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*** 高卒から大学初年度程度 ***
逆三角関数の微分法 マクローリン展開 偏微分

== 導関数の定義 ==
◇解説◇
 関数 y = f(x)x = a における微分係数は次の式で定義されます。

f’(a) =

または f’(a) =


 微分係数は,個々の定数 x = a の値に対して定まりますが,x の値にその微分係数を対応させる関数と見たとき,

f’(x) =

または f’(x) =

を,関数 y = f(x)導関数(または微分)といいます。

 導関数(微分)はニュートンとライプニッツが別々に考え出したと言われている.導関数を表わす記号は
   y’, f’(x)
と,
   f(x)
の両方とも用いられます。
は, の略です。

dy, dx, Δy, Δxは単なる「分数」ではなく1つの記号なので,当面はddΔΔ約分などはできないものと考えます。
 数学Vになると,分母をはらってdy=f(x)dxと書く場合があります.)

※ よく見ると ・・・

微分係数 の定義

f’(a) =  と

導関数 の定義

f’(x) = とは

同じ形をしています。むしろ「同じです」といってしまった方がすっきりしますが,使い方が次のように違います。

※ 微分係数の計算では,個々の x の値 a について,各々極限値を計算するのに対して,導関数ではあらかじめ極限計算しておいた導関数に値を代入するだけで微分係数が求まります。このように,以後の微分係数の計算は,導関数に x の値を代入するという操作で行われます。次の2つの操作の違いに注意しましょう。
1.f(x) = x2 のとき
f’(1) = = = 2

f’(2) = = = 4

f’(a) = = = 2a

−−−−−−−−−
2.f(x) = x2 のとき
f’(x) = =

= (2x+h)=2x

f’(1) = 2, f’(2) = 4, f’(a) = 2a

≪例題≫ 次の関数を導関数の定義にしたがって,微分しなさい。
(1) f(x) = 3x2
(答案)
f’(x) =

=

= = (6x+3h) = 6x

(2) y = x3
(答案)
=

=

=

= (3x2+3xh+h2) = 3x2
※ 数IIの微分は多項式(整式)の範囲と決められていますので,分数関数や無理関数の微分がいきなり出されることはありませんが,実際には数IIの計算力で定義を用いた微分はできます。
(3) 発展問題 f(x) =
(答案)
f’(x) = =

= = =−


※ すぐ後に習う微分公式を用いると,次のような関数の微分は瞬時に求めることができますが,「微分の定義にしたがって微分しなさい」という問題に対して,次の答案を書いても 0 点ですので注意しましょう。
問題 y = 2x3 → 答案 y' = 6x2
※(1) を「導関数の定義に従って微分する」ことは,S社, T社, K社, D社などほとんどの教科書に載っていますので,次のような変形は「文句を言わずにできるようにしておきなさい」ということになります.


←(二項定理を用いて展開)


↑(ただし,n乗の方は「自分でやれとは書いてない」)
※(2) 分数関数や無理関数を「導関数の定義に従って微分する」ことは,一応,数学Uの範囲を超えていますので,何の予告もなくいきなり数学Uの問題として出題されることはないでしょう.ただし,授業の中で,それらを扱っていれば定期試験に出されることはあります(大学入試には出ません)
※(3) 1次式の累乗となっている関数

の微分が

となることは,発展学習として出されることはあります.ただし,この公式は数学Vで「合成関数の微分法」を習えば一瞬で証明できるので,数学Uの段階で「覚えなさいという程のものでもない」ようです.(ほとんどの参考書に,掲載されています.)
【例】

≪問題1≫
○次の関数を導関数の定義にしたがって微分しなさい。
○分からないときはを押すと,途中計算が出ます.
※この問題の答案としては、次の途中経過の全部を書かなければなりません。下の採点プログラムは空欄のみをチェックして いますが,実際には空欄が合っていても答案として成り立っていない場合があります。「定義にしたがって微分しなさい」という問題では「定義にしたがって」計算されていなければ答案にはなりません。
(1) f(x) = 2x+5

=
(2) y = x2−x+2

=
(3) f(x) =−3x2

=
(4) 発展問題
y =

=


◇解説◇
 多項式(整式)の微分は,次の2つの公式を繰り返し適用すれば求められます。
◇1 y = xn の微分◇
・・・ これが数IIの微分の最重要公式!!
nが正の整数のとき
y = xn →  y' = nxn-1
特に定数については,
y = k → y' = 0
(証明)
y = xn ならば  y' =

=

=

=(nxn−1+ (h の1次以上の式) )

= nxn−1

◇2 和・差・定数倍の微分◇
   y = f(x)+g(x) →  y' = f’(x)+g'(x)
 ・・微分してから足せばよい
   y = f(x)−g(x) →  y' = f’(x)−g'(x)
 ・・微分してから引けばよい
   y = kf(x) →  y' = kf’(x)
 ・・微分してから定数倍すればよい
≪例題≫ 次の関数の導関数を求めなさい。
(1) y = x2+x+1

考え方
x2 の微分は 2x
x の微分は 1
1 の微分は 0
これらを加えると y' = 2x+1

(2) y = 5x6−3x2

考え方
x6 の微分は 6x5 だから 5x6 の微分は 30x5
x2 の微分は 2x だから 3x2 の微分は 6x
これらを引くと y' = 30x5−6x
※[重要な考え方] 数IIでは,「定数との積」を除いて関数の積の微分公式がありません
 そこで,関数の積は,まず展開してから微分します。
(3) y = (x+1)(x+2)

考え方
y = x2+3x+2 だから
y' = 2x+3

(4) y = (2x+1)2

考え方
y = 4x2+4x+1 だから
y' = 8x+4


≪問題2≫ 次の関数の導関数を求めなさい。
(1) f(x) = x5+x3+1



f’(x) = x+x2

(2) y =−3x2+4x



y' = x+
(3) f(x) = (x−3)(x+3)


f’(x) = x
(4) y = (x+2)3



y' = x+x+
≪問題3≫ 次の問に答えなさい。
(1) f(x) = 3.0x−4.9x2 のとき,f’(1.1) を小数第2位を四捨五入して小数第1位まで求めなさい。

f’(1.1) =
(2) 関数 y = x3−2x2 について,x の値が 0 から 1 まで変化するときの平均変化率と等しい微分係数をもつような x の値を求めなさい。

x =
(3) 2次関数 y = ax2+bx+c の区間 p ≦ x ≦ q ( p < q ) における平均変化率は,その中点 x = における微分係数と等しいことを示しなさい。
※次の空欄を埋めて答なさい。
区間 p ≦ x ≦ q における平均変化率は,

=

= (q+p)+b
導関数は y' = x+b だから,x = のとき
2a+b = a(q+p)+b が成り立つ。

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■[個別の頁からの質問に対する回答][導関数の定義について/17.6.17]
計算過程全部見せてください
=>[作者]:連絡ありがとう.要望の意味が通じません.計算というボタンをクリックすれば途中経過が表示されることに気づいていないのか,Androidでは計算が表示されないと言っているのか?また,その頁はPC用です・・・携帯用は別の頁です.
■[個別の頁からの質問に対する回答][導関数の定義について/16.11.1]
問題2の(1)の解答欄のx2乗が次の行に行ってしまっていて分かりにくかったです。 それ以外はとてもわかりやすかったです。
=>[作者]:連絡ありがとう.たしかにiPhoneで見ると次の行にわたってしまうようですので訂正しました.