== 分母の有理化 ==

■解説
 分母に根号を含む式を,分母に根号が含まれない形に変形することを分母の有理化という.

 ■有理化の長所1  

では,どこまでいっても(分母が整数になるまで,分母分子に10を掛けて行く)計算が始まらないが,

の形ならば,前から順に必要なだけ求められる.

 ■有理化の長所2
の形)
では,簡単になるかどうか分からないが,
の形)
ならば,簡単になる.
 次の I の形の式は,で示した部分を分母と分子の両方に掛けると根号が2乗になって分母が有理化できる.単純に分母と同じものを掛けてもできるが,(2)の例のように分母の全体を掛けなくても,分母のうちで根号になっている部分だけ掛ければよい.(2)の例で分母分子に2 を掛けても間違いではないが,この場合はできた分数を2で約分することになり,遠回りになる.
 なお,元の式で分子に何があるかは変形方法に関係がなく,正しく変形していくだけでよい.
I (分母が単項式のもの)
(1) 

(2) 

【問題1】 分母を有理化してください.(選択肢の中から正しいものを1つクリック)
(1)

(2)

(3)

(4)

(5)


 次の II の形の式では,分母と同じものを掛けても分母から根号は消えない.


そこで,

の形に合うように,「分母に和があれば,差を掛け」「分母に差があれば,和を掛ける」と根号を取り除くことができる.
II の(1)では分母が和の形: になっているから,差: を分母分子に掛けたものである.
II の(2)では分母が差の形: になっているから,和: を分母分子に掛けたものである.
II (分母が和または差のもの)
(1)

(2)


【問題2】 分母を有理化してください.(選択肢の中から正しいものを1つクリック)
(1)

(2)

(3)

(4)

(5)

(6)

(7)


 次の * の形の式では,分母は無理数ではあるが根号ではないので,分母を2乗しても有理数とはならない.このような式では分母の有理化はできない.
* (有理化できないもの)

π は円周率 3.1415...
e は自然対数の底[ネイピアの数] 2.71828...
 次の III の形の式は,3乗の形にすれば根号が外れるので,計算はやや難しくなるが発展学習として有理化できる.
III (3乗根は発展学習)

(1)  (2)
IIIの(2)では
(a+b)(a2-ab+b2)=a3+b3
(a - b)(a2+ab+b2)=a3 - b3
の公式が使えるように変形する.
【要約:無理数の分母の有理化】
I 
 単項式では,分母の根号部分を分母分子に掛ける.
II 
 分母が和になっていれば差を,差になっていれば和を分母分子に掛ける.
* III 
 有理化できるのは,根号の場合で、のように根号でない無理数は有理化できない.
 分母に3乗根などがあるときは,3乗して根号を消す変形を考える.
【例】
(1)
(2)

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■[個別の頁からの質問に対する回答][分母の有理化について/17.8.19]
とても楽しかったです。有難う御座います。また数Bやってみたいです。
=>[作者]:連絡ありがとう.
■[個別の頁からの質問に対する回答][分母の有理化について/17.6.29]
最近お世話になっています! 「分母の有利化」問題2の(5)について。 私が計算したところ答えが4+2√15となったのですが、こちらの答えは4+√15でした。 私の計算が間違えているのならかまいませんが、もしこちらの答えが間違いでしたら訂正お願いいたします。
=>[作者]:連絡ありがとう.「分母の有利化」→「分母の有理化」
解説が付いていますので読んでください.たぶん,解説を読んでなお疑問をお持ちのようですので,約分についてのよくある思い込みをしておられるかもしれません.この頁を見てください.