■[ケーリー・ハミルトンの定理2]

※ ケーリー・ハミルトンの定理は,使えない場面では使わないことが大切です。
[要点]
● ケーリー・ハミルトンの定理から
<いえること>
について,
p=a+d,q=ad−bcとおくと2−pA+qE=0
<いえないこと>
a+d=p,ad−bc=q××2-pA+qE=0
:出てくる場面>
について,
2-7A+6E=0のときa+d=7,ad−bc=6といえるか?

→ いえない。


まず,次の関係に注意します。
「xA+yE=0」のときx,yの値は?
(ア) A≠kEのとき (Aが単位行列の定数倍でないとき)
x≠0ならばA=(−y/x)E, Aが単位行列の定数倍
となり矛盾するから,
x=y=0
(イ) A=kEのとき
+y=0は
x=0,y=0でなくとも成立する。
(1,1成分をみれば十分)
上の例の場合>

2-7A+6E=0・・・(1)与えられた条件
2-(a+d)A+(ad−bc)E=0・・・(2)

ケーリー・ハミルトンの定理から成立
(1)-(2)
(a+d−7)A+(6-ad+bc)E=0
(ア) A≠kEのとき
a+d=7,ad−bc=6・・答
(イ) A=kEのとき
A=とおくと、

(2k−7)+(6-k2=0

(1,1)成分,(2,2)成分から
(2k−7)k+6-k2=0
2-7k+6=0
k=1,6
A=のとき,
各々2-7A+6E=0は成立し,
a+d=2,ad−bc=1・・答
及び,a+d=12,ad−bc=36・・答

(結局,成分計算となる問題)


例題1
A=が A2-A-6E=0 を満たすとき a+d,ad−bc の値を求めなさい。


答案例
条件から,A2-A-6E=0・・・(1)
ケーリー・ハミルトンの定理からA2-(a+d)A+(ad-bc)E=0・・・(2)
(1)-(2)
(a+d-1)A+(-6-ad+bc)E=0・・・(3)
(ア) A≠kEのとき,
 (3)より,a+d=1,ad-bc=-6・・・答
(イ) A=kEのとき,
A=とおくと,
(2k-1)+(-6-k2)E=0
(1,2)成分,(2,1)成分は成立。
(1,1)成分,(2,2)成分から
2k2-k-6-k2=0
2-k-6=0
k=3,-2
k=3のとき,a+d=6,ad-bc=9・・答
k=-2のとき,a+d=-4,ad-bc=4・・答
(一言断ればケーリー・ハミルトンだけで済む問題)

例題2
A=について A2+xA+yE=0 が成り立つとき,
x=[ア],y=[イ]

答案例
条件から,A2+xA+yE=0・・・(1)
ケーリー・ハミルトンの定理からA2-5A+2E=0・・・(2)
(1)-(2) (x+5)A+(y−2)E=0
A≠kE だから・・・(記述式答案では,一言断ることが大切)
 x=−5,y=2・・・答
[問題]
A=が A−4A+3E=0を満たすとき,a+d,ad−bc の値を求めなさい。


条件から,A2-4A+3E=0・・・(1)
ケーリー・ハミルトンの定理からA2-(a+d)A+(ad-bc)E=0・・・(2)
(1)-(2)
(a+d-4)A+(3-ad+bc)E=0・・・(3)
(ア) A≠kEのとき,
 (3)より,a+d=,ad-bc=・・・答
(イ) A=kEのとき,
A=とおくと,
(2k-4)+(3-k2)E=0
(1,2)成分,(2,1)成分は成立。
(1,1)成分,(2,2)成分から
2k2-4k+3-k2=0
2-4k+3=0
k=3,1
k=3のとき,a+d=,ad-bc=・・答
k=1のとき,a+d=,ad-bc=・・答

A=について,A2+xA+yE=0ならば,
x=,y=
 
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