■独立な試行の確率,反復試行の確率

問題1 [独立な試行の確率]
[ 第1問 / 全4問中 ]

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(1) さいころを2回投げるとき,1回目は3以下,2回目は3以上の目が出る確率を求めよ.

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問題2 [反復試行の確率]
[ 第1問 / 全5問中 ]
(1) 硬貨を5枚投げるとき,4枚以上表が出る確率を求めよ.

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■解説
《要点》
【独立な試行の確率】
A , B が独立であるとき,A B も起こる確率は
P(A)·P(B)
で求められる.

例1 さいころを2回投げて1回目に3以下,2回目に4以下の目が出る確率を求めるとき
 ここまでに習った考え方で,右の図1のように1回目,2回目の起こり得るすべての場合を N=36 と考えるときは,
 式1のように計算して,P = .1236nn = .13n とする.

 しかし,この問題では1回目に出る目は2回目に出る目に影響していないので,式2のように1回目に3以下となる確率( .36n )と2回目に4以下となる確率( .46n )の積でも求めることができる.
⇒ このように,A , B が独立であるとき,A B も起こる確率は
P(A)·P(B)
で求められる.
図1
  1 2 3 4 5 6
1    
2    
3    
4            
5            
6            
式1
式2

例題
 さいころを2回投げるとき2回とも偶数の目が出る確率は
 1回目に偶数(2 , 4 , 6)が出る確率は .12n,2回目に偶数(2 , 4 , 6)が出る確率は .12n

.12n×.12n=.14n
独立でない例 赤玉3個,白玉2個が入っている袋から,玉を1つずつ取り出し,取り出した玉は元に戻さない場合に,赤玉が2回出る確率を求めるとき(非復元抽出という)
 取り出した玉を元に戻さない場合は,1回目に起こったことは2回目の出方に影響する:

(ア) 1回目に赤玉が出たとき,袋の中は赤玉2個,白玉2個の計4個になるから,
 2回目に赤が出る確率は .24n

(イ) 1回目に白玉が出たとき,袋の中は赤玉3個,白玉1個の計4個になるから,
 2回目に赤が出る確率は .34n
⇒ このように取り出した玉を元に戻さないときは,1回目に A が起こることと2回目に B が起こることは独立ではない.

⇒ 取り出した玉を元に戻すときは,「独立な試行の確率」が適用できるが,取り出した玉を元に戻さないときは「独立な試行の確率」が適用できない.
図2
※ この問題を今までに習った方法で解くには,
1回目の玉の出方は5通り,そのそれぞれについて2回目の玉の出方は4通り → N=20 通り
 1回目に赤が出るのは3通り,その各々について2回目に赤が出るのは2通り → n=6 通り
p = .620nn = .310nn
とする.

※ この問題で,1回目に取り出した玉を元に戻すとき(復元抽出という.)は,1回目の玉と2回目の玉はお互いに影響されず,赤赤と出る確率は
p = .35n×.35n = .925nn

で求められる.
《要点》
【反復試行の確率】
1回の試行で事象 A が起こる確率が p のとき,この試行を n 回繰り返してAr 回起こる確率は
nCr pr qn - r
ただし,q= 1 - p
(解説)
○ 5回のうち A が3回起こる確率で調べると,
(1) AAAAwAw となる場合 ⇒ pppqq=p3q2 だけでなく
A が起こる順序だけが異なり,A が合計3回となっているものはすべて当てはまる.このようなものは右のように(1)~(10)の10通りあるから,その確率は 10 p3q2 になる.

○ この係数10は次のようにして求められる:

ア)「同じものがあるときの順列」で考える場合
p が3個,q(=1 - p) が2個あるとき,これらを並べ替えてできる順列の総数は .5!3!2!nnn 通りあるから,

p3q2.5!3!2!nnn 回登場し,その和は, .5!3!2!nnnp3q2

ここで,.5!3!2!nnn=5C3 と書けるから,5C3p3q2
イ)「組合せ」で考える場合
p が3個,q(=1 - p) が2個あるとき,これらを並べ替えてできる順列は並び方の番号札①②③④⑤のうち p の行き先の番号札3個(組合せ)で決まる.
 たとえば, p の行き先の番号札が①③④のときは pqppq になる.p の行き先の番号札が①④⑤のときは pqqpp になる,など.
 このように考えれば,p 3個,q(=1 - p) 2個を並べ替えてできる順列の総数は,5C3 通りあるから,確率の合計は 5C3p3q2 になる.
○ 一般に
 1回の試行で事象 A が起こる確率が p のとき,この試行を n 回繰り返してAr 回起こる確率は,pr qn - r となる場合が,nCr 通りあることから,それらの合計は
nCr pr qn - r
で求められる.
(5回のうち3回起こる確率)
 事象 A が起こる確率が p のとき,この試行を 5 回繰り返して A が 3 回起こる確率は,次の各場合を足せばよい. 
(1) pppqq=p3q2
(2) ppqpq=p3q2
(3) ppqqp=p3q2
(4) pqppq=p3q2
(5) pqpqp=p3q2
(6) pqqpp=p3q2
(7) qpppq=p3q2
(8) qppqp=p3q2
(9) qpqpp=p3q2
(10) qqppp=p3q2
⇒上の各式を足したとき,p3q210回登場するから,
回数が係数になって,和は 10 p3q2 になる.

例題
 硬貨を5回投げるとき表がちょうど3回出る確率は
 1回の試行で表が出る確率は p = .12n,表が出ない確率は q=1 - p = .12n だから

5回のうち表がちょうど3回出る確率は
5C3(.12n)3(.12n)2=10·.132nn = .516nn
例題
 さいころを6回投げるとき1の目がちょうど2回出る確率は
 1回の試行で1の目が出る確率は p = .16n,1の目
が出ない確率は q=1 - p = .56n だから

6回のうち1の目がちょうど2回出る確率は
6C2(.16n)2(.56n)4=15·.62546656nnnnn = .312515552nnnnn


■[個別の頁からの質問に対する回答][独立な試行の確率,反復試行の確率について/16.10.10]
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