≪このページ内の目次≫ |
1.3 導関数
関数関数 |
関数 |
1.4 高階導関数
導関数などの記号で表される. 一般に,関数 などの記号で表される. 第2次以上の導関数を高次導関数(高階導関数)という. |
【例1.4.1】 次の関数の第n次導関数(n階導関数)を求めてください.(ただし,nは正の整数とする)
(解答)・・・
ア)イ) ウ) |
【例1.4.2】 次の関数の第n次導関数(n階導関数)を求めてください.(ただし,nは正の整数とする)
(解答)(1) (2) (1) (2) |
【例1.4.3】 次の関数の第n次導関数(n階導関数)を求めてください.(ただし,nは正の整数とする)
(解答)(1) (2) (1) (2)
二重階乗の記号
ア) イ) ※この問題では,奇数の二重階乗だけが登場する |
【例1.4.4】 次の関数の第n次導関数(n階導関数)を求めてください.(ただし,nは正の整数とする)
(解答)(1) (2) ![]() これらは,次のようにまとめることができる ![]() ![]() これらは,次のようにまとめることができる
すなわち,余弦関数は位相を
|
■正弦・余弦関数は位相を ■正接関数
【例1.4.5】 次の関数の第n次導関数(n階導関数)を求めてください.(ただし,nは正の整数とする)
(解答)(1) (2) (1) (2) |
【例1.4.6】
(解説)≪ライプニッツの公式≫~積の微分法について~ 以下はnについての数学的帰納法によって証明できる. (Ⅰ) n=1のとき すなわち は積の微分法により成立する. (Ⅱ) n=mのとき が成り立つと仮定すると 以下の変形は,外から見ていると機械的もしくは無味乾燥に見えるかもしれないが,シグマ記号の添え字の付け方を,偶数番目と奇数番目で集め直して,同類項の係数を整理しているだけである.具体的に各項を書き出してみると変形の意味が分かる. |
だから ![]() ここで,黒色で書かれた式について,次の組合せ公式(高校数学Aで習う)を使う. この問題では したがって,黒字の部分は 全体は ■無駄なく正確であっても, ■見通しよく,間違いが少ない「うまい話」に慣れよう. ■次の例を真似て,ライプニッツの公式を組み合わせて,見通しよく変形するとよい. |
【例1.4.6.1】
(解答)ここで, (形式的な記号 であるから( さらに, であるから さらに加えて, であるから |
【例1.4.6.2】
(解答)ここで, であるから( ↑【例1.4.3】を使うと あ~砂をかむような変形に陥ってきた~ブツブツ なお, |
【例1.4.6.3】
(解答)
この問題を(A)
(A)ライプニッツの公式は「うまい話」ですが,部分分数分解のように「定数倍の和差に分ける変形」は,「もっとうまい話」です. のように2つの関数の積と見なすと,ライプニッツの公式により
ここで
ここで
シグマ記号は,初項が (B)
【例1.4.6.4】
(解答)
この問題も前問と同様に(A)
(解答)(B)の商と余りに分ける方法のみ示すと
ここで
|
【例1.4.6.5】
(解答)
この問題も前問と同様に(A)関数の積と見てライプニッツの公式を適用する方法と(B)三角関数の積を和に直す方法の2つが考えられますが,(B)の方が楽にできます.
(解答)微積は,「線形が好き」「定数倍と和差に分けると有利」と言えます (B)の方法 三角関数の積を和に直す公式により 次に,三角関数の微分公式 により だから (A)の方法 ここで を使うと 三角関数の積を和に直す公式により ![]() が成り立つから
二項定理により
|
1.5 連続微分可能,Cn級,C∞級
n階導関数が連続であるような関数[1] まず,「
1.2の「連続と微分可能」の項で示したように,微分可能ならば連続であるので,同じ関数について微分可能の上にさらに連続をいう必要はない.
次のように言い直してもよい.「 「 [2] 次に,微分する動作は「n回微分する」と回の字を充て,できた関数は「n階導関数」と階の字を充てる. すなわち, 要約すれば,「Cn級すなわち したがって,ある正の整数nについて,Cn級と言える場合は,C1級~Cn−1級までのすべてに該当する. Cn級という用語がこのように定義されていると,実際に使うときに便利になる.例えば「関数 [5] 何回でも連続微分可能である関数は,C∞級と呼ばれる. 高校数学に登場する,n次式,多項式,分数関数(有理関数)の分母が0になるところ以外,三角関数,指数関数,対数関数の真数が正のところなど,これまでによく登場してきた関数はC∞級である.したがって,これらの関数は,C1級,C2級,C3級,・・・のいずれにも該当する. また,用語を広げて,関数 |
[6] 「ちょうどn回連続微分可能で,n+1回以上は連続微分可能ではない」関数を作ることは,むしろ難しい. 前述の【例1.1.2】の関数 次に,これを1回だけ積分した関数(ただし簡単にするために定数倍する) ア) イ) ア)とイ)が一致するから, しかし, 同様にして, 次の関数は,ワイエルシュトラスが1872に発表したもので,「至るところ連続で,至るところ微分不可能な関数」の例となっている.(発表当時から,驚きで迎えられたものらしい) ( ※筆者の能力では,分かりやすく説明するのは無理であるが,大雑把なイメージとしては,「どこまで細かく見て行っても,折れ曲がっているブラウン運動の軌跡」のようなものを考えるとよい. 一般に「連続であって,かつ,微分不可能な関数を積分すれば,1回だけ微分可能な関数になり,2回積分すれば1回だけ微分可能な関数となる.」 これにより, |
1.6 近似式
【平均値の定理】
関数 を満たす ![]() は,区間 ア) |
イ) 逆に, 結局,AからBに行く曲線
平均値の定理の重要な点の1つは,関数
平均値の定理の分母を払うと,すなわち |
【1次の近似式】
平均値の定理の分母を払った式 において,微分係数(傾き)を という式が得られる.この式は,真の値 ![]()
【例1.6.1】
(解答)
【例1.6.2】
(解答) |
【例1.6.3】
(解答)次に,46°を弧度法に直す
【例1.6.4】
(解答)
【例1.6.5】
(解答) |
【2次の近似式】
(解説)関数 で表される. 関数 となるように定数 両辺を 関数 を満たす そこで,この (*1)(*2)から 以上により④が示される. ※通常,2次の近似式までが多いが,同様にして,3次,4次の近似式を求めると次の形になる. (参考) 「 のように, これに対して,通常よく見る次の形は,「 |
【例1.6.6】
(解答)
【例1.6.7】
(解答) |
1.7 誤差の限界
上記の【例1.6.2】~【例1.6.6】などにおいて,小数第4位までの近似値を求める問題があったが,それらの問題において「真の値と小数第4位までの近似値が一致する」ということではない.特別な意味を持たせずに,近似式を使って小数第何位まで求めてみようと言う形で近似式の使い方を練習しただけである.これに対して,真の値と近似値との「誤差の限界」を調べたいときは,次のように求める. 1次の近似式は 2階導関数まで用いて真の値を求めると (ただし,
(1)と(2)の差が誤差であるから,誤差は3階導関数まで用いて真の値を求めると (ただし,
(3)と(4)の差が誤差であるから,誤差はを,剰余項という.実際上は, 【例1.6.2】では, この近似値の誤差の限界は,次のようにして計算できる. だから 誤差の限界は したがって,小数第2位から誤差が入って来る可能性がある. |
【例1.6.5】では, 例えば,x=0.1のときの近似値は,1.1になり,その誤差の限界は次のように計算できる. だから,x=0.1のとき,誤差の限界は したがって,小数第3位から誤差が入って来る可能性がある. この同じ式で2次の近似式まで求める場合,近似式は だから,x=0.1のとき,誤差の限界は したがって,小数第4位から誤差が入って来る可能性がある.
【例1.7.1】
(解答)とおくと x=0のまわりの1次の近似式は |
1.8 テイラーの定理
【テイラーの定理】(有限テイラー展開)
(解説)関数 ここで は剰余項と呼ばれる. 剰余項は, 【マクローリンの定理】(有限マクローリン展開) テイラーの定理において,特に ここで は剰余項と呼ばれる. 剰余項は, 2次の近似式④までは既に述べているので,ここでは3次の近似式を調べてみる. となる定数 両辺を さらに,両辺を 関数 となる 同様にして,(n−1)次の近似式を求めると,テイラーの定理が得られる.特に, |
【テイラー級数】(テイラー展開)
関数 となる場合, すなわち (ただし, のべき級数を 【マクローリン級数】(マクローリン展開) すなわち のべき級数をマクローリン級数という.また,この形に表すことをマクローリン展開するという. |
【例1.8.1】
(解答)
(1)
を各々求めてください.(級数の収束条件については,後で登場するので,ここでは収束条件を検討しなくてもよい)
(2) (3)n次までの有限マクローリン展開 (4)マクローリン級数 (1) (ただし, (2) (3) (ただし, (4) |
【例1.8.2】
(解答)次の関数のマクローリン展開を求めてください. (1) (2) (3) (4) (1) とおくと (2) とおくと,【例1.4.4】(1)の結果から (3) とおくと,【例1.4.4】(2)の結果から (4) とおくと,【例1.4.3】(1)の結果から だから, |
(その他,幾つかの関数のマクローリン展開[結果のみ]) ■三角関数 (#1) (ベルヌーイ数を になっている) (#2) (ベルヌーイ数を になっている) |
■逆三角関数 (#3) (この級数の一般項(n≧1)は になっている) (#4) (#5) ■双曲線関数 (#6) (#7) (#7) |
【例1.8.3】
(解答)次の関数のマクローリン展開を
積の微分法や商の微分法を使うよりも,商と余りに分けて「分数式は富士の山」(数研の用語)とする方が簡単になることが多い
のように変形してから高階導関数を求めるとよい. とおく
【例1.8.4】
(解答)次の関数のマクローリン展開を
全く何もない所から高階導関数を計算していくよりも,既知の結果が使える場面では,うまく利用する方が見通しよく,計算間違いも少なくなります.
から,符号を変えれば さらに,両辺に ( )以降は不要 |
【例1.8.5】
(解答)次の関数のマクローリン展開を
全く何もない所から高階導関数を計算していくよりも,既知の結果が使える場面では,うまく利用する方が見通しよく,計算間違いも少なくなります.
【例1.4.5】(1)のように三角関数の合成による方法,関数の積に対してライプニッツの公式を使う方法もあります.その他,4次の項までという指定を利用すると,次の方法が使えます. 5次以上の項は掛ける必要がない |
1.9 収束半径
テイラー級数やマクローリン級数は無限級数となるので,収束半径を考える必要があります.詳しくは,このページ,このページ参照
ほとんどの級数の収束判定は,ダランベールの判定法でできる.それでダメなときはコーシーの判定法もある.
【ダランベールの判定法の要点】無限正項級数 となる定数 となるとき, したがって,無限級数 となる定数 べき級数(整級数) が,収束するための条件は であるから,べき級数が収束するための すなわち,収束半径 ※ほとんどのべき級数は,③の形で 偶数次の項,奇数次の項だけから成るべき級数など判断が難しいときは,①②に戻って判断してもよい. ※ほとんどのべき級数について,収束半径はダランベールの判定法を使えば求められる.(コーシーの判定法が必要なものは少ない) |
【例1.9.1】
(解答)次の関数をマクローリン展開し,その収束半径を求めてください. マクローリン展開の求め方は【例1.8.1】参照 収束半径は
【例1.9.2】
(解答)次の関数をマクローリン展開し,その収束半径を求めてください. マクローリン展開の求め方は【例1.8.2】(2)参照 形式的に収束半径を求めようとすると,この問題のように奇数乗の項だけから成り立っている場合に の計算において,分母や分子が0になって当惑してしまうかもしれない.このような場合は,①②に戻って検討すればよい. のとき収束する.すなわち 収束半径は |
【例1.9.3】
(解答)次の関数をマクローリン展開し,その収束半径を求めてください. マクローリン展開の求め方は【例1.8.2】(4)参照 収束半径は
【例1.9.4】
(解答)次のべき級数の収束半径を求めてください. より |
【例1.9.5】
(解答)次のべき級数の収束半径を求めてください.
【例1.9.6】
(解答)次のべき級数の収束半径を求めてください. |
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