このような微分法を対数微分法という. 対数をとると,積は和になり,商は差になり,累乗は積になるので,微分計算が簡単になることを利用したものです. 【函数の積.商になっているものの例】
【例1】
この程度の微分なら暗算でもできますが,結果の分かる簡単な問題を使って,対数微分法には「どんな長所があるのか」「何に気を付けるべきか」を一度は確かめておく必要があります.
となるが,右のグラフから分かるように,の区間で,真数の符号が負になるから,高校ではこの対数は定義できない.***注意点は,負になる式には対数がとれないということです*** |
そこで,はじめの において「両辺の絶対値の対数をとる」と …(1) となって,真数が負になる問題を回避できる. ***長所は,(1)が足し算に変わるということです*** 次に,両辺をで微分するのであるが,左辺については,という関数を微分するために,合成関数の微分法を思い出す. …(2) さて,ここで最終的に求めたいものは,すなわちなので,をと書き換えて見やすくしておきます. また,すなわち…(3)になります. |
(3)の解説 (3)は,をで微分すると,のときものときも, …(4) となることを,変数をにして表したものです. これに対して,のグラフは,右図の赤で示した曲線で,すなわち,の部分でだけ定義されています.このグラフは,青で示したのグラフを鏡写しにしたものになっています.また,右図Qの接線の傾きから分かるように,は負です.(右下がりになる) これら2つのグラフを合わせたものが,のグラフで,のときものときも, となります. 変数を書き換えると,です. |
以上により,(2)はになるので, このようにして,対数微分法によって左辺のをで微分すると,つねにが登場します.これは,ワンパターンの変形になりますので覚えておきます.
【対数微分法の左辺は,いつでも】
本題に戻って,(1)の両辺をで微分すると…(5) 結局 となって,を微分した結果と一致します.
【対数微分法の要点】
…(4) (kは定数)…(4’) …(5) |
【例2】
(解答)両辺をで微分すると …(答) ※この問題も,直接微分しようと思えばできる. |
【例3】
(解答)両辺をで微分すると(例2の結果が使える) …(答) |
【例4】
(解答)両辺をで微分すると …(答) |
【問題1】 次の関数を微分してください.(やさしい問題)
(1.1)
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(1.2)
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(1.3)
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(1.4)
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【問題2】 次の関数を微分してください.(難しい問題)
(2.1)
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≪参考≫ 半世紀ほど前に,この問題を大学の先生にあてられたとき,なのかなのか,決めてもらわないと困ると言ったら,に決まっていると言われた.指数計算優先ということだが,この教材の管理人は凡人なので,この結論はそれほど自明には見えない.しかし,とりあえずとして問題を解いてください.
両辺の対数をとる≪雑学≫ 無量大数(←89桁の整数)よりもgoogol(←101桁の整数)の方が大きい.さらにgoogolplexは桁数がgoogol+1だから途方もない大きさになる. ちなみに,3つの整数を使って表せる最も大きな数字はであるが,だから,となって,大き過ぎて書き切れない.369693100桁の数字になるので,1秒間に5桁ずつ読んでも,全部読むには2年と126日かかる計算になる. さらに両辺の絶対値の対数をとる(は正負の値をとり得る) 両辺をで微分する
をで微分すると
だから をで微分すると になる そこで,をで微分すると 両辺にを掛ける …(答) |
(2.2)
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(2.3)
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その他の類題と解答 |