■負の指数
指数が正の整数であるときの「指数法則」については,既に理解していることとします.(→右欄参照)
この頁では「負の指数と0の指数」を定義します.
■負の指数,0の指数の定義
a≠0, nを正の整数とするとき
a−n=.1annn …(1)
a0=1 …(2)
(1)(2)←解説
指数が1ずつ増加するとき,式の値は底aの値だけ掛けたものになります.
逆に,指数が1ずつ減少すると式の値は底aの値だけ割ったものになります.
このようにして
a0=a1÷a=1,
a−1=a0÷a=.1an,
a−2=a−1÷a=.1a2nn,
a−3=a−2÷a=.1a3nn,

a−n=.1annn,


(1)←別の解説
m<nのとき,次の式には負の指数が登場します.
am÷an=.amannn=am−n


このようにして式a−2の意味を.1a2nnと決めると,

am÷an=am−nの計算で「負の指数」が登場してもよいようになります.
一般に a−n=.1annnと決めればよいことになります.


(2)←別の解説
m=nのとき,次の式には0の指数が登場します.
an÷an=.anannn=a0


このようにしてa0の意味を1と決めると,am÷an=am−nの計算で「0の指数」が登場してもよいようになります.
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≪復習≫
指数の定義:
指数(累乗)は底を何回掛けるかを表しています.
次の式でaを底といい,nを指数といいます.
an=a×a×a×… (←n 回)


指数法則:
am×an=am+n …(3)

a2×a3=(a×a)×(a×a×a)=a×a×a×a×a=a5
a2×a3=a2+3
am÷an= .amannn=am−n …(4)

a5÷a3=.a×a×a×a×aa×a×annnnnnnnnnn=a2
a5÷a3=a5−3
(am)n=amn …(5)

(a2)3=a2×a2×a2=a6
(a2)3=a2×3
(ab)n=anbn …(6)

(ab)3=ab×ab×ab=a3b3
(ab)3=a3b3












注意!・・・見かけだけで「うっかりミス」をする生徒が多い

a−na.1nnと等しいのではない..1annnに等しい.
a00に等しいのではない.1に等しい.

上の解説では指数法則(4)がm<nm=nのときにも成り立つように負の指数,0の指数を定義しましたが, a≠0, n, m は任意の整数(正,負,0)とするとき,

a−n=.1annn , a0=1と定義すれば
”指数法則” (3)(4)(5)(6)がそのまま使えるようになります.

以下の例において,途中経過は青で示したように負の指数を使って書くのがよく,最終答案は赤で示したように書くとよい.これは,高校生のうちでは意味が分からないまま負の指数や0の指数を使って答だけが合っているというのを防ぐためだと考えればよい.(高卒以上では負の指数のまま答にすることが普通に行われる.)

(3)→例
負の指数のまま計算すると
a−2a5=a−2+5=a3
定義に従って負の指数を分数に戻すと

a−2a5=.1a2nna5=a3
これらは等しいから,青で示したように単に指数の足し算をすればよい.

(3)→例
負の指数のまま計算すると
a−2a−3=a−2−3=a−5
定義に従って負の指数を分数に戻してから計算すると

a−2a−3=.1a2nn.1a3nn=.1a5nn
これらは等しいから,最後の結果だけ赤で示したように書き直せばよい.
a−2a−3=a−2−3=a−5=.1a5nn

(4)→例
負の指数のまま計算すると
a−5÷a−3=a−5−(−3)=a−2
定義に従って負の指数を分数に戻してから計算すると
a−5÷a−3=.1a5nn÷.1a3nn=.1a5nn×a3=.1a2nn
これらは等しいから,最後の結果だけ赤で示したように書き直せばよい.
a−5÷a−3=a−5−(−3)=a−2=.1a2nn

(5)→例
負の指数のまま計算すると
(a−2)3=a−2×3=a−6
定義に従って負の指数を分数に戻してから計算すると

(a−2)3=(.1a2nn)3=.1a6nn
これらは等しいから,最後の結果だけ赤で示したように書き直せばよい.
(a−2)3=a−2×3=a−6=.1a6nn

(5)→例
負の指数のまま計算すると
(a−2)−3=a−2×(−3)=a6
定義に従って負の指数を分数に戻してから計算すると

(a−2)−3=(.1a2nn)−3=.1(.1a2nn)3nnnn =.1.1a6nnnn=a6
これらは等しいから,最後の結果だけ赤で示したように書き直せばよい.

(6)→例
負の指数のまま計算すると
(a−2b3)−4=a−2×(−4)b3×(−4)=a8b−12
定義に従って負の指数を分数に戻してから計算すると

(a−2b3)−4=(.1a2nnb3)−4 =.1(.b3a2nn)4nnnn =.1.b12a8nnnnnn =.a8b12nn
これらは等しいから,最後の結果だけ赤で示したように書き直せばよい.
(a−2b3)−4=a−2×(−4)b3×(−4)=a8b−12 =.a8b12nn

問題次の式と等しいものを選びなさい.
(1) 2−3

0 1 2 4 8

.12n .14n .18n 2.12n 2.13n 2.14n
(2) 20

0 1 2 4 8

.12n .14n .18n 2.12n 2.13n 2.14n
(3) (.12n)−3

0 1 2 4 8

.12n .14n .18n 2.12n 2.13n 2.14n
(4) a−2(a≠0)

0 1 a a2 a3

.1an .1a2nn .1a3nn a.12n a.13n
(5) a0(a≠0)

0 1 a a2 a3

.1an .1a2nn .1a3nn a.12n a.13n
(6) a2a−4(a≠0)

0 1 a a2 a4 a6 a8

.1an .1a2nn .1a4nn .1a6nn .1a8nn


a.12n a.14n a.16n a.18n
(7) a2÷a−4(a≠0)

0 1 a a2 a4 a6 a8

.1an .1a2nn .1a4nn .1a6nn .1a8nn


a.12n a.14n a.16n a.18n
(8) (a2)−4(a≠0)

0 1 a a2 a4 a6 a8

.1an .1a2nn .1a4nn .1a6nn .1a8nn


a.12n a.14n a.16n a.18n
(9) (a−2)−4(a≠0)

0 1 a a2 a4 a6 a8

.1an .1a2nn .1a4nn .1a6nn .1a8nn


a.12n a.14n a.16n a.18n
(10) a2÷a−2×a4(a≠0)

0 1 a a2 a4 a6 a8

.1an .1a2nn .1a4nn .1a6nn .1a8nn


a.12n a.14n a.16n a.18n
(11) (a2)−4÷(a−3)2(a≠0)

0 1 a a2 a4 a6 a8

.1an .1a2nn .1a4nn .1a6nn .1a8nn


a.12n a.14n a.16n a.18n
(12) (3−2×2)−1÷(3×2−1)−2

0 1 8 9

.32n .92n .29n .812nn .818nn

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