== 定積分で定義される関数 =
【用語】
〇関数で微分するとになります.

これは次のように書かれることもあります.

この場合のように,微分したらになる元の関数原始関数と言います.
〇この他,関数などをで微分してもになります.


………
〇このように,関数f(x)=2xが与えられたとき,微分して2xになる元の関数F(x)は多数あり,
Cは定数)
の形の関数を微分すると,いずれも2xになります.
〇一般に関数f(x)が与えられたとき,F'(x)=f(x)となるとき,それぞれの関数F(x)f(x)原始関数を表しますが,原始関数全体の集まりを表すには
という記号を使い,f(x)不定積分と言います.
f(x)の原始関数の1つをF(x)とするとき
Cは任意定数)
になります.
【まとめ】
F'(x)=f(x)のとき,F(x)f(x)の原始関数という.
≪例≫
x22xの原始関数
f(x)の原始関数全体の集合
Cは任意定数)
f(x)の不定積分という.
≪例≫

2xの不定積分

【定積分と微分の関係】
〇定積分は,原始関数を使って表されます.すなわち,f(x)の原始関数の1つをF(x)とするとき
 上で述べたように,原始関数はF(x)+Cの形の関数でCの値が何であってもよいのですが,
定積分の計算は引き算になるので


のようにCを付けていても「引き算で消えてしまいます」.
 そこで,不定積分の話をするときには,積分定数Cを忘れないように!と教えておきながら,定積分の話をするときにはC=0の形,すなわちCが付いていない形F(x)を使います.

よい子の皆さんに,なぜ無駄なCを教えたんだよ〜
定積分ではCは消えますが,他の場面ではよく使います.Cは無駄ではありません
※■用語と言い回し方■
(1) 現行の(平成30年告示)高等学校学習指導要領数学には,原始関数という用語は登場しない.
(2) 大学数学の教科書では,原始関数という用語を使わず,不定積分と定積分という用語だけで書かれることが多い.
(3) 高校数学U,Vの教科書では,ほとんどの場合(感覚的には99%以上!)「f(x)原始関数の1つF(x)とする」と表現し,「f(x)1つの原始関数F(x)とする」とは言わない.(この例外を,平成25年発行のS社数学U 199頁で1箇所だけ見たことがある)
f(x)原始関数の一つF(x)とする」とも書かない.
※なぜかという理由は,この教材の筆者には言えない.ただ,事実としてそうなっているのです.
〇定積分で定義される関数が表している内容を考えるには,原始関数を使って書き直すとよい.
【例1】
a, bを定数とするとき

を求めるには
(解答)
f(t)の原始関数の1つをF(t)とおくと

ここで,a, bは定数だから,F(a)−F(b)は定数.
定数を微分すると0になるから
…(答)

【例2】
aを定数とするとき

を求めるには
(解答)
f(t)の原始関数の1つをF(t)とおくと

ここで

だから

(参考)
 積分変数tと被積分関数f(t)が変数として対応していれば原始関数F(t)は求められます.
 定積分では,求めた原始関数F(t)に,積分区間の上端の値bと下端の値aを代入して引くので,結果として変数tは残りません.
 だから「問題が他の積分変数で書かれていても」同じ答えになります.

 実は,積分変数と積分区間の上端が同じ文字xを使って問題が書かれていても,同じ結果になります.

これに対して,微分する変数と積分区間の上端が無関係な変数である場合

において,F(t)−F(a)xの関数ではないから,これをxで微分すると0になります.

【重要】
a, bを定数とするとき
(1) 定積分

は,積分区間の上端xの関数になる.
 積分変数tの関数ではない.
(2) 定積分

は,下端tの関数になる.
 積分変数xの関数ではない.
【例3】
bを定数とするとき

を求めるには
(解答)
f(t)の原始関数の1つをF(t)とおくと

ここで

だから


※次の問題は,上に述べた例とほぼ同じ内容です.
【問題1】 (選択肢の中から正しいものを1つクリック)
(1)
a, bを定数とするとき

を求めてください.
(2)
aを定数とするとき

を求めてください.

(3)
aを定数とするとき

を求めてください.
(4)

を求めてください.


【例題1】
のとき, 定数aの値及び関数f(x)を求めてください.

(解説)
f(t)の原始関数の1つをF(t)とおくと

ここで

だから
右辺をxで微分すると2x−3
ゆえに
f(x)=2x−3…(答)
 定積分において,積分区間の下端と上端が等しいときは,被積分関数が何であっても積分は0になります.(これは公式です)

したがって,

この2次方程式を因数分解によって解くと

a=1, 2…(答)
※このようにして求めたaの値は必要条件(これ以外には解がないこと)ですが,十分性の証明は,f(x)を用いて実際に積分してみると分かります.

ここで,a=1, 2のとき,だから

が成り立つ.ただ,教科書や参考書では,十分性の証明までは要しないと考えられているようです.

span style="color:#0000ff;">【問題2】 (選択肢の中から正しいものを1つクリック)
(1)
のとき,関数 f(x) を求めてください.
(2)
のとき,定数aの値を求めてください.

(3)
のとき,定数aの値を求めてください.
(4)
のとき,定数aの値を求めてください.

【例題1】
のとき,関数f(x)を求めてください.

(解説)
下端と上端が定数である定積分は定数であるから
kは定数)
とおける.
f(x)=2x+k
として,右辺の積分を計算すると


この方程式を解くと
k=−4
f(x)=2x−4…(答)
【要点】
は定数とおける
f(x)の関数形が決まる

【問題3】 (選択肢の中から正しいものを1つクリック)
(1)
のとき,関数f(x)を求めてください.
(2)
を満たす関数f(x)は,f(x)=である.
(立教大2016年度入試問題)

(3)
を満たす関数f(x)を求めてください.
(4)
を満たす関数f(x)を求めてください.
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