■ 次数の方程式

○ 次の答案で( ? )の箇所に入る式を右の欄から選びなさい.
はじめに,( ? )を選び,次に式を選びなさい.合っていれば確定し,間違っていれば元に戻る.
(習っていないと難しいので,歯が立たないときは下端の【考え方】を先に読むとよい)
【答案】
【考え方】

 関数 f(x) , f ’(x) の方程式から f(x) を求める問題は,数学IIIの微分方程式で扱われるが,f(x) が多項式であることが分かっているときは,単に次数 n の方程式を解けば求められることがある.

【解き方1】
 f(x)n 次式として,両辺の次数からn を求める.
例1
 次の関係を満たす多項式 f(x) を求めよ.
f(x)+f ’(x)=2x2+x−2
(答案)
 f(x) が定数のときは成り立たない.
 f(x)n (≧1)次式とすると,左辺の項は各々n 次,n−1次だから,最高次は n 次.
 右辺の次数は 2 次.
ゆえに,n=2
 f(x)=ax2+bx+ca0)とおいて,原式に代入すると,
(左辺)=ax2+(2a+b)x+(b+c)
(右辺)=2x2+x−2
係数を比較すると,a=2 , b =−3 , c=1
ゆえに,f(x)=2x2−3x+1···(答)
 問題の形によっては,次数 n だけではうまくいかないことがある.このときは,
【解き方2】
 f(x)最高次の項を,axn として,a , n を求める.




なお,次の関係に注意
【指数法則】
 xmxn=xm+n ,(xm)n=xmn
例えば,xnxn−1=x2n−1 ,(xn−1)2=x2n−2
例2
 次の関係を満たす多項式 f(x) を求めよ.
2f(x)=xf ’(x)+2x+6···(1)
f(1)=6···(2)
(答案)
1) f(x) が2次以上のとき,
 f(x) の最高次の項を axna0)とすると,
 (1)より,
 左辺の最高次の項は,2axn
 右辺の最高次の項は,naxn
 これらが等しいから,na=2a (n−2)a=0a0
 ゆえに,n=2
f(x)=ax2+bx+ca0)とおくと,
2ax2+2bx+2c=2ax2+(b+2)x+6
b=2 , c=3
このとき,f(x)=ax2+2x+3 が(2)を満たすためには,a=1
ゆえに,f(x)=x2+2x+3

2) f(x) が1次以下のとき,f(x)=ax+b とおくと,
 (1)より
 左辺=2ax+2b
 右辺=(a+2)x+6
 a=2 , b=3
 f(x)=2x+3 は(2)を満たさない.

 1) 2)より,f(x)=x2+2x+3···(答)
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■埼玉県[kunkunさん/17.4.19]
次数の方程式の例2について いつも利用させて頂いております。 他の方も質問されておりましたが、f(x)が2次以上と1次以下で場合分けする根拠がどうしても理解できていません。 例1と状況は変わらないように思うのですが。 宜しくお願い致します。
=>[作者]:連絡ありがとう.
(1) まず初めに,n=0すなわち定数項の場合,f(x)=a, f '(x)=0になります.したがって,左辺2f(x)は実際には2aになり,その最高次の項が2ax0=2aというのは成り立ちます.しかし,右辺xf '(x)+2x+6は実際には2x+6になり,最高次の項が0ax0=0というのは成り立ちません.
(2) n=1すなわち1次式の場合,f(x)=ax+b, f '(x)=aになります.したがって,左辺2f(x)は実際には2ax+2bになり,その最高次の項が2ax1=2aというのは成り立ちます.しかし,右辺xf '(x)+2x+6は実際にはax+2x+6になり,最高次の項が1ax1=axというのは成り立ちません.
このように,xf '(x)が1次式以下になる場合には,右辺xf '(x)+2x+6の最高次の項がnaxnとは言えないことになります.(2xだけが最高次の項になる場合と,2xも最高次の項に合流する場合があるので,分けずに議論できないということです.)
■[個別の頁からの質問に対する回答][次数の方程式について/17.1.11]
f(x)が定数の場合(例2ではn<=1のとき)を場合分けする説明があればありがたいです。 問題と例1ではn>=1,例2ではn>=2でやっていますが,これらをn>=0としてまとめて扱うことはなぜできないのでしょうか。
=>[作者]:連絡ありがとう.次の点に注意してください.
n次式を微分したらn-1次式になるとは限らない・・・1つだけ例外があるのです.つまり無警戒に

としたら間違いとなる数nが1つあるのです.左の式はn=0ならかろうじて成り立つように見えますがにはなりません.右の式でいえばとはなりません.
簡単なことですが,定数を微分すると0になります.()したがって,上記の式でnが0になる可能性があれば微分の形が変わるので,場合分けが必要となるのです.