■3次方程式の実数解の個数(文字係数)
【実習1】
○ 右の≪図1≫に示した曲線は y=x3−3x−a…(*) のグラフです. ○ 右図の赤で示した縦のスケールを適当にクリックして,(*)の曲線のaの値を変えてください. ![]()
3次関数y=x3−3x−aがx軸と異なる3点で交わるような定数aの値の範囲は−2<a<2
したがって 3次方程式x3−3x−a=0が異なる3つの実数解をもつような定数aの値の範囲は−2<a<2 上のように,3次方程式の実数解は3次関数のグラフを描けば分かりますが,一般には上の例のように「文字係数aを引きずったままグラフを動かして考える」のは取り扱いが難しいので,次のように「定数係数で固定されたグラフ」と「y=a」の直線の共有点(交点と接点)で調べる方が簡単になります.
【実習2】
○ 右の≪図2≫において,青色で示した曲線は y=x3−3x 赤色で示した直線は y=a…(**) のグラフです. ○ 右図の赤で示した縦のスケールを適当にクリックして,(**)の曲線のaの値を変えてください. ![]()
3次関数y=x3−3x−aとy=0との共有点の座標は
3次関数y=x3−3xと直線y=aとの共有点の座標に等しい. 3次方程式x3−3x=aが異なる3つの実数解をもつような定数aの値の範囲は−2<a<2 |
aの値
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aの値
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【要点】
○文字係数を含んだ3次方程式や4次方程式の実数解の個数を調べるときは,なるべく文字係数を分離して f(x)=a の形にして, y=f(x) y=a の2つのグラフの共有点を調べる方が取り扱いが楽になる. ○ただし,x, x2, x3などの係数が文字の場合,やむを得ずそのまま(文字係数を引きずったまま)導関数を求めて増減を調べざるを得ないこともある. |
※ただし,y=x3−ax+1のような関数の場合, x3−ax+1=0 a= ![]() のように分けると,一方が分数関数となり数学IIIを習わなければできなくなります.このような問題では,無理やりaについて解くのは避けて, x3+1=ax として,原点を通る直線y=axとの共有点を調べる話にしてしまうなどの工夫をします. x3+ax2+x+2a=0 a(x2+2)=−x3−x のように,文字係数aを引きずっている方が結構難しくなる場合には,やむを得ず元の3次関数をそのまま微分して増減を調べなければならないこともあります. |
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【例題1】
3次方程式 2x3−3x2+2−a=0 の異なる実数解の個数を調べてください. (解答) 2x3−3x2+2=aと変形し, y1=2x3−3x2+2 y2=a の共有点の個数を調べる. y1'=6x2−6x=6x(x−1) だから,y1の増減表は次のようになる.
(ア) a<1のとき1個
(イ) a=1のとき2個 (ウ) 1<a<2のとき3個 (エ) a=2のとき2個 (オ) a>2のとき1個 |
aの値
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【例題2】
3次方程式 x3−3x2+a=0 が異なる3個の実数解をもつようなaの値の範囲を求めてください. (解答) −x3+3x2=aと変形し, y1=−x3+3x2 y2=a の共有点の個数を調べる. y1'=−3x2+6x=−3x(x−2) だから,y1の増減表は次のようになる.
0<a<4
※x3−3x2=−aと変形して調べてもよいが,この場合はaが増加すると横線は下がって来るので注意
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aの値
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【例題3】
3次方程式 2x3−3x2−12x+a=0 が異なる2つの正の実数解をもつようなaの値の範囲を求めてください. (解答) −2x3+3x2+12x=aと変形し, y1=−2x3+3x2+12x y2=a の共有点の個数を調べる. y1'=−6x2+6x+12=−6(x2−x−2) =−6(x+1)(x−2) だから,y1の増減表は次のようになる.
0<a<20 |
aの値
![]() |
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【例題4】
3次関数y= ![]() x>0において異なる2点で交わるようなaの値の範囲を求めてください. (解答) ![]() ![]() y1= ![]() y2=a の共有点の個数を調べる. y1'=x2−2x−3=(x+1)(x−3) だから,y1の増減表は次のようになる.
−6<a<3 ![]() ![]() y軸との交点は, x=0を代入して求めます. |
aの値
![]() |
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【例題5】
3次方程式2x3−3ax2+a=0が異なる3つの実数解をもつような正の定数aの値の範囲を求めてください.
この問題ではx2の係数が文字aになっており,無理やりaを分離しようとaについて解いてしまうと「分数関数」が登場してしまい,数IIの範囲をはみ出してしまいます.
(解答)このような問題では,やむを得ず文字係数を引きずったまま導関数を求めて,増減を調べます. y=2x3−3ax2+aとおく y'=6x2−6ax=6x(x−a) ここでa>0だから増減表は次のようになる.
a>0…(1) −a3+a<0…(2) 問題の仮定により(1)は成り立つ. ![]() a3−a>0 a(a2−1)>0 a(a+1)(a−1)>0 右図よりa>0の範囲では a>1 |
aの値
![]() |
問13次方程式x3+3x2+a−3=0が異なる3つの実数解をもつような定数aの値の範囲を求めてください.
1−2<a<0
2−2≦a≦03−1<a<3 4−1≦a≦3 HELP |
−x3−3x2+3=aと変形する.
y1=−x3−3x2+3とy2=aとの共有点の個数を調べる. y1'=−3x2−6x=−3x(x+2)だから y1の増減表は次のようになる.
−1<a<3 → 3 |
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問23次方程式2x3+3x2−12x−a+4=0が2つの正の実数解と1つの負の実数解をもつような定数aの値の範囲を求めてください.
1−2<a<1
2−2≦a≦13−3<a<4 4−3<a<24 HELP |
2x3+3x2−12x+4=aと変形する.
y1=2x3+3x2−12x+4とy2=aとの共有点の個数を調べる. y1'=6x2+6x−12=6(x+2)(x−1)だから y1の増減表は次のようになる.
![]() x=0のときy=4だから,2つの正の実数解と1つの負の実数解をもつのは, −3<a<4 → 3 |
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問33次方程式x3−3ax2+4=0が異なる3つの実数解をもつような正の定数aの値の範囲を求めてください.
10<a<1
2a>130<a<2 4a>2 HELP |
この問題ではx2の係数が文字aになっており,やむを得ず文字係数を引きずったまま導関数を求めて,増減を調べます.
![]() a>0だからyの増減表は次のようになる.
負の解が1つあるから,x=2aのときの極小値が負の値になれば,その前後で残り2つの正の実数解をもつ. −4a3+4<0 4(a3−1)>0 a>1 → 2 |
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