■ 分母に根号がない形への変形
※分母に根号がない形へ変形することを「分母の有理化」という.
ほとんどの場合,分母に根号がある形よりも分母に根号がない形の方が使いやすい.※分母の有理化という用語は中学校の教科書に書いてあるとは限らないので,この教材では「分母に根号がない形」という言い方で進めていきます. 分母に根号がない形に変形するには,次のようにする. ≪1≫ 分母の根号に等しいものを「分母と分子の両方に掛ける」のが基本です.
【例1.1】
を分母に根号がない形に変形するには
通分のときと同様に,分数を正しく変形するためには,分母と分子の両方に同じ数を掛けなければならない. = , = 分母と分子の両方にを掛けるとよい.
分母と分子の両方に根号の式を掛けるのは,根号を2乗すると根号がなくなるからである.
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【問題1.1】
以下の問題では,操作性をよくするために選択問題にしていますが,まぐれ当たりでは力が付きませんので,よく考えてから答えてください.
[1]を分母に根号がない形にしてください.※解答すれば解説を読むことができます. (正しい答をクリックしてください.)
[2]を分母に根号がない形にしてください.
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【例1.2】
分子に何と書いてあってもそれは気にせずに,「分母のを取り除くためには」ということだけを考えて,を分母に根号がない形に変形するには 分母と分子の両方にを掛けるとよい. |
【問題1.2】
[1]を分母に根号がない形にしてください.
[2]を分母に根号がない形にしてください.
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【例1.3】
分子に根号があってもそれは気にせずに,「分母のを取り除くためには」ということだけを考えて,を分母に根号がない形に変形するには 分母と分子の両方にを掛けるとよい. |
【問題1.3】
[1]を分母に根号がない形にしてください.
[2]を分母に根号がない形にしてください.
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【例1.4】
正の数について成り立つ次の公式を使って,変形してから考えるとよいでしょう.を分母に根号がない形に変形するには 上記の【例1.3】と同様に分母だけを見て,掛ける数を考えます. |
【問題1.4】
[1]を分母に根号がない形にしてください.
[2]を分母に根号がない形にしてください.
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≪2≫ 分母が整数と根号のかけ算になるときは,根号の部分だけを「分母と分子の両方に掛ける」とよい.
【例2.1】
○(お薦めの方法)を分母に根号がない形に変形するには 分母のうちの「だけが具合が悪い」と考えて, 分母と分子の両方にを掛けます. ▲(間違いとは言えないが,まずい方法) 分母と分子の両方にを掛ける. このようにすると,分母にも分子にも2を余計にかけてしまっているので,まだ約分できる形になる.これを約分し忘れると減点や誤答になります.
※2を掛けてから2で割るのなら,初めから2を掛けない方がよいということ.
能率の観点だけでなく,手順が複雑になると間違いやすくなることも考えると,手順は簡単な方がよい. |
【問題2.1】
[1]を分母に根号がない形にしてください.
[2]を分母に根号がない形にしてください.
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【例2.2】
初めに,分母の根号を簡単にしておきます.を分母に根号がない形に変形するには 分母のうちの「だけが具合が悪い」と考えて, 分母と分子の両方にを掛けます. |
【問題2.2】
[1]を分母に根号がない形にしてください.
[2]を分母に根号がない形にしてください.
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【例2.3】
分母のもも整数に変えられるように,分母分子にを掛けます.を分母に根号がない形に変形するには
次のようにを約分することから始めてもよい.
次のように分母を1つの根号にまとめてから計算してもよい.
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【問題2.3】
[1]を分母に根号がない形にしてください.
分母のもも整数に変えられるように,分母分子にを掛けます.
[2]を分母に根号がない形にしてください.
分母のもも整数に変えられるように,分母分子にを掛けます.
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【例2.4】
分母と分子の両方にを掛けます.を分母に根号がない形に変形するには
※このとき,分子のにもにもを掛けることを忘れれないように気を付けましょう.
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【問題2.4】
[1]を分母に根号がない形にしてください.
分母のを整数に変えられるように,分母分子にを掛けます.
[2]を分母に根号がない形にしてください.
分母のを整数に変えられるように,分母分子にを掛けます.
(参考)やのように分母が根号を含む式の和や差になっている式を根号がない形にする変形は中学校では扱いません.必要な人は高校の教材を見てください. |
(まとめの問題)
【問題3】
[1]を分母に根号がない形にしてください.
[2]を分母に根号がない形にしてください.
[3]を分母に根号がない形にしてください.
[4]を分母に根号がない形にしてください.
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[5]を分母に根号がない形にしてください.
[6]を分母に根号がない形にしてください.
[7]を分母に根号がない形にしてください.
[8]を分母に根号がない形にしてください.
このように分数が幾つもある問題では「通分する」のではなく,「1つずつ分母に根号のない形にする」方が計算が簡単になります.
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