【この頁で引用している問題の出典】
(出典A) 「微分積分学U」(共立出版 基礎数学講座7巻/宇野利雄著) (出典B) 「新編 高専の数学3 問題集」(森北出版/田代嘉宏著) (出典C) 「理工系基礎 微分積分学」(培風館/堀内龍太郎.川崎廣吉.浦部治一郎共著) (出典D) 「数学へのアプローチ」(裳華房/八木克已著)
【記号】
○ 領域D:*1≦x≦*2, *3≦y≦*4における重積分 f(x,y)dxdy (*1, *2は定数である場合も,yに依存する場合もある.同様に,*3, *4は定数である場合も,xに依存する場合もある.)
を,まずxについて積分してから,次にyについて積分を行う累次積分(繰り返し積分)として行うことを
( f(x,y)dx)dy …(1)
で表す.(1)式は dy f(x,y)dx …(1’) という記号で表されることもある.この場合において,xについて積分した結果は,一般にはyを含んだ式となっているので, dy の部分は,そのyを含んだ関数の積分という意味になる. ○ 同様にして, dx f(x,y)dy …(2’) は,まずyについて積分して得られる(一般にはxを含んだ関数になる)ものを,次にxで積分したもの ( f(x,y)dy)dx …(2) を表す.
例1(2xydy)dxの積分の順序を換えると
≪解説≫(2xydx)dyになる 右図の領域Dにおいて, (1) 青の縦線で示した線に沿って,はじめにxを固定して,それぞれのxに対して,0≦y≦xの区間で変数yで積分してxを含んだ関数として得られる式が 2xydy (2) 次に,0≦x≦1の区間で変数xで積分するというのが元の式 (2xydy)dx が表しているもの.
2xydy=xy2=x3
積分の順序を変更して,はじめにyを固定して,それぞれのyに対して,xで積分するときは,図のように積分区間の左端がy,右端が1になる.x3dx=x4= になる (1) 赤の横線で示した線に沿って,y≦x≦1の区間で変数xで積分して得られる式は 2xydx (2) これらを0≦y≦1の区間で変数yで積分すると (2xydx)dy
2xydy=x2y=y−y3
(y−y3)dy=y2−y4=−= になる
例2dyf(x,y)dxの積分の順序を換えると
≪解説≫dx f(x,y)dyになる 右図の領域Dにおいて, (1) 赤の横線に沿って,はじめにyを固定して,それぞれのyに対して,y≦x≦の区間で変数xで積分してyを含んだ関数として得られる式が f(x,y)dx (2) 次に,0≦y≦1の区間で変数yで積分するというのが元の式 dyf(x,y)dx が表しているもの. 積分の順序を変更して, (1) はじめにxを固定して,それぞれのxに対して,yで積分するときは,青の縦線に沿って,x2≦y≦xの区間で変数yで積分して得られる式が f(x,y)dy (2) これらを0≦x≦1の区間で変数xで積分すると dx f(x,y)dy
例3dx2x2ydyの積分の順序を換えると
≪解説≫2x2ydxdy+2x2ydxdyになる (出典B)
右図の領域Dにおいて, (1) 青の縦線で示した線に沿って,はじめにxを固定して,それぞれのxに対して,x≦y≦2xの区間で変数yで積分してxを含んだ関数として得られる式が 2x2ydy (2) 次に,0≦x≦1の区間で変数xで積分するというのが元の式 dx2x2ydy が表しているもの. 積分の順序を変更して,はじめにyを固定して,それぞれのyに対して,xで積分するときは,図のように積分区間の右端がyの値によって変わるので,2つの領域に分けて求める. (1) 0≦y≦1の区間では,赤の線で示した線に沿って,≦x≦yの区間で変数xで積分して得られる式は 2x2ydx 1≦y≦2の区間では,赤の線で示した線に沿って,≦x≦1の区間で変数xで積分して得られる式は 2x2ydx (2) これらを0≦y≦2の区間で変数yで積分すると 2x2ydxdy+2x2ydxdyになる ※(参考)どちらで計算しても,結果はになる |
問1次のうちでdxx2y dyと等しいものを選んでください.
1dyx2y dx
2dyx2y dx(出典B)
3dyx2y dx 4dyx2y dx 解説
はじめに,記号の確認:
dxf(x,y)dyとは(f(x,y)dy)dxのこと
dyf(x,y)dxとは(f(x,y)dx)dyのこと 右図の領域Dにおいて, はじめにxを固定して,それぞれのxに対して,青の縦線に沿って0≦y≦xの区間で変数yで積分して,xを含んだ関数として得られる式 x2y dy を0≦x≦2の区間で変数xで積分するというのが元の問題の表しているものとなっている.
この順序で積分すると
これは,はじめにyを固定して,それぞれのyに対して,赤の横線に沿ってy≦x≦2の区間で変数xで積分して,yを含んだ関数として得られる式
x2y dxx2y dy=xy2=x4 x4 dx=x5=になる を0≦y≦2の区間で変数yで積分したもの dyx2y dx に等しい. → 3
この順序で積分すると
x2y dx=xy=y−y4 (y−y4)dx=y2−y5=になる |
問2a>0のとき,次のうちでdxf(x,y)dyと等しい
1dyf(x,y)dx
2dyf(x,y)dxものを選んでください. (出典A)
3dyf(x,y)dx 4dyf(x,y)dx 解説
はじめに,記号の確認:
dxf(x,y)dyとは(f(x,y)dy)dxのこと
dyf(x,y)dxとは(f(x,y)dx)dyのこと 右図の領域Dにおいて, はじめにxを固定して,それぞれのxに対して,0≦y≦x2の区間で変数yで積分してから xを含んだ関数として得られる式 f(x,y)dy を0≦x≦aの区間で変数xで積分するというのが元の問題の表しているものとなっている. これは,はじめにyを固定して,それぞれのyに対して,≦x≦aの区間で変数xで積分してから yを含んだ関数として得られる式 f(x,y)dx を0≦y≦a2の区間で変数yで積分したもの dyf(x,y)dx に等しい. → 3 |
問3dx(x2+y2)dyの積分順序を変更すると,
1dy(x2+y2)dx
2dy(x2+y2)dx次のどの式になりますか. 3dy(x2+y2)dx 4dy(x2+y2)dx 解説
右図の領域Dにおいて,
はじめにxを固定して,それぞれのxに対して,0≦y≦1−xの区間で変数yで積分してから xを含んだ関数として得られる式 (x2+y2)dy を0≦x≦1の区間で変数xで積分するというのが元の問題の表しているものとなっている. これは,はじめにyを固定して,それぞれのyに対して,0≦x≦1−yの区間で変数xで積分してから yを含んだ関数として得られる式 (x2+y2)dx を0≦y≦1の区間で変数yで積分したもの dy(x2+y2)dx に等しい. → 2 ※(参考)どちらで計算しても,結果はになる |
問4(f(x,y)dy)dxの積分順序を変更すると,
1(f(x,y)dx)dy
2(f(x,y)dx)dy次のどの式になりますか. 3(f(x,y)dx)dy+(f(x,y)dx)dy 4(f(x,y)dx)dy+(f(x,y)dx)dy 解説
右図の領域Dにおいて,
はじめにxを固定して,それぞれのxに対して,x2≦y≦x+2の区間で変数yで積分して得られるxを含んだ式 f(x,y)dy を−1≦x≦2の区間で変数xで積分するというのが元の問題の表しているものとなっている. 積分の順序を変更して,はじめにyを固定して,それぞれのyに対して,xで積分するときは,図のように積分区間の左端がyの値によって変わるので,2つの領域に分けて求める. (1) 0≦y≦1の区間では,赤の線で示した線に沿って,−≦x≦の区間で変数xで積分して得られる式は f(x,y)dx だから, (f(x,y)dx)dy (2) 1≦y≦4の区間では,赤の線で示した線に沿って,y−2≦x≦の区間で変数xで積分して得られる式は f(x,y)dx だから, (f(x,y)dx)dy これらを足したものが解となる |
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