【sinxに関する不定積分≪一覧≫】
○[基本]
sinx dx=−cosx+C…(*1.1) |
(解説) (*1.1)← (cosx)=−sinxの両辺を積分して符号を変えます. |
○[sinnx]の形のうちnが小さいとき→2倍角公式,3倍角公式などで変形する.
(解説)sin2x dx=−sin2x++C…(*1.2) sin3x dx=cos3x−cosx+C…(*1.3) sin4x dx=x−sin2x+sin4x+C…(*1.4) =x−sinxcosx−sin3xcosx+Cでもよい sin5x dx =−sin4xcosx−sin2xcosx−cosx+C =−cos5x+cos3x−cosx+C…(*1.5) (*1.2)← 半角公式(=2倍角公式)を使って,被積分関数を書き換えるとできます. sin2x=により sin2x dx=(−)dx=−sin2x+C (*1.3)← 3倍角公式を使って,被積分関数を書き換えるとできます. sin3x=3sinx−4sin3xにより sin3x=sinx−sin3x sin3x dx=( sinx−sin3x)dx =−cosx+cos3x+C..(#1)
この積分は(*1.6)を使って求めることもできます.
sin3x dx=sin2xsinx dx =(1−cos2x)sinx dx cosx=tとおくと =−sinx (1−cos2x)sinx dx=(1−t2)sinx =(t2−1)dt=−t+C=−cosx+C..(#2) cos3xの3倍角公式を使って変形すると,(#1)と(#2)とは同じ式であることが分かります. |
(*1.4)← 半角公式(=2倍角公式)を2回使って,被積分関数を書き換えるとできます. sin2x=により sin4x=()2=(1−2cos2x+cos22x) =(1−2cos2x+) =−cos2x+cos4x sin4x dx=x−sin2x+sin4x+C…(#3)
この積分は(*1.7)を使って求めることもできます.
(*1.5)←In=sinnx dxとおくと In=−+In−2 (n=2,3,4,..)…(*1.7) により,I0→I2→I4→...と順に求めることができます. I0=sin0x dx=1 dx=x+C I2=−+x+C I4=−+(−+x)+C =−−sinxcosx+x+C…(#4) sin3xの3倍角公式,2倍角公式を使って変形すると,(#3)と(#4)とは同じ式であることが分かります. sin5x dx=(1−cos2x)2sinx dxから(*1.6)または (2倍角公式を2回)使うことにより sin5x dx=−cos5x+cos3x−cosx+C…(#5) - - - In=−+In−2 (n=2,3,4,..) により, I1→I3→I5→...の順に求めるときは, I1=sin1x dx=−cosx+C I3=−+I1 を使って sin5x dx=−sin4xcosx−sin2xcosx−cosx+C …(#6) となります.(#5)と(#6)は,sin2x=1−cos2xを使って変形すると,同じ式であることが分かります. |
○[sinnx]の形のうちnが奇数の場合
(解説)f(cosx)sinx dx→cosx=tとおいて置換積分 の応用として sin2n+1x dx=sin2nxsinx dx =(1−cos2x)nsinx dx …(*1.6) (*1.6)← f(cosx)sinx dx→cosx=tとおいて置換積分すると =−sinx f(cosx)sinx dx=f(t)sinx=−f(t)dt =−F(t)+C=−F(cosx)+Cのようにf(t)の不定積分を求める問題となります. |
[例] cosx≧0の区間で sinx dx =−dt=−t+C=−cosx+C cos4xsinx dx=t4sinx=−t4dt =−+C sin2n+1x dx=sin2nxsinx dx=(1−cos2x)nsinx dx 一般に cosnxsinx dx=−+Cとなります. (注)← 0<k<1のとき dxやdx の形をした不定積分は,各々第1種及び第2種楕円積分と呼ばれ,初等的には求められないことが知られています.(定積分は数値積分により近似値を求めることができます.) |
○[sinnx]の形のうちnが偶数の場合
(解説)nが正の整数のとき(奇数のときでも使えます) sinnx dx→漸化式を作り,逐次次数を下げる.…(*1.7) (※一般項を求めるのではない.) (*1.7)← In=sinnx dx=sinn−1xsinx dxとして部分積分を行う
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f(x)g’(x) dx=f(x)g(x)−f’(x)g(x) dxにより In=sinn−1x(−cosx)−(n−1)sinn−2xcosx(−cosx)dx =−sinn−1xcosx+(n−1)sinn−2xcos2x dx =−sinn−1xcosx+(n−1)sinn−2x(1−sin2x)dx =−sinn−1xcosx+(n−1)(sinn−2x dx−sinnx dx) In=−sinn−1xcosx+(n−1)(In−2−In ) nIn=−sinn−1xcosx+(n−1)In−2 In=−+In−2 (n=2,3,4,..) |
○[]の形
(解説)=log|tan|+C…(*1.8) =log()+Cでもよい =−+C…(*1.9) = dx = dx …(*1.10) (*1.8)← =dx=dx=dx =log|tan|+C (*1.6)を用ると次のように計算できます. =dx=dx=Iとおく cosx=tとおいて置換積分すると =−sinxだから I==dt=( − )dt =(log|t−1|−log|t+1|)+C=log||+C =log||+C=log()+C |
(*1.9)← ()=()= =−の両辺を積分して符号を変えれば示されます. (*1.10)← (*1.6)を使った置換積分になります. [例] = dx =dx=−=Iとおく 部分分数分解を行う とおき,展開整理して係数比較を行うことによりを求める.
なお,のように,重解型になっている式を部分分数分解するには,分母の次数が1次になるまで「子分」も並べなければならない
となるから
なお,だから,つねにとなり,絶対値記号を使わずに表せる
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○[xnsinx]の形→部分積分
(解説)xsinx dx=sinx−xcosx+C…(*1.11) x2sinx dx=2xsinx−(x2−2)cosx+C…(*1.12) xnsinx dx→漸化式を作り,逐次次数を下げる. …(*1.13) (*1.11)← 次の部分積分を行います.
=−xcosx+cosx dx=−xcosx+sinx+C (*1.12)← 部分積分を2回行います.
=−x2cosx+2xcosx dx=Iとおく
I=−x2cosx+2xsinx+2cosx+C |
(*1.13)← nが小さな整数の場合は,(*1.11)(*1.12)のようにxnを微分する側に選んで,それが定数になるまで部分積分を行うとできますが,nが大きい整数であるときは,次のような漸化式を作って,Inを順に求めて行くことができます. In=xnsinx dxとおく(n≧2)
=−xncosx−nxn−1(−cosx)dx =−xncosx+nxn−1cosx dx
=−xncosx+nxn−1sinx−n(n−1)In−2 これにより,
I0=−cosx+C→I2→I4→...の順に求めます.
I1=−xcosx+sinx+C→I3→I5→...の順に求めます. |
○[eaxsinbx]の形→部分積分を2回行う
(解説)exsinx dx=ex(sinx−cosx)+C…(*1.14) e2xsin3x dx=e2x(2sin3x−3cos3x)+C…(*1.15) e−xsinx dx=−e−x(sinx+cosx)+C…(*1.16) (*1.14)← 部分積分を2回行い「方程式のように解きます」. I=exsinx dxとおく
=−excosx−ex(−cosx)dx=exsinx+excosx dx
I=−excosx+exsinx−I 2I=−excosx+exsinxだから I=ex(sinx−cosx)+C |
(*1.15)(*1.16)← 係数に注意すれば(*1.14)と同様の方法で求められます. a, b≠0のとき,I=eaxsinbx dxを求めてみると
=−eaxcosbx+eaxcosbx dx
=−eaxcosbx+eaxsinbx−I
b2I=−beaxcosbx+aeaxsinbx−a2I
したがって(a2+b2)I=−beaxcosbx+aeaxsinbx I=eax(asinbx−bcosbx) eaxsinbx dx=eax(asinbx−bcosbx) (a, b≠0) この式でa=2, b=3とおけば(*1.15),a=−1, b=1とおけば(*1.16)になります. |
○[]の形→則答:log|f(x)|
(解説)一般に,分子が分母の微分となっている関数の場合は,分母・分子がどんなに複雑であっても,直ちにlog|f(x)|の形で積分が求まります. dx=log|x+sinx|+C…(*1.17) dx=log(1+sin2x)+C…(*1.18) =log|tanx|+C…(*1.19) |
(*1.17)← (x+sinx)’=1+cosxだから dx=dx=log|x+sinx|+C (*1.18)← (1+sin2x)’=2sinxcosx=sin2xだから dx=dx=log(1+sin2x)+C (*1.19)← (tanx)’=だから =dx=log|tanx|+C |
○[f(sinx, cosx, tanx)]の形→tan=tとおけば,
(解説)sinx=, cosx=, tanx=となって tで表されます.ただし,複雑な式になることが多いので,これは「最後の手段」と考えた方がよい.…(*1.20) (*1.20)← tanαの2倍角公式:tan2α=により tan=tとおけば, tanx= また,cosαの2倍角公式:cos2α=2cos2α−1と三角関数の相互関係: sin2α+cos2α=1 → 1+tan2α=を使うと cos2α=2−1= となるから cosx= sinx=tanxcosxだから sinx== このように,sinx, cosx, tanxは,すべてtan=tで表される ので,sinx, cosx, tanxを含んだ式tan=tおとけば,tの積分 となります.(他の方法では不定積分が求められないときでも,この方法で求められます.ただし,他の方法でも求められるような問題にこの方法を使うと,途中経過が煩雑となって,かえって困ってしまうことがありますので,何でもこれでやればよいという訳ではないことに注意) |
[例]
=Iとおくと
[よくない例]
tan=tとおけば,
I=dt=dt=−+Csinx= == dx=dt =+C…(#7) 「これを使えば三角関数の不定積分はほとんどできる」というのを真に受けると,次のような簡単な問題でもできるはずですが・・・気の遠くなるような長い答案になります.
sinx dx
tan=tとおけば,sinx=dx=dt sinx dx=dt=dt t2+1=sとおけば,=2t =ds=−+C=−+C =−+C=−2cos2+C =−2()+C=−1−cosx+C ここで,−1+C=C’とおくと sinx dx=−cosx+C’ となります.(準備も後始末も大変で,もうこりごり#) なお,この種の問題に広く使える訳ではないが,この問題についてだけ使える変形として,次の答案が考えられる. =dx=dx =dx+dx=tanx++C’…(#8)
第2項はcosx=tとおいて置換積分する.
(#7)と(#8)の関数の部分はそのままでは一致しない.dx==−t−2dt =t−1+C=+C tanx++C’=++C’=+C’ =+C’=−+C’=−(1+)+C’=−1+C’ 任意定数をC=C’−1とすると,等しくなります. |
以下の問題は,この頁のどこかに書かれている内容か,または,それを少しだけ変形したものです.正しい番号を選択してください.
…(*1.2)
→3
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…(*1.6)
→2
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…(*1.11)
→4
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…(*1.17)
→1
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…(*1.3)の解説にある別表記参照
→4
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…(*1.8)の解説にある別表記参照
→3
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[問題7]
In=xnsinx dx (n≧2)とおくとき,次のどの漸化式が 成り立ちますか. 1In=−+In−2 2In=+In−2 3In=−xncosx+nxn−1sinx−n(n−1)In−2 4In=tann−1−In−2 HELP
…(*1.13)の解説参照
→3
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[問題8]
次の不定積分を求めてください. e−xsinx dx 1e−x(sinx+cosx)+C 2−e−x(sinx+cosx)+C 3e−x(sinx−cosx)+C 4−e−x(sinx−cosx)+C HELP
…(*1.16)の解説参照
→2
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…(*1.9)の解説参照
→1
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…(*1.20)の解説(#8)参照
=dx=dx =dx−dx=tanx−+C
第2項はcosx=tとおいて置換積分する.
dx==−t−2dt =t−1+C=+C →3
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