■3次関数の増減(文字係数)
【実習1】
○ 右の≪図1≫に示した曲線は y=x3+ax2+x…(*) のグラフです. ○ 3次関数y=x3+ax2+xのグラフが0≦x≦1の区間で単調増加となるような定数aの値の範囲を求めたい. ○ 右図の赤で示した縦のスケールを適当にクリックして,(*)の曲線のaの値を変えると,実験的にはa≧−1.7...らしいということが分かりますが,これを数学の答案としてどのようにまとめたらよいかを考えてみます. ≪とりあえず思いつく答案の流れを考えてみる≫ 3次関数でx3の係数が正の数の場合,f '(x)=0で作られる2次方程式の解は,次の3つの場合に分けられます.(右図2参照)
(A) f '(x)=0が実数解をもたない場合
そこで,まず(A)または(B)の場合は,全区間で単調増加となるのであるから,当然0≦x≦1の区間でも単調増加となり,条件を満たす.
2つの虚数解を持つ場合:f '(x)=0の判別式D'<0
(B) f '(x)=0が実数の重解をもつ場合⇒ 全区間で単調増加
f '(x)=0の判別式D'=0 ⇒ 全区間で単調増加
(C) f '(x)=0が異なる2つの実数解をもつ場合
f '(x)=0の判別式D'>0 ⇒ 極値の間の区間で単調減少
(初歩的な注意)
◇高校では3次方程式の判別式は考えない.ここでは,元の3次関数を微分してできる2次関数の判別式をD(またはD'=D/4)で表している. ◇上記の(B)の場合も「全区間で単調増加」となることに注意.
f '(x)=3x2+2ax+1=0とした2次方程式について
次に,(C)の場合は,f '(x)=0は異なる2つの実数解をもち,これが極値に対応しているので,図3のように0≦x≦1が単調増加の区間に入ればよい.
D'=a2−3≦0より − ![]() ![]()
f '(x)=3x2+2ax+1=0の小さい方の解から
x=
(C-1),(C-2)には等号も入ります.![]() ![]() ![]() ![]() x= ![]() ![]() ![]() ![]() ここまで変形してきましたが,これら(C-1)または(C-2)は無理不等式で,コテコテし過ぎて簡単には解けません. ![]() ![]() 答案を作りたいところです. ≪答案≫ (C) 2次方程式y'=f '(x)=3x2+2ax+1=0が2つの解をα,β (α<β)をもつときは,2つの解が0以下であればよい.(右図4)
y'=f '(0)≧0 ⇔ f '(0)=1は成り立つ…(1)
また,2つの解が1以上であればよい.(右図4)判別式D'>0 ⇔ D'=a2−3>0 ⇔ a<− ![]() ![]() − ![]() (1)(2)(3)よりa> ![]()
y'=f '(1)≧0 ⇔ 4+2a≧0 ⇔ a≧−2…(4)
(A)(B) 2次方程式y'=f '(x)=3x2+2ax+1=0が実数解を持たないときや実数の重解をもつときは,全区間で単調増加だから条件を満たす
判別式D'>0 ⇔ D'=a2−3>0 ⇔ a<− ![]() ![]() − ![]() (4)(5)(6)を満たすaは存在しない
−
以上の(A)(B)(C)から−![]() ![]() ![]() |
aの現在値
![]() ≪図2≫ ![]() ![]() ![]()
(考え方のポイント)
◇元の関数が,y=x3+ax2+xであるかy=x3+ax2+x+Cであるかは,結果に影響しておらず,f '(x)だけで増減をしらべることができるので,2次方程式3x2+2ax+1=0 の2つの解と区間0≦x≦1の配置だけを考えれば十分です.
y'
必要なものは全部引き継いだから,親父(y)は黙っていてくれ.
![]()
y
![]() 分かった. では,息子(y')だけで頑張りなさい. ≪図4≫ ![]() |
![]()
【要点】
3次関数の増減問題を,2次方程式の解の配置問題にしてしまう.
【実習2】
(答案)○ 3次関数y=x3+x2+axのグラフが0≦x≦1の区間で単調増加となるような定数aの値の範囲を求めてください.
右の≪図2≫に示した曲線はy=x3+x2+axのグラフです.
縦のスケールを適当にクリックしてaの値を変え,0≦x≦1の区間で単調増加となるような定数aの値の見当を付けてください.次に,論述答案としてまとめてください. y'=3x2+2x+a=0の2次方程式について D'=1−3a (1) D'≦0のとき,y'はすべての実数xについて0以上となるから,yは全区間で単調増加となる.
1−3a≦0 ⇔ a≧
(2) D'>0のとき,y'=f '(x)=3x2+2x+a=0が0以下の2つの異なる実数解をもつ条件を求める
![]()
判別式D'=1−3a>0 ⇔ a<
(3) D'>0のとき,y'=f '(x)=3x2+2x+a=0が1以上の2つの異なる実数解をもつ条件を求める
![]() f '(0)=a≧0 軸− ![]() 以上から,0≦a< ![]()
判別式D'=1−3a>0 ⇔ a<
(1)(2)(3)より,0≦a…(答)
![]() f '(1)=5+a≧0 軸− ![]() 以上から,この条件を満たすaはない |
aの値
![]() (参考) 次の図3はy'=3x2+2x+aのグラフです.aの値を変化させたとき,「0以下の異なる2つの実数解をもつことはある」が,「1以上の異なる2つの実数解をもつことはない」というわけを確かめてください.
aの値
![]() |
問13次関数y=x3−3ax2+3x−5が0≦x≦1の区間で単調増加となるような定数aの値の範囲を求めてください.
1a≦0
2a<0
3a≦1
4a>1
HELP
aの値
![]() |
y'=3x2−6ax+3=3(x2−2ax+1)
2次方程式g(x)=x2−2ax+1=0について (1) 重解または虚数解をもつときは,全区間で単調増加となるから条件を満たす.
判別式D'=a2−1≦0 ⇔ −1≦a≦1は条件を満たす
(2) 異なる2つの実数解をもつときは,次の2つの場合が条件を満たす.
![]()
g(0)=1≧0は成立する
判別式D'=a2−1>0 ⇔ a<−1 , 1<a 軸a≦0 以上よりa<−1 (ii) 1以上の異なる2つの実数解をもつときは,0≦x≦1の区間でy'≧0となる.
g(1)=2−2a≧0 ⇔ a≦1
以上より,a≦1 → 3
判別式D'=a2−1>0 ⇔ a<−1 , 1<a 軸a≧1 これらを満たすaはない |
問23次関数y=x3+ax2−3ax+3が0≦x≦1の区間で単調減少となるような定数aの値の範囲を求めてください.
1a≦0
20≦a≦1
31≦a≦3
4a≧3
HELP
aの値
![]() |
y'=g(x)=3x2+2ax−3aについて
0≦x≦1の区間でg(x)≦0となるには,g(0)≦0かつg(1)≦0が条件となる.(*)
g(0)=−3a≦0 ⇔ a≧0
したがってa≧3 → 3g(1)=3−a≦0 ⇔ a≧3 - - - (*)の説明 g(x)=3x2+2ax−3a=0の2次方程式が重解をもつ場合や虚数解をもつ場合には,そもそもg(x)<0となるxが存在しないから,0≦x≦1の区間でもg(x)<0となることはできない. ![]() ![]() (3)において,g(0)≦0, g(1)≦0であれば,D>0は成り立つ.また,(3)(3’)(3”)のいずれでもよいから軸がどこにあるかは条件に影響しない. したがって,(3)(3’)(3”)となる条件はg(0)≦0, g(1)≦0だけでよい. |
問33次関数y=
1−![]() の区間で単調増加となるような定数aの値の範囲を求めてください. ![]() ![]() 3−1≦a≦3 4− ![]() ![]()
aの値
![]() |
y'=g(x)=x2+2(a−1)x+4=0について
D'=(a−1)2−4=a2−2a−3=(a+1)(a−3) (1) D'≦0のときは,全区間で単調増加となるから条件を満たす.
(a+1)(a−3)≦0 ⇔ −1≦a≦3
(2) 異なる2つの実数解をもつときは,次の2つの場合が条件を満たす.(i) −1以下の異なる2つの実数解をもつときは,−1≦x≦1の区間でy'≧0となる.
g(−1)≧0 ⇔ 1−2(a−1)+4≧0 ⇔ 7−2a≧0
a≦ ![]() 判別式D'>0 ⇔ a<−1, 3<a 軸−(a−1)≦−1 ⇔ a≧2 以上から3<a≦ ![]() (ii) 1以上の異なる2つの実数解をもつときは,0≦x≦1の区間でy'≧0となる.
g(1)≧0 ⇔ 1+2(a−1)+4≧0 ⇔ 3+2a≧0
以上より,−a≧− ![]() 判別式D'>0 ⇔ a<−1, 3<a 軸−(a−1)≧1 ⇔ a≦0 以上から− ![]() ![]() ![]() |
問43次関数y=x3+ax2+2ax+1が−1<x<0の区間に極大値を,0<x<1の区間に極小値を持つように定数aの値の範囲を求めてください.
1−![]() ![]() 3a<0, 6<a 4a≦0, 6≦a HELP
aの値
![]() |
y'=g(x)=3x2+2ax+2aの符号が−1<x<0の区間で正から負に,0<x<1の区間で負から正に変化すればよい.
このためには,
g(−1)=3−2a+2a=3>0…(1)
が必要かつ十分な条件となる(*)g(0)=2a<0…(2) g(1)=3+4a>0…(3) ![]()
(1) は成り立つ
※(1)においてg(−1)≧0とはしない理由,すなわち等号を含めない理由は,x=−1のとき極値になると題意に合わないから.(2) ⇔ a<0 (3) ⇔ a>− ![]() 以上より,− ![]() (2)においてg(0)≦0とはしない理由,すなわち等号を含めない理由は,g(0)=0のときは,重解になって極値がなくなり,題意に合わないから. (3)においてg(1)≧0とはしない理由,すなわち等号を含めない理由は,x=1のとき極値になると題意に合わないから. ![]() また,軸がx=0よりも大きくても小さくても,どちらでもよいから,軸の方程式は条件に影響しない. |
■このサイト内のGoogle検索■ |