■ 軌跡の方程式2○ 点が動いたあとを「軌跡」という.例 右図1は,定点Aと直線上を動く動点Qの中点Pの軌跡,右図2は2定点A,Bと円周上の動点Qでできる三角形の重心Pの軌跡である.
[例題1] [中点の軌跡]
[解答]動点 Q が直線 x−2y+4=0 上を動くとき,定点 A(0 , 0) と点 Q の中点 P の軌跡の方程式を求めよ. 点 Q の座標を (s , t),点 P の座標を (x , y) とおく. 2つの点 P , Q が動くが,軌跡の方程式を求めたいのは,点 P である.すなわち,点 P の x 座標と y 座標の「関係式」を求めれば答となる. ![]() s−2t+4=0 …(1) P は,2点 AQ の中点だから,次の関係式が成り立つ. x= ![]() y= ![]() (2)(3)より s=2x , t=2y これらを(1)に代入して s , t を消去する. 2x−4y+4=0 …(4) (必要) 逆に(4)と(2)(3)から(1)が得られるから,図形(4)上の点 P に対応する点 Q は図形(1)上にある.(十分) ゆえに,求める軌跡の方程式は x−2y+2=0 …(答) (参考)Qが描く図形とPが描く図形は,定点を相似の中心とする相似図形になる.
[例題2] [中点の軌跡]
[解答]動点 Q が円 x2+(y−2)2=4 上を動くとき,定点 A(4 , 0) と点 Q の中点 P の軌跡の方程式を求めよ. 点 Q の座標を (s , t),点 P の座標を (x , y) とおく. 点 Q は円 x2+(y−2)2=4 上にあるから,その座標 s , t は,次の関係式を満たす. s2+(t−2)2=4 …(1) P は,2点 AQ の中点だから,次の関係式が成り立つ. x= ![]() y= ![]() (2)(3)より s=2x−4 , t=2y これらを(1)に代入して s , t を消去する. (2x−4)2+(2y−2)2=4 …(4) 一般に (x−a)2+(y−b)2=r2 は円を表わす.(4)の両辺を 4 で割ると (x−2)2+(y−1)2=1 …(5) (必要) 逆に(5)と(2)(3)から(1)が得られるから,図形(5)上の点 P に対応する点 Q は図形(1)上にある.(十分) ゆえに,求める軌跡の方程式は (x−2)2+(y−1)2=1 …(答) |
図1
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[公式] 【内分点の公式】
2点 A(x1 , y1 ) , B(x2 , y2 ) を結ぶ線分 AB を m : n に内分する点の座標は ( ![]() ![]()
【要点】 軌跡の方程式の求め方
(I) 動点の座標を (x , y ) とおく. 「軌跡の方程式」とは,「動点の x 座標と y が満たす関係式」のことと考えればよい.これを求めるためには,必ず x 座標と y 座標がいる.(II) 与えられた条件を満たす x , y の関係式を作る. 「与えられた条件 ⇒ 関係式(図形)」で求まる式(図形)は,与えられた条件が成立するための「必要条件」になっている.(III) (II)で求めた関係式を満たす点が元の条件を満たすかどうか確かめる. 「関係式 ⇒ 与えられた条件」が成り立つかどうか調べる.「BならばA」が成り立つときBはAの「十分条件」と呼ばれる.十分条件が成り立つことを,十分性を満たすともいう. |
[例題3] [重心の軌跡]
[解答]動点 Q が円 x2+y2=9 上を動くとき,2定点 A(−3 , 0) , B(3 , 0) と点 Q とで作られる△ABQ の重心 P の軌跡を求めよ. 点 Q の座標を (s , t),点 P の座標を (x , y) とおく. 点 Q は円 x2+y2=9 上にあるから,その座標 s , t は,次の関係式を満たす. s2+t2=9 …(1) P は,△ABQ の重心だから,次の関係式が成り立つ. x= ![]() y= ![]() (2)(3)より s=3x , t=3y これらを(1)に代入して s , t を消去する. (3x)2+(3y)2=9 …(4) (4)の両辺を 9 で割ると x2+y2=1 …(5) ただし,3点 A , B , Q が同一直線上に並ぶときは△ABQ ができないから,(5)のうち (−1 , 0) , (1 , 0) を除く. ゆえに,求める軌跡は x2+y2=1 のうち (−1 , 0) , (1 , 0) を除いたものである. …(答) ![]() |
[問題1]
点 Q の座標を (s , t),点 P の座標を (x , y) とおく.動点 Q が直線 y=2x+1 上を動くとき,定点 A(0 ,−2) と点 Q を結ぶ線分 AQ を 1 : 2 に内分する点の軌跡を求めよ. 点 Q は直線 y=2x+1 上にあるから,その座標 s , t は,次の関係式を満たす. t=2s+1 …(1) P は,2点 AQ を 1 : 2 に内分する点だから,次の関係式が成り立つ. x= ![]() y= ![]() (2)(3)より s=3x , t=3y+4 これらを(1)に代入して s , t を消去する. 3y+4=2(3x)+1 3y+4=6x+1 y=2x−1 …(4) (必要) 逆に(4)と(2)(3)から(1)が得られるから,図形(4)上の点 P に対応する点 Q は図形(1)上にある.(十分) ゆえに,求める軌跡の方程式は y=2x−1 …(答) |
[問題2]
動点 Q が円 (x−4)2+(y−2)2=4 上を動くとき,定点 A(2 , 0) と点 Q の中点 P の軌跡の方程式を求めよ. |
点 Q の座標を (s , t),点 P の座標を (x , y) とおく. 点 Q は円 (x−4)2+(y−2)2=4 上にあるから,その座標 s , t は,次の関係式を満たす. (s−4)2+(t−2)2=4 …(1) P は,2点 AQ の中点だから,次の関係式が成り立つ. x= ![]() y= ![]() (2)(3)より s=2x−2 , t=2y これらを(1)に代入して s , t を消去する. (2x−2−4)2+(2y−2)2=4 (2x−6)2+(2y−2)2=4 (4)の両辺を 4 で割ると (x−3)2+(y−1)2=1 …(4) (必要) 逆に(4)と(2)(3)から(1)が得られるから,図形(4)上の点 P に対応する点 Q は図形(1)上にある.(十分) ゆえに,求める軌跡の方程式は (x−3)2+(y−1)2=1 …(答) |
[問題3]
動点 Q が円 (x−3)2+y2=9 上を動くとき,2定点 A(−3 , 0) , B(3 , 0) と点 Q とで作られる△ABQ の重心 P の軌跡を求めよ. |
点 Q の座標を (s , t),点 P の座標を (x , y) とおく. 点 Q は円 (x−3)2+y2=9 上にあるから,その座標 s , t は,次の関係式を満たす. (s−3)2+t2=9 …(1) P は,△ABQ の重心だから,次の関係式が成り立つ. x= ![]() y= ![]() (2)(3)より s=3x , t=3y これらを(1)に代入して s , t を消去する. (3x−3)2+(3y)2=9 …(4) (4)の両辺を 9 で割ると (x−1)2+y2=1 …(5) ただし,3点 A , B , Q が同一直線上に並ぶときは△ABQ ができない. (s , t)=(0 , 0) のとき (x , y)=(0 , 0) (s , t)=(6 , 0) のとき (x , y)=(2 , 0) だから,(5)のうち (0 , 0) , (2 , 0) を除く. …(答) |
[例題4] [2交点の中点の軌跡]
円 x2+y2=4 と直線 y=x+k とが異なる2点 P , Q で交わるとき,P , Q の中点 M の軌跡を求めよ. ![]() 点 P , Q の座標を (α , α+k) , (β , β+k),点 M の座標を (x , y) とおく. 円 x2+y2=4 と直線 y=x+k の交点が P , Q だから,α,β は,次の連立方程式の解の x 座標 x2+y2=4 y=x+k すなわち,2次方程式 x2+(x+k)2=4 …(1) の解が α,βとなる. (1)より 2x2+2kx+(k2−4)=0 …(2) 解と係数の関係により α+β=−k αβ= ![]() M は,P , Q の中点だから x= ![]() ![]() y=x+k …(4) (3)(4)よりk を消去する. y=x+(−2x)=−x …(5) ただし,2点で交わるのは(2)が異なる2つの実数解をもつときだから, D’=k2−2(k2−4)>0 より k2<8 −2 ![]() ![]() ゆえに,求める軌跡は y=−x の直線のうち,−2 ![]() ![]() |
[公式] 【2次方程式の解と係数の関係】
2次方程式 ax2+bx+c=0 (ただし a≠0 )の2つの解を α,β とするとき α+β=− ![]() αβ= ![]() が成り立つ.これを「2次方程式の解と係数の関係」という. 例 (1) 2次方程式 2x2+3x+4=0の2つの解を α,β とするとき α+β=− ![]() αβ= 2 (2) 2次方程式 (m+1)x2−2mx+3=0の2つの解を α,β とするとき α+β= ![]() αβ= ![]() が成り立つ.
[公式] 【判別式】
2次方程式 ax2+bx+c=0 (ただし a≠0 )が異なる2つの実数解をもつ条件は D=b2−4ac>0 特に,x の係数が2の倍数であるときは 2次方程式 ax2+2b’x+c=0 (ただし a≠0 )が異なる2つの実数解をもつ条件は D’=b’2−ac>0 例 (1) 2次方程式 2x2+kx+1=0 が異なる2つの実数解をもつ条件は D=k2−8>0 k<−2 ![]() ![]() (2) 2次方程式 x2+2kx+1=0 が異なる2つの実数解をもつ条件は D’=k2−1>0 k<−1 , 1<k |
[例題5] [2交点の中点の軌跡]
[解答]円 (x−2)2+y2=3 と直線 y=mx とが異なる2点 P , Q で交わるとき,P , Q の中点 M の軌跡を求めよ. 点 P , Q の x 座標を α , β,点 M の座標を (x , y) とおく. (x−2)2+y2=3 y=mx より (x−2)2+(mx)2=3 (m2+1)x2−4x+1=0 …(1) M は,P , Q の中点だから x= ![]() ![]() ![]() これらから m を消去する. (必ずしも m について解かなくてもよい.
x2+y2=
(とにかく m を消去することを考える. ) ![]() ![]() = ![]() ![]() すなわち,(x−1)2+y2=1 の円 ただし,2点で交わるのは(1)が異なる2つの実数解をもつときだから, D’=4−(m2+1)=3−m2>0 より − ![]() ![]() ![]() これは元の円の内部にある部分を表わす. ゆえに,求める軌跡は (x−1)2+y2=1 の円のうち,元の円の内部にある部分 …(答) |
![]() (*)の変形は難しい: − ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
■[個別の頁からの質問に対する回答][軌跡の方程式2について/17.1.11]
問題3のヘルプの下から2行目
「(s , t)=(3 , 0) のとき (x , y)=(2 , 0)」は間違っていて、正しくは
「(s , t)=(6 , 0) のとき (x , y)=(2 , 0)」ではありませんか?
=>[作者]:連絡ありがとう.訂正しました. |
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