線形代数.演習ノート(アンサーブック)
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** 3次元空間における直線の方程式 **解き方,途中経過などには,原著作物にはない(このページの管理人の)解釈が含まれています.
【要点】
3次元空間における直線のベクトル方程式,パラメータ表示(媒介変数表示,助変数表示),xyz方程式
〇3次元空間において,点〇これを成分で表すと 〇各成分に分けると ![]() 〇パラメータを消去して ![]() (1)← 例えば, (1)を成分で書いた(2)または(3)を(3次元空間における)直線のパラメータ表示(媒介変数表示,助変数表示),パラメータ方程式という. (4)← (3)の方程式を は, も高校数学で扱う. |
ただし,(4)は
たとえば,点 となるが,(3)で考えてみると分かるように ![]() を表している.分母が0にならない書き方では を表す. また,たとえば,点 となるが,(3)で考えてみると分かるように ![]() を表している.分母が0にならない書き方では を表す.なお,制限がないことは方程式として書かなくてよいから,これは次の形に書ける.
【要点】
〇3次元空間において,2点 (2)~(4)も同様 |
次の点を通る直線のパラメータ方程式を求めよ.
1.(1, 1, −1)と(−2, 1, 3)
(引用元)Serge Lang「LINEAR ALGEBRA」1§5,P.15
(和訳引用元)ラング「線形代数学(上)」1章§5, P.037
1.A(1, 1, −1),B(−2, 1, 3)とおくと,点Aを通り,方向ベクトル
に平行な直線だから 成分に分けて,次の形で書いてもよい. ![]() B(−2, 1, 3)を通り,方向ベクトル に平行な直線と考えると 成分に分けて,次の形で書いてもよい. ![]() (参考1)この直線の方程式を,xyzの方程式で書けば (参考2)和訳引用元では,3次元空間の点の座標もベクトルも,いずれも となっている. これも正しいのだが, なお,(答3)のパラメータを ( となって,見かけが異なるが,表しているものは同じ |
次の点を通る直線のパラメータ方程式を求めよ.
2.(−1, 5, 2)と(3, −4, 1)
(引用元)Serge Lang「LINEAR ALGEBRA」1§5,P.15
(和訳引用元)ラング「線形代数学(上)」1章§5, P.037
1.A(−1, 5, 2),B(3, −4, 1)とおくと,点Aを通り,方向ベクトル
に平行な直線だから 成分に分けて,次の形で書いてもよい. ![]() (参考)和訳引用元では,解答は |
** 2次元平面における直線の方程式 **
【要点】
(解説)平面上で1点を通り,与えられたベクトルに垂直な直線の方程式
〇平面において,点〇平面において,点 ![]() が成り立つ.したがって が成り立つ.また,逆に(2)が成り立てば,点 |
次のAとPに対して、Pを通りAに垂直な(2-空間の)直線の方程式を求めよ.
※1 上記の教科書では,点の座標もベクトルも,いずれも3.A=(1, −1),P=(−5, 3)
(引用元)Serge Lang「LINEAR ALGEBRA」1§5,P.15
(和訳引用元)ラング「線形代数学(上)」1章§5, P.037 ※2 上記の教科書では,2次元の平面 R2のことを(2-空間),3次元の空間 R3のことを(3-空間)と書いている.
次のAとPに対して、Pを通りAに垂直な(2-空間の)直線の方程式を求めよ.
※1 ※2 同上
4.A=(−5, 4),P=(3, 2)
(引用元)Serge Lang「LINEAR ALGEBRA」1§5,P.15
(和訳引用元)ラング「線形代数学(上)」1章§5, P.037 |
** 2次元平面における2直線の平行条件,垂直条件 **
【要点】
平面上の2直線の平行条件,垂直条件
〇平面上の2直線の法線ベクトル が平行であるとき,2直線は平行になる. 〇平面上の2直線 の法線ベクトル が垂直であるとき,2直線は垂直になる. |
(解説) 図を描けば,明らか ![]() ![]() |
5.2直線3x−5y=1, 2x+3y=5は垂直でないことを示せ.
※1 ※2 同上
(引用元)Serge Lang「LINEAR ALGEBRA」1§5,P.15
(和訳引用元)ラング「線形代数学(上)」1章§5, P.037
定数項1, 5は結果に影響しない.
各々の法線ベクトルは ※(参考) 日本の中学校,高校で習う2直線の垂直条件は次の形になっている.
y=m1x+k1…①
これを使って示すとy=m2x+k2…② について①⊥②←→m1m2=−1 の傾きは,各々 このとき であるから,これらの2直線は垂直でない…(証明終) |
6.次の直線の組のうち,垂直なのはどれか.
(a) 3x−5y=1と2x+y=2
(b) 2x+7y=1とx−y=5 (c) 3x−5y=1と5x+3y=7 (d) −x&+y=2とx+y=9
(引用元)Serge Lang「LINEAR ALGEBRA」1§5,P.16
(和訳引用元)ラング「線形代数学(上)」1章§5, P.037
定数項は結果に影響しない.
(a) 各々の法線ベクトルは (b) 各々の法線ベクトルは (c) 各々の法線ベクトルは (d) 各々の法線ベクトルは 以上により,(c)(d)…(答) ※(参考) 日本の中学校,高校で習う2直線の垂直条件
y=m1x+k1…①
を使うとy=m2x+k2…② について①⊥②←→m1m2=−1 (a) (b) (c) (d) 以上により,(c)(d)…(答) |
** 3次元空間における平面の方程式 **
【要点】
(解説)1点を通り与えられた法線ベクトルに垂直な平面の方程式
〇(3次元空間において)点〇(3次元空間において)点 ![]() だから が成り立つ.逆も言える. これを成分で書くと |
7.次の点Pを通り,ベクトルNに垂直な平面の方程式を求めよ.
(a) N=(1, −1, 3)P=(4, 2, −1) (b) N=(−3, −2, 4)P=(2, π, −5) (c) N=(−1, 0, 5)P=(2, 3, 7)
(引用元)Serge Lang「LINEAR ALGEBRA」1§5,P.16
(和訳引用元)ラング「線形代数学(上)」1章§5, P.037
(a) 1·(x−4)−1·(y−2)+3·(z+1)=0
x−y+3z+1=0…(答) (b) −3·(x−2)−2·(y−π)+4·(z+5)=0 −3x−2y+4z+2π+26=0…(答) (c) −1·(x−2)+0·(y−3)+5·(z−7)=0 −x+5z−33=0…(答) |
【要点】
(解説)3点を通る平面の方程式
〇(3次元空間において)3点とおいて, ![]() 理科の実験器具や測量器具など,精密さが要求される器具は3本足になっているのは,3点にすると平面が確定するということを利用したものである.
8.次の3点を通る平面の方程式を求めよ.
(解答)(a) (2, 1, 1), (3, −1, 1), (4, 1, −1)
(引用元)Serge Lang「LINEAR ALGEBRA」1§5,P.16
(和訳引用元)ラング「線形代数学(上)」1章§5, P.037 求める平面の方程式を とおく. 点(2, 1, 1)を通るから 点(3, −1, 1)を通るから 点(4, 1, −1)を通るから |
方程式の個数(3個)が未知数![]() は,確定した解を持たず,不定解を持つ.
これは,次のどの方程式も同じものを表すということと対応している.
連立方程式(1)(2)(3)を解くときに,混乱を防ぐためには,1つの文字,例えばこのように,求める方程式は ![]() このようにすると,未知数が3個,方程式が3個の連立方程式となり,高校で解き慣れた形になる. まず,(1)−(2), (2)+(3)により ![]() (5)より (4)に代入 (1)に代入 以上から 両辺を
※
なども,もちろん解になるが,通常はなるべく簡単な整数比が好まれるから,上記の(答)がよい. |
(参考1) 逆行列の求め方を習っている場合,上記の連立方程式を次のように解くと見通しがよい ![]() は,行列を用いて次の形に書ける. 両辺に左から係数行列の逆行列を掛けると (参考2) クラメールの公式を習っている場合,上記の連立方程式は次のように解ける |
![]() 〇点 で表される.これを,成分 分けて書くと ![]() (3)式から媒介変数 (1)は任意の値をとる変数が1つあるから,自由度1すなわち1次元空間,直線を表す. ![]() で表される.これを,成分 を用いて表すと 分けて書くと ![]() これらから,まず媒介変数 (1’)は任意の値をとる変数が2つあるから,自由度2すなわち2次元空間,平面を表す. 8.(a)の問題を,点A(2, 1, 1)を通りベクトル 分けて書くと ![]() (3’)から媒介変数 となって,前述と同じ結果を得る. |
8.次の3点を通る平面の方程式を求めよ.
(b) (−2, 3, −1), (2, 2, 3), (−4, −1, 1)
(引用元)Serge Lang「LINEAR ALGEBRA」1§5,P.16
(和訳引用元)ラング「線形代数学(上)」1章§5, P.037 |
8.次の3点を通る平面の方程式を求めよ.
(c) (−5, −1, 2), (1, 2, −1), (3, −1, 2)
(引用元)Serge Lang「LINEAR ALGEBRA」1§5,P.16
(和訳引用元)ラング「線形代数学(上)」1章§5, P.037 |
**3次元空間において2つのベクトルに垂直なベクトル**
9.(1, 2, −3)および(2, −1, 3)に垂直なベクトルを求めよ.
(解答1)
(引用元)Serge Lang「LINEAR ALGEBRA」1§5,P.16
(和訳引用元)ラング「線形代数学(上)」1章§5, P.038
この連立方程式(1)(2)を解いて,ベクトル
![]() これは,右図のようにあるベクトル 実際に解くときは,媒介変数に選ぶ変数を1つ選び,その文字で他の文字を表すとよい. ![]() (1’)+(2’)×2 これを(2’)の代入 以上から (答1’)←当然,この形でもよい. (答2)←高校では,零ベクトル (答3)←大学では,零ベクトルは任意のベクトルに垂直と定義するから,上記の条件 |
(解答2) 逆行列を用いて連立方程式を解く場合 ![]() より 両辺に左から係数行列の逆行列を掛けると 以下の答案は,(解答1)と同様 (解答3) クラメールの公式を用いて連立方程式を解く場合 ![]() の解は(係数行列の行列式が0でないとき) ![]() の解は 以下の答案は,(解答1)と同様 (解答4) ![]()
2つのベクトル
|
** 3次元空間における2平面の交線 **
【要点】
〇(3次元空間において)点 この方程式を成分 成分に分けると ![]() (3)式から媒介変数 この(4)式は,連立方程式 ![]() と見ることができる. (5)および(6)は各々平面の方程式だから,空間における直線の方程式は,2平面の交線として表されていることになる. 〇(3次元空間において)2平面 ![]() 記号 |
14.2平面2x−y+z=1 , 3x+y+z=2の交線のパラメータ方程式を求めよ.(問題12.対応分)
(解答1)
(引用元)Serge Lang「LINEAR ALGEBRA」1§5,P.16
(和訳引用元)ラング「線形代数学(上)」1章§5, P.038 連立方程式 ![]() の解を求める.方程式の個数が2個で,未知数の個数3個よりも1個少ないから,媒介変数を1個含んだ不定解になる.そこで,1文字については解かないと決める.( ![]() (1)+(2)より
和訳引用元の解答は,
これを(1)に代入とすれば対応する 媒介変数を ![]() 媒介変数を ![]() または |
(解答2) 3次元空間における直線の方程式は,通るべき1点 2x−y+z=1 , 3x+y+z=2において,y=0のときはx=1, z=−1となるから,点 求める直線の方向ベクトル ![]() ![]() これを解くと したがって 1つの方向ベクトルは |
(解答3) 3次元空間における直線の方程式は,通るべき1点 (解答2)において,通るべき1点の座標を求められた訳を考えてみると,連立方程式 ![]() は,未知数が3個であるのに対して,方程式が2個と少ないため,そのままでは不定解となるところを,1つ限定を追加して(yに特定の値を代入して,定数にして)未知数の個数を2個にすれば,特定の点の座標が定まることを利用した.具体的には,y=0とするとx=1, z=−1となることから,点 この作業をもう1回行い,2つ目の点を見つけると2点A,Bが見つかり,点Aを通りベクトル x=0とすると このとき, |
14.2平面2x+y+5z=2 , 3x−2y+z=3の交線のパラメータ方程式を求めよ.(問題13.対応分)
(引用元)Serge Lang「LINEAR ALGEBRA」1§5,P.16
(和訳引用元)ラング「線形代数学(上)」1章§5, P.038
(解答1)
連立方程式 ![]() の解を求める.方程式の個数が2個で,未知数の個数3個よりも1個少ないから,媒介変数を1個含んだ不定解になる.そこで,1文字については解かないと決める.( ![]() 媒介変数を ![]() 媒介変数を ![]() または |
前問と同様に(解答2)(解答3)のように解いてもよい.ここでは(解答3)を示す. z=0とするとx=1, y=0となるから,点A(1, 0, 0)を通る. また,x=0とすると そこで,点A(1, 0, 0)を通り,方向ベクトル 方向ベクトルとして |
** 3次元空間において2平面がなす角 **![]() 〇(3次元空間において)2平面がなす角は,それらの法線ベクトルがなす角に等しい.
(∵)右図①のような断面から見た場合,
ただし,②のように法線ベクトルの向きによっては,90°<θ≦180°になってしまう場合がある.θ+φ=90° θ’+φ=90° だから θ=θ’ が成り立つ 高校では,2平面のなす角は,0°≦θ≦90°と90°<θ≦180°の2つあるうちの小さい方,0°≦θ≦90°で答えるのが普通である. (※ラングの和訳では,法線ベクトルがなす角そのまま平気で答えるようになっている) だから ただし,高校では |
15.次の2平面のなす角の余弦を求めよ
(a) x+y+z=1 , x−y−z=5
(引用元)Serge Lang「LINEAR ALGEBRA」1§5,P.16
(和訳引用元)ラング「線形代数学(上)」1章§5, P.039 |
15.次の2平面のなす角の余弦を求めよ
(c) x+2y−z=1 , −x+3y+z=2
(引用元)Serge Lang「LINEAR ALGEBRA」1§5,P.16
(和訳引用元)ラング「線形代数学(上)」1章§5, P.039 |
15.次の2平面のなす角の余弦を求めよ
(d) 2x+y+z=3 , −x−y+z=π
(引用元)Serge Lang「LINEAR ALGEBRA」1§5,P.16
(和訳引用元)ラング「線形代数学(上)」1章§5, P.039 |
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