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※高校数学Ⅱの「定積分」について,このサイトには次の教材があります.
この頁へGoogleやYAHOO ! などの検索から直接来てしまったので「前提となっている内容が分からない」という場合や「この頁は分かったがもっと応用問題を見たい」という場合は,他の頁を見てください.  が現在地です.
定積分
同(2)
同(3)
定積分で定義される関数
面積
絶対値付き関数の積分
曲線で囲まれた図形の面積(1)
曲線で囲まれた図形の面積(2)
曲線で囲まれた図形の面積(3)-現在地
体積

== 発展学習:定積分と面積(2) ==
このページの教材のレベルは
~発展学習,大学入試向け~
(1)
αβ(xα)(xβ)dx=16(βα)3

-図1-


右図1の赤線で囲まれた図形の面積(符号は正)は
16(βα)3
に等しい

【公式(1)の証明】
x−α=(x−β)+(β−α)と変形すると,計算が楽になる
αβ(xα)(xβ)dx=αβ(xβ+βα)(xβ)dx
=αβ{(xβ)2+(βα)(xβ)}dx
=[(xβ)33+(βα)(xβ)22]αβ
={0}{(αβ)33+(βα)(αβ)22
={(βα)33+(βα)32}
=(βα)36

(2) …いわゆる「6分の1公式」
 一般に2次方程式ax2+bx+c=0が相異なる2つの実数解α, β (α<β)をもつとき
 解と係数の関係から
α+β=ba,αβ=ca
が成り立つから,公式(1)から,次の公式(2)が得られる.
αβ(ax2+bx+c)dx=a6(βα)3

-図2-
【公式(2)の解説】
解と係数の関係により
ax2+bx+c
=a(xα)(xβ)
だから
αβ(ax2+bx+c)dx
=αβa(xα)(xβ)dx
(1)の結果を使うと
=a6(βα)3

[公式(2)が有利な場面]
 公式(2)を用いると,2交点の座標が「根号を含む複雑な値」であるときに,楽に計算ができる.
 例えば,次の【例題1】のように,交点のx座標がα=152,β=1+52のとき,これらの値を
[a3x3+b2x2+cx]1521+52
の形で代入して計算することは,煩雑で計算間違いも起きやすいが,
βα=1+52152=5
を代入すると,計算が楽になる.
[公式(2)を覚えなければならないか?]
 公式(2)を出すと「覚えてきた生徒だけできて,他の生徒は時間配分が不利になる」など,大学受験では辛口の批評が多い.
 筆者個人の感想として言えば,「公式(2)だけは覚える方がよい」(検算にも使いやすい),他の公式(3),(4),(**)は覚えなくてもよいが,「公式があるということは知っておく」「必要な場合には,試験会場で作ることができる」程度に「式を変形した思い出がある」方がよいと考える.・・・全部暗記するようなことは,頭脳資源の無駄遣いでしょう.

【例題1】
 放物線y=x2と直線y=x+1とで囲まれる図形の面積を求めてください.
 放物線y=x2と直線y=x+1の交点を求める
 x2=x+1を解く
 x2−x−1=0
x=1±52
α=152,β=1+52
とおくと
S=αβ(x+1x2)dx=αβ(x2x1)dx
=16(βα)3
ここで
βα=5だから
S=556…(答)

【問題1-1】
 放物線y=x2−3x+3と直線y=2x−1とで囲まれる図形の面積を求めてください.
解答を見る

【問題1-2】
 放物線y=x2+2x+1y=−x2−4x+2とで囲まれる図形の面積を求めてください.
解答を見る

[危険な落とし穴]
 便利な公式なので,どこでも使えそうに思ってしまいがちだが,「交点から交点までの区間」で積分している場合だけ,上記の公式が使えるが,「交点と交点の間以外の区間」の積分には使えないので注意
 次の図E~Hまでのどの場合も,赤線で囲まれた図形の面
積はS=a6(βα)3にはならない.
(地道な計算を積み上げて行くしかない)

-図E-

-図F-


-図G-

-図H-


【例題2-1】
 放物線y=x2−1,直線y=x+1およびy軸とで囲まれる図形の面積を求めてください.
 放物線y=x2−1と直線y=x+1の交点を求める
 x2−1=x+1を解く
 x2−x−2=0
 (x+1)(x−2)=0
 x=−1, 2
区間−1≦x≦2において,つねにx2−1≦x+1だから

S=02{(x+1)(x21)}dx
=02(x2+x+2)dx
=[x33+x22+2x]02
=(83+2+4)0=103 …(答)

【例題2-2】
 放物線y=−x2+4xについて,
(1) この放物線に交わる直線 y=mx (0≦m<4) と放物線で囲まれた図形の面積をmを用いて表せ.
(2) 放物線とx軸で囲まれた図形が右図のように2つの直線
y=ax, y=bx (0<b<a<4)
によって,その面積が3等分されるとき,a, bの値を求めよ.
(2000年度 東北学院大工学部)
(解答)・・・6分の1公式を湯水のように使う答案で書く場合
(1)
S=(4m)36…(答)
(2)
m=0のとき,放物線とx軸で囲まれる図形の面積S0
S0=436=646=323
y=axと放物線で囲まれる図形の面積Sa
Sa=(4a)36=S0×13=329
(4a)3=6×329=643
4a=433
a=4433…(答)
y=bxと放物線で囲まれる図形の面積Sb
Sb=(4b)36=S0×23=649
(4b)3=6×649=64×23
4b=42333
b=442333…(答)

(3) …いわゆる「12分の1公式」
αβ(xα)(xβ)2dx=112(βα)4 …(3.1)
αβ(xα)2(xβ)dx=112(βα)4 …(3.2)

-図3.1-

-図3.2-

 3次方程式(x−α)(x−β)2=0が解x=α,重解x=βをもつとき
αβ(xα)(xβ)2dx=112(βα)4
が成り立つ.x=αが重解,x=βが解である場合も同様にして
αβ(xα)2(xβ)dx=112(βα)4
が成り立つ.

(3.1)の証明
αβ(xα)(xβ)2dx
=αβ{(xβ)+(βα)}(xβ)2dx
(x−β)nの式で表す
=αβ{(xβ)3+(βα)(xβ)2}dx
=[(xβ)44+(βα)(xβ)33]αβ
={0}{(αβ)44+(βα)(αβ)33}
={(βα)44(αβ)43}
=(βα)412 …■証明終わり■

(3.2)の証明
αβ(xα)2(xβ)dx
=αβ(xα)2{(xα)+(αβ)}dx
(x−α)nの式で表す
=αβ{(xα)3+(αβ)(xα)2}dx
=[(xα)44+(αβ)(xα)33]αβ
={(βα)44+(αβ)(βα)33}{0}
={(βα)44(βα)43}
=(βα)412 …■証明終わり■

【例題3】
 3次関数y=x3+ax+bのグラフを曲線Cとする.直線y=3x+m…①は点P(1, 2)で曲線Cに接するという.
(1) a, b, mを求めよ.
(2) 直線①と曲線Cの点P以外の交点Qの座標を求めよ.
(3) 直線①と曲線Cで囲まれた部分の面積Sを求めよ.
(2000年度 成蹊大学 工学部)
(1)
 y1=x3+ax+b
 y2=3x+m
とおく
 y1'=3x2+a
 y2'=3
P(1, 2)を通るから
 2=1+a+b…(#1)
 2=3+m…(#2)
P(1, 2)で互いに接するから
 3+a=3…(#3)
(#1)(#2)(#3)より
 a=0, b=1, m=−1…(答)
(2)
 y1=x3+1
 y2=3x−1
の共有点を求める
 x3+1=3x−1
 x3−3x−2=0
 (x−1)2(x+2)=0
P以外の交点は,Q(−2, −7)…(答)
(3)
S=21{(x3+1)(3x1)}dx
=21(x33x+2)dx
=[x443x22+2x]21
=(1432+2)(464)=274…(答)
(備考)
 記述式答案では,公式(3.1)を丸暗記して3412=274と書いてもダメでしょう.教科書にない公式を黙って使うと減点の可能性あり.公式(2)はよく使うので「公式」と書いておけばよいでしょう.
 検算として,密かに自信を持つのはよいでしょう.

(4) …いわゆる「30分の1公式」
S=αβ(xα)2(xβ)2dx=130(βα)5

-図4-
(4)の証明 …x−βの式に直す(x−αに揃えてもよい)
S=αβ(xα)2(xβ)2dx
=αβ{(xβ)+(βα)}2(xβ)2dx
=αβ{(xβ)2+2(βα)(xβ)+(βα)2}(xβ)2dx
=αβ{(xβ)4+2(βα)(xβ)3+(βα)2(xβ)2}dx
=[(xβ)55+(βα)2(xβ)44+(βα)2(xβ)33]αβ
=0{(αβ)55+(βα)(αβ)42+(βα)2(αβ)33}
=(βα)55(βα)52+(βα)53
=615+1030(βα)5=(βα)530

【例題4】
 関数f(x)=x4−2x2+xについて,次の問いに答えよ.
(1) 曲線y=f(x)と2点で接する直線の方程式を求めよ.
(2) 曲線y=f(x)と(1)で求めた直線で囲まれた領域の面積を求めよ.
(2016年度 名古屋市立大 経済学部)
(1)
f ’(x)=4x3−4x+1
接点のx座標をp, q (p<q)とすると
y−(p4−2p2+p)
=(4p3−4p+1)(x−p)
y=(4p3−4p+1)x
−3p4+2p2…(#1)
y=x4−2x2+x…(#2)
(#1)(#2)の連立方程式がx=pの重解をもつ
 x4−2x2+x=(4p3−4p+1)x−3p4+2p2
 x4−2x2−(4p3−4p)x+3p4−2p2=0
左辺をx2−2px+p2で割ると,割り切れる.
 (x2−2px+p2)(x2+2px+3p2−2)=0 そこで,
 x2+2px+3p2−2=0
x=qの重解をもてばよい
 x2+2px+3p2−2=x2−2qx+q2より
p=−q (p<q)
3p2−2=q2
これより,p=−1, q=1 (#1)の戻すと
 y=x−1…(答)
(2)
S=11{x42x2+x(x1)}dx
=11(x42x2+1)dx
偶関数の定積分だから
=201(x42x2+1)dx
=2[x552x33+x]01
=2(1523+1)=2(310+1515)=1615…(答)
※公式(5)を丸暗記してもこの答案はかけない.公式(5)を検算に使うことはできる.

(**) …上記の(1)~(4)は次の公式の特別な場合となっている.(m, nは正の整数)
S=αβ(xα)m(βx)ndx
=m!n!(m+n+1)!(βα)m+n+1
※(**)は,ベータ関数の性質(m, nは正の整数)
B(m+1,n+1)=01tm(1t)ndt=m!n!(m+n+1)!
t=xαβαによって,置換積分(数学Ⅲで習う)したものになっている.(オイラーのベータ関数は,理系の大学で習う)

(5) …放物線と2つの接線で囲まれた図形の面積
 放物線y=ax2+bx+c (a>0)上の点A(α, ···), B(β, ···) (α<β)における接線が交わる点をPとする.線分ABと放物線で囲まれる図形の面積をS,2つの接線と放物線で囲まれる図形の面積をTとおくと
y=ax2+bx+c P(α+β2,...) S M T
-図5-
S=a6(βα)3
T=a12(βα)3
S:T=2:1

※この公式(5)は,高校数学Ⅱの教科書に書かれていないので,この結果を,答案として証明なしに使ってはいけない.(教科書の公式なら,黙って使ってよい)
 だから,後の例題5のような問題で,公式(5)を覚えてきて答だけ書いても「答案にはならない」・・・「覚える」という使い方は無意味.次のような「証明の流れを自分流に再現」できればよい.

(公式(5)の証明)
 公式(2)により
S=a(βα)36…(#1)
 次に,接点Aにおける接線の方程式を求める.
y=ax2+bx+cの導関数はy'=2ax+bだから,
y−(aα2α+b+c)=(2aα+b)(x−α)
y=(2aα+b)x−aα2+c…(#2)
接点Bにおける接線の方程式は,同様にして
y=(2aβ+b)x−aβ2+c…(#3)
連立方程式(#2)(#3)を解く
(2aβ+b)x−aβ2+c=(2aα+b)x−aα2+c
2a(β−α)x=aβ2−aα2
2a(β−α)x=a(β−α)(β+α)
β>αだから
x=α+β2
(#3)に代入
y=(2aβ+b)α+β2aβ2+c
=2aαβ+bα+2aβ2+bβ2aβ2+2c2
=2aαβ+b(α+β)+2c2
したがって,2接線の交点Pの座標は
P(α+β2,2aαβ+b(α+β)+2c2)
ABの中点をMとすると
M(α+β2,aα2+bα+c+aβ2+bβ+c2)
MP=aα2+bα+c+aβ2+bβ+c2
{2aαβ+b(α+β)+2c2}
=aα2+aβ22aαβ2=a(βα)22
AからMPまでの距離は
α+β2α=βα2
だから
ΔAPM=a(βα)22×βα2×12=a(βα)38
同様にして
ΔBPM=a(βα)38
したがって
ΔABP=a(βα)34=S+T…(#4)
(#1)(#4)より
S:T=a(βα)36:(a(βα)34a(βα)36)
=a(βα)36:a(βα)312=2:1

【例題5】
 放物線y=x2の上に異なる2点P, Qをとる.点Pにおける接線と点Qにおける接線の交点をRとする.線分PQと放物線y=x2が囲む部分の面積と,△PQRの面積の比は,点P, Qの位置に関係なく一定であることを証明せよ.
(2000年度 会津大)
(解答)
P Q R M y=x2 T S
 P(p, p2), Q(q, q2)とおく(ただし,p<q
 線分PQと放物線y=x2が囲む部分の面積をS△PQRの面積をS+Tとおくと
S=(qp)36…(1)
 次に,2つの接線の交点Rの座標を求める
y=x2の導関数はy'=2xだから,Pにおける接線の方程式は
y−p2=2p(x−p)
y=2px−p2…(2)
Pにおける接線の方程式は
y−q2=2q(x−q)
y=2qx−q2…(3)
 連立方程式(2)(3)を解くと
R(p+q2,pq)…(4)
 P(p, p2), Q(q, q2)の中点をM(p+q2,p2+q22)とおくと
MR=p2+q22pq=(qp)22(←底辺と見る)
ΔPMR=(qp)22×(p+q2p)×12=(qp)38
ΔQMR=(qp)22×(qp+q2)×12=(qp)38
したがって
S:S+T=(qp)36:(qp)34=2:3…(答)

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