2. 三角関数の性質
三角関数の相互関係 …(2.1) ここで,は原点を中心とする半径の円周上の点だから,が成り立つ.よって
※以下においては,角として第1象限の角を使って解説しますが,求めた結果はがどのような角とかの場合でも成り立ちます.
第1象限の角として解説するのは,符号や長さが見た目のままになり「分かりやすい」からです. 偶関数,奇関数の関係 …(2.3)←は奇関数
動径が軸の正の向きから角だけ回転したとき(負の向きにだけ回転したとき)の円周上の点をとすると
…(2.4)←は偶関数だから,この値をの三角関数で表すと に等しい
上記の点の座標は,点の座標と全く同じだから
…(2.5)←は奇関数
※この関係を間違う答案は非常多いので注意.とはならない
上記の点の座標を用いて,計算すると
この値をの三角関数で表すと に等しい |
の三角関数 公式 (2.6) (2.7) (2.8)
右図のどこかの騎士団の紋章のような図形の書き方:「横線は右(正)を青,左(負)を赤で描く」「縦線は上(正)を青,下(負)を赤で描く」
第1象限(x>0, y>0)の「元の三角形すなわち角度に対応している三角形は濃く」描いておく 解説
(2.6)←@まず初めに,角度の場所を単位円上で探します.右図の●になります. A次に,求めるものがであるから,@で求めた場所について 縦(符号あり)/半径
を考えます.になります. B最後に,第1象限の濃い色の三角形,すなわち角度でが,何に対応しているかと考えます. になります. 以上により, (2.7)← @同様にして右図の●の場所について A求めるものがであるから,@で求めた場所について 横(符号あり)/半径
を考えます.になります. B最後に,第1象限の濃い色の三角形,すなわち角度でが,何に対応しているかと考えます. になります. 以上により, (2.8)← @同様にして右図の●の場所について A求めるものがであるから,@で求めた場所について 縦(符号あり)/横(符号あり)
を考えます.になります. B最後に,第1象限の濃い色の三角形,すなわち角度でが,何に対応しているかと考えます. が,だから,その分母と分子を逆にすると,になります. これは,とも書かれます. 以上により,
【要点】
北極から(←通俗的な言い方)角だけ戻ると 三角関数の形が変わる: |
の三角関数 公式 (2.9) (2.10) (2.11) 解説
(2.9)←@まず初めに,角度の場所を単位円上で探します.右図の●になります. A次に,求めるものがであるから,@で求めた場所について 縦(符号あり)/半径
を考えます.になります. B最後に,第1象限の濃い色の三角形,すなわち角度でが,何に対応しているかと考えます. になります.の符号は正です. 以上により, (2.10)← @同様にして右図の●の場所について A求めるものがであるから,@で求めた場所について 横(符号あり)/半径
を考えます.になります. B最後に,第1象限の濃い色の三角形,すなわち角度でが,何に対応しているかと考えます. になります.の符号は負です. 以上により, (2.11)← @同様にして右図の●の場所について A求めるものがであるから,@で求めた場所について 縦(符号あり)/横(符号あり)
を考えます.になります. B最後に,第1象限の濃い色の三角形,すなわち角度でが,何に対応しているかと考えます. が,だから,その分母と分子を逆にすると,になります. これは,とも書かれます.の符号は負です. 以上により,
【要点】
北極から(←通俗的な言い方)角だけ進むと 三角関数の形が変わる: 求めているのがのときは,その場所のy座標の符号を付ける.求めているのがのときは,その場所のx座標の符号を付ける.求めているのがのときは,その場所のy/x座標の符号を付ける. |
の三角関数 公式 (2.12) (2.13) (2.14) 解説
(2.12)←@まず初めに,角度の場所を単位円上で探します.右図の●になります. A次に,求めるものがであるから,@で求めた場所について 縦(符号あり)/半径
を考えます.になります. B最後に,第1象限の濃い色の三角形,すなわち角度でが,何に対応しているかと考えます. になります.の符号は正です. 以上により, (2.13) ← @同様にして右図の●の場所について A求めるものがであるから,@で求めた場所について 横(符号あり)/半径
を考えます.になります. B最後に,第1象限の濃い色の三角形,すなわち角度でが,何に対応しているかと考えます. になります.の符号は負です. 以上により, (2.14)← @同様にして右図の●の場所について A求めるものがであるから,@で求めた場所について 縦(符号あり)/横(符号あり)
を考えます.になります. B最後に,第1象限の濃い色の三角形,すなわち角度でが,何に対応しているかと考えます. が,で,の符号は負です. 以上により,
【要点】
赤道から(←通俗的な言い方)角だけ戻ると 三角関数の形が変わない: 求めているのがのときは,その場所のy座標の符号を付ける.求めているのがのときは,その場所のx座標の符号を付ける.求めているのがのときは,その場所のy/x座標の符号を付ける. |
の三角関数 公式 (2.15) (2.16) (2.17) 解説
同様にして右図で考える.解説は略の三角関数 公式 (2.18) (2.19) (2.20) 解説
同様にして右図で考える.解説は略の三角関数 公式 (2.21) (2.22) (2.23) 解説
同様にして右図で考える.解説は略の三角関数 公式 (2.3) (2.4) (2.5) 解説
同様にして右図で考える.解説は略の三角関数 公式 (2.24) (2.25) (2.26) 解説
単位円上での場所はの場所と全く同じなので,その角に対する三角関数は全く同じ値になります. |
簡単復習
次の式を簡単にしてください.(定数や,を使って表してください)
(1)
(解答)←(2.24) ←(2.6)
(2)
(解答)←(2.4)
は偶関数で,となることに注意.
←(2.13)ではない! したがって,ではない |
(3)
←(2.5)
は奇関数で,
となる
←(2.23)(別解) ←(2.8)
(4)
(解答)
第1項はが奇関数だから
←(2.6)(2.9)単位円上で,右図の2つの点のy座標は符号だけが逆になっているから,それらの和は0になる |