![]() ![]() *** 科目 *** 数Ⅰ・A数Ⅱ・B数Ⅲ高卒・大学初年度 *** 単元 *** 式と証明点と直線円軌跡と領域三角関数 指数関数対数関数微分不定積分定積分 高次方程式数列漸化式と数学的帰納法 平面ベクトル空間ベクトル確率分布 ※高校数学Bの「確率分布」について,このサイトには次の教材があります.
この頁へGoogleやYAHOO ! などの検索から直接来てしまったので「前提となっている内容が分からない」という場合や「この頁は分かったがもっと応用問題を見たい」という場合は,他の頁を見てください. が現在地です. ↓確率変数とは ↓確率変数と確率分布 ↓期待値 ↓分散・標準偏差 ↓度数分布→平均,分散,標準偏差 ↓確率変数の変換 ↓同時確率分布と周辺分布 ↓二項分布-現在地 ↓連続型確率分布 ↓正規分布 センター試験.数2・B統計(2013年~) |
【復習】(反復試行の確率)
1回の試行で事象Aが起る確率をpとするとき,この試行をn回繰り返して,事象Aがちょうどr回起る確率は nCr prqn−r
ただし,q=1−pr=0, 1, 2, ..., n−1, n
※この定理は,相互に独立なn回の試行を繰り返す場合を想定して「反復試行の確率」と呼ばれていますが,相互に独立なn個の試行を同時に行う場合にも成り立ち,「独立試行の定理」とも呼ばれます.
【例1】
(解答)10円硬貨を5回投げるとき,表がちょうど2回出る確率 10円硬貨を1回投げて表が出る確率はp= ![]() ![]() 5C2 (
![]() ![]() ![]() ![]()
【例2】
(解答)正しく作られたさいころは,6回のうち1回の割合で1の目が出るようになっています.このさいころを6回投げたとき,1の目が1回出る確率を求めてください.
6回投げると1の目が「必ず」1回出るという意味に解釈すると,問題が成り立たなくなります.
n=6, r=1, p=6回投げたときに,1の目から6の目までが完全に1回ずつ出るようなさいころは,正しく作られたさいころではないことは,経験的にも分かるはずです:1の目から5の目までが出たときに,次は「必ず」6の目が出るようになっていれば,それは確率的な動きではなく,「いかさま賭博のさいころ」になります. 6回のうち1回の「割合」で1の目が出るとは,1回の 試行で1の目が出る確率がp= ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
反復試行の確率の公式において,
n=4, r=2, p=
![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() →3
【復習問題2】
100円硬貨を10枚同時に投げるとき,少なくとも1枚表が出る確率を求めてください. ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() (次のうちで最も近い値を選んでください.) 10.9 20.99 30.999 40.9999 50.99999 HELP
独立試行の定理(=反復試行の確率の公式)において,
n=10, r=0, p=
![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 余事象の定理により, (少なくとも1枚表が出る確率)=1−(全部裏が出る確率) を求めると 1− ![]() ![]() →3
さいころを1回投げたとき,目の出方{1,2,3,4,5,6}のうちで5以上の目が出るのは{5,6}の2通りだから,反復試行の確率の公式において,
n=3, r=2, p=
![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() →2
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【用語と記号】 ○ 1回の試行で事象Aが起る確率がpのとき,n回の反復試行(独立試行)で事象Aが起る回数をXとすると,その確率分布は次の表のようになります.(ただし,q=1−p) この確率分布を二項分布といいます.
(二項分布という名前)
○ 1回の試行で事象Aが起る確率がpのとき,この試行をn回繰り返したときにできる二項分布を二項の和のn乗を展開したときの各項がこの確率になるので,上記の確率分布を二項分布といいます. (p+q)n=nC0 p0qn+nC1 p1qn−1+...+nCn pnq0 B(n, p) で表します.
この記号は,f(x, y)=x2yや5C2=10のような値をあらわすものではなく,単に「1回の試行である事象が起る確率がpであるとき,その試行をn回反復するときに,その事象が起る回数を表す二項分布」ということを短く書いただけのものです.
【例】 B(5, ![]() ![]() であるとき,その試行を5回繰り返したときに,その事象が起る回数の二項分布」を表します. B(2, ![]() ![]() であるとき,その試行を2回繰り返したとき,その事象が起る回数の二項分布」を表します. ○ 確率変数Xの確率分布が二項分布になることを,「確率変数Xは二項分布B(n, p)に従う」という言い方をします.
この言い方については,難しく考えずに慣れればよい.
【例3】
確率変数Xが二項分布B(5, ![]()
例えば,10円硬貨を1回投げたときに,表が出る確率は
5C3 (p= ![]() 出る確率を求めることに対応しています. ![]() ![]() ![]() ![]() ![]()
【例4】
確率変数Xが二項分布B(2, ![]()
例えば,さいころを1回投げたときに,1の目が出る確率
2C1 (はp= ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 袋の中に赤玉が3個と白玉が2個とが入っている.よくかき混ぜて,1個取り出し,玉の色を調べてから元に戻すという試行を3回繰り返すとき,赤玉が出る回数Xの確率分布を求めてください.
「確率分布を求めよ」という問題には,確率分布表で答えるとよい.このためには,
n=3 r=0, 1, 2, 3 p= ![]() ![]() ![]() として,r=0からr=3までのすべての値について 3Cr prq3−r の値を求めます.
…(答) |
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n=4,r=1,p= ![]() ![]() ![]() の値を求めます. 4C1( ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() →4
n=5,r=0,1,2,3,4,p= ![]() ![]() の値を求めて,確率分布表を作ります.
表の水色の部分の和を求めると,0≦X≦3となる確 率P(0≦X≦3)は, ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() →4
![]() 袋の中に赤玉4個と白玉1個とが入っている.よくかき混ぜて,1個取り出し,玉の色を調べてから元に戻すという試行を3回繰り返すとき,赤玉が出る回数Xの確率分布として正しいものを選んでください.
n=3,r=0,1,2,3,p= ![]() ![]() の値を求めて,確率分布表を作ります. →3 |
【二項分布の期待値,分散,標準偏差】
確率変数Xが二項分布B(n, p)に従うとき
期待値E(X)=np …(1)
分散V(X)=npq …(2) 標準偏差σ(X)= ![]() ただし,q=1−p
【例5】
1枚の10円硬貨を5回投げるとき,表が出る回数をXと すると,Xは二項分布B(5, ![]() 確率変数Xの期待値はE(X)=5× ![]() ![]()
(平均2.5回だけ表が出るということです)
確率変数Xの分散はV(X)=5×![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]()
(平均2.5±1.12回の中に7割程度が入ります)
![]()
【例6】
(公式の解説)1個のさいころを10回投げるとき,1の目が出る回数をXと すると,Xは二項分布B(10, ![]() 確率変数Xの期待値はE(X)=10× ![]() ![]()
(平均約1.7回だけ表が出るということです)
確率変数Xの分散はV(X)=10×![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]()
(平均1.7±1.18回の中に7割程度が入ります)
![]() ≪確率の定理だけを使って,簡単に証明する方法≫ (1)←
確率変数の和X+Yの期待値については,X, Yが独立であるか否かに関わらずつねに
確率変数Xが二項分布B(n, p)に従うとき,第r回目の試行で事象Aが起る回数をXrとおくと,Xはそれらの合計になります.E(X+Y)=E(X)+E(Y) が成り立ちます. この関係は,3つの確率変数の和の場合にも成り立ちます. E(X+Y+Z)=E(X)+E(Y)+E(Z) さらに,もっと一般的に,n個の確率変数の和の場合にも成り立ちます. E(X1+X2+...+Xn )=E(X1 )+E(X2 )+...+E(Xn )…(E) X=X1+X2+...+Xn
実際には,Xrは,第r回目の試行で事象Aが起こるときXr=1,起らないときXr=0の2つの値のどちらかになります.
E(Xr)=0·q+1·p=p (E)により E(X)=E(X1)+E(X2)+...+E(Xn)=p+p+...+p=np ![]() (2)← V(Xr)=E(Xr2)−E(Xr)2の公式を使って,V(Xr)を求めます. 上の表により, E(Xr2)=02·q+12·p=p V(Xr)=E(Xr2)−E(Xr)2=p−p2=p(1−p)=pq ここで,各々のXrは「独立」だから,分散について次の公式が使えます. V(X1+X2+...+Xn )=V(X1 )+V(X2 )+...+V(Xn )…(F) したがって V(X)=pq+pq+...+pq=npq (3)← σ(X)= ![]() ![]() |
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(公式の解説) ≪すでに微分を習っている場合≫ 定義に従って,直接計算する方法: (1)← 次の展開式においてxr (r=0,1,2,..,n)の係数がnCr prqn−rになることに着目します.
(px+q)n=
nC0 p0qnx0
+nC1 p1qn−1x1
+nC2 p2qn−2x2
○ (A)においてx=1を代入すると,二項分布の確率分布表において計の欄が1になることが示されます.+...+nCr prqn−rxr+... +nCn−1 pn−1q1xn−1 +nCn pnq0xn…(A)
(p+q)n=
nC0 p0qn
+nC1 p1qn−1
+nC2 p2qn−2
+...+nCr prqn−r+... +nCn−1 pn−1q1 +nCn pnq0 ここでp+q=1だから
nC0 p0qn
+nC1 p1qn−1
+nC2 p2qn−2
+...+nCr prqn−r+... +nCn−1 pn−1q1 +nCn pnq0=1
○ E(X)は,次の式で定義されます. E(X) =0·nC0 p0qn+1·nC1 p1qn−1+...+rnCr prqn−r+...+n·nCn pnq0 そこで,E(X)を求めるために,rnCr prqn−rの形の項を作ることを考えます.そのために,まず(A)の両辺をrで微分します.
n(px+q)n−1p=
0
+1nC1 p1qn−1x0
+2nC2 p2qn−2x1
(B)式においてx=1を代入すると,E(X)の式になります.+...+rnCr pr−1qn−rxr−1+... +(n−1)nCn−2 pn−1q1xn−2 +nnCn pnq0xn−1…(B)
n(p+q)n−1p=
0
+1nC1 p1qn−1
+2nC2 p2qn−2
+...+rnCr pr−1qn−r+... +(n−1)nCn−2 pn−1q1 +nnCn pnq0 ここでp+q=1だから 0+1nC1 p1qn−1 +2nC2 p2qn−2 +...+rnCr pr−1qn−r+... +(n−1)nCn−2 pn−1q1 +nnCn pnq0=np したがって E(X)=np ![]() (2)← V(X)=E(X 2)−E(X)2の公式を使って,V(X)を求めるために,まずE(X 2)を計算しておきます. そのためには r2nCr prqn−r の形の式が必要になります.
![]() rnCr prqn−rxr−1になっているので,これをさらに微分すると r(r−1)nCr prqn−rxr−2 となってしまって r2nCr prqn−r の形にもっていけません. そこで,(B)の両辺にxを掛けて1次次数を上げてから微分します. (B)の両辺にxを掛けると
np(px+q)n−1x=
0
+1nC1 p1qn−1x1
+2nC2 p2qn−2x2
(C)の両辺を微分すると+...+rnCr pr−1qn−rxr+... +(n−1)nCn−2 pn−1q1xn−1 +nnCn pnq0xn…(C)
np{ (n−1)(px+q)n−2px+(px+q)n−1 }=
(D)式においてx=1を代入すると0+12nC1 p1qn−1x0 +22nC2 p2qn−2x1 +...+r2nCr pr−1qn−rxr−1+... +(n−1)2nCn−2 pn−1q1xn−2 +n2nCn pnq0xn−1…(D)
np{ (n−1)(p+q)n−2p+(p+q)n−1 }=
以上により0+12nC1 p1qn−1 +22nC2 p2qn−2 +...+r2nCr pr−1qn−r+... +(n−1)2nCn−2 pn−1q1 +n2nCn pnq0 ここでp+q=1だから 0+12nC1 p1qn−1 +22nC2 p2qn−2 +...+r2nCr pr−1qn−r+... +(n−1)2nCn−2 pn−1q1 +n2nCn pnq0 =np{ (n−1)p+1 }=n2p2−np2+np E(X 2)=n2p2−np2+np V(X)=E(X 2)−E(X)2=n2p2−np2+np−n2p2 =np−np2=np(1−p)=npq (3)← σ(X)= ![]() ![]() |
n=8, p=
![]() ![]() ![]() ![]() ![]() →3
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||||||||||||||||
【問題5】
1個のさいころを60回投げるとき,5の目が出る回数の期待値と標準偏差を求めてください.(最も近い値を選んでください) 1 期待値10回,標準偏差2.89回 2 期待値10回,標準偏差8.33回 3 期待値50回,標準偏差6.45回 4 期待値50回,標準偏差41.7回 HELP n=60, p= ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
||||||||||||||||
この問題は,期待値や分散を求める問題ではなく,個々の確率を求める問題なので,二項分布の確率分布表に戻って考えます.すなわち,次の表においてX=8,9,10となる確率を求めます.
P(X≧8)=45× ![]() ![]() ![]() ![]() →3 |
||||||||||||||||
E(X)=np≧10…(*1) V(X)=σ(X)2=npq≦1…(*2) (*1)(*2)より 10q≦npq≦1 q≦ ![]() したがって,p=1−q≧0.9
実際には,nは整数なので,p=0.9のときに,(*1)(*2)を両立させることはできませんが,
→4たとえばp=0.91のとき, 0.91n≧10より n≧ ![]() nは整数だから,たとえばn=11のとき np=10.01, npq=11×0.91×0.09=0.90.. となって(*1)(*2)とも成立します. |
||||||||||||||||
n回投げて全部裏が出る確率は,nC0( ![]() ![]() ![]() したがって 1− ![]() ![]() 1− ![]() ![]() ![]() ![]() 2n≧10 23=8, 24=16だからn≧4 →2
【問題9】
1個のさいころを18回投げるとき,3以上の目が出る回数の期待値と標準偏差を求めてください. 1 期待値6,標準偏差2 2 期待値6,標準偏差4 3 期待値12,標準偏差2 4 期待値12,標準偏差4 HELP さいころを1回投げるとき,目の出方の総数は{ 1,2,3,4,5,6 }の6通り そのうち,3以上の目が出るのは{ 3,4,5,6 }の4通り したがって p= ![]() ![]() 二項分布B(18, ![]()
期待値は18×
→3![]() 分散は18× ![]() ![]() 標準偏差は ![]() |
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【問題10】
確率変数Xが二項分布B(100, 0.9)に従うとき,Xの期待値と分散を求めてください. 1 期待値10,分散1 2 期待値10,分散3 3 期待値90,分散9 4 期待値90,分散90 HELP E(X)=np=100×0.9=90 V(X)=npq=100×0.9×0.1=9 →3 ![]() 袋の中に赤玉が3個と白玉が2個とが入っている.よくかき混ぜて,1個取り出し,玉の色を調べてから元に戻すという試行を3回繰り返すとき,赤玉が出る回数Xの標準偏差を求めてください. 1 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() HELP n=3, p= ![]() ![]() V(X)=3× ![]() ![]() ![]() σ(X)= ![]() ![]() →2 |
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