○図1のような立体の体積(縦棒の体積の総和)は,面積要素ds=dxdyに高さz=f(x, y)を掛けて得られる体積要素
dV=f(x, y)ds=f(x, y)dxdy の総和として,定義域D上の重積分 f(x, y)dxdy で求めることができます.
図1
○f(x, y)が連続関数で,各変数の定義域がa≦x≦b, α≦y≦βであるとき,この重積分は
f(x, y)dx dy…(1)または f(x, y)dy dx…(2) のように,1変数の積分の繰り返しによって行うことができます. (1)は図2のように,まず変数yを固定して,各々のyについて,xで積分し(図で示した壁の面積S(y)を求めて),次にyの関数として表されたその面積をyで積分することによって体積を求めることに対応しています.
図2
(2)は図3のように,初めにxを固定してyで積分し,図で示した壁の面積S(x)を求めて,次にxで積分するものです.
図3
○変数の定義域が0≦x≦1, 0≦y≦xのように他の変数に依存しているときは
f(x, y)dy dxまたは0≦y≦1, y≦x≦1として f(x, y)dx dy のように計算できます. |
○この頁に登場する【問題】は,公益社団法人日本技術士会のホームページに掲載されている「技術士第一次試験過去問題 共通科目A 数学」の引用です.(=公表された著作物の引用)
○【解説】は個人の試案ですが,Web教材化にあたって「問題の転記ミス」「考え方の間違い」「プログラムの作動ミス」などが含まれる場合があり得ます. 問題や解説についての質問等は,原著作者を煩わせることなく,当Web教材の作成者(<浅尾>)に対して行ってください.
平成16年度技術士第一次試験問題[共通問題]
【数学】V-12 閉領域D:0≦x≦1, 0≦y≦xに対して, (x+ay)dxdy=1 となるとき,定数aの値は次のどれか. 10 21 32 43 54 解説
まず,yについて積分してから,次にxについて積分すると
(x+ay)dxdy= (x+ay)dy dx
(x+ay)dy=xy+y2 =x2+x2=x2 (x+ay)dy dx=x2dx = ===1となるから a+2=6 a=4 → 5 ※ この問題で,変数x→yの順に積分すると,計算がやや長くなる 0≦x≦1, 0≦y≦x→y≦x≦1, 0≦y≦1と読み替える (x+ay)dxdy= (x+ay)dx dy (x+ay)dx=...=+ay−y2 (+ay−y2)dy=...==1 よりa=4 |
まず,yについて積分してから,次にxについて積分すると
x2y dxdy= x2y dy dx
x2y dy=x2y2 =− (−)dx=− =−= → 1 ※(別解) 0≦x≦y≦1→0≦x≦y, 0≦y≦1と読み替える x2y dx=x3y = dy=y5 = |
平成18年度技術士第一次試験問題[共通問題]
【数学】V-10 重積分e−x+ydxdyの値は,次のどれか.ただし, D:0≦y≦x≦1とし,eは自然対数の底とする. 1e−2 2e−1 3e−1 4e 5e+1 解説
0≦y≦x≦1 → 0≦y≦xかつ0≦x≦1
まず,0≦y≦xの区間についてyについて積分してから,次に0≦x≦1の区間についてxについて積分すると e−x+ydxdy= e−x+ydy dx e−x+ydy=e−x+y =1−e−x (1−e−x)dx=x+e−x =(1+e−1)−(0+1)=e−1 → 3 (別解) 0≦y≦x≦1 → y≦x≦1かつ0≦y≦1 まず,y≦x≦1の区間についてxについて積分してから,次に0≦y≦1の区間についてyについて積分すると e−x+ydxdy= e−x+ydx dy e−x+ydx=−e−x+y =(−e−1+y)−(−e0)=1−ey−1 (1−ey−1)dy=y−ey−1 =(1−1)−(0−e−1)=e−1 → 3 |
sin x cos y dxdy= sin x cos y dx dy
sin x cos y dx=−cos x cos y=cos y cos y dy=sin y= → 2 |
x cos xy dxdy= x cos xy dy dx
x cos xy dy=sin xy=sin x sin x dx=−cos x=(−(−1))−(−1)=1+1=2 → 5 |
x≧0, y≧0, x+y≦1 → 0≦y≦1−x, 0≦x≦1とする
(x−y)2 dxdy= (y−x)2 dy dx (x−y)2 dy=(y−x)3={ (1−2x)3+x3} {(1−2x)3+x3}dx=(1−2x)4+ ={(−+)−(−)}= → 1 |
平成22年度技術士第一次試験問題[共通問題]
【数学】V-10 定数a, bに対して,(ax+by)dxdy=1とする. このとき,a+bの値は,次のどれか.ただし,D : 0≦x≦1, 0≦y≦1とする. 10 2 31 4 52 解説
(ax+by)dxdy= (ax+by)dy dx
(ax+by)dy=axy+y2=ax+y2 (ax+y2)dx=x2+x =+=1 より a+b=2 → 5 |
(x+y)2 dxdy= (x+y)2 dx dy
(x+y)2 dx=(x+y)3={ (1+y)3−y3} {(1+y)3−y3}dy=(1+y)4−y4 ={16−1)−(1−0)}= → 5 |
(x+2y)dxdy= (x+2y)dx dy
(x+2y)dx=x2+2xy=(+6y)−(+2y) =4+4y (4+4y)dy=4y+2y2 =(12+18)−(8+8)=14 → 5 |
■[個別の頁からの質問に対する回答][重積分について/17.3.22]
H24のV-10の問題いいですね。
=>[作者]:連絡ありがとう. |
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