高校〜大学基礎の数学用語.公式.例
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無限等比級数 ζ(ゼータ)関数 ダランベールの判定法 コーシーの判定法 ラーベの判定法 整級数と収束半径 |
[重要]
無限級数の定義の初めの方で「前から順に」と述べたことには,意味がある.すなわち,有限数列の和とは異なり,無限級数は「加え方の順序を勝手に変えたり」「勝手に括弧を付けて幾つかずつ先に計算したり」すると,結果が変わってしまう.• 有限数列の和とは異なり,無限級数はその並び方に重要な意味がある. • 無限級数の和を求めるとき,加え方の順序を勝手に変えたり,勝手に括弧を付けて幾つかずつ先に計算したりしてはいけない. • 第n部分和を求めてから,その極限を調べるのがポイント. そのため,無限級数の計算をするときは,厳密に「前から順に」加えて行かなければならない.もっと正確に言うと,無限級数の計算をするには,まず「第n部分和」を求めて,nの値がどのよう形で無限に大きくなっても,「第n部分和」が一定の値に近付くかどうかを調べなけれならない. このように,の極限で起こることはすべて「第n部分和」で準備されたものの結果となっているので,いきなり「無限」を考えるのでなく「第の部分和」の性質を十分調べておくことが重要となる. 例1
の和を求めたいときア) 初めから2つずつ組み合わせて消すと イ) 初めの1つ以外を2つずつ組み合わせて消すと ア)イ)のどちらが正しいか?実は両方とも間違っている.ア)イ)とも「前から順に」加えずに,「加え方の順序を勝手に変えている」のが間違いの原因です. 正しくは,次のように「第n部分和」を使って求める.
≪ミニ実験で傾向をつかむ≫
1) nが奇数のとき,第n部分和は第1項までの和:1 第2項までの和:1−1=0 第3項までの和:1−1+1=1 第4項までの和:1−1+1−1=0 →0と1が交代に出てくる 2) nが偶数のとき,第n部分和は nが限りなく大きくなるとき,(偶数も奇数もどこまでも登場するから)奇数番目までの和と偶数番目までの和が一致しないから,無限級数は収束しない. この無限級数の和は存在しない. |
例2
一般項がで定義される数列になっているもの,すなわちの和を求めたいとき ア) 3つずつ足していくと イ) 初めの1つ以外を3つずつ足していくと ウ) 初めの2つ以外を3つずつ足していくと ア)イ)ウ)のどちらが正しいか?もちろん,全部間違っている.「前から順に」加えずに,「加え方の順序を勝手に変えている」のが間違いの原因です. 正しくは,次のように「第n部分和」を使って求める. 1) n=3k+1(kは0以上の整数)のとき,第n部分和は 2) n=3k+2(kは0以上の整数)のとき,第n部分和は 3) n=3k(kは正の整数)のとき,第n部分和は nが限りなく大きくなるとき,nを3で割った余りによって異なる値になるから,無限級数は収束しない. |
【例1.1】
(解答)無限級数の収束・発散を調べてください. のときだから発散する |
【例1.2】
(解答)無限級数の収束・発散を調べてください. のときだから したがって,この無限級数は発散する 【例2.3】のようにζ関数と比較してもよい. |
【例2.1】
無限級数の収束・発散を調べてください.
収束することを示すには,|公比|が1よりも小さな無限等比級数と比較できたらよい.
(解答)発散することを示すには,|公比|が1よりも大きな無限等比級数と比較できたらよい. が十分大きな値のとき(),となるから 右辺は収束するから,左辺も収束する 【例4.2】のようにコーシーの判定法を用いても示せる |
【例2.2】
無限級数の収束・発散を調べてください.
ζ関数(s=2)と比較できたら示せる
(解答)が十分大きな値のとき(),となるから 右辺は収束するから,左辺も収束する |
【例2.3】
無限級数の収束・発散を調べてください.
ζ関数(s=1)と比較できたら示せる
(解答)だから 右辺は発散するから,左辺も発散する 【例1.2】のように示してもよい.
【例2.4】
無限級数の収束・発散を調べてください.
の積分と比較できたら示せる
(解答)右図で茶色の階段状図形の面積は水色の面積よりも大きいから ここで だから無限級数も発散する |
【例2.5】
無限級数の収束・発散を調べてください.
の積分と比較できたら示せる
(解答)右図で水色の面積は濃い茶色の階段状図形の面積と薄い茶色の階段状図形の間にあるから …(*) ここで にとおく置換積分を行う (k=1のときは【例2.4】の通り.k≠1のときは以下のようになる) したがって ア) 0<k<1のとき,だから,(*)式の第2辺が無限大に発散.追い出し論法により第3辺も無限大に発散する. イ) k>1のとき,だから,(*)の第2辺が収束.第1辺は単調増加かつ上に有界になるから収束.を足しても同じ. 以上をまとめると,ア)および【例2.4】から,0<k≦1のとき,発散する.イ)から,k>1のとき収束する. |
【例3.1】
(解答)無限級数の収束・発散を調べてください. とおくと, ダランベールの判定法(2)により収束する
【例3.2】
(解答)のとき,無限級数の収束・発散を調べてください. とおくと, ダランベールの判定法(2)により,のとき,この無限級数は収束する.のときは発散する.
【例3.3】
(解答)無限級数の収束・発散を調べてください. とおくと, ダランベールの判定法(2)により,この無限級数は収束する. |
【例3.4】
(解答)無限級数の収束・発散を調べてください. とおくと, ダランベールの判定法(2)により,この無限級数は収束する.
【例3.5】
(解答)無限級数の収束・発散を調べてください. とおくと, ダランベールの判定法(2)により,この無限級数は収束する.
【例3.6】
(解答)無限級数の収束・発散を調べてください. とおくと, ダランベールの判定法(2)により,この無限級数は収束する. |
【例4.1】
(解答)無限級数の収束・発散を調べてください. とおくと コーシーの判定法(2)により収束する. |
【例4.2】
(解答)無限級数の収束・発散を調べてください. とおくと コーシーの判定法(2)により収束する. |
ダランベールの判定法,コーシーの判定法でr=1の場合には,次の判定法が利用できる.
【ラーベの判定法】
無限正項級数について, (1) ある番号より先のnについて となる定数が存在すれば, は収束する. となる定数が存在すれば, は発散する. (ただし,はnに無関係な定数とする) |
(2) [次の形で使ってもよい]
となる定数が存在し, ならば,は収束する. ならば,は発散する. |
【例5.3】
(解答)無限級数の収束半径を求めてください. ダランベールの判定法により だから
この級数は,のマクローリン級数展開に対応しており
はで収束する
【例5.4】
(解答)無限級数の収束半径を求めてください. ダランベールの判定法により だから |
【例5.5】
(解答)無限級数の収束半径を求めてください. ダランベールの判定法により だから |