≪要点≫ y=ax(a>0, a≠1)のグラフには次の特徴があります. 1.定義域:−∞<x<∞, 値域:0<y<∞
※中学校で単に「変域」と呼ばれるものを,高校では独立変数xの値の範囲のことを「定義域」,従属変数yの値の範囲のことを「値域」と言います.
a>0,a≠1, −∞<x<∞ → y=ax>0.
2.グラフは常に点(0, 1)を通ります.xはすべての実数値をとりますがyは正の値だけをとります.
(理由)
3.各々のa (>0)について,グラフは点(1, a)を通ります.どんなa (>0)についても,a0=1が成り立ちます. したがって,x=0のとき,y=1となるので,グラフは常に点(0, 1)を通ります.
(理由)
4.グラフはx軸に限りなく近づきますがx軸に接したりx軸と交わることはありません.どんなa (>0)についても,a1=aが成り立ちます. したがってx=1のとき, y=aとなるので,各々のa (>0)について,グラフは点(1, a)を通ります.
y=0(x軸)は漸近線と呼ばれます.
5.y=axのaを指数関数の底(てい : base)といいます.
(1) 底がa>1のとき,単調増加関数になります. →図1, 2
p<q ⇔ ap<aq
図 1
(2) 底が0<a<1のとき,単調減少関数になります. →図3,4![]() ![]()
p<q ⇔ ap>aq
図 3
![]() ![]()
(参考程度の読み物)
↓とても難しい話なので,読まなくてもよい.
実数値[例えば
有理数(整数や有理数[分数])のx,例えばx=![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 無理数x= ![]() 21.4<2 ![]() 21.41<2 ![]() 21.414<2 ![]() … 2 ![]() (以上はあくまで理論的な話で,実際にその値を求めなさいとは言いません.) このようにして,xが無理数のときでも2xの値が決まるので,y=2xのグラフは「すべてのxに対してつながっているように」描けばよいことになります. |
例 1(→図 5) y=2xのグラフ 1.定義域:−∞<x<∞,値域:0<y<∞
特に,グラフがx軸よりも上にあるように描き,右の方はどんどん増える雰囲気で描くこと(0<y<∞)が重要です.
2.グラフは点(0, 1)を通ります.
星座に例えれば,これは一番明るくて重要な星:アルファ星に例えることができ,この点を通っていないようなグラフを書けば,そのグラフは全くダメです.
3.グラフは点(1, 2)を通ります.
星座に例えれば,これは2番目に明るい星:ベータ星に例えることができ,この点を通っていないようなグラフを書けば,そのグラフはかなりダメです.
4.グラフはx軸に限りなく近づきますが,x軸と接触したり交わったりすることはありません.(x軸は漸近線になります.)
x軸に触っていたり,x軸よりも下に出ることがないように「慎重に,美的に」描くことが重要です.
5.関数のグラフは単調増加(全区間で常に増加=右上がり)となります.
グラフが右上がりになっているというイメージをしっかり持つことが,後に指数不等式を解くときの鍵になります.
例 2(→図 6) y=0.5xのグラフ 1.定義域:−∞<x<∞,値域:0<y<∞ 2.グラフは(0, 1)を通ります. 3.グラフは(1, 0.5)を通ります. 4.グラフはx軸に限りなく近づきますが,x軸と接触したり交わったりすることはありません.(x軸は漸近線になります.) 5.関数のグラフは単調減少(全区間で常に減少=右下がり)となります.
右下がりという点が,後に指数不等式を解くときに,多くの生徒が「うっかり間違いやすい」落とし穴になっています.これはとても危険なワナだと思って警戒した方がいいです.
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図 5
![]()
1.x軸よりも下に出ているようなグラフはまずダメです.
図 6
2.原点(0, 0)や点(1, 0)を通っているようなグラフは零点です. 4.5.直線に見えるもの(定規をあてて点をつないだもの),y=x2のように左側も持ち上がっているもの,右下がりのグラフになっているものは零点です. 3.点(1, 2)でなく少し上の方の(1, 3)を通っているように見えるグラフは少し減点されます. 4.5.波打っているようなものは程度によって減点されるでしょう. 全般に手書きなので,「重要な特徴が押さえてあれば」「微妙な手ぶれは許される」と考えるとよいでしょう. ![]() |
指数の大小比較 図 2, 4にように
(1) a>1のときは,関数のグラフは単調増加(右上がり)になります.したがって,
p<q ⇔ ap<aq (2) 0<a<1のときは,関数のグラフは単調減少(右下がり)になります.したがって, p<q ⇔ ap>aq 例 3次の2数の大小を比較してください.(不等号を使って表してください.)
(1)2
(解答)![]() ![]() 底は2 (>1)で ![]() ![]() ![]() ![]() 2 ![]() ![]()
(2)0.5−0.7, 0.5−0.8
(解答)底は0.5 (<1)で −0.7>−0.8だから 0.5−0.7<0.5−0.8 |
(3)3
(解答)![]() ![]() 有理数の指数(分数の指数)を使って書き直すと 3 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 底は3 (>1)で ![]() ![]() 3 ![]() ![]() ![]() 3 ![]() ![]()
(4)5
(解答)![]() ![]() 有理数の指数(分数の指数)を使って書き直すと 5 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 底は0.1 (<1)で ![]() ![]() ![]() ![]() 0.1 ![]() ![]() 5 ![]() ![]() |
問題1次のうちで最大のものを選びなさい.
1も底2を使って表しておきます.
2− ![]() ![]() ![]() ![]() 底は2 (>1)で − ![]() ![]() ![]() ![]() 2− ![]() ![]() ![]() ![]() 最大のものは2 ![]()
1も底0.7を使って表しておきます.
0.7−2, 0.72, 0.7−3, (0), 1=0.70 底は0.7 (<1)で −3<−2<0<2だから 0.7−3>0.7−2>0.70>0.72(>0) 最大のものは0.7−3
底を
![]() ( ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() (( ![]() ![]() 底は ![]() −1.2<−1<−0.2<0<0.3だから ( ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 最大のものは( ![]() ![]() |
底2を使って書き直すと
![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 5 ![]() ![]() ![]() 底は2 (>1)で ![]() ![]() ![]() ![]() 2 ![]() ![]() ![]() ![]() 最大のものは2 ![]() ![]()
底0.1を用いて書き直すと
1=0.10, 0.1−5, 3 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 0.0001−1=(0.14)−1=0.1−4 底は0.1 (<1)で −5<−4<0< ![]() ![]() 0.1−5>0.1−4>0.10>0.1 ![]() ![]() 最大のものは0.1−5 |
底が異なる指数関数
図 7
図 7により![]()
(1<)a<bのとき
(解説)
(1)y=axとy=bxはいずれも点(0, 1)を通ります.
たとえば y=2xもy=3xも点(0, 1)を通ります.
(2)x>0のとき,ax<bxが成り立ちます.(→図 7の領域B参照)
たとえば,x>0 → 2x<3x.
(3)x<0のとき,ax>bxが成り立ちます.(→図 7の領域A参照)
たとえば,x<0 → 2x>3x.
→x<0のとき(3)は要注意です.
同じxに対して x>0ならば2x<3xです. 2<3 4<9 8<27 しかし, x<0ならば2x>3xです. ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 例 4次の数の大小を比較してください.
(1)1.910, 2.110
(解答)底は1.9<2.1で, 指数は10 (>0)で等しいから 1.910<2.110
(2)(
(解答)![]() ![]() 底は ![]() ![]() 指数が−1 (<0)で等しいから ( ![]() ![]()
参考:(
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(3)230, 320
(解答)同じ指数で表すと 230=(23)10=810, 320=(32)10=910 底は8<9で 指数は10 (>0)で等しいから 810<910 したがって 230<320
(4)
(解答)![]() ![]() 同じ指数で表すと 2 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 底は8<9で 指数は ![]() 8 ![]() ![]() したがって ![]() ![]()
(別解)
( ![]() ![]() (3 ![]() ![]() ( ![]() ![]() ![]() ![]() |
図 8
図 8により![]()
(0<)a<b(<1)のとき
(解説)
(1)y=axもy=bxも点(0, 1)を通ります.
たとえばy=(
(2)x>0のとき,ax<bxになります.(→図 8の領域D参照)![]() ![]()
たとえば,x>0 → (
(3)x<0のときはax>bxになります.(→図 8の領域C参照)![]() ![]()
たとえば,x<0 → (
![]() ![]() →x<0のとき (3) は要注意です.
同じxに対して, x>0ならば,( ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() しかし, x<0ならば,( ![]() ![]() ( ![]() ![]() ( ![]() ![]() ( ![]() ![]() 例 5次の数の大小を比較してください.
(1)0.25, 0.35
(解答)底は0.2<0.3(<1)で, 指数は5 (>0)で等しいから 0.25<0.35
(2)(
(解答)![]() ![]() 底は ![]() ![]() 指数は−2 (<0)で等しいから ( ![]() ![]()
(別解)
( ![]() ![]() ![]() ( ![]() ![]() ![]() ( ![]() ![]() |
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(3)0.50.6, 0.60.5
(解答)底は0.5<0.6(<1)で,指数は等しいから(0.6>0) 0.50.6<0.60.6 …(1) 底は等しく(0.6<1)指数は((0<)0.5<0.6だから 0.60.6<0.60.5 …(2) (1)(2)→0.50.6<0.60.5
(別解)
0.50.6<0.50.5<0.60.5 ![]() |
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問題2次のうちで最も大きなものを求めなさい.
9−3<9−2 …(1)
9−2<8−2 …(2) (1)(2)→ 9−3<8−2
9
![]() ![]() ![]() 8 ![]() ![]() ![]() (1)(2)→ 9 ![]() ![]()
0.80.9<0.90.9 …(1)
0.90.9<0.90.8 …(2) (1)(2)→ 0.80.9<0.90.8 |
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(
![]() ![]() ![]() ![]() ( ![]() ![]() ![]() ![]() (1)(2)→ ( ![]() ![]() ![]() ![]()
0.70.8<0.80.8<0.80.7<(1)<0.8−0.7<0.8−0.8<0.7−0.8
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