○ 和を表わす記号Σでは,次のように「式」の形のところの「変数で指定されたものを」「初めの値」から「終りの値まで」「1ずつ増やして」できる項の「和」を表わす. |
例1 k = 1+2+3+4+5 ( = 15 になる) 例2 k = 1+2+3+4+5+6+7 ( = 28 になる) 例3 k = 2+3+4 ( = 9 になる) |
○ Σ記号の内部で使う「変数」は,「式」の部分と同じ文字であればよく,どんな文字が使われているかは,和を求めた結果に影響しない.(変数が,式の部分と異なる文字のときは,無関係になりむしろ簡単になる[後出:例6,7参照]) |
例4 k = 1+2+3+4 ( = 10 になる) m = 1+2+3+4 ( = 10 になる) |
○ 「変数」で指定された文字だけを順に増加させるものとし,それ以外の文字や定数は変化させない. |
例5 5i = 5・1+5・2+5・3+5・4 (= 5+10+15+20 = 50 になる) (この i は虚数とは関係ない) 例6 n = n+n+n+n ( = 4n になる) 例7 5 = 5+5+5+5 ( = 20 になる) (注) 単に と書けば 1 を表わす約束になっている. したがって, = 1+1+…+1 = n となる. |
○ 「変数」は添字や指数などに使われることもある. |
例8 ak = a1+a2+a3+a4+a5 例9 2k = 21+22+23+24 = 2+4+8+16 ( = 30 になる) |
○ Σ記号は積でつながっている範囲まで作用する.作用する範囲を明確にするために「かっこ」が使える. |
例10 N+1 = ( 1+2+3+4+5 )+1 ( = 16 になる) 例11 ( N+1 ) = ( 2+3+4+5+6) ( = 20 になる) 例12 k(k+1) = 1・2+2・3+3・4+4・5+5・6 = (2+6+12+20+30=70になる) 例13 ( k+1 )2 = ( 1+1 )2+( 2+1 )2+…+( n+1 )2 |
○ Σ記号が有限個の和を表わすとき,次の性質を満たす.(和差,定数倍のΣは,Σの和差,定数倍になる) (1) ( ak+ bk ) = ak+ bk (2) cak = c ak (ただし,積や商のΣはΣの積や商とは一般に等しくない.) |
証明 (1) ( ak+ bk )=( a1+ b1 )+( a2+ b2 )+…+( an+ bn ) =( a1+a2+…+an )+ ( b1+b2+…+bn ) = ak+ bk は,1つの項を表す. 同様にして ※(無限個の和については,足し方の順序を勝手に変えると結果が変わってしまうことがあるが,)有限個の数列の和については,足し算の順序をどのように入れ替えても結果が等しくなるので,の組との組に分けて足してもよいということを表している (2) cak= ca1+ca2+…+can =c( a1+a2+…+an )=c ak |
○ 括弧を展開して別々に総和を求めることができる. |
例14 ( xk−c )2=( xk2−2cxk+c2 ) = xk2−2cxk+c2 |
例15 右の表のように,変数 X が n 個の値 x1, x2, …, xn をとるとき,これらn個の値の期待値(平均値)は, |
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例16 右の度数分布表において 度数の総和は N=fk 変数 Xの期待値(平均値)は だから, |
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例17 確率変数 X の確率分布が右の表で与えられるとき,確率変数 X の期待値(平均値)は, で定義されるから, |
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■簡単な穴埋め問題 (1) |
(2) k2=12+22+…+2 |
(3) m= xk とおくとき, ( xk−m )2= ( xk2−xk+2 ) = xk2−2 xk+2 = xk2−2m2+m2 = xk2−m2 |
(4) pk=1, E= xk pk, F= xk2pk,V=( xk−E )2pk のとき,V を E,F で表わすと, V=( xk2−xk+2 ) pk=xk2pk−2Exk pk+E2pk=−22+2=F−E2 (※英字の大文字・小文字の区別あり) |