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複素数の定義・計算
同(2)
同(3)
同(4)
複素数の対称式,値の代入
複素数のいろいろな問題
共役複素数
2次方程式の解の公式
同(2)
解と係数の関係
判別式
二直線を表す方程式
剰余の定理
同(2)
同(3)
試験問題(剰余の定理)
因数定理-現在地
高次方程式
3次方程式の解と係数の関係
同(2)
1の虚数3乗根ω
実係数方程式,有理係数方程式

因数定理による因数分解
** 前のページの復習 **
【剰余の定理1】
整式P(x)x−aで割った余りはP(a)に等しい.
【剰余の定理2.1】
整式P(x)xbaで割った余りはP(ba)に等しい.
【剰余の定理2.2】
整式P(x)ax−bで割った余りはP(ba)に等しい.
(参考)
(1) 定理1において,見かけで判断してaを整数と解釈することが多いが,実際にはそのような制限はない.したがって,aは分数でもよく,無理数でもよい.aを分数とすると2.1の定理が得られる.ただし,定理2.1では見かけで分かるようにa, bを整数と考えて見やすい形に書いただけである.
例えば,P(x)=x22のとき,
P(2)=22=0で,余り0,つまり割り切れるが,それはP(x)=x22=(x2)(x+2)に対応している.
(2) 2.1と2.2には矛盾はないことに注意.例えばP(12)は,整式P(x)x12で割った余りなのか,2x−1で割った余りなのか,どっちなのかと問う必要はない.
例えば,P(x)=2x2+x+2のとき,
P(12)=12+12+2=3であるが,この余り3はx12で割った余りでもあり,2x−1で割った余りでもある.次の例から分かるように「余りは等しい」からである.(「商は2倍だけ違う」)
P(x)=2x2+x+2=(x12)(2x+2)+3
=(2x1)(x+1)+3
(要約)
 数学的には,定理1だけでよいが,分数の場合に見かけで分かり易いように,定理2.1,2.2も使ってよい.ただし,2.1,2.2ではa, bは整数として使う.

 剰余の定理において,「余りが0」になる場合「割り切れる」から,次の因数定理が成り立つ.
【因数定理1】
整式P(x)についてP(a)=0が成り立つならば,P(x)x−aで割り切れる.
【因数定理2.1】
整式P(x)についてP(ba)=0が成り立つならば,P(x)xbaで割り切れる.
【因数定理2.2】
整式P(x)についてP(ba)=0が成り立つならば,ax−bで割り切れる.

【例題1】 次の式を因数分解してください.
x3+2x2x2
 因数定理を使って因数分解するには,与えられた整式をP(x)とおいて,適当な整数a
a=1, 2, 3, ···, −1, −2, −3, ···を代入して,ちょうど0になるものを探します.
 そういう意味では,人聞きひとぎきがよくないですが,「因数分解は,ある程度はまぐれ当たりねらいです」.運が良ければ,速く当たり,運が悪ければ,なかなか当たりません.
(答案)
P(x)=x3+2x2x2とおくと
P(1)=13+2×1212=0だから
P(x)x−1で割り切れる.
割り算を行うと
x2+3x+2
x1)x3+2x2x2
x3x2
3x2x
3x23x
2x2
2x2
0
したがって,x3+2x2x2=(x1)(x2+3x+2)
残りが2次式になると,和と積を考える因数分解とか,たすき掛けの因数分解などを使って,さらに行けるところまで行けばよい
(x1)(x+1)(x+2)…(答)

 因数定理には「まぐれ当たり」の要素がありますが,全くのデタラメではありません.もう少し,効果的に「当てる」方法があります.整数係数で因数分解できる限り,もし
P(x)=ax3+bx2+cx+d
=(Ax+B)(Cx2+Dx+E)
のように因数分解できるのなら,少なくとも次の関係が成り立ちます.
AC=a
BE=d
 したがって,「Aaの約数」「Bdの約数」でなければならない.
 Ax+Bで割り切れる P(BA)=0
【重要】
 このようにして,整数係数の3次式P(x)=ax3+bx2+cx+dが,もし整数係数で因数分解できるのなら
P(±dの約数)
aの約数
の中に,ちょうど0になるものがあるはずです.
【例題2】 次の式を因数分解してください.
x34x2+x+6
x3の係数が1,定数項が6だから
±(分子は6の約数=1,2,3,6)/(分母は1
すなわち,±1, ±2,±3,±6のうちのどれかで合うはずです.
(答案)
P(x)=x34x2+x+6とおくと
P(1)=141+6=0だから
P(x)x+1で割り切れる.
割り算を行うと
x25x+6
x+1)x34x2+x+6
x3+x2
5x2+x
5x25x
6x+6
6x+6
0
x34x2+x+6=(x+1)(x25x+6)
=(x+1)(x2)(x3)…(答)

 因数定理を使った因数分解のポイントは,因数を見つけたら,割り算によって次数が下げられるところにあります.
 しかし,因数が全部見つかったら,割り算も省略できます.
【例題3】 次の式を因数分解してください.
x3+3x2x3
x3の係数が1,定数項が−3だから
±(分子は3の約数=1,3)/(分母は1)
すなわち,±1,±3;のうちのどれかで合うはずです.
(答案)
P(x)=x3+3x2x3とおくと
P(1)=1+313=0
P(1)=1+3+13=0
P(3)=27+27+33=0だから
P(x)(x−1)(x+1)(x+3)で割り切れる.
問題のx3の係数は1だから
(x−1)(x+1)(x+3)…(答)
※※ややこしい話=早合点禁物※※
 【重要】にまとめたことは
整数係数の多項式が,「整数係数で因数分解できるときは」
±定数項の約数
最高次の係数の約数
の中に合うものがあるはずだ,ということで,必ず整数係数に因数分解できることを保証するわけではない.
すなわち,整数係数に因数分解できない場合には,何も言えない.
【例】
P(x)=x22に対してP(±1),P(±2)のどれも0にはならない.実際には,P(x)=(x2)(x+2)になり,整数係数では因数分解できない.
【例】
P(x)=x32x2+3x4のように適当に作った3次式や4次式の多くは整数係数の1次式で因数分解できない.
⇒ しかし,心配はいらない.なぜなら,そういう問題が「因数分解しなさい」という問題で出題されることはないからである.(できない問題を出題したら,問題が間違っていることになる)

【問題1】 次の式を因数分解してください.(選択肢の中から正しいものを1つクリック)
(1)
x33x210x+24

(2)
x3+11x2+39x+45

(3)
2x3+x213x+6

(4)
3x3+10x29x4

 通常,単に「因数分解せよ」という場合は,係数に「整数または分数」を使った範囲で(すなわち有理数の範囲で)因数分解することが求められています.特に断り書きがなければ,無理数や複素数を係数に使った因数分解は要求されません.
【例1】x3+x22x2を因数分解せよ.
(x+1)(x22)…(答)
【例2】x3+x22x2を実数の範囲で因数分解せよ.
(x+1)(x2)(x+2)…(答)
【例3】x3x2+2x2を因数分解せよ.
(x1)(x2+2)…(答)
【例4】x3x2+2x2を複素数の範囲で因数分解せよ.
(x1)(x2i)(x+2i)…(答)
 係数に「整数または分数」を使った範囲で(すなわち有理数の範囲で)因数分解する場合に,次のような問題が出されたとき,x2x+1の方は有理係数では因数分解できないので,P(13)を見つけない限り,問題は解けません.
3x32x2+2x+1=(3x+1)(x2x+1)
 すでに述べた通り,±(1の約数)/(3の約数)の組合せの中にこの分数があります.
【例題4】 次の式を因数分解してください.
3x32x2+2x+1
x3の係数が3,定数項が1だから
±(分子は1の約数)/(分母は3の約数)
すなわち,±1, ±1/3 のうちのどれかで合うはずです.
(答案)
P(x)=3x32x2+2x+1とおくと
P(13)=192923+1=0だから
P(x)3x+1で割り切れる.
割り算を行うと
x2x+1
3x+1)3x32x2+2x+1
3x3+x2
3x2+2x
3x2x
3x+1
3x+1
0
3x32x2+2x+1=(3x+1)(x2x+1)…(答)

【問題2】 次の式を因数分解してください.(選択肢の中から正しいものを1つクリック)
(1)
2x3+x2+x1

(2)
2x3+x2x+3

 4次式を因数分解するときに,因数を1つ求めて割り算をしても,商はまだ3次式です.さらに,因数定理を使って割り算をすれば,2次式まで次数を下げられますが,この方法では因数定理を2回,割り算を2回行うことになり,計算量が多くなります.
 このような場合,初めに因数を2つ見つけるようにして,1回で2次下げる方がよいでしょう.
【例題5】 次の式を因数分解してください.
x4x37x2+x+6
x4の係数が1,定数項が6だから
±(分子は6の約数)/(分母は1の約数)
すなわち,±1, ±2,±3,±6 のうちのどれかで合うはずです.
(答案)
P(x)=x4x37x2+x6とおくと
P(1)=117+1+6=0
P(1)=1+171+6=0だから
P(x)(x1)(x+1)=x21で割り切れる.
割り算を行うと
x2x6
x21)x4x37x2+x+6
x4x2
x36x2+x
x3+x
6x2+6
6x2+6
0
x4x37x2+x+6=(x1)(x+1)(x2x6)
=(x1)(x+1)(x+2)(x3)…(答)

【問題3】 次の式を因数分解してください.(選択肢の中から正しいものを1つクリック)
(1)
x4+3x33x27x+6

(2)
6x47x3+12x2x2

(3)
4x48x3+17x213x12

■[個別の頁からの質問に対する回答][因数定理による因数分解について/18.9.7]
問題2の(2)で、正解と思われる(2X+3)(X^2-X+1)を選ぶとXになります。なお解説は間違ってません。
=>[作者]:連絡ありがとう.最近アップしたばかりのページですが,突っ込みどころ満載のボケネタを混ぜたわけではない.紛らわしい選択肢を作っているうちに,管理人が罠にかかったということです.やはり,点検は他人が一番のようで,訂正しました.

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