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高校数学 >> 高校数学Ⅲ>> 微分

== グラフの概形と漸近線(一覧) ==
【このページの使い方】
• このページの問題を全部解く必要はありません.問題数も多く,時間がかかります.
• 「問題の式の形」⇔「グラフの形」の対応関係を一覧で確かめるために使うとよいでしょう.
• 漸近線の練習が全然できていない生徒の場合は,(1.x)のような大区分の問題を各2題ずつ解けば,基本練習になります.
• このページでは,グラフの概形と漸近線を扱う.
• はじめに,漸近線の計算によく登場する「重要な極限値」を確認しておく
【重要な極限値】
任意の正の定数nに対して,次の極限が成り立つ
limxexxn=…(Ⅰ)
特に,n=1のときlimxexx=…(Ⅰ.1)
分母と分子を入れ替えると,次の極限が成り立つ
limxxnex=0…(Ⅰ.2)
特に,n=1のときlimxxex=0…(Ⅰ.3)
任意の正の定数nに対して,次の極限が成り立つ
limxxnlogx=…(Ⅱ)
特に,n=1のときlimxxlogx=…(Ⅱ.1)
分母と分子を入れ替えると,次の極限が成り立つ
limxlogxxn=0…(Ⅱ.2)
特に,n=1のときlimxlogxx=0…(Ⅱ.3)
任意の正の定数nに対して,次の極限が成り立つ
limxx(logx)n=…(Ⅲ)
分母と分子を入れ替えると,次の極限が成り立つ
limx(logx)nx=0…(Ⅲ.2)
また,x→+0のとき,次の極限が成り立つ
limx+0x(logx)n=0…(Ⅳ)
特に,n=1のときlimx+0xlogx=0…(Ⅳ.1)
(証明)
高校数学の教科書には,必ずしも書かれていないが「コーシーの平均値の定理」から導かれる「ロピタルの定理」を使って行うのが楽
(大学入試の記述式答案でも「ロピタルの定理」によりと書けば,答案として成り立つはず)
【ロピタルの定理】
ⅰ) x→aのとき,f(x)→0, g(x)→0, (g(x)≠0)ならば
limxaf(x)g(x)=limxaf(x)g(x)
ⅱ) ロピタルの定理は,x→∞またはx→−∞のときも成り立つ
すなわち,
x→∞(−∞)のとき,f(x)→0, g(x)→0, (g(x)≠0)ならば
limxf(x)g(x)=limxf(x)g(x)
② ロピタルの定理は,x→∞(−∞)のとき,f(x)→∞, g(x)→∞のときも成り立つ
(Ⅰ.1)←
ロピタルの定理ⅱ)②を用いる
x→∞のとき,limxex=,limxx=で,分母も分子も微分可能だから
limxexx=limxex1= ∎∥
(Ⅰ)←
limxexx2=limxex2x=limxex2=
同様にして,分母がn次式のときは,n回微分すると,分母が定数になる
limxexxn=limxexnxn1==limxexn!= ∎∥
これらの分母分子を入れ替えると(Ⅰ.2)(Ⅰ.3)が示される
(Ⅱ.1)←
ロピタルの定理ⅱ)②を用いる
x→∞のとき,limxlogx=,limxx=で,分母も分子も微分可能だから
limxxlogx=limx11x=limxx= ∎∥
(別の証明)
(Ⅰ.1)の結果を用いる.x=etとおくと
limxxlogx=limtett= ∎∥
(Ⅱ)←
limxx2logx=limx2x1x=limx2x2=
同様にして
limxxnlogx=limxnxn11x=limxnxn= ∎∥
(Ⅲ)←
(Ⅰ)において,x=logtt=exとおくと
limxexxn=limtt(logt)n=
だから
limxx(logx)n= ∎∥
(Ⅳ)←
x→+0のとき,x=ett=logxとおくと
limx+0x(logx)n=limt{et×(t)n}
(Ⅰ.2)により
=limt{(t)net}=0 ∎∥
(Ⅳ.2)←
(Ⅳ)において,n=1のとき,
limx+0xlogx=0 ∎∥

~指数関数のグラフと漸近線~
(1.1) y=xex

y=ex+xex=(x+1)ex
y=0x=1
y=(x+1)ex+ex=(x+2)ex

x→∞のときの極限は,不定形でも何でもなく,∞×∞で発散する.
x→−∞のときの極限を求めるとき,(Ⅰ.3)の公式を使う.
limxxex=0
これにより
limxxex=limt(tet)=limt(tet)=0
x0←・・・−2・・・−1・・・→∞
y'0+
y"0+++
y0←2e21e→∞
極大値:なし, 極小値:有り(1,1e)
変曲点:有り(2,2e2)
横向き漸近線:有り---limxy=0
縦向き漸近線:なし, 斜め漸近線:なし
グラフは,図のようになる
(1.2) y=xex

x→−∞のときの極限は,不定形でも何でもなく,(−∞)×∞で発散します.
x→∞のときの極限を求めるとき,(Ⅰ.3)の公式を使う.
limxxex=0
これにより
limxxex=0
x−∞←・・・1・・・2・・・→∞
y'+0
y"0+
y−∞←1e2e2→0
極大値:有り(1,1e), 極小値:なし
変曲点:有り(2,2e2)
横向き漸近線:有り---limxy=0
縦向き漸近線:なし, 斜め漸近線:なし
グラフは,図のようになる

(1.3) y=x2ex

x→−∞のときの極限は,不定形でも何でもなく,∞×∞で発散します.
x→∞のときの極限を求めるとき,(Ⅰ)の公式を使う.
limxx2ex=0
x−∞←02222+2→∞
y’0+++0
y”+++00+
y∞←00.360.540.38→0
極大値:有り(2,4e2), 極小値:有り(0, 0)
変曲点:有り
横向き漸近線:有り---limxy=0
縦向き漸近線:なし, 斜め漸近線:なし
グラフは,図のようになる
(1.4) y=ex2

limx±ex2=0 漸近線の方程式は,左右ともy=0
x−∞←12012→∞
y’+++0
y”+00+
y0←1e11e→0
• 図のようにy軸に関して対称なグラフになる
• 統計の分野で重要な正規分布曲線の形になる
極大値:有り(0, 1), 極小値:なし
変曲点:有り(±12,1e)
横向き漸近線:有り---limxy=0
縦向き漸近線:なし, 斜め漸近線:なし

(1.5) y=e1x

• 定義域はx≠0
グラフは,右図のようになる
limxe1x=limt0et=1 ⇒ 漸近線 y=1
limxe1x=limt+0et=1 ⇒ 漸近線 y=1
limx0e1x=limtet=0 ⇒ 白点は,定義されない
limx+0e1x=limtet= ⇒ 漸近線 x=0
x−∞←・・・12・・・0・・・→∞
y'×
y"0+×+
y1←1e2
0
→1
極大値:なし, 極小値:なし
変曲点:有り(12,1e2)
横向き漸近線:有り---limx±y=1
縦向き漸近線:有りx=0, 斜め漸近線:なし
~対数関数~
(2.1) y=logxx

• 定義域はx>0
x→∞のときのロピタルの定理を利用する
limxlogxx=limx1x=0 ⇒ 漸近線 y=0
x=etとおいて,指数関数の極限に直す
limx+0logxx=limttet=limsses
=lims(ses)= ⇒ 漸近線 x=0
x0←・・・e・・・e23・・・→∞
y'+0
y"0+
y−∞←1e32e32→0
極大値:有り, 変曲点:有り, 横向き漸近線:有り---
極小値:なし, 縦向き漸近線:あり・・・, 斜め漸近線:なし

(2.2) y=xlogx

• 定義域はx>0, x≠1
x→∞のとき,漸近線があるとした場合の傾きmを求める
limxxxlogx=limx1logx=0
次に,x→∞のとき,漸近線があるとした場合の切片kを求める
x→∞のときのロピタルの定理を利用する
limxxlogx=limx11x=limxx=
 以上により,x→∞のときの漸近線はない
※傾きが0に収束するが,切片が∞に発散し,結局,漸近線がないという例は,他にもある.
y=logx
y=x
定義域は,x>0であるが,x→+0のときの極限値を求める
x=etとおいて,指数関数の極限に直す
limx+0xlogx=limtett=limsess
=lims(1ses)=0x→+0のときの漸近線なし
x→1のとき,(分母)→0となるので,漸近線を調べる
limx1xlogx
x=etx→1t→0とおいて,指数関数の極限に直す
limx1+0xlogx=limt+0ett=
limx10xlogx=limt0ett=
 以上により,x→1のとき,漸近線はx=1
x+0←・・・1・・・e・・・→∞
y'×0+
y0←±∞e→∞
極大値:なし, (変曲点:有り), 横向き漸近線:なし
極小値:有り, 縦向き漸近線:あり・・・, 斜め漸近線:なし
(2.3) y=xlogx

• 定義域はx>0
y=logx+1
y=0x=1e
y=1x(>0)
x→∞のときの極限は,不定形でも何でもなく,∞×∞で発散する.
x→+0のときの極限を求めるとき,(Ⅳ.1)の公式を使う.
limx+0xlogx=0
x0←・・・1e・・・→∞
y'0+
y"+++
y0←1e→∞
極大値:なし, 極小値:有り(1e,1e)
変曲点:なし
横向き漸近線:なし
縦向き漸近線:なし, 斜め漸近線:なし
グラフは,図のようになる

(2.4) y=x2logx

• 定義域はx>0
y=2xlogx+x=x(2logx+1)
y=0x=12
y=2logx+1+x×2x=2logx+3
y=0x=32
x→∞のときの極限は,不定形でも何でもなく,∞×∞で発散する.
x→+0のときの極限を求める
x→+0のとき,x=ett=logxとおくと
limx+0x2logx=limt{e2t×(t)}
=limt(te2t)=0
x+0←・・・1ee・・・1e・・・→∞
y'0+
y''0+++
y0←32e312e→∞
極大値:なし, 極小値:有り(1e,12e)
変曲点:有り(1ee,32e3)
横向き漸近線:なし
縦向き漸近線:なし, 斜め漸近線:なし
グラフは,図のようになる
(2.5) y=(logx)2

• 定義域はx>0
y=2logx×1x
y=0x=1
y=2{1x×1x+logx×(1x2)}=2x2(1logx)
y=0x=e
x→∞のときの極限は,不定形でも何でもなく,∞×∞で発散する.
limx+0(logx)2=
x+0←・・・1・・・e・・・→∞
y'0+++
y''+++0
y∞←01→∞
極大値:なし, 極小値:有り(1, 0)
変曲点:有り(e, 1)
横向き漸近線:なし
縦向き漸近線:有り x=0, 斜め漸近線:なし
グラフは,図のようになる

(2.6) y=x1x(x>0)

「底がeでないとき」や,「指数がxでないとき」には,対数微分法(絶対値の対数をとる)が有効(この問題では,x>0だから,絶対値はなくてもよい)
logy∣=1xlogx
yy=1x2logx+1x×1x=1logxx2
y=1logxx2×x1x=x1x2(1logx)
y=0x=e
x→∞のときの漸近線があれば求める
ロピタルの定理(Ⅱ.3)により
logy=1xlogx=logxx0
だから
y→1 漸近線の方程式はy=1
x→+0のときのグラフを調べる
limx+0logy=limx+01xlogx=×()=
だから
y→+0
(別の証明)
limx+0x1x=limt(1t)t=limt1tt=0
x+0←・・・e・・・→∞
y'+0
y+0←e1e→1
極大値:有り(e,e1e), 極小値:なし
変曲点:有りx≒0.47865…, 31.3384…
横向き漸近線:有り (y=1)
縦向き漸近線:なし, 斜め漸近線:なし
(2.7) y=(1x)x(x>0)

「底がeでないとき」や,「指数がxでないとき」には,対数微分法(絶対値の対数をとる)が有効(この問題では,x>0だから,絶対値はなくてもよい)
logy∣=xlog(1x)=xlogx
yy=logx1=(logx+1)
y=(1x)x(logx+1)
y=0x=1e
y=xx1{x(logx)2+2xlogx+x1}
となって,このような方程式は容易には解けないが「たまたま」x=1が解になっている.
変曲点は(1, 1)
x→∞のときの漸近線があれば求める
logy=xlogx=→
だから
y→+0 漸近線の方程式はy=0
x→+0のときのグラフを調べる
limx+0logy=limx+0(xlogx)
ロピタルの定理(Ⅳ.1)により
limx+0(xlogx)=0
だから
y→1
極大値:有り(1e,e1e), 極小値:なし
変曲点:有り(1, 1)
横向き漸近線:有り (y=0)
縦向き漸近線:なし, 斜め漸近線:なし

(2.8) y=xsinx(x>0)

対数微分法を使えば,導関数は求められる.(この問題では,x>0, y>0だから,絶対値は付けなくてもよい)
logy∣=sinxlogx
yy=cosxlogx+sinx×1x
y=(cosxlogx+sinx×1x)×xsinx
y'=0となるxの値を代数的に解いて,極値を求めることは難しい.
しかし,x→∞のとき,漸近線がないことは,次のようにして示せる.
1) x=2nπ+π2のとき,sinx=1だから,y=xになる.(図の桃色の点)
2) x=2nπ+3π2のとき,sinx=1だから,y=x1=1xになる.(図の水色の点)
x→∞のとき,1)2)が交互に現れ,どこまで行っても接近しない.(+∞と+0の間の振動となり,収束しない)
※極値や変曲点も計算できないのに「なぜ,グラフが描けるのか?」と疑問をもつ読者がいるかもしれません.
これに対する答えは「あなたの見ているのは,コンピュータの画面ですから,点を細かくつなげばグラフが描ける.」・・・代数的にではなく,数値的に点を結んで行くプログラムが組んである.・・・画面上で1000個の点を折れ線としてつないである.・・・細かいのでそれが曲線に見えるということです.
x→+0のとき,y→1, y'→∞です.
極大値:有り, 極小値:有り
変曲点:有り
漸近線:なし
(2.9) y=(1x)logx(x>0)

対数微分法を使えば,導関数は求められる.(この問題では,x>0, y>0だから,絶対値は付けなくてもよい)
logy∣=logxlog1x=(logx)2
yy=2(logx)×1x
y=2(logx)×1x×(1x)logx
=2(logx)(1x)logx1
y=0x=1
第2階導関数を計算して,変曲点を求める
y==2xlogx2(2logx1)(logx+1)
y=0x=e,1e
x→∞のとき
logy=logxlog1x=(logx)2
だからy→0(漸近線の方程式はy=0
x→+0のとき
logy=logxlog1x=(logx)2
だからy→0
x+0←1e1e→∞
y’+++0
y”+00+
y0←1e11e→0
極大値:有り(1, 1), 極小値:なし
変曲点:有り(1e,1e),(e,12e)

横向き漸近線:有り (y=0)
縦向き漸近線:なし, 斜め漸近線:なし

~無理関数~
(3.1) y=x+x2+1

• 定義域は−∞<x<∞
y=1+12×2xx2+1=x2+1+xx2+1
y'の符号は,常に正
limx(x+x2+1)=limt(t+t2+1)
=limtt2+1t2t2+1t=limt1t2+1+t=0
x→−∞のとき,漸近線はy=0
x→∞のとき(y=mx+kの形の漸近線を求める)
m=limxx+x2+1x=limx(1+1+1x2)=2
k=limx(x+x2+12x)=limx(x2+1x)
=limxx2+1x2x2+1+x=limx1x2+1+x=0
x→∞のとき,漸近線はy=2x
x+0←・・・→∞
y'+
y0←→∞
極大値:なし, 極小値:なし
変曲点:なし
横向き漸近線:有り y=0
縦向き漸近線:なし, 斜め漸近線:有り y=2x
(3.2) y=xx2+1

• 定義域は−∞<x<∞
limxxx2+1=limx11+1x2=1
x→∞のとき,漸近線はy=1
limxxx2+1=limttt2+1=limt(11+1t2)
=−1
x→−∞のとき,漸近線はy=−1
y=x2+1x×12(x2+1)12×2xx2+1
=1(x2+1)x2+1
y'の符号は,常に正
y=3x(x2+1)2x2+1
x−∞←・・・0・・・→∞
y'+++
y"+0
y−1←0→1
極大値:なし, 極小値:なし
変曲点:有り (0, 0)
横向き漸近線:有り y=1, −1
縦向き漸近線:なし, 斜め漸近線:なし

(3.3) y=x2+1x

• 定義域はx≠0
limxx2+1x=limx1+1x2=1
x→∞のとき,漸近線はy=1
limxxx2+1=limttt2+1=limt(11+1t2)
=−1
x→−∞のとき,漸近線はy=−1
limx+0x2+1x
x→+0のとき,(分母)→0 (>0),(分子)→1だから
(分数)→+∞,漸近線はx=0
limx0x2+1x
x→−0のとき,(分母)→0 (<0),(分子)→1だから
(分数)→−∞,漸近線はx=0
y==1x2x2+1
y'の符号は,常に負
y==3x2+1x3(x2+1)x2+1
x−∞←・・・0・・・→∞
y'×
y”×+
y−1←±∞→1
極大値:なし, 極小値:なし
変曲点:なし(…この問題では,第2次導関数や変曲点を求める必要はない)
横向き漸近線:有り y=1, −1
縦向き漸近線:有り x=0, 斜め漸近線:なし
(3.4) y=x+1x2

• 定義域は−1≦x≦1
y=1+12(1x2)12×(2x)
=1x2x1x2
y=01x2=xx=12
x−1・・・12・・・1
y'×+0×
y−121
極大値:有り (12,2)
極小値:あり (−1, −1), (1, 1)
x=aの近傍で,x≠aならばf(x)≧f(a)が成り立つとき,x=aで極小と言い,f(a)を極小値という.
• このように,極値の定義にとっては,微分可能であることや,f’(x)=0であることは,必要ではない.
• 上記のように定義すると,両端を含む閉区間で定義される関数について,端の点が極値になることがある.
変曲点:なし(…この問題では,第2次導関数や変曲点を求める必要はない)
横向き漸近線:なし
縦向き漸近線:なし, 斜め漸近線:なし

(3.5) y=x1x2

• 定義域は−1≦x≦1
y=1x2+x×12(1x2)12×(2x)
=12x21x2
y=0x=±12
y==x(2x23)(1x2)1x2
ここで,つねに2x23<0だから
y=0x=0
x−1120121
y’×0+++0×
y”×+++0×
y0120120
極大値:有り(1,0),(12,12)
極小値:有り(1,0),(12,12)
変曲点:有り(0, 0)
横向き漸近線:なし
縦向き漸近線:なし, 斜め漸近線:なし
(3.6) y=x+x21

• 定義域はx≦−1, 1≦x
y=1+12(x21)12×2x
=x21+xx21
x≧1(>0)のとき,x21+x>0だからy’>0
x≦−1(<0)のとき,x=−t, t>0とおくと
x21+x=t21t
ここで,t21<t2=tだからy’<0
x→∞のとき(y=mx+kの形の漸近線を求める)
limxyx=limxx+x21x=limx(1+11x2)
=2
limx(y2x)=limx(x21x)
=limxx21x2x21+x=limx1x21+x=0
x→∞のとき,漸近線の方程式はy=2x
x→−∞のとき,漸近線を求める
limx(x+x21)=limt(t+t21)
=limt(t21)t2t21+t=limt1t21+t=0
x→−∞のとき,漸近線の方程式はy=0
x−∞←・・・−1・・・1・・・→∞
y'×××+
y0←−1×1→∞
極大値:なし,極小値:"有り" (−1, −1), (1, 1)
変曲点:なし
横向き漸近線:有り (y=0)
縦向き漸近線:なし, 斜め漸近線:有り (y=2x)

(3.7) y=x23x+1
奇数乗根の関数は,奇妙なことが起こるので,要注意!

• 定義域はx≠−1
y=23x13×(x+1)x23(x+1)2
=23(x+1)x(x+1)2x3
=(x2)3(x+1)2x3
y’=0 ⇔ x=2

x=0のときは,y’≠0(±∞)であるが符号が変わる
limx±x23x+1=limx±1x3(1+1x)=0
limx1±0x23x+1=±
x−∞←−102→∞
y’××+0
y0←×0433→0
極大値:有り(2,433)
極小値:有り(0, 0)
変曲点:有り
漸近線を求めるためだけなら,変曲点は必ずしも必要ないが,y=2(2x28x1)9x43(x+1)3となるので,
x=4±322≒−0.12, 4.12に変曲点がある
横向き漸近線:有りy=0
縦向き漸近線:有りx=−1, 斜め漸近線:なし
(3.8) y=x2x13
奇数乗根の関数は,奇妙なことが起こるので,要注意!

• 積や商の多い関数を微分するには(絶対値付き)「対数微分法」を使うとよい
logy∣=13(logx2logx1)
yy=13(1x21x1)=13(x1)(x2)
y=13(x1)(x2)×x2x13=13(x1)43(x2)23
(符号は常に正になる)
2階の対数微分法は,めずらしいので確かめておく
logyの微分 ⇒ d(logy)dx=d(logy)dydydx=yy
logy∣=log343logx123logx2
yy==2(3x5)3(x1)(x2)
y=2(3x5)3(x1)(x2)×13(x1)43(x2)23
=2(3x5)9(x1)53(x2)73
y”は,x=1, 2, 5/3で符号が変わる
x→∞のとき,
limxx2x13=limx12x11x3=1
漸近線の方程式はy=1
x→−∞のとき,
limxx2x13=limtt2t13
=limtt+2t+13=limt1+2t1+1t3=1
漸近線の方程式はy=1
x→1+ε (0<ε<1)のとき,
limx1+0x2x13=limϵ+0ϵ1ϵ3=
x→1−ε (0<ε<1)のとき,
limx10x2x13=limϵ+0ϵ1ϵ3=limϵ+0ϵ+1ϵ3
=∞
漸近線の方程式はx=1
x−∞←1532→∞
y’+×+++×+
y”+×0+×
y1←±∞1230→1
(53,123)は変曲点であるが,(2,0)も変曲点であることに注意(y,yは定義されないが,連続であって,凹凸が変化するから変曲点)

(3.9) y=(x1)(x2)25

※3乗根,5乗根,・・・奇数乗根のグラフでは,奇妙なことが起こる

多くの因数の積・商になっている関数を微分するには,対数微分法(絶対値の対数をとる)が有効
logy∣=15logx1+25logx2
yy=15(x1)+25(x2)=(x2)+2(x1)5(x1)(x2)
=3x45(x1)(x2)
y=3x45(x1)(x2)×(x1)(x2)25
=3x45(x1)45(x2)35
y=0x=43, y’の符号が変わる⇔x=43,x=2
2階導関数を求めるための対数微分法
logyxで微分したらyyになる
(証明)
d(logy)dx=d(logy)dydydx=yy
logy∣=log3x4log545logx135logx2
yy=33x445(x1)35(x2)
=10(3x28x+7)25(3x4)(x1)(x2)
y=10(3x28x+7)25(3x4)(x1)(x2)×3x45(x1)45(x2)35
=2(3x28x+7)25(x1)95(x2)85
ここで,(x2)8503x28x+7D<0だから,つねに正
y”=0x=1
x−∞←1432→∞
y’+×+0×+
y”+×××
y−∞←042750→∞
x→∞のときの漸近線をy=mx+kの形で求める
m=limxyx=limx(x1)(x2)25x
=limx(x1)(x2)2x55=0
k=limx((x1)(x2)250)=
※傾きは0に近づくが,y切片が限りなく大きくなるので,漸近線は存在しない
x→−∞のときの漸近線も,同様にして存在しない
極大値:有り(43,4275)
極小値:有り(2, 0)
変曲点:有り(1, 0),実は(2, 0)も変曲点[y', y''は定義されないが,連続で凹凸が変化しているから]
横向き漸近線:なし,縦向き漸近線:なし, 斜め漸近線:なし
(3.10) y=(x1)2(x2)35

※3乗根,5乗根,・・・奇数乗根のグラフでは,奇妙なことが起こる

対数微分法を用いて,次の結果が得られる
y=5x75(x1)35(x2)25
y=625(x1)85(x2)75
この問題の,漸近線を求める作業は,計算量が多く大変です.y=mx+kmはすぐわかりますが,kが激辛です.(問題を作った本人が,なかなか解けなくて困った.)
m=limx(x1)2(x2)35x=limx(x1)2(x2)3x55
=limx(11x)2(12x)35=1
k=limx((x1)2(x2)35x)
ここで,等比数列の和の公式を思い出す
(ab)(a4+a3b+a2b2+ab3+b4)=a5b5だから
ab=a5b5a4+a3b+a2b2+ab3+b4
a=(x1)2(x2)35,b=x
とおくと
a5b5=(x1)2(x2)3x5=8x4+25x3+
a4,a3b,a2b2,ab3,b4は,いずれも最高次の次数が4で,4次の係数は1になるから,a4+a3b+a2b2+ab3+b4の4次の係数は5
k=limxa5b5a4+a3b+a2b2+ab3+b4=limx85
したがって,漸近線の方程式は,y=x85
x→−∞のときも,同様
x−∞←1752→∞
y’+×0+×+
y”+×+++×
y−∞←0108550→∞

(4.1) y=sin1x
−5≦x≦5の場合

x=0付近で,密集している

−0.5≦x≦0.5の場合
−0.05≦x≦0.05の場合

• 定義域はx≠0
x→∞のとき,
limxsin1x=limt0sint=0
漸近線の方程式はy=0
x→−∞のとき,
limxsin1x=limt0sin(t)=0
漸近線の方程式はy=0
(4.2) y=xsin1x


x=0付近で,密集している

• 定義域はx≠0
x∣≦xsin1x≦∣xかつ|x|→0だから
limx0xsin1x=0
limxxsin1x=limxsin1x1x=limt+0sintt=1
また
limxxsin1x=limxsin1x1x=limt+0sin(t)t=1
したがって,漸近線の方程式はy=1

(4.3) y=x2sin1x

筆者にとって,この結果は,意外です.(読者はどうですか)
赤線と青線の間にあることは必要条件としてすぐ分かるが,これらは漸近線ではなく,緑線が漸近線になる

• 定義域はx≠0
x2∣≦x2sin1x≦∣x2かつ|x2|→0だから
limx0x2sin1x=0
漸近線の方程式をy=mx+kの形で求める
m=limxyx=limxxsin1x=limxsin1x1x
=limt+0sintt=1
k=limx(x2sin1xx)=limt+0(1t2sint1t)
=limt+0sinttt2
ここで「ロピタルの定理」を2回続けて用いる
k=limt+0cost12t=limt+0sint2=0
したがって,漸近線の方程式はy=x
同様にして,x→−∞のときの漸近線の方程式もy=xとなる
(4.4) y=xsinx

求める曲線は赤の破線青の破線に接するが,これらは漸近線ではない

• 漸近線はない

(4.5) y=sinxx

定義域は,x≠0
ただし
limx0sinxx=1
求める曲線は赤の破線青の破線に接する

x→∞のときの漸近線
1x∣≦sinxx≦∣1x
だから
limxsinxx=0
x→−∞のときも同様
漸近線の方程式は,y=0
(4.6) y=xsinx

定義域は,xnπ

x→nπのときの漸近線
limxnπxsinx=±
だから
漸近線の方程式は,x=nπ
limxnπx×1sinx∣≧∣x
だから
求める曲線は緑の破線に接し,y=|x|よりも大きい側と小さい側にある

(4.7) y=ex2sin3x

x→∞のときの漸近線
ex2sin3x∣≦ex20
だから
漸近線の方程式は,y=0
ex2sin3x∣≦ex2
だから
求める曲線は赤の破線青の破線の間および線上にある
(4.8) y=sinxsin10x

高周期関数sin10xは,低周期関数sinxを振幅として(下端および上端として),その間を往復する.
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