≪このページ内の目次≫ |
1.1 微分可能とは
関数について,極限値もしくは が存在するとき,はで微分可能といい,この極限値をのにおける微分係数といい,で表す.
【例1.1.1】
のにおける微分係数は 【例1.1.2】 について ア) のとき イ) のとき ア)で求めた右側微分係数とイ)で求めた左側微分係数が一致しないから,微分係数 は存在しない.したがって,この関数はにおいて微分可能ではない. |
1.3 導関数
関数がある区間で微分可能であるとき,その区間のの値に微分係数を対応させる関数を,の導関数といい,で表す.関数から導関数を求めることを,を微分するという. の導関数は,次の式で求められる. の増分をで表し,対応するの増分をで表すと,次のように書くこともできる. 関数の導関数は,次のような記号で表される. |
1.4 高階導関数
導関数がさらに微分可能であるとき,の導関数をの第2次導関数(2階導関数)といい,などの記号で表される. 一般に,関数を回(は正の整数とする)微分して得られる関数を,の第次導関数(n階導関数)といい などの記号で表される. 第2次以上の導関数を高次導関数(高階導関数)という.
【例1.4.1】 次の関数の第n次導関数(n階導関数)を求めてください.(ただし,nは正の整数とする)
(解答)(mは正の整数) ・・・
ア)のときイ)のとき ウ)のとき
【例1.4.2】 次の関数の第n次導関数(n階導関数)を求めてください.(ただし,nは正の整数とする)
(解答)(1) (2)(は正の実数) (1) (2)だから 何回微分しても同じ形(金太郎飴,鳴門巻き) を掛けたら微分になる
【例1.4.3】 次の関数の第n次導関数(n階導関数)を求めてください.(ただし,nは正の整数とする)
(解答)(1) (2) (1) (2)
二重階乗の記号は,階乗の階乗を表すのではなく,
ア)が偶数なら,2までの偶数だけを掛けたものを表す. イ)が奇数なら,1までの奇数だけを掛けたものを表す. ※この問題では,奇数の二重階乗だけが登場する
【例1.4.4】 次の関数の第n次導関数(n階導関数)を求めてください.(ただし,nは正の整数とする)
(解答)(1) (2) (1) これらは,次のようにまとめることができる
すなわち,正弦関数は位相を進めると微分になる.(位相をだけ遅らすと積分になる.)
(2) これらは,次のようにまとめることができる
すなわち,余弦関数は位相を進めると微分になる.(位相をだけ遅らすと積分になる.)
■正弦・余弦関数は位相を進めると微分になる.(位相をだけ遅らすと積分になる.) ■正接関数には,このうまい話はない
【例1.4.5】 次の関数の第n次導関数(n階導関数)を求めてください.(ただし,nは正の整数とする)
(解答)(1) (2) (1)
だから
とおくと (2)
【例1.4.6】
(解説)≪ライプニッツの公式≫〜積の微分法について〜 が区間Iにおいてn回微分可能であるとき 以下はnについての数学的帰納法によって証明できる. (T) n=1のとき すなわち は積の微分法により成立する. (U) n=mのとき が成り立つと仮定すると
以下の変形は,外から見ていると機械的もしくは無味乾燥に見えるかもしれないが,シグマ記号の添え字の付け方を,偶数番目と奇数番目で集め直して,同類項の係数を整理しているだけである.具体的に各項を書き出してみると変形の意味が分かる.
(T)(U)より,n=m+1のときも成り立つから,数学的帰納法によりすべての自然数nについて成り立つ・・・■証明終■だから :この形 ここで,黒色で書かれた式について,次の組合せ公式(高校数学Aで習う)を使う. この問題では したがって,黒字の部分は 全体は ■無駄なく正確であっても, ■見通しよく,間違いが少ない「うまい話」に慣れよう. ■次の例を真似て,ライプニッツの公式を組み合わせて,見通しよく変形するとよい. |
【例1.4.6.1】
(解答)のn階導関数を求めてください. ここで, (形式的な記号は自体を表す) であるから(の場合だけ消えずに残る) さらに,←【例1.4.4】 であるから さらに加えて,←高校数学Tの公式 であるから
【例1.4.6.2】
(解答)のn階導関数を求めてください. ここで, であるから(の場合だけ消えずに残る) ↑【例1.4.3】を使うと あ〜砂をかむような変形に陥ってきた〜ブツブツ なお,は,としても同じ |
【例1.4.6.3】
(解答)のn階導関数を求めてください.
この問題を(A)のように関数の積と見てライプニッツの公式を適用する方法と(B)のように部分分数分解する方法を比べてみると,(B)の方が楽にできます.
(A)ライプニッツの公式は「うまい話」ですが,部分分数分解のように「定数倍の和差に分ける変形」は,「もっとうまい話」です. のように2つの関数の積と見なすと,ライプニッツの公式により
ここで,,だから
ここでだから
シグマ記号は,初項が,公比が,項数がの等比数列の和だから (B) |
【例1.4.6.4】
(解答)のn階導関数を求めてください.
この問題も前問と同様に(A)のように関数の積と見てライプニッツの公式を適用する方法よりも(B)のように商と余りに分ける方(数研出版の言い方で「分数式は富士の山」)が楽にできます.和差に分けるのは,「とてもうまい話」です.
(解答)(B)の商と余りに分ける方法のみ示すと
ここで,,だから
【例1.4.6.5】
(解答)のn階導関数を求めてください.
この問題も前問と同様に(A)関数の積と見てライプニッツの公式を適用する方法と(B)三角関数の積を和に直す方法の2つが考えられますが,(B)の方が楽にできます.
(解答)微積は,「線形が好き」「定数倍と和差に分けると有利」と言えます (B)の方法 三角関数の積を和に直す公式により 次に,三角関数の微分公式 により だから (A)の方法 ここで を使うと 三角関数の積を和に直す公式により
右図のように
が成り立つから
二項定理により
|
1.5 連続微分可能,Cn級,C∞級
n階導関数が連続であるような関数をCn級の関数であるという.
※「Cn級」や「連続微分可能」という用語は,意味をうっかり取り違いやすいので,ていねいに読む必要がある.[1] まず,「が連続微分可能である」とは,「が連続でかつ微分可能である」ということではない.
1.2の「連続と微分可能」の項で示したように,微分可能ならば連続であるので,同じ関数について微分可能の上にさらに連続をいう必要はない.
次のように言い直してもよい.「が連続微分可能である」とは,「が微分可能でが連続である」ことをいう. 「が連続微分可能である」とは,「が(存在して)連続である」ことをいう.簡潔に言えば「が連続である」ことをいう.(が存在しなければこの話はないから,連続であると言えば,存在していることが言えている) [2] 次に,微分する動作は「n回微分する」と回の字を充て,できた関数は「n階導関数」と階の字を充てる. すなわち,をn回微分するとn階導関数になると言い方をする. [3] 「Cn級すなわちがn回連続微分可能である」とは「がn回微分可能でが連続である」ことをいう. 要約すれば,「Cn級すなわちがn回連続微分可能である」とは「が連続である」ことといえる. [4] 例えば,という関数は,1階導関数が連続で,2階導関数も連続で,3階導関数も連続,・・・になっているので,C1級,C2級,C3級,・・・のどれにでも該当する.実は,Cn級という用語は「ちょうどn回まで連続微分可能でn+1回までは連続微分可能ではない」という形の「ちょうど何回」という使い方をしない.はっきり言えば「少なくともn回連続微分可能であるときCn級」という. したがって,ある正の整数nについて,Cn級と言える場合は,C1級〜Cn−1級までのすべてに該当する. Cn級という用語がこのように定義されていると,実際に使うときに便利になる.例えば「関数が,C2級であるとき」などと書けば,少なくとも第2導関数までは連続であることが言えて,2階導関数までの議論が自由にできる.(3階以上の導関数については調べなくてもよい) [5] 何回でも連続微分可能である関数は,C∞級と呼ばれる. 高校数学に登場する,n次式,多項式,分数関数(有理関数)の分母が0になるところ以外,三角関数,指数関数,対数関数の真数が正のところなど,これまでによく登場してきた関数はC∞級である.したがって,これらの関数は,C1級,C2級,C3級,・・・のいずれにも該当する. また,用語を広げて,関数自体が連続であることを,C0級という(この場合,1回以上連続微分であっても構わない). [6] 「ちょうどn回連続微分可能で,n+1回以上は連続微分可能ではない」関数を作ることは,むしろ難しい. 前述の【例1.1.2】の関数は,連続であるが微分可能ではない.したがって,C0級である. 次に,これを1回だけ積分した関数(ただし簡単にするために定数倍する)は,のときだけ,微分可能性を調べる必要がある.(それ以外の点では連続微分可能) ア) のとき イ) のとき ア)とイ)が一致するから,において1回微分可能.また,1階導関数は連続. しかし,はにおいて微分可能ではないから,C1級であって,C2級でない. 同様にして,
という関数を考えると,1つの点においてn回連続微分可能であるがn+1回は連続微分可能でない関数の例となる.
ここまでの例は,1つの点でのみ微分可能でないために,微分可能な回数に制限があるものであったが,「多くの」いやはっきり言えば「無限の点で」微分不可能な関数の例は,大学の解析の講義で習うことがある(理学部でなければ習わない場合もある).次の関数は,ワイエルシュトラスが1872に発表したもので,「至るところ連続で,至るところ微分不可能な関数」の例となっている.(発表当時から,驚きで迎えられたものらしい) (,はを満たす数) ※筆者の能力では,分かりやすく説明するのは無理であるが,大雑把なイメージとしては,「どこまで細かく見て行っても,折れ曲がっているブラウン運動の軌跡」のようなものを考えるとよい. 一般に「連続であって,かつ,微分不可能な関数を積分すれば,1回だけ微分可能な関数になり,2回積分すれば1回だけ微分可能な関数となる.」 これにより,はC0級であって,C1級でない.を1回積分したものは,C1級であって,C2級でない.を2回積分したものは,C2級であって,C3級でない.・・・n回の微分で任意の点が微分不可能となる関数が示されたことになる. |
1.6 近似式
【平均値の定理】
証明は,高校数学Vや大学の教科書に出ています.ここでは,「図解により感覚的に」意味をつかむことにします.関数が閉区間で連続,開区間で微分可能ならば ・・・@ を満たすが少なくとも1つ存在する. は,区間の平均変化率で ア) における微分係数(接線の傾き)が,よりも大きいものばかりであれば,Aから関数のグラフを描いたとき,右図のように直線ABよりも上に行ってしまい,点Bにたどり着けません. イ) 逆に, における微分係数(接線の傾き)が,よりも小さいものばかりでも,Aから関数のグラフを描いたとき,右図のように直線ABよりも下に行ってしまい,点Bにたどり着けません. 結局,AからBに行く曲線を描けば,の途中にとなる点が少なくとも1つはできるということです.
平均値の定理の重要な点の1つは,関数がその導関数で表されるということです.例えば,において導関数の符号がつねに正だったら,関数は増加関数になるというような使い方は覚えていると思います.
平均値の定理の分母を払うと,すなわち を変数として使うと ・・・A |
【1次の近似式】
平均値の定理の分母を払った式 ・・・A において,微分係数(傾き)をの代わりに,を使うと ≒ ・・・B という式が得られる.この式は,真の値の代わりにその近似値を与えるもので「のまわりの1次の近似式」と呼ばれる.
【例1.6.1】
(解答)ののまわりの1次の近似式を求めてください.また,それを使っての近似値を求めてください. ≒ ・・・(答) ≒・・・(答)
【例1.6.2】
(解答)ののまわりの1次の近似式を求めてください.また,それを使っての近似値を小数第3位(第4位四捨五入)まで求めてください. ≒ ・・・(答) ≒ ≒・・・(答)
【例1.6.3】
(解答)ののまわりの1次の近似式を求めてください.また,それを使っての近似値を小数第3位(第4位四捨五入)まで求めてください. ≒ ・・・(答) 次に,46°を弧度法に直す に対して上記の近似式を適用すると ≒ ≒
【例1.6.4】
(解答)ののまわりの1次の近似式を求めてください. ≒ ・・・(答)
【例1.6.5】
(解答)ののまわりの1次の近似式を求めてください. ≒ ・・・(答) |
【2次の近似式】
(解説)関数が2回微分可能であるとき,「のまわりの2次の近似式」は ≒ ・・・C で表される. 関数をの2次式まで使った式で表したとき となるように定数を定める. 両辺をで微分すると ・・・(*1) 関数が2回微分可能であるから,関数に平均値の定理を適用すると を満たすが少なくとも1つ存在する. そこで,このをに置き換えると,近似値になる. ≒・・・(*2) (*1)(*2)から ≒ 以上によりCが示される. ※通常,2次の近似式までが多いが,同様にして,3次,4次の近似式を求めると次の形になる. ≒ ≒ (参考) 「のまわりの近似式」は のように,の多項式で表される. これに対して,通常よく見る次の形は,「のまわりの近似式」を表すときに使う. |
【例1.6.6】
(解答)ののまわりの2次の近似式を求めてください.また,それを使って,0.9875の近似値を小数第4位まで(小数第5位四捨五入)求めてください. ≒ ・・・(答) を代入すると ≒ ・・・(答)
【例1.6.7】
(解答)ののまわりの2次の近似式を求めてください.また,それを使って,の近似値を小数第3位まで(小数第4位四捨五入)求めてください. のまわりの2次の近似式は ≒ のとき ≒ ・・・(答) |
1.7 誤差の限界
上記の【例1.6.2】〜【例1.6.6】などにおいて,小数第4位までの近似値を求める問題があったが,それらの問題において「真の値と小数第4位までの近似値が一致する」ということではない.特別な意味を持たせずに,近似式を使って小数第何位まで求めてみようと言う形で近似式の使い方を練習しただけである.これに対して,真の値と近似値との「誤差の限界」を調べたいときは,次のように求める. 1次の近似式は ≒・・・(1) 2階導関数まで用いて真の値を求めると ・・・(2) (ただし,)
(1)と(2)の差が誤差であるから,誤差は≒・・・(3) 3階導関数まで用いて真の値を求めると ・・・(4) (ただし,)
(3)と(4)の差が誤差であるから,誤差はを,剰余項という.実際上は,の値が簡単には求められなくても,全体として大きめに余裕を持たせると誤差の限界を計算できる. 【例1.6.2】では,ののまわりの1次の近似式を使っての近似値を求めた. ≒ ≒ この近似値の誤差の限界は,次のようにして計算できる. だから 誤差の限界は ≒0.05236 したがって,小数第2位から誤差が入って来る可能性がある. 【例1.6.5】では,ののまわりの1次の近似式を求めた. ≒ 例えば,x=0.1のときの近似値は,1.1になり,その誤差の限界は次のように計算できる. だから,x=0.1のとき,誤差の限界は ≒0.0055 したがって,小数第3位から誤差が入って来る可能性がある. この同じ式で2次の近似式まで求める場合,近似式は ≒ だから,x=0.1のとき,誤差の限界は ≒0.000184 したがって,小数第4位から誤差が入って来る可能性がある. |
【例1.7.1】
(解答)のとき,近似式としてを用いた場合の誤差の限界を求めてください. とおくと x=0のまわりの1次の近似式は とするとき,剰余項は のとき,誤差の限界は |
1.8 テイラーの定理
【テイラーの定理】(有限テイラー展開)
(解説)関数がある区間Iにおいてn回微分可能であるとするとき,区間Iの任意の2点に対して,次の式を満たすが存在する. ここで は剰余項と呼ばれる. 剰余項は,となる0と1の間の数値を用いて表すこともできる. 【マクローリンの定理】(有限マクローリン展開) テイラーの定理において,特にの場合をマクローリンの定理という. ここで は剰余項と呼ばれる. 剰余項は,となる0と1の間の数値を用いて表すこともできる. 2次の近似式Cまでは既に述べているので,ここでは3次の近似式を調べてみる. となる定数を求めるには 両辺をで微分する さらに,両辺をで微分する 関数に対して平均値の定理を適用すると となるが存在するから 同様にして,(n−1)次の近似式を求めると,テイラーの定理が得られる.特に,とすればマクローリンの定理が得られる. |
【テイラー級数】(テイラー展開)
関数がある区間において無限回微分可能であって,テイラーの定理における剰余項が のとき となる場合, すなわち (ただし,は関数自体を表すものとする) のべき級数をのまわりのテイラー級数という.また,この形に表すことをテイラー展開するという. 【マクローリン級数】(マクローリン展開) すなわち のべき級数をマクローリン級数という.また,この形に表すことをマクローリン展開するという. |
【例1.8.1】
(解答)の
(1)のまわりのn次までの有限テイラー展開
を各々求めてください.(級数の収束条件については,後で登場するので,ここでは収束条件を検討しなくてもよい)
(2)のまわりのテイラー級数 (3)n次までの有限マクローリン展開 (4)マクローリン級数 は無限回微分可能で,だから (1) (ただし,) (2) (3) (ただし,) (4) |
【例1.8.2】
(解答)次の関数のマクローリン展開を求めてください. (1) (2) (3) (4) (1) とおくと (2) とおくと,【例1.4.4】(1)の結果から (3) とおくと,【例1.4.4】(2)の結果から (4) とおくと,【例1.4.3】(1)の結果から だから,とおくと |
(その他,幾つかの関数のマクローリン展開[結果のみ]) ■三角関数 (#1) (ベルヌーイ数をで表すとき,この級数の一般項は になっている) (#2) (ベルヌーイ数をで表すとき,この級数の一般項は になっている) ■逆三角関数 (#3) (この級数の一般項(n≧1)は になっている) (#4) (#5) ■双曲線関数 (#6) (#7) (#7) |
【例1.8.3】
(解答)次の関数のマクローリン展開をの項まで求めてください.
積の微分法や商の微分法を使うよりも,商と余りに分けて「分数式は富士の山」(数研の用語)とする方が簡単になることが多い
のように変形してから高階導関数を求めるとよい. とおく ・・・(答)
【例1.8.4】
(解答)次の関数のマクローリン展開をの項まで求めてください.
全く何もない所から高階導関数を計算していくよりも,既知の結果が使える場面では,うまく利用する方が見通しよく,計算間違いも少なくなります.
から,符号を変えれば さらに,両辺にを掛けると ( )以降は不要 ・・・(答) |
【例1.8.5】
(解答)次の関数のマクローリン展開をの項まで求めてください.
全く何もない所から高階導関数を計算していくよりも,既知の結果が使える場面では,うまく利用する方が見通しよく,計算間違いも少なくなります.
【例1.4.5】(1)のように三角関数の合成による方法,関数の積に対してライプニッツの公式を使う方法もあります.その他,4次の項までという指定を利用すると,次の方法が使えます. 5次以上の項は掛ける必要がない ・・・(答) |
1.9 収束半径
テイラー級数やマクローリン級数は無限級数となるので,収束半径を考える必要があります.詳しくは,このページ,このページ参照
ほとんどの級数の収束判定は,ダランベールの判定法でできる.それでダメなときはコーシーの判定法もある.
【ダランベールの判定法の要点】無限正項級数について,ある番号から先のに対して となる定数が存在するとき,すなわち となるとき,は収束する無限等比級数を超えないから,この級数も収束すると言える. したがって,無限級数が収束するための条件は ・・・@ となる定数が存在することである. べき級数(整級数) が,収束するための条件は ・・・A であるから,べき級数が収束するためののとり得る値の範囲は すなわち,収束半径は ・・・B ※ほとんどのべき級数は,Bの形での係数だけを使って収束半径を求められる. 偶数次の項,奇数次の項だけから成るべき級数など判断が難しいときは,@Aに戻って判断してもよい. ※ほとんどのべき級数について,収束半径はダランベールの判定法を使えば求められる.(コーシーの判定法が必要なものは少ない)
【例1.9.1】
(解答)次の関数をマクローリン展開し,その収束半径を求めてください. マクローリン展開の求め方は【例1.8.1】参照 収束半径は ・・・(答)
【例1.9.2】
(解答)次の関数をマクローリン展開し,その収束半径を求めてください. マクローリン展開の求め方は【例1.8.2】(2)参照 形式的に収束半径を求めようとすると,この問題のように奇数乗の項だけから成り立っている場合に の計算において,分母や分子が0になって当惑してしまうかもしれない.このような場合は,@Aに戻って検討すればよい. のとき収束する.すなわち 収束半径は・・・(答) |
【例1.9.3】
(解答)次の関数をマクローリン展開し,その収束半径を求めてください. マクローリン展開の求め方は【例1.8.2】(4)参照 収束半径は ・・・(答)
【例1.9.4】
(解答)次のべき級数の収束半径を求めてください. より ・・・(答) |
【例1.9.5】
(解答)次のべき級数の収束半径を求めてください. ・・・(答)
【例1.9.6】
(解答)次のべき級数の収束半径を求めてください. ・・・(答) |
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