1. 連分数の定義
次の形の分数を連分数という.この繰り返しnが有限回のものは有限連分数といい,無限回になっているものは無限連分数という. 2. 正則連分数の定義
すべてのとなっているものを正則連分数という.以下においては,正則連分数だけを扱う. |
3. 連分数の例
4. 連分数を表す記号
は, と書かれる.また,次のように書かれることもある. 整数部分だけセミコロンで区切る書き方もある. |
5. 有理数,無理数と連分数
1) 有理数は有限正則連分数で表せる.有限正則連分数は有理数を表す.
1)←2) 無理数は無限正則連分数で表せる.無限正則連分数は無理数を表す. 3) 2次無理数は,(無限)循環連分数で表せる.(無限)循環連分数は2次無理数を表す. (2次無理数とは,整数係数の既約2次方程式の解のこと) のような有限連分数を,分数の深い方から順に通分していけば,有限回の操作で整数分の整数になることは明らか. 逆に, のように,整数分の整数を連分数にする場合 11÷8=1…3 8÷3=2…2 となる余りは必ずよりも小さいから,この割り算は有限回で終わる.したがって,有限連分数になる. (ユークリッドの互除法の原理) |
2)← 1)の対偶を取ると 「有限正則連分数で表せないならば有理数でない」となるから「無限正則連分数ならば無理数である」と言える. 「有理数でないならば有限正則連分数でない」となるから「無理数ならば無限正則連分数である」と言える. 3)← (参考) ※連分数では有限が有理数に,無限が無理数に対応しているのに対して,小数では有理数と有限,無理数と無限は対応しないことに注意
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6. 例題
【例1】
(解答)を連分数で表してください. 割り算をして,商と余りに分ける(商は整数として分離,余りは分子に) 分子が分母よりも小さくなっているから,分の1にしてひっくり返す 割り算をして,商と余りに分ける(商は整数として分離,余りは分子に) 分子が分母よりも小さくなっているから,分の1にしてひっくり返す 割り算をして,商と余りに分ける(商は整数として分離,余りは分子に) 分子が分母よりも小さくなっているから,分の1にしてひっくり返す 割り算をして,商と余りに分ける(商は整数として分離,余りは分子に) …(答) …(答)
(備考)
と書けるから でも同じ |
【例2】
(解答)を連分数で表してください. 整数部分を0とする 分子が分母よりも小さくなっているから,分の1にしてひっくり返す 割り算をして,商と余りに分ける(商は整数として分離,余りは分子に) 分子が分母よりも小さくなっているから,分の1にしてひっくり返す 割り算をして,商と余りに分ける(商は整数として分離,余りは分子に) …(答) …(答) |
【例3】
(解答)次の連分数で表される有理数を整数整数 の形で表してください. …(答) |
【例4】
(解答)次の連分数で表される有理数を整数整数 の形で表してください. …(答) |
循環する無限小数(循環小数)は,のように,循環する部分(の両端)にドットを付けて表します. 循環する無限連分数(循環連分数)は,のように,循環する部分(の全体)にバーを付けて表します.
【例5】
(解答)を循環連分数で表してください. だから,の整数部分は1,残りは.これらを分離する. …(1) 残りの部分を,分の1にして分母と分子をひっくり返す. 分母を有理化する だから,の整数部分は2,残りは.これらを分離する. …(2) (1)と(2)のの部分は同じだから,の代わりに,が入る. これを繰り返すから これが限りなく繰り返される …(答) |
【例6】
(解答)の連分数展開を求めてください. だから,の整数部分は1,残りは.これらを分離する. …(1) 残りの部分を,分の1にして分母と分子をひっくり返す. 分母を有理化する だから,の整数部分は1,残りは.これらを分離する. 残りの部分を,分の1にして分母と分子をひっくり返す. だから,の整数部分は2,残りは.これらを分離する. …(2) (1)と(2)のの部分は同じだから,の代わりに,が入る. これが限りなく繰り返される …(答) |
7. 2次無理数と循環連分数
既約整数係数の2次方程式の解で表される数を2次無理数という.(ここでは,そのうちの正の数のみを考える)
上記の性質を一般的に証明するのは難しいが,個別具体的に内容を検討することはできる.
[例]
2次無理数について,次の性質が成り立つ.「2次無理数は循環する無限連分数に展開される.逆に,循環する無限連分数は2次無理数を表す.」 (1) 2次無理数の連分数展開[具体例] 整数部分が循環すると無限に大きな数になるから,整数部分を除いたものの連分数展開を考える. 例えば,だから,の整数部分は1 そこで,において,整数部分を取り除いたが循環連分数になる. …(1) …(2) とおくと, だから,は,次の整数係数2次方程式の解となっている. 一般に,循環する部分が1つの数であるとき, とおけるから,は,次の整数係数2次方程式の解となっている. |
循環する部分が2つの数であるとき, とけるから,は,次の整数係数2次方程式の解となっている. 循環する部分が3つ以上の数になる場合も同様だから,循環連分数は2次無理数を表すと言える. (3) 2次無理数が循環連分数になること(一般的に証明することは難しいので例のみを示す) だから,の整数部分は1 とおくと したがって だから,の整数部分は1 とおくと ここで, だから したがって |
8. 超越無理数と連分数
超越無理数(代数方程式の解以外の無理数)やは循環しない無限連分数に展開される.有理数は有限連分数に,2次無理数は循環連分数に展開されるので,それらのいずれでもない超越無理数は,有限連分数ではなく無限連分数でかつ循環しないものになる.
だから
だから だから この作業を続ける |
だから
だから だから この作業を続ける の連分数展開を適当な回数まで行い,の近似値を分数で表すことができる. など |