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【要点】 係数が実数である方程式が虚数解をもつと,なぜうれしいのか?
<例>
係数が実数であるような方程式 x3+ax2+bx−5=0 が 虚数解x=1+2iをもつとき・・・ 次のようにしてa, bの値が定まり,残りの解も求まります。
○ 虚数x=1+2iが解であるとき,
(1+2i)3+a(1+2i)2+b(1+2i)−5=0から (a, bの式1)+(a, bの式2)i=0・・・(A) のように変形すると, a, bが実数であるから
※ポイントは(A)の式が、実部と虚部の2つの式に分けられるところにあります:
□,○が実数のとき □+○i = 0 ならば □=0 かつ○=0
○ 実数x=1などが解であるような場合,
13+a×12+b×1−5=0からは a+b−4=0となり, 未知数が2つで方程式が1つのため,a, bが定まりません。
【例題】
a, bは実数の定数とする。3次方程式 x3+ ax2 + bx − 5 = 0 が 虚数解 x = 1 + 2i をもつとき,定数a, bの値を求めよ。また,他の解を求めよ。 (答案) x= 1 + 2i が解であるから, (1+ 2i )3 + a(1 + 2i )2 + b(1 + 2i ) − 5 = 0 これを整理すると,
1+3×2i+3(2i)2+(2i)3
+a(1+4i+4i2) +b(1+2i) −5=0 (1+6i−12−8i)+a(−3+4i)+b(1+2i)−5=0 (−11−2i)+a(−3+4i)+b(1+2i)−5=0 (−3a+b−6)+(4a+2b−2)i=0 ![]() 4a+2b−2= 0 ・・・(2) これより, a=−3,b=7 ・・・(答) また,x3− 3x2 + 7x − 5 = 0 を因数定理を用いて解くと
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【問題1】
a, bは実数の定数とする。3次方程式x3+ax2 +bx+5=0が虚数解x=2+iをもつとき,定数a, bの値を求めよ。また,他の解を求めよ。 (答案) (次の空欄を埋めなさい) x=2+iが解であるから,(2+i)3+a(2+i)2+b(2+i)+5=0 これを整理すると, ![]() +a(4+4i+i2)+b(2+i)+5=0 (8+12i-6-i)+a(4+4i-1)+b(2+i)+5=0 (2+11i)+a(3+4i)+b(2+i)+5=0 (2+3a+2b+5)+(11+4a+b)i=0 (3a+2b+7)+(4a+b+11)i=0 また,x3− 3x2 + x + 5 = 0 を因数定理を用いて解くと, (x + 1)(x2 - 4x + 5) = 0 より x = -1, 2 + i, 2 - i 他の解は,x = -1, 2 - i ・・・(答) |
【問題2】
a, bは実数の定数とする。3次方程式x3+ax2+bx+3=0が虚数解 (答案)・・・単純計算で押していく.他に,うまい手を思いつかないときの最後の手段 ![]() ![]() |
(別の考え方)…(発展学習:よりスマートな答案) [定理] 「実係数のn次方程式が虚数解(p+qi(q≠0))を解に持つならば,その共役複素数(p−qi)も解である」…(*) を用いると,次のように解くことができます。
(*)の説明
この定理は,入試問題においては以前から当然のように利用されていますが,現行教育課程では共役複素数に関する演算があまり登場しないので,現役生徒にはかなり難しいかもしれません. (1) 2次方程式の場合は簡単です. a, b, cが実数の定数であるとき,2次方程式ax2+bx+c=0 (a≠0)が虚数解p+qi(q≠0)を持つときはD=b2−4ac<0となり,2つの解は だから,一方をp+qiとすると他方はp−qiになります. (2) 3次以上の方程式f(x)=0の場合,解の公式を習わないので,次の関係を利用しますが,この関係も習わないので,現役生徒にはかなり難しい. (*) 習っていないのに出たらどうするのか?⇒上の【例題】【問題1】【問題2】の方法で解けます.
【例題】
(答案)a, bは実数の定数とする。3次方程式x3+ax2+bx+3=0が虚数解 実数係数方程式 x3+ax2+bx−5=0が虚数解α=1+2iをもつから,その共役複素数β=1−2iも解となる。 α,βが解となる2次方程式は,α+β=2,αβ=5より解と係数の関係を用いてx2 -2x +5 = 0 そこで x3+ax2+bx−5をx2−2x+5で割ると割り切れるはずだから ![]() より, 2a+b−1=0,−5a−15=0 a=−3,b=7 ・・・(答) このとき,商はx+(a+2)=x−1 (x−1)(x2−2x+5)=0よりx=1,1+2i,1−2i 他の解は,x=1,1−2i ・・・(答) |
【問題3】
(答案)前述の問題2を上記の別解の方法で解きなさい。(空欄を埋めなさい) a, bは実数の定数とする。3次方程式x3+ax2+bx+3=0が虚数解
実数係数方程式x3+ax2+bx+3=0が虚数解
a=,b=…(答)
![]() |
(さらに別解)・・・答だけなら簡単に分かる方法:穴埋め問題専用(記述式問題なら減点覚悟)
【例題】
(考え方)a, bは実数の定数とする。3次方程式x3+ax2+bx−5=0が虚数解x=1+2iをもつとき,定数a, bの値を求めよ。 x=1+2iを解とする実数係数の2次方程式は x−1=2iの辺々を2乗して x2−2x+1=−4 x2−2x+5=0
注意
(x3+ax2+bx−5)÷(x2−2x+5)x=1+2iのまま両辺を2乗するとiが消えない。 2iだけを2乗するように右辺に残すところがミソ。 =x+(a+2)…(2a+b−1)x+(−5a−15) 2a+b−1=0,−5a−15=0より a=−3,b=7…(答) |
ここまでに述べた考え方は,有理係数方程式が無理数解をもつときにも,使えます。
【例題】
(考え方)a, bは有理数の定数とする。3次方程式 x3+ax2+bx−1=0が無理数解 x2−2x+1=2 x2−2x−1=0
注意
(x3+ax2+bx−1)÷(x2−2x−1)
割り切れるはずだから=x+(a+2)・・・(2a+b+5)x+(a+1)
2a+b+5=0, a+1=0
この連立方程式を解くと
a=−1,b=−3・・・(答)
【例題】
a, b, c, dは有理数の定数とする。 4次方程式x4+ax3 +bx2+cx+d=0が解 (答案) まず,実係数の方程式を作る。 次に有理数の方程式を作る。 x4+10x2+25=12x2 x4−2x2+25=0 ゆえに,a=0, b=−2, c=0, d=25 ・・・(答) |
(このページのまとめ)
「実数係数方程式は虚数解をもつとき」や「有理数係数方程式が無理数解をもつとき,係数a,b,・・・などを求めるには ○ [解法1]
x=2+iやx=1+√2を代入して実部,虚部に分ける方法は常に有効
(特別な受験勉強を必要としないので現役向きのオーソドックスな答案となる。計算力を要する点だけが要注意。) ○[解法2]
実数係数や有理数係数の2次方程式を作り,割り算により商と余りをa,b,・・・で表し,余りが0となるべきことからa,b,・・・を求める方法は,方法を覚えておく必要があるが,計算量は少なくて済む傾向がある。
○[解法3]
与えられた数を解とする実数や有理数の問題を作ってしまう方法は,それしかないことを記述するのが難しい(記述答案では減点覚悟)が,係数a,b,・・・の答だけならすぐ求まる。
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■まとめの問題
【問題】
(答案1)a, b, c, dは整数の定数とする。 ここで,
(計算間違いが多い人には,このように仕事を分けて着実に行うのがお勧め)
を用いて書き直すと(−7+4√2i)+a(−√2+5i)+b(1+2√2i)+c(√2+i)+d=0 {(b+d−7)+(c−a)√2}+{(5a+c)+(2b+4)√2}i=0 a,b,c,d は実数だから (−7+b+d)+(c−a)√2=0・・・(1) (5a+c)+(2b+4)√2=0 ・・・(2) (1)においてa,b,c,dは有理数だから b+d−7=0・・・(3) c−a=0・・・(4) (2)においてa, b, c, dは有理数だから 5a+c=0・・・(5) 2b+4=0・・・(6) (3)(4)(5)(6)より (答案2)・・・穴埋め問題など答だけを書けばよいときのみ x=√2+i→x−√2=i→x2−2√2x+2=−1 →x2−2√2x+3=0 次に x2+3=2√2x→x4+6x2+9=8x2 →x4−2x2+9=0 a=0, b=−2, c=0, d=9・・・(答) |
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■[個別の頁からの質問に対する回答][実数係数方程式の虚数解について/17.6.6]
最後の解法の解説を探していたのですごく助かりました。ありがとうございました。
=>[作者]:連絡ありがとう. |
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