現在地と前後の項目 最大公約数,最小公倍数,ユークリッドの互除法/1次不定方程式の整数解/整数問題.センター(2015~)/ペル方程式/2進法,16進法,n進法⇔10進法/N進法/2進数の演算/N進数の演算/N進数の小数/連続整数の積/累乗剰余/平方剰余/入試問題(素数,剰余類1)/入試問題(素数,剰余類2)/フェルマー予想,オイラー予想/3n+1問題(コラッツ予想)/
合同式や剰余類の難しい定理を覚えようとすると,高校数学の範囲を越えてしまう場合があります.ここでは,にっこり笑って「鉛筆遊びで解く」方針で戦ってみましょう.
「時間がないから速くしたい」などと理知的に能率・効率のことを考えたらいい考えが出てきません.初めに,「ペンシルゲームのネタがもらえた」とにっこり笑うのがコツ!
【元の問題1】
≪♪~鉛筆遊びで戦う~♪≫3333の1位の数を求めよ.(名古屋大学) 1の位の数は,1の位の掛け算だけに関係し,10以上の位の数は関係ない. 順に1の位の数を書いていくと,次のようになる.
この表を見ると,指数nが4増えると1周回って同じ値になることがわかる.
(kは整数とする)
3333=34×83+1だから3333の1位の数は3…(答)n=4k → 3nの1位の数は1 n=4k+1 → 3nの1位の数は3 n=4k+2 → 3nの1位の数は9 n=4k+3 → 3nの1位の数は7 (「表を見てください」「類推です」だけでは記述問題のときに証明力が弱いと考えられるとき)→1は攻めやすい 34=81=10N+1だから,(34)83=(10N+1)83=10N’+1 3333=3(10N’+1)=10N”+3
この表を見ると,指数nが4増えると1周回って同じ値になることがわかる.
(kは整数とする)
77=4×19+1だから余りは2…(答)
n=4k → 余りは1 n=4k+1 → 余りは2 n=4k+2 → 余りは4 n=4k+3 → 余りは3 →2
(「表を見てください」「類推です」だけでは記述問題のときに証明力が弱いと考えられるとき)→1は攻めやすい 74=2401=5N+1だから,(74)19=(5N+1)19=5N’+1 777=7(5N’+1)=5N”+2 |
1の位の数は,1の位の掛け算だけに関係し,10以上の位の数は関係ない.
順に1の位の数を書いていくと,次のようになる.
この表を見ると,指数nが4増えると1周回って同じ値になることがわかる.
(kは整数とする)
7100=74×25だから7100の1位の数は1…(答)
n=4k → 7nの1位の数は1 n=4k+1 → 7nの1位の数は7 n=4k+2 → 7nの1位の数は9 n=4k+3 → 7nの1位の数は3 →1
(「表を見てください」「類推です」だけでは記述問題のときに証明力が弱いと考えられるとき) 74=2401=10N+1だから,(74)25=(10N+1)25=10N’+1
この表を見ると,指数nが6増えると1周回って同じ値になることがわかる.
(kは整数とする)
555=6×92+3だから5555を7で割った余りは6…(答)
n=6k+1 → 余りは5 n=6k+2 → 余りは4 n=6k+3 → 余りは6 n=6k+4 → 余りは2 n=6k+5 → 余りは3 n=6k → 余りは1 →6
(記述問題で減点されたくないとき) 56=15625=7×2232+1だから 5552=(56)92=(7N+1)92=7N’+1 5552×53=(7N’+1)×125=7N”+6 |
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【元の問題2】
aを自然数とすると,a3を3で割った余りとaを3で割った余りは等しいことを示せ.(慶応大学:誘導問題の第1問) 場合分けすれば,問題のレベルは1ランクも2ランクも下がる.数学の問題が算数の問題になる
)
1の位の数aとa3を3で割った余りは
(以下,m, N1, N2は整数とする) (1) a=3m(3で割り切れる)のとき,
a2=9m2=3N1
(2) a=3m+1(余り1)のとき,a3=27m3=3N2…3で割り切れる
a2=9m2+6m+1=3(3m2+2m)+1=3N1+1
(3) a=3m+2(余り2)のとき,a3=27m3+27m2+9m+1 =3(9m3+9m2+3m)+1=3N2+1…余り1
a2=9m2+12m+4=3(3m2+4m+1)+1=3N1+1
以上のように,a3を3で割った余りとaを3で割った余りは等しい.a3=27m3+54m2+36m+8 =3(9m3+18m2+12m+2)+2=3N2+2…余り2 (次のようにまとめると,きれいに決まる.)
【重要】
a3−a=(a−1)a(a+1)と変形できるから3で割ったときの余りが等しい ⇔ 差が3で割り切れる
a=3m+k, b=3n+k (k=0,1,2は共通)
ならば a−b=3(m−n)
【重要】
連続する3整数の積になり3で(3!でも)割り切れる.連続する3整数の積は,3!で割り切れる 1×2×3
2×3×4
3×4×5
4×5×6
よって,a3を3で割った余りとaを3で割った余りは等しい. |
a5−a=a(a4−1)=a(a−1)(a+1)(a2+1)
ここで無理やり連続5整数の積を足したり引いたりする
=a(a−1)(a+1)( (a−2)(a+2)+5 )=(a−2)(a−1)a(a+1)(a+2)+5(a−1)a(a+1) 第1項は連続5整数の積だから5×4×3×2×1で割り切れ,第2項は連続3整数の積だから3×2×1で割り切れる したがって,3,5,6で割った余りは等しくなるが,4で割った余りは必ずしも等しくならない. 【例】 a=2のときa5=32になり,4で割った余りは各々2, 0 →2
(別解) (上のような変形は試験会場ではなかなか思いつかない→気楽に「場合分け」で戦う
a5−a=a(a4−1)=a(a−1)(a+1)(a2+1)と変形できるから2,3,6で割った余りは等しい.場合分けすれば,問題のレベルは1ランクも2ランクも下がる.数学の問題が算数の問題になる ) 5で割った余りを調べる:
(k, Nは整数とする)
以上により,5で割った余りも等しい.(1) a=5kのときa5=5N:余りは等しい (2) a=5k+1のときa5=5N+1:余りは等しい (3) a=5k+2のときa5=5N+32=5(N+6)+2:余りは等しい (4) a=5k+3のときa5=5N+243=5(N+48)+3:余りは等しい (5) a=5k+4のときa5=5N+1024=5(N+204)+4:余りは等しい これだけでは,4で割った余りだけは等しくないことが示せないが,選択問題だから,消去法によりここで答にしてよい. (記述問題として4で割った余りが等しくないことは反例で示せばよい:a=2のときa5=32になり,4で割った余りは各々2, 0になり,等しくないことをいえばよい)
「すべての自然数nについて,ある命題が成り立つ」という主張を否定するには「ある自然数nについて,その命題が成り立たない」ことを言えばよい(反例).反例としては,なるべく小さなnを使えば計算が楽になる.
(1) m=5について
また,「7で割った余りが等しい」⇔「差が7で割り切れる」を使うと楽になる.
25−22=32−4=28(7で割り切れる)
(2) m=6について
35−32=243−9=234(7で割り切れないので不可)
26−22=64−4=60(7で割り切れないので,不可)
(3) m=7について
27−22=128−4=124(7で割り切れないので不可)
選択問題だから,消去法によりここで[4]を答にしてよい.→4
(記述問題の場合) n8−n2が7で割り切れることを証明する必要がある. n8−n2=n2(n6−1)=n2(n3−1)(n3+1) =n2(n−1)(n+1)(n2+n+1)(n2−n+1)
何によって分類するかは「何に関心があるか」によって決める.
(1) n=7kのとき(kは整数。以下同様)
因数nがあるので,7で割り切れる.
(2) n=7k+1, 7k−1のとき
各々n−1, n+1があるので,7で割り切れる.
(3) n=7k+2のとき
n2+n+1=7N+4+(7k+2)+1=7(N+k+1)だから,7で割り切れる.
(4) n=7k−2のとき
n2−n+1=7N+4−(7k−2)+1=7(N−k+1)だから,7で割り切れる.
(5) n=7k+3のとき
n2−n+1=7N+9−(7k+3)+1=7(N−k+1)だから,7で割り切れる.
(6) n=7k−3のとき
n2+n+1=7N+9+(7k−3)+1=7(N+k+1)だから,7で割り切れる.
以上により,すべての自然数nについて,7で割り切れる.
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【元の問題3】
≪♪~鉛筆遊びで戦う~♪≫m, nは自然数で,m<nを満たすものとする.mn+1, nm+1がともに10の倍数となるm, nを1組与えよ. (京都大学)
1の位の数aとそのk=1,2,3,4,...乗について,akの1の位の数は次の表のようになる.
このうちで,1の位の数が9となるのは4通りあり,a=3,7,9の場合だけである.
m=3のときはn=4p+2となって,mn, nmがともに1の位が9になることはできない.(以下pは整数)
同様にして,m=7のときもn=4p+2となって,mn, nmがともに1の位が9になることはできない. m=9のときはn=4p+1またはn=4p+3のとき,mn, nmがともに1の位が9になるから 例えば ○m=4×2+1=9, n=4×4+3=19 (m<n)のとき条件を満たす ○m=4×2+1=9, n=4×7+1=29 (m<n)のとき条件を満たす ○m=4×2+1=9, n=4×9+3=39 (m<n)のとき条件を満たす |
≪♪~鉛筆遊びで戦う~♪≫
1の位の数nについて,nnの1の位の数は次の表のようになる.
したがって,2と8は登場しない. →3
(もう少し数学の答案らしく,きれいに決めたいとき) 表により,1の位が8となるのは,xx24k+3とxx84k+1 ところが,4k+3は奇数なので,1の位の数は2にならない. また,4k+1は奇数なので,1の位の数は8にならない. 以上により,1の位の数は2, 8にならない. |
≪この頁の復習問題≫
右の表のように,2nを7で割った余りは,2,4,1の繰り返しになる.
以下,kは整数とする.
100=3×33+1だから,2100を7で割った余りは,2
(1) n=3k+1のとき,余りは2 (2) n=3k+2のとき,余りは4 (3) n=3kのとき,余りは1 →2
(別解) 23=7+1 (23)n=(7+1)n=7N+1 したがって 2100=23×33×2=14N+2 |
右の表のように,n≧3のとき,10nを8で割った余りは,0になる. →1
(別解) 103=1000=8k だから 1010=(103)3×10=(8k)3×10=8N×10は8で割り切れる. |
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【復習3】
すべての自然数aについて,amとanを5で割った余りが等しくなるのは,次のうちどの場合か. 1m=2, n=1 2m=4, n=2 3m=6 , n=3 4m=8 , n=4 5m=10 , n=5 HELP
(解法1)♪~「楽しい鉛筆遊びで戦う」
5で割った余りは右の表のようになる. m−n=4のとき,すべての自然数aについて,amとanを5で割った余りが等しくなるから,m=8 , n=4 →4
(解法2)
「すべての自然数nについて,ある命題が成り立つ」という主張を否定するには「ある自然数nについて,その命題が成り立たない」ことを言えばよい(反例).反例としては,なるべく小さなnを使えば計算が楽になる.
(1) m=2,n=1について
また,「5で割った余りが等しい」⇔「差が5で割り切れる」を使うと楽になる.
22−21=4−2=2(5で割り切れないので不可)
(2) m=4,n=2について
24−22=16−4=12(5で割り切れないので不可)
(3) m=6,n=3について
26−23=64−8=56(5で割り切れないので不可)
(5) m=10,n=5について
210−25=1024−32=992(5で割り切れないので不可)
選択問題だから,消去法によりここで[4]を答にしてよい.(解法3)・・・記述問題の場合a8−a4が5で割り切れることを証明する必要がある. a8−a4=a4(a4−1)=a4(a−1)(a+1)(a2+1)
場合分けすれば「数学が算数に変わる」
(1) a=5kのとき(kは整数。以下同様)
因数aがあるので,5で割り切れる.
(2) a=5k+1のとき
因数a−1があるので,5で割り切れる.
(3) a=5k+2のとき
a2+1=5N+4+1=5(N+1)だから,5で割り切れる.
(4) a=5k+3のとき
a2+1=5N+9+1=5(N+2)だから,5で割り切れる.
(5) a=5k+4のとき
因数a+1があるので,5で割り切れる.
以上により,すべての自然数aについて,5で割り切れる.
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【復習4】
すべての自然数aについて,amとanを7で割った余りが等しくなるのは,次のうちどの場合か. 1m=6, n=1 2m=6, n=2 3m=6 , n=3 4m=7 , n=1 5m=7 , n=2 6m=7 , n=3 HELP
(解法1)♪~「楽しい鉛筆遊びで戦う」
7で割った余りは右の表のようになる. m−n=6のとき,すべての自然数aについて,amとanを7で割った余りが等しくなるから,m=7 , n=1 →4
[舞台裏]:こんな表をどうやって作ったのか?
・・・Excelで =MOD(B$1^$A2,7) などとします. (解法2)
「すべての自然数aについて,ある命題が成り立つ」という主張を否定するには「ある自然数aについて,その命題が成り立たない」ことを言えばよい(反例).反例としては,なるべく小さなaを使えば計算が楽になる.
(1) m=6,n=1について
また,「7で割った余りが等しい」⇔「差が7で割り切れる」を使うと楽になる.
26−21=64−2=62(7で割り切れないので不可)
(2) m=6,n=2について
26−22=64−4=60(7で割り切れないので不可)
(3) m=6,n=3について
26−23=64−8=56(7で割り切れる)
(5) m=7,n=2について
36−33=729−27=702(7で割り切れないので不可)
27−22=128−4=124(7で割り切れないので不可)
(6) m=7,n=3について
27−23=128−8=120(7で割り切れないので不可)
選択問題だから,消去法によりここで[4]を答にしてよい.(解法3)・・・記述問題の場合a7−a1が7で割り切れることを証明する必要がある. a7−a=a(a6−1)=a(a3−1)(a3+1) =a(a−1)(a+1)(a2−a+1)(a2+a+1)
場合分けすれば「数学が算数に変わる」
(1) a=7kのとき(kは整数。以下同様)
因数aがあるので,7で割り切れる.
(2) a=7k+1, 7k−1のとき
各々因数a−1, a+1があるので,7で割り切れる.
(3) a=7k+2, 7k−2のとき
a2+a+1=7N+4+7k+2+1=7(N+k+1)
(4) a=7k+3, 7k−3のときa2−a+1=7N+4−7k+2+1=7(N−k+1) だから,7で割り切れる.
a2−a+1=7N+9−7k−3+1=7(N−k+1)
以上により,すべての自然数aについて,7で割り切れる.
a2+a+1=7N+9+7k−3+1=7(N+k+1) だから,7で割り切れる. |
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