○ 以下の3つの定義は、同じことを表しています。
初めて学ぶ人は、一応どれも「聞いたことがある」程度にしておいて、実際に自分が問題に向かうときは一番分かりやすい定義を使うとよいでしょう。 中学生には(2)が最も分かりやすいと考えられます。 (1) 中学校の教科書に書かれている「絶対値」の定義
正負の数の「絶対値」とは、数直線上で「原点からある数までの距離」のことをいいます。
【重要】
距離は向き(符号)を考えずに「間の長さ」だけで考えますので、0以上になります。 だから、元の数が「正の数」であっても「負の数」であっても、原点からの距離で定義される「絶対値」は0以上の値になります。 |
例 −4の絶対値は4です。 +3の絶対値は3です。 ただし、0の絶対値は0とします。 「絶対」という言葉の魔術的雰囲気(「絶対に正しい」とか「他の物に左右されない絶対的な存在」といった雰囲気)に惑わされて、難しく考えてはいけません。英語のabsolute valueを直訳したら「絶対値」という用語になるというだけのことです。 |
◎(2) 見た目で考える「絶対値」の定義
正負の数は−4、+3のように「符号の部分」と「数字の部分」で書かれています。(正の数の符号+は省略することがあります。)
このとき、「絶対値」とは、「符号の部分」を取り除いた「数字の部分」のことをいいます。 |
例 −7の絶対値は7です。 +5の絶対値は5です。 −1.4の絶対値は1.4です。
+の絶対値はです。
ただし、0の絶対値は0とします。 |
≪問題1≫ 次の各問について、正しいものを下の選択肢から選んでください。(正しい選択肢をクリック)
(1)
+5 の絶対値は
−5 ,
5 ,
±5 |
(3)
絶対値が4になる数は
−4 ,
4 ,
±4
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(2)
−8の絶対値は
−8 ,
8 ,
±8
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≪問題2≫ 次の各問について、正しいものを下の選択肢から選んでください。(正しい選択肢をクリック)
(1)
−5の絶対値と−4の絶対値とではどちらが大きいですか
−5 ,
−4
−5の絶対値は5
−4の絶対値は4だから −5の絶対値の方が大きい.
※「−5は−4よりも小さい.」
「−5の絶対値は−4の絶対値よりも大きい.」 これらはいずれも正しいが,別の話である. |
(2)
−8の絶対値と7の絶対値とではどちらが大きいですか
−8 ,
7
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(3)
絶対値が3よりも小さい整数は何個ありますか.
1個,
2個,
3個,
4個,
5個
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(4)
絶対値が3以上で4以下になる整数は何個ありますか
1個,
2個,
3個,
4個,
5個,
|
(5)
次の内で絶対値が最も大きい数はどれか |
(6)
次の内で最も小さい数はどれか |
■ 絶対値を求めるときに注意すべきこと (+5)+(−3) や (−7)+(+4)−(−6)のように、正負の数の足し算、引き算で表される数の絶対値は、それぞれの数の絶対値の足し算や引き算になるとは限りません。(等しい場合も等しくない場合もあります。) 例
(+5)+(−3)=2だから(+5)+(−3)の絶対値は2です。
⇒ これは、(+5)の絶対値5と(−3)の絶対値3を足したもの8とは等しくなりません。 ⇒ (+5)+(−3)の絶対値 ≠ 5+3
(+5)+(+3)=8 や (−5)+(−3)=−8のように同符号の数を足した数の絶対値は、それぞれの絶対値を足したものと等しくなります。
⇒ (+5)+(+3)の絶対値 = 5+3 |
■ 中学校では、「値を求めてから、絶対値を考えるとよい」
びっくりするほど簡単な話!
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≪問題3≫ 次の各問について、正しいものを下の選択肢から選んでください。(正しい選択肢をクリック)
(1)
(+3)+(−8) の絶対値は
−11 ,
11 ,
−5 ,
5
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(2)
(−4)+(−3)の絶対値は
−7 ,
7 ,
−1 ,
1
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≪問題4≫ 次の各問について,下の選択肢から選んでください。(やや難しいかも?)(選択肢をクリック)
(1) 次の例を参考にして,下の選択肢の中でつねに正しいものを選んでください.
どんな数の絶対値もその数より大きい(A)−3の絶対値は3です (B)3の絶対値は3です. (C)0の絶対値は0です. どんな数の絶対値もその数以上になる どんな数の絶対値もその数より小さい どんな数の絶対値もその数以下になる
負の数,例えば−3の絶対値は3で,−3以上
正の数,例えば3の絶対値は3で,3以上(大きいとは言えない) 0の絶対値は0で,0以上(大きいとは言えない) 以上の例から,どんな数の絶対値もその数以上になる |
(2) 次の例を参考にして,下の選択肢の中で間違っているものを選んでください.
(A)+3の絶対値は3で,+4の絶対値は4です.だから,+3の絶対値と+4の「絶対値の和」は7になります.
一方,(+3)+(+4)は+7だから+3と+4の「和の絶対値」も7になります.
(B)−3の絶対値は3で,+4の絶対値は4です.だから,−3の絶対値と+4の「絶対値の和」は7になります.
一方,(−3)+(+4)は1だから−3と4の「和の絶対値」は1になります.
(C)−3の絶対値は3で,−4の絶対値は4です.だから,−3の絶対値と−4の「絶対値の和」は7になります.
一方,(−3)+(−4)は−7だから−3と−4の「和の絶対値」も7になります.
(A)(C)のように,2つの数が同符号のとき,和は同じ向きに足されるので「和の絶対値」は「絶対値の和」と等しくなります.(同じ向きに進むと,進んだ距離がそのまま反映されるということです.)
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■[個別の頁からの質問に対する回答][絶対値について/17.3.27]
≪問題2≫の(2)と(3)の選択肢の表記が少し判別しにくく感じました。
整数を「,(カンマ)」ではなくあえて日本語の「、(読点)」としたり、選択肢ごとに全角の「」(かぎかっこ)で囲うほうが、特に初学者に混乱が少ないと思うのですが、いかがでしょうか。
■[個別の頁からの質問に対する回答][絶対値について/17.3.25]
=>[作者]:連絡ありがとう.まる(。)は中学校の教科書で使われていますが,数学の書物で日本語の句点を使うことはほとんどないでしょう.「 」でくくると文字数が増えるので,スペースに余裕がないと無理でしょう.小数点と間違わなければ判読はできているというべきでしょう. わからなかったところも 意味が分かって良かったです
=>[作者]:連絡ありがとう. |