無理方程式=x−2を両辺を2乗して解くと,
x=(x−2)2
となって,正しい解x=4以外に,原方程式の解でないもの(無縁根,無縁解)x=1も混ざってきます.x=x2−4x+4 x2−5x+4=0 (x−1)(x−4)=0 x=1, 4 これは,2乗すると原方程式を満たすもの以外に −=x−2を満たすものが入って来るためで,グラフで言えば図1の赤色の曲線y=と黄色の直線y=x−2の交点x=4, y=2という原方程式の解に相当するものの他に,灰色の曲線y=−と黄色の直線y=x−2の交点x=1, y=−1という無関係なものも混入するためです.
図1
このことと関連して,無理不等式>x−2を,不注意に両辺を2乗してx>(x−2)2で解いてしまうと,1<x<4という間違った範囲が得られます.(図1で赤色の曲線が黄色の直線よりも上にある範囲は0≦x<4)同様にして,無理不等式<x−2を,不注意に両辺を2乗してx<(x−2)2で解いてしまうと,x<1, 4<xという間違った範囲が得られます.(図1で赤色の曲線が黄色の直線よりも下にある範囲は4<x) この頁では,無理不等式の解き方について
(A) 数式変形で解く方法
の2つを紹介します.
(B) グラフで解く方法 |
(A) 数式変形で解く方法[1] >x−2 が成り立つためには
・ が定義されるためにはx≧0でなければなりません.(2つのものの大小関係が言えるためには,両方とも定義されていなければなりません.)
・ さらに,x−2≧0も成り立つときは,0以上の2つのものは2乗比較してよいから,原不等式はx>(x−2)2に書き換えることができます. ・ x≧0であって,かつ,x−2<0のときは2乗するまでもなく,(0以上の数)>(負の数)が成り立ちます. 以上の内容は次のようにまとめられます.
(2)からは,x≧0かつx<2となって,0≦x<2が得られます. これらは,x=2のところでつながるので,結局0≦x<4が解となります. |
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【要点】
※f(x)が定義されることを前提として, (1) g(x)≧0なら2乗比較する (2) g(x)<0なら当然成立する |
(A) 数式変形で解く方法[2] <x−2 が成り立つためには
・ が定義されるためにはx≧0でなければなりません.(2つのものの大小関係が言えるためには,両方とも定義されていなければなりません.)
・ 左辺は0以上だからx−2=0では不等式は成り立ちませんが,x−2>0が成り立つとき,0以上の2つのものは2乗比較してよいから,原不等式はx<(x−2)2に書き換えることができます. ・ x−2<0のときは成り立ちません. 以上の内容は次のようにまとめられます.
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【要点】
※f(x)が定義されることを前提として, (1) g(x)>0なら2乗比較する (*) g(x)≦0なら解はない |
(B) グラフで解く方法 >x−2 をグラフで解くには,図1のようなグラフを描き,赤色の曲線が黄色の直線よりも上にあるようなxの範囲を解とします. そのとき,x=0のところも2つの関数が定義されていて,かつ, >−2が成り立っていることに注意してください.解にはx=0も含まれ0≦x<4となります. x<0の区間では,が定義されないので,大きいとか小さいとかの議論はできません. |
<x−2 をグラフで解くには,図1のようなグラフを描き,赤色の曲線が黄色の直線よりも下にあるようなxの範囲を解とします. x>4となります. x<0の区間では,が定義されないので,大きいとか小さいとかの議論はできません.
【要点】
※>のような場合も,定義域に注意すれば2乗比較によって解くことができますが,>−1のような場合は2乗の変形を1回行っただけでは根号は取り除けず,2回の操作となって複雑な式になります.グラフを使えば簡単 このような場合でも,グラフが描けると簡単に答えることができます. |
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