全数調査
・・・対象とする集団の全部を調べる調査
【例】
〇
5年に1回,日本に住んでいる人全員に対して行われる
〇学校基本調査・・・
統計法を根拠として,毎年5月1日現在で,文部科学省が実施する.(学校数,学級数,教員及び職員の数,在学者数,入学者数,卒業者数などを調査する)
標本調査
・・・ 集団の一部を調べ,その結果から集団全体の性質を推定する調査
【例】
〇工業製品の寿命検査・・・
蛍光灯が何千時間使えるか,タイヤが何万キロ使えるかなどの検査を行うと,その製品はもう使えなくなるから,寿命検査は標本調査で行う.
〇花火の着火検査,料理の試食・・・
検査を行うと,その製品はもう使えなくなるから,標本調査で行う
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【問題1】
解答を見る次の記述について,各々の真偽を述べてください. (1) 新聞社が行う世論調査は標本調査である. (2) 国勢調査は,夏のオリンピックと同じ年に行われる. (3) 国勢調査は,日本の国民に対して行われる. (4) 学校基本調査は,標本調査である. |
母集団
・・・ 特徴や傾向を分析しようとしている集団全体
〇母集団に含まれる要素の個数を「母集団の大きさ」という.
〇母集団の大きさに対する標本の大きさの割合が無視できるくらい小さいとき,その母集団を「無限母集団」という.母集団の大きさに対して標本の大きさを無視できないとき,その母集団を「有限母集団」という. 〇無限母集団では,非復元抽出でも復元抽出と同じと見なせる. 標本
・・・ 母集団から抽出された個体の集合
〇標本に含まれる要素の個数を「標本の大きさ」という.
〇標本を取り出すことを「抽出する」という. |
【問題2】
解答を見るA県の県立高校には,高校生が68,000人,新1年生が11,400人いる.A県の県立B高校は生徒数1,070人,新1年生360人である.B高校の新1年生について,スマホ利用状況を調査するため,各学級から10人,合計90人を選んでアンケート調査を行った. この調査の母集団と標本は何か,各々答えてください.
母集団は,B高校の新1年生360人
標本は,アンケート調査を行った90人 |
復元抽出
・・・ 母集団から標本を抽出するとき,1個の個体を抽出するたびに元に戻して,この操作を繰り返す方法
非復元抽出
・・・ 母集団からn個の標本を取り出すときに,取り出したものは元に戻さずに続けて取り出すか,または一度にn個取り出す方法
【例】
〇5個の玉から2個の玉を取り出す方法の数 ◆復元抽出の場合
5×5=25通りの取り出し方がある
◆非復元抽出で続けて取り出す場合
5×4=20通りの取り出し方がある
◆非復元抽出で一度に2個取り出すとき
通りの取り出し方がある
無作為抽出法
・・・ 母集団の各個体が同じ確率で,偏りなく抽出されるような抽出法
無作為抽出を行うには,「乱数表の利用」「くじ,乱数さいの利用」「コンピュータで疑似乱数を発生させる」などがよく用いられる
層別抽出
・・・ 〇層化無作為抽出法ともいう.
〇全体を男女別,職業別,年齢別などに層別に分けて,各層ごとに標本を抽出するもの 〇世論調査でよく用いられる
〇層別抽出を行うためには,前もって母集団を構成している層が分かっていなければならない.
〇層ごとの人数に比例して標本を選ぶ方法は,比例配分法(比例割当)と呼ばれる. 〇母集団が幾つかの層に分かれるとき,単純無作為抽出法では多く抽出される層と抽出されない層が生じることがある.層別抽出では,層による抽出数のばらつきを防げる. 集落抽出法
・・・ 〇クラスター抽出法ともいう.
〇母集団を小集団(クラスター)に分けて,いくつかのクラスター全員を標本にするもの
〇集落によるばらつきが少ないことが分かっている場合は,経費や時間を節約できるが,そうでない場合は調査の精度が下がる.
多段抽出法
・・・ 〇大規模な標本調査において,何段階かに分けて抽出を行うもの
〇例えば,全国家計調査や全国学校調査のような大規模な調査では,第1段階で幾つかの都道府県(または市町村)を選び,第2段階で幾つかの地域(または学校)を選んで標本を抽出するという手順を踏む(第3段階以上になる場合もある) |
【問題3.1】
解答を見る母集団{A, B, C}から,次の抽出方法で大きさ2の標本を抽出するとき,あり得る標本をすべて挙げてください. (1) 復元抽出 (2) 非復元抽出で続けて取り出す場合 (3) 非復元抽出で一度に取り出す場合
(1) {A, A}, {A, B}, {A, C}, {B, A}, {B, B}, {B, C}, {C, A}, {C, B}, {C, C}の9通り
(2) 初めに出たものは2度目に出ないから {A, B}, {A, C}, {B, A}, {B, C}, {C, A}, {C, B}の6通り (3) {A, B}, {A, C}, {B, C}の3通り
【問題3.2】
解答を見る生徒数1,070人,新1年生360人のA高校において,新1年生の家庭学習時間を調査するために,次のような方法で標本を抽出した.各々の抽出法の名前を答えてください. (1) 新1年生9組の内で1つの組をくじ引きで選んで,その組全員の40人について調査を行う場合 (2) 新1年生360人に通し番号を付けて,コンピュータで発生させた疑似乱数によって40人を選んで調査を行う場合 |
母数
・・・ 母集団を特徴づける定数の値.(parameter)
【例】
〇母平均,母分散,母標準偏差,母比率など母集団を要約する量 統計量
・・・ 標本からから計算できる値や,その計算方法を表す関数.(statistics)
【例】
〇標本平均,標本分散,標本標準偏差,標本比率など標本を要約する量 |
【問題4】
解答を見る次の記述について,各々の真偽を述べてください. (1) 母集団に含まれる要素の個数を母数という. (2) 母集団の中央値は統計量である. (3) 標本が変われば統計量も変わる.
(1) 偽(母集団に含まれる要素の個数を母集団の大きさという.母数は,母平均,母分散など母集団を特徴づける定数の値のことをいう)
(2) 偽(母集団の中央値は,母集団に関する定数だから,母数です) (3) 真(統計量は標本ごとに求まるから,標本が変われば統計量も変わる.) |
実験研究
・・・ 対象者にある種の介入を行う研究
観察研究
・・・ 対象者に介入を行わず,自然状態のまま観察を行う研究
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【問題5】
解答を見る次の研究について,各々が実験研究であるか,観察研究であるか答えてください. (1) 高血圧の患者について,家族に高血圧の患者がいるかどうか調査した. (2) あるお薬の効果を調べるため,60人の調査協力者を2つのグループに分けて,一方のグループ30人にはそのお薬を飲んでもらい,他方のグループ30人にはプラセボ(偽薬)を飲んでもらって効果を比較した. (3) ある高校で通学に要する時間と家庭学習時間の関係をアンケート調査した.
(1) 家族に高血圧の患者がいるかどうかは,この調査によって影響を受けないから,観察研究
(2) 研究者が提供した飲み物が結果に影響するから,実験研究 (3) この調査によって通学時間,家庭学習時間は影響を受けないから,観察研究 |