cosxに関する不定積分≪一覧≫】
○[基本]
cosx dx=sinx+C…(*2.1)
○[cosnx]の形のうちnが小さいとき→2倍角公式,3倍角公式などで変形する.
cos2x dx=sin2x++C…(*2.2)
cos3x dx=sin3x+sinx+C…(*2.3)
cos4x dx=x+sin2x+sin4x+C…(*2.4)
=+cosxsinx+x+Cでもよい
cos5x dx
=cos4xsinx+cos2xsinx+sinx+C
=sin5x−sin3x+sinx+C…(*2.5)
○[cosnx]の形のうちnが奇数の場合
f(sinx)cosx dxsinx=tとおいて置換積分
の応用として
cos2n+1xdx=cos2nxcosxdx

=(1−sin2x)ncosxdx

…(*2.6)
○[cosnx]の形のうちnが偶数の場合
nが正の整数のとき(奇数のときでも使えます)
cosnx dx→漸化式を作り,逐次次数を下げる.…(*2.7)
(※一般項を求めるのではない.)
○[]の形
=log|tan(+)|+C…(*2.8)
=log()+Cでもよい
=tanx+C…(*2.9)
= dx = dx…(*2.10)
○[xncosx]の形→部分積分
xcosx dx=xsinx+cosx+C…(*2.11)
x2cosx dx=2xcosx+(x2−2)sinx+C…(*2.12)
xncosx dx→漸化式を作り,逐次次数を下げる.
…(*2.13)
○[eaxcosbx]の形→部分積分を2回行う
excosx dx=ex(sinx+cosx)+C…(*2.14)
e2xcos3x dx=e2x(2cos3x+3sin3x)+C…(*2.15)
e−xcosx dx=−e−x(cosx−sinx)+C…(*2.16)
○[]の形→則答:log|f(x)|
 一般に,分子が分母の微分となっている関数の場合は,分母・分子がどんなに複雑であっても,直ちにlog|f(x)|の形で積分が求まります.
.dx=−log(1+cosx)+C…(*2.17)
.dx=−log|sinx+cosx|+C…(*2.18)
.dx=log+C…(*2.19)
○[f(sinx, cosx, tanx)]の形tan=tとおけば,
.sinx=, cosx=, tanx=となって
.tで表されます.ただし,複雑な式になることが多いので,これは「最後の手段」と考えた方がよい.…(*2.20)
(解説)
(*2.1)←
(sinx)=cosxの両辺を積分します.
(*2.2)←
半角公式(=2倍角公式)を使って,被積分関数を書き換えるとできます.
cos2x=により
cos2x dx=(+)dx=+sin2x+C
(*2.3)←
3倍角公式を使って,被積分関数を書き換えるとできます.
cos3x=4cos3x−3cosxにより
cos3x=cosx+cos3x
cos3x dx=( cosx+cos3x)dx
=sinx+sin3x+C
..(#1)
この積分は(*2.6)を使って求めることもできます.
cos3x dx=cos2xcosx dx=(1−sin2x)cosx dx
sinx=tとおくと
=cosx
(1−sin2x)cosx dx=(1−t2)cosx
=(1−t2)dt=t−+C=sinx−+C..(#2)
sin3xの3倍角公式を使って変形すると,(#1)と(#2)とは同じ式であることが分かります.
(*2.4)←
半角公式(=2倍角公式)を2回使って,被積分関数を書き換えるとできます.
cos2x=により
cos4x=()2=(1+2cos2x+cos22x)
=(1+2cos2x+)
=+cos2x+cos4x
cos4x dx=x+sin2x+sin4x+C…(#3)
この積分は(*2.7)を使って求めることもできます.
In=cosnx dxとおくと
In=+In−2 (n=2,3,4,..)…(*2.7)
により,I0→I2→I4→...と順に求めることができます.
I0=cos0x dx=1 dx=x+C
I2=+x+C
I4=+(+x)+C
=+cosxsinx+x+C…(#4)
sin2xの2倍角公式を使って変形すると,(#3)と(#4)とは同じ式であることが分かります.
(*2.5)←
cos5x dx=(1−sin2x)2cosx dxから(*2.6)を使う
ことにより
(1−t2)2cosx =(t4−2t2+1)dt
=t5t3+t+C =sin5x−sin3x+sinx+C
…(#5)
- - -
In=+In−2 (n=2,3,4,..)
により, I1→I3→I5→...の順に求めるときは,
I1=cos1x dx=sinx+C
I3=+sinx+C
I5=cos4xsinx+(+sinx)+C
=cos4xsinx+cos2xsinx+sinx+C
…(#6)
となります.(#5)と(#6)は,cos2x=1−sin2xを使って変形すると,同じ式であることが分かります.
(*2.6)←
f(sinx)cosx dxsinx=tとおいて置換積分すると
=cosx
f(sinx)cosx dx=f(t)cosx=f(t)dt
=F(t)+C=F(sinx)+C
のようにf(t)の不定積分を求める問題となります.
[例]
sinx≧0の区間で
cosx dx
=dt=t+C=sinx+C

- - -
sin4xcosx dx=t4cosx=t4dt
=+C
- - -
cos2n+1x dx=cos2nxcosx dx=(1−sin2x)ncosx dx
- - -
一般に
sinnxcosx dx=+Cとなります.
(*2.7)←
In=cosnx dx=cosn−1xcosx dxとして部分積分を行う
f(x)=cosn−1xf’(x)=−(n−1)cosn−2xsinx
g’(x)=cosxg(x)=sinx
f(x)g’(x) dx=f(x)g(x)−f’(x)g(x) dxにより
In=cosn−1xsinx+(n−1)cosn−2xsin2x dx
=cosn−1xsinx+(n−1)cosn−2x(1−cos2x)dx
=cosn−1xsinx+(n−1)(cosn−2x dx−cosnx dx)
In=cosn−1xsinx+(n−1)(In−2−In )
nIn=cosn−1xsinx+(n−1)In−2
In=+In−2 (n=2,3,4,..)
(*2.8)←
=log|tan|+Cの結果[→この頁参照]を用いると
==Iにおいてx+=tとおいて
置換積分を行うと
I==log|tan|+C=log|tan(+)|+C
- - -
(*2.6)を用ると次のように計算できます.
=dx=dx=Iとおく
sinx=tとおいて置換積分すると
=cosxだから
I==−dt=−()dt
=−(log|t−1|−log|t+1|)+C=−log||+C
=−log||+C=log()+C
(*2.9)←
(tanx)=()=
=
の両辺を積分すれば示されます.

(*2.10)←
(*2.6)を使った置換積分になります.
[例]
= dx =dx=
(部分分数分解を行う...略)
={log()− }+C
(*2.11)←
次の部分積分を行います.
f(x)=xf’(x)=1
g’(x)=cosxg(x)=sinx
xcosx dx=xsinx−sinx dx
=xsinx+cosx+C
(*2.12)←
部分積分を2回行います.
f(x)=x2f’(x)=2x
g’(x)=cosxg(x)=sinx
x2cosx dx=x2sinx−2xsinx dx=Iとおく
p(x)=xp’(x)=1
q’(x)=sinxq(x)=−cosx
I=x2sinx−2(−xcosx+cosx dx)
I=x2sinx+2xcosx−2sinx+C
(*2.13)←
nが小さな整数の場合は,(*2.11)(*2.12)のようにxnを微分する側に選んで,それが定数になるまで部分積分を行うとできますが,nが大きい整数であるときは,次のような漸化式を作って,Inを順に求めて行くことができます.
In=xncosx dxとおく(n≧2)
f(x)=xnf’(x)=nxn−1
g’(x)=cosxg(x)=sinx
In=f(x)g’(x)dx=f(x)g(x)−f’(x)g(x)dx
=xnsinx−nxn−1sinx dx
p(x)=xn−1p’(x)=(n−1)xn−2
q’(x)=sinxq(x)=−cosx
In=xnsinx−n(−xn−1cosx+(n−1)xn−2cosx dx)
=xnsinx+nxn−1cosx−n(n−1)In−2
これにより,
I0=sinx+C→I2→I4→...の順に求めます.
I1=xsinx+cosx+C→I3→I5→...の順に求めます.
(*2.14)←
部分積分を2回行い「方程式のように解きます」.
I=excosx dxとおく
f(x)=exf’(x)=ex
g’(x)=cosxg(x)=sinx
I=f(x)g’(x)dx=f(x)g(x)−f’(x)g(x)dx
=exsinx−exsinx dx
p(x)=exp’(x)=ex
q’(x)=sinxq(x)=−cosx
I=exsinx−(−excosx+excosx dx)
I=exsinx+excosx−I
2I=exsinx+excosxだから
I=ex(sinx+cosx)+C
(*2.15)(*2.16)←
 係数に注意すれば(*2.14)と同様の方法で求められます.
a, b≠0のとき,I=eaxcosbx dxを求めてみると
f(x)=eaxf’(x)=aeax
g’(x)=cosbxg(x)=
I=f(x)g’(x)dx=f(x)g(x)−f’(x)g(x)dx
=eaxsinbx−eaxsinbx dx
p(x)=eaxp’(x)=aeax
q’(x)=sinbxq(x)=−
I=eaxsinbx−(−eaxcosbx+eaxcosbx dx)
=eaxsinbx+eaxcosbx−I
b2I=beaxsinbx+aeaxcosbx−a2I
(a2+b2)I=beaxsinbx+aeaxcosbx
I=eax(bsinbx+acosbx)
したがって
eaxcosbx dx=eax(acosbx+bsinbx) (a, b≠0)
この式でa=2, b=3とおけば(*2.15),a=−1, b=1とおけば(*2.16)になります.
(*2.17)←
(1+cosx)’=−sinxだから
dx=−dx=−log|1+cosx|+C
0以上だから| |は( )でよい
(*2.18)←
(sinx+cosx)’=cosx−sinxだから
dx=−log|sinx+cosx|+C
(*2.19)←
dx=dx
=dx=(+)dx
と変形すると
log|sinx|−log|1−sinx|+C=log+C
になります.
この不定積分はsinx=tの置換積分によっても得られます.
(*2.20)←
tanαの2倍角公式:tan2α=により
tan=tとおけば,
.tanx=
また,cosαの2倍角公式:cos2α=2cos2α−1と三角関数の相互関係: sin2α+cos2α=1 → 1+tan2α=を使うと
.cos2α=2−1=
となるから
.cosx=
sinx=tanxcosxだから
.sinx==
 このように,sinx, cosx, tanxは,すべてtan=tで表される
ので,sinx, cosx, tanxを含んだ式tan=tおとけば,tの積分
となります.(他の方法では不定積分が求められないときでも,この方法で求められます.ただし,他の方法でも求められるような問題にこの方法を使うと,途中経過が煩雑となって,かえって困ってしまうことがありますので,何でもこれでやればよいという訳ではないことに注意)
[使える例]
=Iとおくと
tan=tとおけば,
cosx=
==
dx=dt
I=dt=dt=
=−+C=−+C
…(#7)

なお,この種の問題に広く使える訳ではないが,この問題についてだけ使える変形として,次の答案が考えられる.
=dx=dx
=dx+dx=−+C…(#8)
(#7)と(#8)の関数の部分は,2倍角公式(半角公式)を使えば一致することがわかります.
 以下の問題は,この頁のどこかに書かれている内容か,または,それを少しだけ変形したものです.正しい番号を選択してください.
[問題1]
次の不定積分を求めてください.
.cos3x dx

1+C 2+C
3sinx−+C 4+C



[問題2]
次の不定積分を求めてください.
.cos4x dx

1x−sin2x−sin4x+C
2x−sin2x+sin4x+C
3x+sin2x−sin4x+C
4x+sin2x+sin4x+C



[問題3]
次の不定積分を求めてください.
.
1log()+C 2log()+C
3tanx+C 4+C



[問題4]
次の不定積分を求めてください.
.
1tanx+C 2tan2x+C
3+C 4+C



[問題5]
次の不定積分を求めてください.
.
1tan+C 2tan2+C
3+C 4+C



[問題6]
次の不定積分を求めてください.
.dx
1tan+C 2tan2+C
3log|sinx|+C 4log(1+cosx)+C



[問題7]
次の不定積分を求めてください.
xcosx dx
1xsinx+cosx+C 2xsinx−cosx+C
3xcosx+sinx+C 4xcosx−sinx+C



[問題8]
次の不定積分を求めてください.
.excosx dx
1ex(sinx+cosx)+C
2ex(sinx+cosx)+C
3ex(sinx−cosx)+C
4ex(sinx−cosx)+C



[問題9]
In=cosnx dx (n=2,3,4,...)とおくと,次のどの漸化式
が成り立ちますか.
1In=+In−2
2In=+In−2
3In=+In−2
4In=+In−2



[問題10]
In=xncosx dx (n=2,3,4,...)とおくと,次のどの漸化式
が成り立ちますか.
1In=xn−1cosx+nxnsinx−n(n−1)In−2
2In=xn−1sinx+nxncosx−n(n−1)In−2
3In=xncosx+nxn−1sinx−n(n−1)In−2
4In=xnsinx+nxn−1cosx−n(n−1)In−2



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■[個別の頁からの質問に対する回答][cosxに関する不定積分について/18.6.6]
前回のご回答、ありがとうございました。 さて、改めまして、「やはり符号がおかしい」所があります。 【理由】置換積分の場合、sin3xの場合*1.10と、cos3xの場合*2.10 は、初めの被積分関数f(t)の符号が−・+の違いがあるのに、どうして、結論のI(x)は+1/4、−1、−1、と同じ並びになるのでしょうか。これについては、*2.8の最後のI式で絶対値記号が外されたとき、符号が反対になるのでしょうか? *1.8では、符号が反対になっていませんのでとても違和感があります。…絶対値の外し方について、良く理解できていないところがある私ですので、この指摘が間違っていましたら御免なさい。どうぞ宜しくお願い致します。2018.6.6
=>[作者]:連絡ありがとう.被積分関数の符号が逆だから,積分の結果が逆になります.絶対値記号のはずし方は sin xのページに書きました.
■[個別の頁からの質問に対する回答][cosxに関する不定積分について/18.3.26]
cosxに関する不定積分問題5について、計算の答えが選択肢に見当たりません。おそらく、選択肢3の符号が誤っているのだと思います。(2.20)の解説#7においても、最後で置換されたtをtan(x/2)に戻す時に-をつけ忘れています…
=>[作者]:連絡ありがとう.訂正しました.