単位iを付けます.
![]() ![]() 正の数のルートについては,中学校以来の計算規則に従って計算します. ![]() |
負の数のルートを取り除いて代わりに正の数のルートと虚数単位iを付けます.
![]() ![]() 正の数のルートについては,中学校以来の計算規則に従って計算します. ![]() ![]() ![]() |
負の数のルートの部分を虚数単位iで表し,他の部分はそのままにします.
− ![]() ![]() 正の数のルートについては,中学校以来の計算規則に従って計算します. − ![]() ![]() ![]() |
負の数のルートを「各々」虚数単位iで表します.(根号の中を先に計算してはいけません.)
![]() ![]() ![]() ![]() 正の数のルートについては,中学校以来の計算規則に従って計算します. (2 ![]() ![]() ![]() 虚数単位iの計算規則に従って虚数単位i2を−1に変えます. 6 ![]() ![]() |
【複素数の定義】
a+bi (a , bは実数)の形の数を複素数といい、aを実部、bを虚部という。(2つの要素から成り立っている数・・・複素数) 複素数のうちで、特にb=0のものを実数という。 例 5+0iすなわち5は実数 これに対してb≠0のものを虚数という。 例 5−3iは虚数 複素数のうちで、特にa=0のものを純虚数という。 例 0+3iすなわち3iは純虚数
【複素数の計算規則】
○ iを含む式は,最終的にa+bi (a, bは実数)の形になるように変形します.(1)虚数単位iを含んだ式の和差積商は,普通の文字式におけるaやxと同じように,係数をまとめて簡単にしたり,展開,約分など行うことができます.
2a+3a=5aと同様に2i+3i=5iとできます.
(2+x)(3+x)=6+5x+x2と同様に(2+i)(3+i)=6+5i+i2とできます. (x−2)2=x2−4x+4と同様に(i−2)2=i2−4i+4とできます. それでは,虚数単位の定義はどうなったのかと心配になりますが,普通の文字とは次の点が異なります. (2)虚数単位i2が登場したら−1に書き換えます.(登場するたびに書き換えてもよく,まとめて書き換えてもよい.)
(1+i)2=1+2i+i2=1+2i+(−1)=2i
i3=i2i=−i i4=i2i2=(−1)×(−1)=1 上で求めたi3=−iの結果を使ってi4=i3i=−i×i=−(−1)=1としてもよい.(どの段階で−1に書き換えても同じになります.)
例
(1+2i)+(3+4i)=4+6i
○ iを分母に含む式は,無理数の分母の有理化と同様の変形(共役複素数を掛ける)により,分母を実数にします.(1+2i)−(5+7i)=−4−5i (1+2i)(1−3i)=1−i−6i2=1−i+6=7−i
分母がa+bi ⇒ 分母分子にa−biを掛ける.
例
分母がa−bi ⇒ 分母分子にa+biを掛ける. ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() と同様にして ![]() ![]() ![]() (※iで割ることが符号を変えることと同じ結果になり,奇妙に見えますが, i2=−1だから ![]() が成り立ちます.) ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() と同様にして ![]() ![]() ![]() ![]() (i2=−1に注意)
※一般には,分母を2乗にしても実数にはできません.分母を実数にするためには,分母a+biの虚部の符号が逆のa−bi(共役複素数)を掛けなければなりません.
![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
![]() 一番広い範囲のa+biの形で表される数が複素数です.
※正確に言えば
![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]()
※これに対して,
![]() ![]() ![]() |
【問題2】 次の式を簡単にしてください. (下の選択肢から選んでください.)
(1−3i)−(2−5i)=1−3i−2+5i=−1+2i
|
普通の文字式と同様に展開します.
(2+3i)(1−i)=2−2i+3i−3i2 i2を−1に書き換えます. 2−2i+3i−3i2=2−2i+3i+3=5+i |
普通の文字式と同様に展開します.
(1−i)2=1−2i+i2 i2を−1に書き換えます. 1−2i+i2=1−2i−1=−2i |
i2ずつ束にします.
i2×i+i2×i2+i2×i2×i+i2×i2×i2 i2を−1に書き換えます. (−1)×i+(−1)×(−1)+(−1)×(−1)×i+(−1)×(−1)×(−1)=−i+1+i−1=0 |
分母分子にiを掛けます.
![]() ![]() ![]() i2を−1に書き換えます. ![]() |
分母分子に1−iを掛けます.
![]() ![]() ![]() i2を−1に書き換えます. ![]() |
【複素数の相等】
(解説)a, b, c, dが実数のとき ○ 2つの複素数が等しいのは,実部も虚部も等しいときに限る. a+bi=c+di ⇔ a=cかつb=d…(1) ○ 特に, a+bi=0 ⇔ a=0かつb=0…(2) (※複素数の等式1つは,実部と虚部に分けた1組の連立方程式と同じ値打があるということです.) (1) 実部だけが等しくても,2つの複素数が等しいとは言いません. 5+3i≠5+4i 虚部だけが等しくても,2つの複素数が等しいとは言いません. 4+3i≠5+5+3i 実部が少ない分を虚部が埋めわせることはできません. 3+5i≠5+3i (2) 0+0iのとき,単に0と書きます. ※(1)から(2),(2)から(1)のどちらも導けますので,どちらでやってもかまいません. |
【例】 x, yが実数のとき, x+3i=4+yiならばx=4かつy=3
(1)を使って,両辺の実部と虚部をそれぞれ比較すれば得られます.
ただし,(1)から(2),(2)から(1)のどちらも導けますので,(2)でやってもかまいません. たとえば, x+3i=4+yi ⇔(x−4)+(3−y)i=0 ⇔x−4=0かつ3−y=0 ⇔x=4かつy=3 とすれば(2)で考えていることになります. ※x, yが実数という条件がなければ,この問題は解けません. 例えば 1) x=−3i, y=4iのとき,(−3i)+3i=0, 4+4i2=0 となって,x+3i=4+yiが成り立ちます. 2) x=4−3i, y=0のとき,(4−3i)+3i=4+0i となって,x+3i=4+yiが成り立ちます. *) 要するに,x, yが実数という条件がなければ,x+3i=4+yiを満たす複素数x, yは幾らでもあります. |
【問題3】 次の等式を満たす実数x, yを求めてください. (下の選択肢から選んでください.)
実部の比較からx=5,虚部の比較からy=4となります.
(なお,yi=4iという答案をよく見かけますが,iを取り除いた形で答えるようにしましょう.) |
(3x+6)+(y−1)i=0⇔3x+6=0かつy−1=0
⇔x=−2かつy=1 |
(−2x+3y)+(x−y)i=−7+3i
⇔
![]() −2x+3y=−7…(A)
x−y=3…(B)
−2x+3y=−7 +)2x−2y=6 y=−1 (B)に代入:x=2 |
2x−3xi+2yi−3yi2=−7−9i
(2x+3y)+(−3x+2y)i=−7−9i ⇔
![]() 2x+3y=−7…(A)
−3x+2y=−9…(B)
4x+6y=−14 −)−9x+6y=−27 13x=13 x=1 (A)に代入:y=−3 |
【問題4】 (実係数方程式の虚数解)
x=2−iが2次方程式x2+ax+b=0の解となるように実数a, bの値を定めてください. (下の選択肢から選んでください.) 解説 a=4, b=5 a=4, b=−5 a=−4, b=5 a=−4, b=−5
慣れていないと難しい問題に見えますが,x=2−iが2次方程式x2+ax+b=0の解だから,代入すると成り立つはずです.
(2−i)2+a(2−i)+b=0 ここでa, bが実数だから,複素数の相等を使えば,係数比較の問題となります. 4−4i+i2+2a−ai+b=0 (3+2a+b)+(−a−4)i=0 ⇔
![]() 3+2a+b=0…(A)
−a−4=0…(B)
a=−4 (A)に代入:b=5 |
【問題5】 (実係数方程式の虚数解)
x=1+iが3次方程式x3+ax+b=0の解となるように実数a, bの値を定めてください. (下の選択肢から選んでください.) 解説 a=2, b=4 a=2, b=−4 a=−2, b=4 a=−2, b=−4
x=1+iが3次方程式x3+ax+b=0の解だから,代入すると成り立つはずです.
(1+i)3+a(1+i)+b=0 ここでa, bが実数だから,複素数の相等を使えば,係数比較の問題となります. ⇔1+3i+3i2+i3+a+ai+b=0 ⇔1+3i−3−i+a+ai+b=0 ⇔(−2+a+b)+(2+a)i=0 ⇔
![]() −2+a+b=0…(A)
2+a=0…(B)
a=−2 (A)に代入:b=4 |
【問題6】 (複素係数方程式の実数解)
2次方程式x2+(a+2i)x−(4+8i)=0が実数解をもつように実数aの値を定めてください. (下の選択肢から選んでください.) 解説 a=2 a=−2 a=3 a=−3 a=4 a=−4
※実係数の2次方程式ax2+bx+c=0 (a≠0)が実数解を持つ条件は,判別式D=b2−4acの符号によって調べることができますが,複素係数方程式が実数解を持つ条件は判別式の符号では調べられません.
実数a, xに対して,x2+(a+2i)x−(4+8i)=0が成り立つのだから,複素数の相等を使えば,係数比較の問題となります.
そもそも,a, b, cが実数であれば,2次方程式の解の公式から x= ![]() ![]() から虚数解が出てくる原因は,根号内b2−4acが負の数になる場合しかありません.だから,D=b2−4acの符号を調べれば,実数解をもつか虚数解をもつかを判別できたわけです. しかし,係数a, b, cが複素数であれば,上記の式(*)において,分母の2aや分子の−bはそれ単独で虚数となる可能性があります.このような訳で,複素係数方程式が実数解をもつ条件は判別式では調べられません. x2+ax+2xi−4−8i=0 ⇔(x2+ax−4)+(2x−8)i=0 ⇔
![]() x2+ax−4=0…(A)
2x−8=0…(B)
x=4 (A)に代入:a=−3 |
![]() ![]() |
■[個別の頁からの質問に対する回答][複素数の計算について/17.5.10]
「√{2×(-1)}=√2√-1」と「次の変形規則が自由に使えるのは,a>0, b>0の場合であり,それ以外の場合は必ずしも成り立つとは限りません√a√b=√ab」が少し気になりました
自由に使ってないのかもわかりませんが、a,bの少なくとも一方が正であれば良いような気がします
「√{2×(-1)}=√2√-1」が成り立つ根拠となるものはどこを見たら良いでしょうか
分数の方を計算してみると分母が鬼門なので、少なくともb>0であれば掛け算も分数も良さそうです
=>[作者]:連絡ありがとう.注意深く読んでもらっているということがよくわかります. ご質問の場合については,その通り少なくとも一方が正なら成り立ちます.東京図書の教科書には, (1) a>0, b>0 (2) a>0, b<0 (3) a<0, b>0 (4) a<0, b<0 の各場合について (A) のどれが成り立つか一覧表を作りなさい.という問題が出ています.その問題は深く考えさせる良問だと思う. 私の教材で「次の変形規則が自由に使えるのは,a>0, b>0の場合であり,それ以外の場合は必ずしも成り立つとは限りません.」とは,成り立つ場合と成り立たない場合があるということです.いわゆる部分否定です.とりあえずにっこり笑って「安全に変形できる」のは,「両方とも正の場合」ということで,それ以外は正誤様々です. |
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