(1.1) 正の数に対して次の定積分で定義される関数を(オイラーの第2積分)ガンマ関数という.
1) ガンマ関数について,次の関係が成り立つ. 2) が正の整数であるとき 3) |
(証明) 1) 次の部分積分を行う 2) 1)の結果を使うと ここで だから 3) 後出(1.3) 1)により示される. |
(1.2)を正の数とするとき,次の定積分で定義される関数を(オイラーの第1積分)ベータ関数という.
1)が成り立つ 2) 置換積分により,次の式を示せる. 3) ベータ関数はガンマ関数と次の関係にある. 4) ベータ関数B(m, n)はm, n>0で定義されるが,特にm, nが正(または0)の整数のとき,次のように階乗で表せる. |
(証明) 1) において,次の置換積分を行う 2) に対して次の置換積分を行う |
3) のような2つの積分の積を と結び付けるには,1つの重積分として直交座標から極座標へ変換する方法が考えられる.その場合, とするために,2乗の形をした式が使いやすい. において,の変換を行うと 同様にして これらの積を求めると |
ここで,の関係を用いて,極座標に変換する
ヤコビアンは だから のとき 4) (1.1) 2)により,が正の整数であるとき だから |
(1.3) 誤差関数
(1.3)の誤差関数は,初等的に(多項式,分数関数,無理関数,指数関数,対数関数,三角関数,およびそれらの組合せ)では書けない.1) ガウスの積分公式 2) 3) 4) 右図のような正規分布(ただし定数倍の調整あり)で0〜xまでの面積を表す. 1) 誤差関数で積分区間が0〜無限の定積分は,ガウスの積分公式と呼ばれ,値を求めることができる. 重積分を利用する次の方法がよく見られる. とおくと |
ここで,の関係を用いて,極座標に変換する
ヤコビアンは だから
とおく置換積分を行うと
|
2)← 1)において,とおく置換積分を行うと したがって,1)の結果から 3)← 1)において,とおく置換積分を行うと |
1)の結果から 偶関数だから 結局 4)← 1)において,とおく置換積分を行うと 1)の結果から したがって |
Γ関数,B関数について,次の値を求めてください.
【問題1-1】
(解答)(1.1) 2)により,が正の整数であるとき だから …(答)
【問題1-2】
(解答)(1.1) 1)により, さらに,(1.4) 3)により, だから,…(答) |
【問題1-3】
(解答)(1.2) 3)により,…(答)
【問題1-4】
(解答)(1.5) 2)により, …(答) |
【問題1-5】
(解答)をΓ関数を用いて表してください. ガンマ関数の定義 において,と変換する置換積分を行うと のとき だから …(答) |
【問題1-6】
(解答)をΓ関数を用いて表してください. ただし,とする. ベータ関数の定義およびガンマ関数との関係式 において の変換により置換積分を行うと だから …(答) |
【問題1-7】
(解答)をベータ関数を使って表してください. ベータ関数の定義式 において の変換により置換積分を行うと ここで を代入すると …(答)
【問題1-8】
(解答)をベータ関数を使って表してください. 前問とほぼ同様の途中経過でできます. …(答) |
【問題1-9】
(解答)をベータ関数を使って表してください.ただし,とする. (1.2) 4)の式 において を代入すると …(答) だから
【問題1-10】
(解答)を正の数とするとき,次の関係式が成り立つことを証明してください. に対して次の部分積分で変換する. |