■数列,関数の極限
→ 印刷用PDF版は別頁
1について
分母→∞,分子→∞のときは,各々を最大項でくくるとよい
2について== → 0×1=0
根号を含む場合,「分母の無理化」(分子の有理化)が有効なことがある
3について−== → 0
(−1)nは
4について(1) nが偶数のとき,1 (2) nが奇数のとき,−1 となる.したがって,1+(−1)nは (1) nが偶数のとき,2 (2) nが奇数のとき,0 となって,どこまで行っても値の範囲が小さくならない(振動する)から → 収束しない
次の極限値は,自然対数の底の定義となっており,重要な極限として覚えておく必要がある
(1+)n=e (e=2.71828...)
5について
次の極限は,x→0の場合のもので,この問題とは関係ないことに注意
=1
この問題では,分子は−1≦sin nθ≦1であるのに対して,分母はn→∞となるから 0=≦≦=0 → 3 |
○この頁に登場する【問題】は,公益社団法人日本技術士会のホームページに掲載されている「技術士第一次試験過去問題 共通科目A 数学」の引用です.(=公表された著作物の引用)
○【解説】は個人の試案ですが,Web教材化にあたって「問題の転記ミス」「考え方の間違い」「プログラムの作動ミス」などが含まれる場合があり得ます. 問題や解説についての質問等は,原著作者を煩わせることなく,当Web教材の作成者(<浅尾>)に対して行ってください.
平成17年度技術士第一次試験問題[共通問題]
【数学】V-3 2つの数列{an}∞n=1,{bn}∞n=1について,次の命題のうち正しいものはどれか. 1an<bn (n=1,2,3,...)ならばan<bnである 2数列{anbn}∞n=1が収束するならば,{an}∞n=1,{bn}∞n=1 はともに収束する. 3an=∞かつbn=∞ならば,(an−bn)=0である. 4数列{an−bn}∞n=1が収束し,数列{an}∞n=1も収束する ならば,数列{bn}∞n=1も収束する. 5(an−bn)=∞ならban=∞かつbn=−∞である. 解説
1について
有限のnについて,an<bnのとき,
an<bnとなる場合とan=bn となる場合 があり,一般にはan≦bnとなる. したがって,an<bnとはいえない. ≪不等号が成り立たない例≫ an=, bn=のとき, an<bnであるが,an=bn 2について
≪成り立たない例≫
an=, bn=nのとき, anbn=1であるが bn=∞となる 3について
≪成り立たない例≫
an=n2, bn=nのとき, an=∞, bn=∞であるが (an−bn)=n(n−1)=∞となる 4について
≪成り立つ:証明≫
(an−bn)=α, an=β(α, βは有限確定値)のとき, (収束する数列の和や差は収束するから) bn={an−(an−bn)}=an−(an−bn)=β−α となる 5について
≪成り立たない例≫
an=n2, bn=nのとき, (an−bn)=n(n−1)=∞ であるが an=∞, bn=∞ となる → 4 |
平成18年度技術士第一次試験問題[共通問題]
【数学】V-1 =2が成立するa, bの値は,次のどれか. ただし,eは自然対数の底とする. 1a=0, b=0 2a=1, b=0 3a=−1, b=1 4a=2, b=1 5a=−2, b=1 解説
(必要条件で値を絞る)
分母→0であるとき,有限確定の極限をもつためには,分子→0が必要条件になる. したがって,(分子)→1−b=0 b=1 …(1) (1)を原式に代入すると =2 次に,左辺に
【ロピタルの定理】
を適用する.f(x), g(x)がx=aの近傍で微分可能で f(x)=0, g(x)=0のとき が存在するならば =が成り立つ =2 より,分母→0であるとき,有限確定の極限をもつためには,分子→0が必要条件になる. したがって,(分子)→2+a=0 a=−2 …(2) (十分条件を満たすことを示す) a=−2, b=1のとき,元の極限値が実際に2となることは,次のようにして示せる. (分母→0,分子→0) =(分母→0,分子→0) ==2 → 5 |
平成19年度技術士第一次試験問題[共通問題]
【数学】V-1 次の数列のうち,収束するものはどれか.ただし,対数は自然対数とする. 1log∞n=1 2∞n=1 32+(−1)n∞n=1 4∞n=1 5cos nπ∞n=1 解説
1について
log=log 1−log n=− log n
n→∞のとき− log n→−∞:収束しない
2について
n→∞のとき
3について分子は有限で,分母→∞だから,分数→0:収束する
(−1)nは
4について(1) nが偶数のとき,1 (2) nが奇数のとき,−1 となる.したがって,2+(−1)nは (1) nが偶数のとき,3 (2) nが奇数のとき,1 となって,どこまで行っても値の範囲が小さくならない(振動する)から → 収束しない
分母→∞,分子→∞のときは,各々を最大項でくくるとよい
5について==n → ∞:収束しない
cos nπは
(1) nが偶数のとき,1 (2) nが奇数のとき,−1 となる.したがって,どこまで行っても値の範囲が小さくならない(振動する)から → 収束しない → 2 |
=(−)
ここで=1だから (−)=−()2=−1 → 2 |
【ロピタルの定理】
ロピタルの定理を適用するf(x), g(x)がx=aの近傍で微分可能で f(x)=0, g(x)=0のとき が存在するならば =が成り立つ ==== → 2 |
ロピタルの定理を適用する
= ※循環論法という疑いを持たれないためには,この段階で指数関数に関する重要な極限
==
→ 3
=1 を利用する方がよいが,この問題のような選択問題においては,途中経過は採点されないので,次のように,さらにロピタルの定理を適用して,楽な計算にしても結果は同じになる |
分母,分子を各々の最大項でくくるとよい
==b× ここで,0<a<bのとき,0<<1だから ()n→0, ()n+1→0 したがって,原式の極限はb → 2 |
平成21年度と同じ問題である(選択肢は異なる組合せ).重要問題は何度でも出るということか?
ロピタルの定理を適用する==== → 4 |
■[個別の頁からの質問に対する回答][数列,関数の極限について/16.11.11]
平成23年度の問題についてなんですが、lim[x→∞]なのにnの関数になっていました。
一つ一つの解説が丁寧で分かりやすかったです。これからも使わせていただきたいと思います。
=>[作者]:連絡ありがとう.転記ミスがありましたので訂正しました. |