○wxMaximaで関数の不定積分を求めるには,メニューから[微積分]→[積分]を選び,対話型メニューに「関数」「変数」を入力して(定積分にチェックを付けないで)「OK」ボタンを押すと integrate(..., x) のように,入力すべき式が書き込まれるようになっている.画面上で (%inn) の右にある入力欄を直接書き換えてもよい. 入力に当たっては,2xなどの書き慣れた記号を2*xと書かなければならないことに注意しましょう. 以下においてはいずれも積分定数は省略されている. |
■教科書や問題集でよく出会う公式 【無理関数の不定積分】
(1)
○wxMaximaでの入力例integrate(sqrt(a*x+b), x); さらに,得られた結果(%)に対して根号を含む式を整理する関数 radcan() を実行した場合 radcan(%); ○結果 (積分定数は省略される[以下同様])
(2)
○wxMaximaでの入力例integrate(x*sqrt(a*x+b), x); さらに,得られた結果(%)に対して整式や分数式を整理する関数 ratsimp() を実行した場合 ratsimp(%);
筆算で行う場合は,
○結果または による置換積分でできる.
(3)
○wxMaximaでの入力例integrate((x+a)*(x+b)^(1/3), x);
筆算で行う場合は,
○結果による置換積分でできる.
(4) (a>0)
○wxMaximaでの入力例a>0の仮定は,assume( )で入力できます. assume(a>0); 次に,不定積分のコマンドを実行します. integrate(1/sqrt(a^2-x^2), x);
この関数の不定積分は結果が逆三角関数になるので,高校数学で直接出題することはありませんが,定積分ではこの形の積分は出ます.
○結果Maximaでは逆三角関数sin−1xあるいはarcsinxをasinxで表すので,この結果を通常の表記で書くと, になります. 筆算で行うには,x=a×sintとおいて置換積分します. (なおの区間を使えばcost≧0です) となりますが,この変数tを元の変数xに戻すときに逆三角関数が登場します.
(5) (a>0)
○wxMaximaでの入力例a>0の仮定は,assume( )で入力できます. assume(a>0); 次に,不定積分のコマンドを実行します. integrate(sqrt(a^2-x^2), x);
この不定積分も結果が逆三角関数になるので,高校数学で直接出題することはありませんが,定積分ではこの形の積分は出ます.
○結果筆算で行うには,x=asintとおいて置換積分し,半角公式を使ってまとめます. a と asin が紛らわしいですが,通常の書き方に直せば を表しています. ●やや複雑な計算になるもの
(6)
○wxMaximaでの入力例integrate(sqrt(x^2+A), x); このときAが正であるか負であるかによって結果が変わるので,次のメッセージが出ます. Is A positive or negative? メッセージの直後に p を入力して,Shift + Enter を押すと( A>0 の場合の結果が得られます) ○結果
双曲線関数の逆関数は,arsinh yと書かれることもあるが,Maximaではasinh yと書かれる.したがって,上の結果は
再度,積分計算を実行してIs A positive or negative?のメッセージの直後に n を入力して,Shift + Enter を押すと A<0 の場合の結果が得られます.ここで,最後の項を積分定数に含めてしまうと,高校の数学では次の形が好まれる. …(*) が得られるが,これは上の(*)と積分定数の差のみ異なるが同じ関数を表している.
(7) (A>0)
○wxMaximaでの入力例integrate(1/sqrt(x^2+A), x); このときAが正であるか負であるかによって結果が変わるので,次のメッセージが出ます. Is A positive or negative? メッセージの直後に p を入力して,Shift + Enter を押すと( A>0 の場合の結果が得られます) ○結果
双曲線関数の逆関数は,arcsinh yと書かれることもあるが,Maximaではasinh yと書かれる.したがって,上の結果は
となるから,積分定数に定数項を含めると になる. ※高校では,通常この形を使う. |