■簡単な重積分の計算
○右図1のような立体の体積(縦棒の体積の総和)は,面積要素ds=dxdyに高さz=f(x, y)を掛けて得られる体積要素
dV=f(x, y)ds=f(x, y)dxdy の総和として,定義域D上の重積分 f(x, y)dxdy で求めることができます. ○f(x, y)が連続関数で,各変数の定義域がa≦x≦b, α≦y≦βであるとき,この重積分は f(x, y)dx dy…(1) または f(x, y)dy dx…(2) のように,1変数の積分の繰り返しによって行うことができます. (1)は右図2のように,まず変数yを固定して,各々のyについて,xで積分し(図で示した壁の面積S(y)を求めて),次にyの関数として表されたその面積をyで積分することによって体積を求めることに対応しています. (2)は図3のように,初めにxを固定してyで積分し,図で示した壁の面積S(x)を求めて,次にxで積分するものです. ○変数の定義域が0≦x≦1, 0≦y≦xのように他の変数に依存しているときは f(x, y)dy dx または0≦y≦1, y≦x≦1として f(x, y)dx dy のように計算できます.
【基本の確認】
(1) kx dx のようにdxの部分で示されている積分変数x以外の文字(k)は,定数とみなします.だから,この積分は kx dx=k× =−0=になります. (2) yx dx の場合も,yがxと独立な変数である限り,同様にして yx dx=y× =になります.
この結果は,yの関数になるので,「次の段階としてyについて積分する」というようなことができます.
dy==1
だから
(yx dx)dy=()dy= =1
となります.
(3) 積分変数がyであるとき,例えば
xy dy
の場合は,今度はdyの部分で示されている積分変数y以外の文字(x)は,定数とみなします.だから,この積分は
xy dy=x× =2x
になります.
この結果は,xの関数になるので,「次の段階としてxについて積分する」というようなことができます.
2x dx=x2=1
だから
(yx dy)dx=(2x)dx=x2=1
となります.
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【同種の問題が含まれる書籍】
「微分積分学U」(共立出版 基礎数学講座7巻/宇野利雄著) 「新編 高専の数学3 問題集」(森北出版/田代嘉宏著) 「理工系基礎 微分積分学」(培風館/堀内龍太郎.川崎廣吉.浦部治一郎共著) 「数学へのアプローチ」(裳華房/八木克已著) 図1
(参考)
(*1) y=x2のときy dxを求めよ というような問題においては,yはxの関数になっておりxと独立な変数ではありません.だから, y dx=yx=2y ←間違い y dx=x2 dx= = ←正しい (*) 記号 (yx dy)dxは
yx dydxとも書かれます.
また,0≦y≦2, 0≦x≦1の領域をDで表すとき
この場合,各々の積分区間は0≦y≦2, 0≦x≦1となります.
yx dydxとも書かれます.
さらに,
yx dydxをdxyx dy
と書くこともあります.この場合,変数xについて積分するときの被積分関数は,例外的にdxの右に書かれていることになります.
【要点】
次の各記号は,いずれも領域D : c≦y≦d, a≦x≦bにおいて,はじめにyで,次にxで積分することを表す. (f(x,y)dy)dx , f(x,y)dydx dxf(x,y)dy , f(x,y)dydx |
【例1】
(解答)重積分((x+y)dy)dxを計算してください. (x+y)dy=xy+
↑どの変数に代入するのかを明示するために,このような書き方も可能
=2x+2
(2x+2)dx=x2+2x=3 …(答)
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【例2】
(解答)D : 1≦x≦2, 0≦y≦1のとき 重積分(x2+y2)dxdyを計算してください. (x2+y2)dx=+y2x =(+2y2)−(+y2)=+y2 (+y2)dy=y+y3= …(答) |
問1次の重積分を計算してください.
1
2
31
4
5
解説(x2y dx)dy
x2y dx=y
=y
ydy=y2== …(答)
→ 2
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問2次の重積分を計算してください.
12
2
3
44
5
解説(x2+2y)dydx
(x2+2y)dy=x2y+y2
=x2+1
(x2+1)dx=+x=+2= …(答)
→ 5
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問3次の重積分を計算してください.
11
22
33
4
5π
解説dxsin(x+y)dy
【三角関数の積分】
sin(x+y)dy=−cos(x+y)
=(−cos(x+))−(−cos x)
sin(x+k)dx=−cos(x+k)+C cos(x+k)dx=sin(x+k)+C を用いる.
cos(x+)=−sin xを用いる.
=sin x+ cos x
(sin x+cos x)dx=−cos x+sin x=(0+1)−(−1+0)=2 …(答)→ 2 |
問4次の重積分を計算してください.
1e+1
2e−1
3(e+1)2
4(e−1)2
5e+−2
解説D : 0≦x≦1, 0≦y≦1のとき ex−ydxdy
【指数関数の積分】
ex−ydx=ex−y
=e1−y−e−y
(e1−y−e−y)dy=−e1−y+e−yekxdx=ekx+C ex+kdx=ex+k+C 特に ex=ex+C e−x=−e−x+C を用いる. =(−1+e−1)−(−e+1)=e+−2 …(答) |
■[個別の頁からの質問に対する回答][簡単な重積分の計算について/17.7.14]
簡単な問題もあってよく理解できました
■[個別の頁からの質問に対する回答][簡単な重積分の計算について/17.1.29]
=>[作者]:連絡ありがとう. よく解りました(理解できました)
=>[作者]:連絡ありがとう. |